← 地域の分析

薬局の「廃止届」の3軒に2軒は、店が残っている

「薬局が◯軒なくなった」と書かれている数字は、たいてい廃止届の件数です。 でも廃止届は、閉局のときだけに出るものではありません。経営者が変わったとき(承継)にも、場所を移したとき(移転)にも出ます。店はそこにあって、明かりもついているのに、届出の上ではいちど「廃止」になります。

この2つは、地方厚生局の名簿で分けられます。廃止のあとに新しい機関コードが振られていれば、同じ場所で薬局が続いているということです。 推定ではなく行政記録なので、1軒ずつ判定できます。11都道府県・14か月ぶんの廃止届2,050件を、そうやって分けました。

66.2%承継・移転
(店は残っている)
33.8%真の閉局
(693件)

2025年4月〜2026年5月の14か月、11都道府県(薬局35,053軒・全国の57%)。

なぜ「全国」と書いていないのか

廃止届の名簿は、都道府県ごとに公表の形も、こちらが集め始めた時期も違います。 いま手元で取り込み開始が6年ずれていて、同じ期間で切れるのは11都道府県だけです。 それ以外を混ぜて全国の表にすると、「閉局が多い県」ではなく「長く数えた県」が上に来ます。なので、揃っているところだけを出しています。 この11都道府県で全国の薬局の57%を占めます。

都道府県ごとの承継率

都道府県承継・移転の割合判定した廃止届
北海道56.7%90件
埼玉県64.7%184件
千葉県66.7%150件
東京都64.4%503件
神奈川県69.4%271件
愛知県69.2%65件
滋賀県46.7%30件
大阪府71.4%398件
兵庫県67.3%156件
広島県67.6%102件
福岡県57.4%101件

表は地理の順(JISコード順)です。高い順には並べていません。右の件数は、その割合を計算した母数です。県ごとに集められた量が違うので、 件数どうしを「この県のほうが閉局が多い」と比べることはできません。割合だけが比べられます。

同じ制度なのに、46.7%から71.4%まで開きます

いちばん高いのが大阪府の71.4%、いちばん低いのが滋賀県の46.7%。大阪府では廃止届の10件に7件で店が残り、滋賀県では半分以下です。 承継が起きるかどうかは、買い手がいるかどうかに左右されます。同じ「廃止届1件」でも、意味は地域によって違います。ここから先、なぜその差が出るのかは、この数字だけでは決められません。 承継が成立するかどうかは、店のある場所よりも、 後継者がいるか・買い手が見つかるかという、店と人の事情に寄っている可能性があります。 それを確かめるには、閉じる前の店の姿が要ります。いまの名簿には、閉じた店は載っていません。

この数え方について

出典は地方厚生局の保険薬局の指定・廃止の公表資料。廃止届に新しい機関コードが付いているものを承継・移転、 付いていないものを真の閉局としました。期間は2025年4月〜2026年5月で、 直近の月は届出が遅れて入るため外しています。集計は2026-08-30時点。 同じ名前・同じ日でも住所が違うものは別の店として数えています(チェーンが一斉に閉じることがあるため)。 完全に同じ行の重複がないことを確認済みです。このページは割合だけを出しています。県ごとに集められた量が違うので、件数の多少・月ごとの増減は、実態ではなく集めた量を映してしまいます。 揃うまで出しません。個々の薬局の名前や順位づけはしていません。

隔週で、街の数字をひとつ。薬剤師の目で翻訳してお届けします。あなたの地域の数字が動いたときのお知らせも、あわせて受け取れます。

登録は無料・パスワード不要(メールに確認リンクが届きます)。どんな便りが届くか登録済みの方はログイン

薬局が1軒もない自治体(145市区町村)  → 処方箋枚数の全国データ  → 地域から探す