CrossHealth / 薬局持久度レポート

薬局が消えているのは、いちばん増える東京だった

東京都13の二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、区市町村まで下りたレポートへ進めます。

対象 東京都 13二次医療圏・62区市町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

東京都の調剤薬局は6,662軒。高齢化で処方せんの需要は今後20年、都全体では+28.1%増える見通しです。13医療圏のうち11圏では、65歳以上人口が2050年まで増え続けます——長崎県が8圏中7圏・北海道が21圏中18圏ですでにピークを過ぎているのとは、まるで違う景色です。それなのに暦年2025(2025年1月〜12月)に東京都でそのまま消えた薬局は147軒(2.21%)。しかも消えているのは、いちばん需要が伸びる側の東京でした。

13
東京都の二次医療圏
6,662
都内の薬局数
147
2025年に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-18.2〜+52.3%
処方せん需要の変化レンジ(圏域差)

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが島しょ医療圏(-18.2%)、いちばん伸びるのが区中央部医療圏(+52.3%)。ただし島しょは薬局4軒しかない特別な圏域で、これを除くと9.5%〜+52.3%の範囲に収まります。医療圏をクリックすると、その中の区市町村差まで下りられます。

北多摩北部:薬局346軒/1軒あたり処方せん(→2045) +23.7%北多摩北部北多摩南部:薬局494軒/1軒あたり処方せん(→2045) +33.5%北多摩南部北多摩西部:薬局304軒/1軒あたり処方せん(→2045) +24.0%北多摩西部区中央部:薬局718軒/1軒あたり処方せん(→2045) +52.3%(クリックで詳細)区中央部区南部:薬局564軒/1軒あたり処方せん(→2045) +30.4%区南部区東北部:薬局645軒/1軒あたり処方せん(→2045) +23.6%区東北部区東部:薬局603軒/1軒あたり処方せん(→2045) +32.2%区東部区西北部:薬局922軒/1軒あたり処方せん(→2045) +17.7%区西北部区西南部:薬局667軒/1軒あたり処方せん(→2045) +40.4%区西南部区西部:薬局653軒/1軒あたり処方せん(→2045) +33.5%区西部南多摩:薬局579軒/1軒あたり処方せん(→2045) +22.4%南多摩島しょ:薬局4軒/1軒あたり処方せん(→2045) -18.2%島しょ西多摩:薬局163軒/1軒あたり処方せん(→2045) +9.5%西多摩
色=薬局1軒あたり処方せんの変化(→2045)
減る(-18.2%)増える(+52.3%)
医療圏そのものの形で塗り分けています。
Requestまだ公開されていない地域も、リクエストできます公開されたら、メールでお知らせします(無料)。 今すぐ必要な方は会員の優先生成へ。
Lv1のこの色は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか)です。医療圏ページ(Lv2)の色は圏内でのシェア移動を示す相対値で、意味が違います。各ページの凡例に従ってお読みください。

人口動態 ── 需要の源11医療圏で、65歳以上は2050年まで増え続ける

東京都全体では、総人口は1420万→1448万人(+2.0%)とほぼ横ばいのまま、65歳以上は324万→414万人(+28.1%)と増えます。高齢化率は22.8%→28.6%へ。注目すべきは、13医療圏のうち11圏で65歳以上人口が推計期間の終わり(2050年)まで増え続けることです。ピークを過ぎているのは島しょだけで、ここにある薬局は4軒(都内の0.1%)にすぎません。伸びが最大なのは区中央部の+52.3%。いまの高齢化率が17.9%と都内でもっとも低い都心が、これから高齢化の本番を迎えるという形です。逆に西多摩は高齢化率がすでに32.7%で2045年には42.8%になりますが、65歳以上人口の伸び自体は+9.5%にとどまります。

総人口65歳以上
0万365万730万1095万1460万2025203020352040204520501440万426万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。東京都の65歳以上人口は推計期間内(2050年まで)ピークに達しません。

承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届384件のうち、そのまま消えたのは147件でした

暦年2025(2025年1月〜12月)に東京都で出された薬局の廃止届は384件。ただしこのうち237件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは147軒(薬局6,662軒の2.21%)でした。圏域差は大きく、真の閉局率は島しょの0.0%から区中央部の3.76%まで開きます。東京都は閉局の件数が多いので、単年ではなく4年(2022年1月〜2025年12月)でも数えました。真の閉局597件・移転承継882件です。はっきり分かれたのは閉局そのものの起きやすさでした。4年平均の真の閉局率は、区部7医療圏が2.06〜3.62%/年、多摩5医療圏が1.23〜1.81%/年で、区部でいちばん低い圏が、多摩でいちばん高い圏を上回ります(重なりがありません)。「過疎地から薬局が消える」という見立ては、東京都には当てはまりません。いっぽう引き継がれなかった割合は、区部と多摩に分かれません。北多摩南部の30.5%から区東部の46.2%まで開きますが、南多摩(39.3%)は区部の下位2圏より高く、区部38.6〜46.2% と多摩30.5〜39.3% は重なっています。「消えやすさ」と「引き継がれにくさ」は別の指標です。

一斉承継 ── 同じ日にまとめて入れ替わる4年間の承継882件のうち106件は、管内をまたぐ一斉の付け替えでした

廃止届を数えるときに気をつけないといけないのが、同じ廃止日に移転・承継がまとめて出る日があることです。たとえば2025-04-30には、関東信越厚生局の管内10都県で164件の廃止届が出て、うち143件が移転・承継でした(東京都はそのうち23件)。複数の県にまたがって機関コードが一斉に付け替わる法人再編で、「地域から薬局が消えた」話ではないのはもちろん、1件1件の事業承継とも性質が違います。このレポートでは、こうした日を日付を決め打ちせず、管内10都県の分布から機械的に見つけています(同一廃止日の承継が20件以上で、かつ管内の中央値の2.0倍以上、かつ8都県以上にまたがる日)。4年窓(4年(2022年1月〜2025年12月))の中で見つかったのは4日で、東京都の廃止届1,479件のうち140件がその日に出ています。東京都だけで承継が20件以上に集中した日(管内をまたぐとは限らない月末の山)も合わせると13日・441件(29.8%)になります。真の閉局への影響は小さく(103件)、このレポートの主指標である閉局数・閉局率はほとんど動きません。動くのは「引き継がれなかった割合」のほうで、一斉承継の日を除くと東京都全体で40.4%→47.6%に上がります。どちらか一方だけを見せると誤読になるので、両方を載せています。

機能の届出 ── 兵庫県で見えた並びは、東京には無い需要の伸びと届出率の順位は、東京では対応しない

在宅患者訪問薬剤管理指導の届出率を医療圏ごとに並べると、西多摩の41.7%から島しょの75.0%まで開きます。兵庫県ではこの順番が処方せん需要の伸びの順番と8圏すべてで一致し、「需要が減る地域ほど届出が薄い」という並びが見えました。東京都では一致したのは1圏だけで、順位相関も-0.082とほとんど関係がありません。かかりつけ薬剤師指導料の届出率は島しょの50.0%が都内最低、最高の北多摩北部(73.7%)とは23.7ポイント違います。届出は自己申告で、届出=実際の提供ではありません。それでも、地方で見えた「需要と機能の対応」が東京では成り立たないこと自体は、記録しておく価値のある違いだと考えます。

島しょ ── 9つの自治体に、薬局は4軒6つの村・町には、薬局が1軒もありません

島しょ医療圏は9の町村からなり、薬局は4軒しかありません。利島村・新島村・神津島村・御蔵島村・青ヶ島村・小笠原村の6村には、薬局機能情報提供制度に届け出のある薬局が1軒もありません。65歳以上人口は2025年がすでにピークで、2045年までに-18.2%減ります。薬局1軒あたりの処方せんは26,252枚と都内最大ですが、これは分母が4軒しかないための数字で、経営が楽だという意味ではありません。本土側では西多摩医療圏の檜原村が唯一の「薬局0軒」の自治体です。なお、この0軒は届出のある薬局が0軒という意味です。薬局機能情報提供制度は自己申告のため、実際の医薬品アクセス(診療所での院内投薬・配送・巡回)はこのデータでは分かりません。

ランキング ── 圏域差処方せんが増える医療圏・減る医療圏

島しょ(-18.2%)から区中央部(+52.3%)まで。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。現在の1軒あたり処方せんは北多摩北部の13,514枚から島しょの26,252枚まで1.94倍ですが、島しょを除くと1.29倍——東京都はいまの薬局1軒あたりの処方せんが、地域によってほとんど変わらない都道府県です(島しょを除いたこの1.29倍より圏域差が小さいのは、既刊28都道府県のうち9県だけ)。差がつくのはこれからで、その向きを決めるのが高齢人口の伸びです。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は東京都では作れていません(下の注記)。

島しょ
-18.2%
西多摩
+9.5%
区西北部
+17.7%
南多摩
+22.4%
区東北部
+23.6%
北多摩北部
+23.7%
北多摩西部
+24.0%
区南部
+30.4%
区東部
+32.2%
区西部
+33.5%
北多摩南部
+33.5%
区西南部
+40.4%
区中央部
+52.3%

くわしい数字13医療圏データ一覧

地域(医療圏)薬局1軒あたり処方せん
2025 → 2045(枚/年)
変化
区西北部92214,326 16,859+17.7%
区中央部71817,438 26,558+52.3%
区西南部66715,608 21,918+40.4%
区西部65314,720 19,651+33.5%
区東北部64514,476 17,889+23.6%
区東部60315,796 20,890+32.2%
南多摩57915,901 19,464+22.4%
区南部56414,672 19,126+30.4%
北多摩南部49414,727 19,664+33.5%
北多摩北部34613,514 16,721+23.7%
北多摩西部30415,710 19,481+24.0%
西多摩16314,747 16,151+9.5%
島しょ426,252 21,484-18.2%

※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は暦年2025の集計で、移転・承継を除いています(4年ぶんの列は2022〜2025年の合計)。個店のランキングは作りません。

いま出していない数字供給の将来推計は、東京都では作っていません

このページでは、2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類を外しています。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、そのモデルは近畿2府4県だけを学習したもので、東京都は学習対象に入っていません。閉局の数え方を「移転・承継を除いた本当の閉局」に改めたこともあり、関東を含めて学習しなおす必要があります。できあがり次第このページに戻します。それまでは、確定している需要側の数字(将来推計人口とNDB処方せん実績)と、現在の供給の事実(薬局数・閉局の実績)だけでお伝えします。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選びました。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 東京都(このページ・Lv1)=13の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 二次医療圏(Lv2)=圏内の区市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 区市町村(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類はこのページから外しています。既存の供給の統計モデルが近畿2府4県のみの学習で、東京都を含んでいないためです。関東を含めて再学習が済み次第、戻します。
  • 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・都全体で年間101,331,049枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。
  • 【東京都で特に注意すべき点:昼間人口】処方せんの按分は、そこに住んでいる65歳以上の人数を基準にしています。千代田区・中央区・港区のように昼間人口が夜間人口を大きく上回る地域では、実際の処方せんは通勤者や近隣区の住民からも来ているため、住民ベースの按分は実態から外れます。これらの区の「薬局1軒あたり処方せん」の値は、居住している高齢者から見た薄さであって、その地域の薬局の経営実態ではありません。
  • 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は暦年2025(2025年1月〜12月)で、廃止届384件・うち移転承継237件・真の閉局147件です。同じ暦年2025で公開済みの6県(新潟県・栃木県・神奈川県・群馬県 ほか)とは件数をそのまま並べられます。集計窓が違う県(直近12ヶ月など)とは並べられません。承継率の圏域差については、件数を増やして精度を上げるため4年(2022年1月〜2025年12月)の集計(真の閉局597件・移転承継882件)も併記しています。4年ぶんの値を他県の単年値と並べないでください。
  • 【一斉承継(同じ日にまとめて出る移転・承継)】関東信越厚生局の管内では、複数県にまたがって機関コードが一斉に付け替わる日があります。日付は決め打ちせず、管内10都県の分布から機械的に検出しています(同一廃止日の承継が20件以上・管内中央値の2.0倍以上・8都県以上にまたがる)。真の閉局(このレポートの主指標)はほとんど影響を受けません(4年で597件のうち103件)。影響が出るのは「引き継がれなかった割合」で、4年ぶんの40.4%は、一斉承継の日を除くと47.6%になります(管内をまたぐ日だけを除いた場合は42.0%)。両方を併記しているので、用途に応じて選んでください。検出結果は mass_transfer フィールドに全部入っています。
  • 【GMIS機能フラグの欠測ガード】届出率の分母は、karte_pipeline の func_available() で「その県のGMIS機能情報が取り込まれているか」を確認したうえで算出しています(東京都の判定は ok)。未取込の県では func_* が0で埋まっており、素朴に数えると「届出率0.0%」という実在しない事実になるためです。
  • 【他県との比較値について】このページに出てくる他県の数字は、公開済みの各県レポート(Lv1 JSON)をビルド時に読み直したものです(30都道府県ぶん)。閉局件数の比較は集計窓が一致する6県に限っています。書き写した固定値は使っていません。
  • 【閉局の位置の割り当て】廃止届の住所(区市町村名)から割り当てています。東京都の廃止情報 全2,030件が住所で解決でき、未割当は0件です。座標による点内判定と突き合わせると12件(0.6%)で食い違い、うち医療圏をまたぐのは4件でした(いずれも区境・市境のジオコード誤差)。名簿の再取り込みで座標がブロックごとNULLに戻ることがあるため、座標は正本にしていません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(都内608店を除外)。位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(東京都は6,662店すべてに市区町村コードが入っています)。
  • 【薬局0軒の自治体】利島村・新島村・神津島村・御蔵島村・青ヶ島村・小笠原村・檜原村の7自治体は、薬局機能情報提供制度への届出が0軒です。この制度は自己申告のため、「届出が無い」と「薬局が無い」は厳密には同じではありません。また三宅村・八丈町・大島町・奥多摩町・日の出町は薬局が8軒に満たず、1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れます。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。東京都は対象6,662店すべてに申告データがあり、分母は6,662店です。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。東京都は特別区23区を7つの圏域に、多摩地域を5つの圏域に、伊豆・小笠原諸島を「島しょ」にまとめた13圏です。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【徒歩アクセスは未掲載】250mメッシュの徒歩圏カバー率(千葉版で作成)は、東京都のメッシュデータが未投入のため出せません。投入され次第、追加します。

この地図は今後も更新されます。あなたの地域の変化を見逃さないよう、無料会員登録でお知らせを受け取れます。

登録は無料・パスワード不要(メールに確認リンクが届きます)。登録済みの方はログイン

お仕事のご依頼

自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

お問い合わせ →