CrossHealth / 薬局アクセスレポート
歩いて行ける薬局が1軒しかない人は、府内に69万人。
その“1軒”にあたる薬局は、645軒※。
なぜ数えるのか
「ここがなくなると遠くなっちゃって困るのよ」——閉局が心配されている薬局で、患者さんから聞いた声です。米国では、薬局が閉まったあと、残された人の服薬が続かなくなることが報告されています(処方薬を切らさず手元に持っていた日数の割合が、閉局のなかった人と比べて閉局後3か月で約6ポイント低くなり、その差が12か月続いた)。私たちが確かめた範囲では、日本で薬局が閉まったときに、服薬がどれくらい続かなくなるかは、まだ調べられていません。車を使えない人にとって、歩いて行ける1軒は、便利さではなく薬を受け取り続けるための足場です。制度の上でも、健康の相談や自宅への訪問を担う薬局が位置づけられています(健康サポート薬局・地域連携薬局/医薬品医療機器等法 第6条の2第1項第4号・同施行規則 第1条の2第2項第5号)。どこにその1軒があるかを知っておけば、閉まる前に、別の届け方を用意できます。
文・木内翔太
いま(2025年)── 歩いて届くか徒歩10分で届かない人は7.4%。医療圏では1.2%から18.8%まで開く
府全体は東京都(3.3%)に次いで全国で2番目に小さい。開きの両端は大阪市と泉州である。
10%以下10〜20%20〜40%40〜60%60%超
色=徒歩10分では届かない人の割合。医療圏をクリックすると、その圏のページへ進む。
番号=地図の医療圏・%=徒歩10分では届かない人
いま(2025年)── 歩いて行ける唯一の薬局誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局は、645軒(8市区町村を除く)。南河内では3軒に1軒にあたる
徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人は69万人(住民の7.9%・全国13.8%)。その唯一の薬局は府内の薬局の14.3%にあたる(8市区町村を除く。全国は35.2%)。
この数は、徒歩10分という1つの物差しで見た場合です。どの薬局も、在宅の訪問・健康の相談・夜間や休日の対応などで、地域を支えています。
その圏の薬局のうち、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合(色は地図と同じ)。軒数は補足の表に。※印の圏は、町ごとの値を出していない市区町村(薬局が少ないなど、数字が1つの店を指してしまう町)を除いた合計で、割合の分母(その圏の薬局の数)からも除いています:大阪市(大阪市福島区・大阪市住吉区)・豊能(豊能町・能勢町)・南河内(太子町・河南町)・泉州(田尻町・岬町)。
2040年 ── 処方せん2040年の処方せんは、分業率しだいで減りも増えもする
府内の院外処方せんは2025年の5,857万枚から2040年に5,554万枚へ、5.2%減る(8圏すべてで減る)。院外処方率(大阪75.3%・全国80.7%)が中央値81.2%まで上がる圏があると置くと、2.2%増に変わる(8圏のうち7圏が対象)。
では、どうすればよいか誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局が3割を超える市区町村が、14ある
府全体の平均ではなく、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局が3割を超える14市区町村が、計画の中で数える対象になりえます(薬局が10軒以上ある64市区町村のうち)。その市区町村で、備える手立て(承継の相談先・自宅への訪問・オンライン服薬指導と配送)が使える状態にあるかを、確かめておくことができます。
泉南市 82.4%・阪南市 56.5%・堺市美原区 50.0%・堺市南区 48.1%・河内長野市 45.1%・羽曳野市 42.6%・富田林市 42.3%・大阪狭山市 41.4%・交野市 41.4%・和泉市 39.7%・四條畷市 38.1%・泉佐野市 36.8%・熊取町 35.0%・貝塚市 33.3%(その市区町村の薬局のうち、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合)
どちらの薬局名簿(保険薬局名簿・施設基準届出受理医療機関名簿)にも薬局が載っていない村:千早赤阪村(1村・住民 計4,399人)
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市区町村ごとの1枚(A4)
薬局の数と、歩いて届く範囲を、A4の1枚にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま会議やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください(72地域)。
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補足数字の中身と数え方
8つの医療圏の数字(表)
| 医療圏 | 薬局数 | 徒歩10分では 届かない人 | 歩いて行ける 唯一の薬局 | 処方せん 2025→2040 (分業率そのまま) | 同 (分業率の仮定) | 院外 処方率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 大阪市 → | 1,800 | 1.2% | 63軒(3.8%) (2区を除く) | −2.7% | +3.1% | 76.6% |
| 豊能 → | 493 | 5.1% | 58軒(11.9%) (2町を除く) | −0.9% | +3.1% | 78.1% |
| 中河内 → | 372 | 6.5% | 56軒(15.1%) | −8.7% | +0.7% | 73.6% |
| 堺市 → | 428 | 8.1% | 82軒(19.2%) | −7.8% | +3.8% | 72.1% |
| 三島 → | 365 | 8.8% | 69軒(18.9%) | −2.9% | −2.9%※ | 81.8% |
| 北河内 → | 521 | 10.2% | 96軒(18.4%) | −8.6% | ±0.0% | 74.2% |
| 南河内 → | 290 | 18.3% | 96軒(34.4%) (2町を除く) | −12.7% | −1.0% | 71.7% |
| 泉州 → | 418 | 18.8% | 125軒(30.4%) (2町を除く) | −8.0% | +7.0% | 69.8% |
徒歩10分では届かない人の割合が小さい順。「誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局」の割合は、その圏の薬局数に対する割合。処方せんの2列は2040年の推計で、いま(2025年)の数字とは時点が違います。※は院外処方率がすでに全国の中央値(81.2%)以上で、分業率の仮定を当てていない圏です(左の列と同じ値)。
閉局 ── 廃止届と、本当に閉まった薬局
2025年6月から2026年5月までの12か月に、府内で出された薬局の廃止届は364件でした。そのうち257件は承継か移転で、営業は続いています。本当に閉まったのは107軒(府内の薬局の2.28%)です。
期間は、厚生局の名簿がそろっている直近の月から自動で選んでいます。2026年6月は、厚生局の名簿に届出がまだ載り切っていないため数えていません。
大阪府保健医療計画のなかの薬剤師
大阪府保健医療計画(第8次・令和6〜11年度)の本文から、薬剤師・薬局に関する記述を抜き出しました。計画は、薬剤師偏在指標・薬剤師少数区域・薬局の偏在・薬剤師確保策・二次医療圏ごとの薬剤師について書いています。
○全国的な偏在状況を統一的、客観的にとらえるため、厚生労働省より令和4年度時点における一 定の仮定に基づく「薬剤師偏在指標」が示され、目標年次(2036年(令和18年))において 到達すべき薬剤師偏在指標の水準として、「目標偏在指標」が設定されました。
引用は計画本文からそのまま抜き出したものです(要約・言い換えはしていません)。計画の改定により記述は変わります。
機能の届出(厚生局の名簿)
地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」(令和8年7月1日版)に載っている府内の保険薬局は4,666軒です。届出の割合は、地域支援・医薬品供給対応体制加算 88.4%(全国90.8%)、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1・推定)67.2%(全国59.4%)、在宅薬学総合体制加算 52.7%(全国40.9%)、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定)81.7%(全国84.2%)です。県の順位は付けていません(名簿の版や旧い届出名の扱いで入れ替わるため)。「推定」の2項目は、令和8年度改定で届出の名称が変わったため、後継と判断した区分で数えています。届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、提供した量ではありません。分母が名簿の薬局数なので、このページの他の薬局数(4,687軒)とは一致しません。
2045年の薬局の店数を出していない理由
将来の薬局の店数は、閉じる側(廃止届)と開く側(新規指定)の数え方がそろわないため、推計を出していません。そのまま計算すると全国で薬局が2割以上増える結果になり、実態と合わないからです。
限界と数え方・地図の使い方
- 出所:厚生局・GMIS・NDBオープンデータ・社人研の将来推計人口など。検算と不確実性は方法論のページに。
- 言えること:地域単位(府・二次医療圏)で、住民が歩いて薬局に行けるか。
- 言えないこと:個々の薬局の見通し・個店の順位・出店や撤退の判断は扱いません。
- 徒歩分:250mメッシュ(2025年推計人口)ごとに道路網(OSRM)で計算。府外の薬局も歩いて届けば数えます。
- 歩いて行ける薬局が1軒しかない人:徒歩10分以内にある薬局がちょうど1軒の人。その1軒が閉まると、歩いて10分では届かなくなる。
- 薬局の数:厚生局 保険薬局名簿(2026年7月1日現在・近畿厚生局の管内=福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の7府県は6月1日現在)。調剤を行う薬局のみ。
- 人口は2020年国勢調査をもとにした推計(社人研2023年推計)で、2021年以降の人口の動きは反映していません。薬局は2026年6月の名簿です。
- なぜ10分か:国の都市評価は徒歩圏を半径800mとしています。これを不動産広告の換算(道路距離80mで1分)に当てると10分。CrossHealthはこの10分を目安に用いています(国土交通省「都市構造の評価に関するハンドブック(改定版)」令和8年1月 p.16・p.21/不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 第15条第9号)。道路網の徒歩10分は、直線でおよそ600m相当で、800mより狭い範囲です(大阪・茨城・鳥取の72,834メッシュで一致率95.4%)。
- なぜ数えるのか(出典):Qato DM, et al. JAMA Netw Open. 2019;2(4):e192606(米国の閉局と服薬の継続)/医薬品医療機器等法 第6条の2第1項第4号・同施行規則 第1条の2第2項第5号(薬局の役割)。
- 地区の物差し:医師には、国が地区ごとに数える「無医地区」があります。薬局について国が公表しているのは、私たちが確かめた範囲で、町村に1軒も無いかどうか(無薬局町村)までです。
- 誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局:徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人がいて、その人にとってのその1軒。所在地で府内にあるものを数えます(府外の7軒は除外)。
- ※県の「誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局」の数と割合は、数字が特定の店を指すことになる市区町村を除いて数えています(全国の値は除いていません)。
- 処方せん:NDBの医療圏別実績に、年齢ごとの受療率を固定して将来人口を当てた推計。分業率の仮定:院外処方率(処方箋料の算定回数を、処方料と処方箋料の合計で割った値・NDBオープンデータ)が全国の医療圏の中央値(81.2%)より低い圏は、2040年までにその値まで上がるとしました。
- 閉局の数え方:閉局の数を出すのは、厚生局の廃止名簿の号から6か月以上の期間が決まり、その期間の廃止届を集計に使う版で数え直せる(再現率0.85以上)38都道府県です。全国では、2025年4月から2026年6月に出された薬局の廃止届4,175件のうち62.3%が承継か移転でした(47都道府県)。届が集まっている範囲で計算しています。
- 医療圏は国土数値情報A38由来のマスタ(第8次医療計画準拠)。
- 人の割合(歩いて行ける薬局が1軒しかない人・徒歩10分では届かない人)は住民(2025年推計人口)に対する割合、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合は府内の薬局に対する割合です。
- 全国の値(歩いて行ける薬局が1軒しかない人=住民の13.8%・誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局=薬局の35.2%・院外処方率80.7%)は、47都道府県を同じ名簿・同じ物差しで数えた値です(1枚レポートと同じ計算)。全国での位置は、47都道府県を同じ物差し(徒歩10分では届かない人の割合)で比べたものです。
- 地図:府 → 医療圏 → 市区町村の3段階で下りられます。医療圏ページの地図は、まだ以前の物差し(1軒あたり処方せんの圏内での動き)です。
- 市区町村ごとのページの例(大阪市淀川区)
- 病院薬剤師マップ ── この県の病院に、病棟の薬剤師体制はあるか(無料)
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