CrossHealth / 薬局アクセスレポート

歩いて行ける薬局が1軒しかない人は、県内に98万人。
その“1軒”にあたる薬局は、999軒※。

千葉県 9二次医療圏・59市区町村/いま=2025年・将来=2040年/薬局は厚生局 保険薬局名簿(2026年7月1日現在・近畿厚生局の管内=福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の7府県は6月1日現在)/概要版・無料 数字の出どころと数え方 →

21.6%
徒歩10分では薬局に届かない人(全国で9番目に小さい)
98万人
徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人
999軒
誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局(県内の37.8%・10町を除く)
9.3〜65.8%
徒歩10分では届かない人の割合の、医療圏ごとの開き

なぜ数えるのか

「ここがなくなると遠くなっちゃって困るのよ」——閉局が心配されている薬局で、患者さんから聞いた声です。米国では、薬局が閉まったあと、残された人の服薬が続かなくなることが報告されています(処方薬を切らさず手元に持っていた日数の割合が、閉局のなかった人と比べて閉局後3か月で約6ポイント低くなり、その差が12か月続いた)。私たちが確かめた範囲では、日本で薬局が閉まったときに、服薬がどれくらい続かなくなるかは、まだ調べられていません。車を使えない人にとって、歩いて行ける1軒は、便利さではなく薬を受け取り続けるための足場です。制度の上でも、健康の相談や自宅への訪問を担う薬局が位置づけられています(健康サポート薬局・地域連携薬局/医薬品医療機器等法 第6条の2第1項第4号・同施行規則 第1条の2第2項第5号)。どこにその1軒があるかを知っておけば、閉まる前に、別の届け方を用意できます。

文・木内翔太

いま(2025年)── 歩いて届くか徒歩10分で届かない人は21.6%。医療圏では9.3%から65.8%まで開く

県全体は全国で9番目に小さい。開きの両端は東葛南部と香取海匝である。

10%以下10〜20%20〜40%40〜60%60%超
色=徒歩10分では届かない人の割合。医療圏をクリックすると、その圏のページへ進む。

番号=地図の医療圏・%=徒歩10分では届かない人

  1. 1千葉11.6%
  2. 2東葛南部9.3%
  3. 3東葛北部12.4%
  4. 4印旛33.7%
  5. 5香取海匝65.8%
  6. 6山武長生夷隅59.5%
  7. 7安房61.7%
  8. 8君津33.6%
  9. 9市原32.8%

いま(2025年)── 歩いて行ける唯一の薬局誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局は、999軒(10町を除く)。安房では4軒に3軒にあたる

徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人は98万人(住民の15.7%・全国13.8%)。その唯一の薬局は県内の薬局の37.8%にあたる(10町を除く。全国は35.2%)。

この数は、徒歩10分という1つの物差しで見た場合です。どの薬局も、在宅の訪問・健康の相談・夜間や休日の対応などで、地域を支えています。

その圏の薬局のうち、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合(色は地図と同じ)。軒数は補足の表に。※印の圏は、町ごとの値を出していない市区町村(薬局が少ないなど、数字が1つの店を指してしまう町)を除いた合計で、割合の分母(その圏の薬局の数)からも除いています:山武長生夷隅(九十九里町・芝山町・睦沢町・長柄町・長南町・御宿町)・安房(鋸南町)・香取海匝(神崎町・多古町・東庄町)。

2040年 ── 処方せん2040年の処方せんは、分業率が上がると置いても減る

県内の院外処方せんは2025年の3,806万枚から2040年に3,765万枚へ、1.1%減る(9圏のうち7圏で減る)。院外処方率(千葉84.5%・全国80.7%)が中央値81.2%まで上がる圏があると置いても、0.3%減る(9圏のうち2圏が対象)。

では、どうすればよいか薬局が10軒以上ある42市区町村のうち33で、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局が3割を超える

3割を超えるのは一部の市区町村ではなく、大半です。3割で市区町村を選び分けても、対象は絞れません。県内で徒歩10分では薬局に届かない135万人(21.6%)と、徒歩10分以内に薬局が1軒しかない98万人が、計画の中で数える対象になりえます。その人たちに、備える手立て(承継の相談先・自宅への訪問・オンライン服薬指導と配送)が使える状態にあるかを、確かめておくことができます。

3割を超える市区町村:南房総市 93.8%・富津市 88.9%・いすみ市 85.7%・山武市 77.3%・大網白里市 76.2%・鴨川市 75.0%・匝瑳市 73.7%・館山市 66.7%・印西市 61.5%・白井市 60.0%・野田市 59.2%・富里市 59.1%・東金市 58.6%・木更津市 58.4%・袖ケ浦市 57.7%・市原市 53.6%・八街市 51.7%・旭市 51.6%・君津市 51.4%・茂原市 50.0%・千葉市緑区 49.2%・銚子市 48.6%・我孫子市 47.2%・鎌ケ谷市 45.7%・香取市 41.7%・成田市 41.3%・酒々井町 40.0%・四街道市 40.0%・流山市 38.4%・佐倉市 36.0%・千葉市若葉区 32.8%・八千代市 32.2%・千葉市花見川区 31.3%

薬局が9軒以下の17市区町村は、1軒の増減で割合が大きく動くため、3割の数え方には入れていません。

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市区町村ごとの1枚(A4)

薬局の数と、歩いて届く範囲を、A4の1枚にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま会議やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください(59地域)。

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補足数字の中身と数え方

9つの医療圏の数字(表)
医療圏薬局数徒歩10分では
届かない人
歩いて行ける
唯一の薬局
処方せん 2025→2040
(分業率そのまま)
同
(分業率の仮定)
院外
処方率
東葛南部 →6699.3%139軒(20.8%)+3.6%+3.6%※87.6%
千葉 →46911.6%133軒(28.4%)−0.1%−0.1%※83.6%
東葛北部 →55212.4%189軒(34.2%)+2.5%+2.5%※85.4%
市原 →11032.8%59軒(53.6%)−7.8%−7.8%※84.4%
君津 →15833.6%95軒(60.1%)−4.5%−4.5%※86.9%
印旛 →32033.7%150軒(46.9%)−1.8%−1.8%※83.9%
山武長生夷隅 →20559.5%125軒(67.6%)
(6町を除く)
−12.3%−12.3%※86.4%
安房 →6561.7%47軒(75.8%)
(1町を除く)
−17.6%−0.1%67.0%
香取海匝 →13265.8%62軒(51.2%)
(3町を除く)
−16.9%−6.9%72.4%

徒歩10分では届かない人の割合が小さい順。「誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局」の割合は、その圏の薬局数に対する割合。処方せんの2列は2040年の推計で、いま(2025年)の数字とは時点が違います。※は院外処方率がすでに全国の中央値(81.2%)以上で、分業率の仮定を当てていない圏です(左の列と同じ値)。

閉局 ── 廃止届と、本当に閉まった薬局

2025年6月から2026年5月までの12か月に、県内で出された薬局の廃止届は125件でした。そのうち81件は承継か移転で、営業は続いています。本当に閉まったのは44軒(県内の薬局の1.64%)です。

期間は、厚生局の名簿がそろっている直近の月から自動で選んでいます。

千葉県保健医療計画のなかの薬剤師

千葉県保健医療計画(第8次・令和6〜11年度)の本文から、薬剤師・薬局に関する記述を抜き出しました。計画は、薬剤師偏在指標・薬局の偏在・薬剤師確保策・二次医療圏ごとの薬剤師について書いています。薬剤師少数区域については、記述が見あたりません。

〔地域の実情に応じた就業の促進〕 ○ 国から示された薬剤師確保計画ガイドラインを踏まえ、必要な薬剤師の確保を 図るため、関係団体と連携の上、薬剤師の就労状況を把握し、地域の実情に応じ た薬剤師確保の方針、確保策の検討及び実施を進めます。

また、令和5年6月に国から示された薬剤師偏在指標*において目標偏在指 標*を下回っている二次医療圏があるなど、就労する薬剤師の地域間の偏在が みられ、新たな薬剤師の確保が困難な地域があります。

引用は計画本文からそのまま抜き出したものです(要約・言い換えはしていません)。計画の改定により記述は変わります。

機能の届出(厚生局の名簿)

地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」(令和8年7月1日版)に載っている県内の保険薬局は2,674軒です。届出の割合は、地域支援・医薬品供給対応体制加算 90.3%(全国90.8%)、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1・推定)58.4%(全国59.4%)、在宅薬学総合体制加算 41.3%(全国40.9%)、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定)83.6%(全国84.2%)です。県の順位は付けていません(名簿の版や旧い届出名の扱いで入れ替わるため)。「推定」の2項目は、令和8年度改定で届出の名称が変わったため、後継と判断した区分で数えています。届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、提供した量ではありません。分母が名簿の薬局数なので、このページの他の薬局数(2,680軒)とは一致しません。

2045年の薬局の店数を出していない理由

将来の薬局の店数は、閉じる側(廃止届)と開く側(新規指定)の数え方がそろわないため、推計を出していません。そのまま計算すると全国で薬局が2割以上増える結果になり、実態と合わないからです。

限界と数え方・地図の使い方
  • 出所:厚生局・GMIS・NDBオープンデータ・社人研の将来推計人口など。検算と不確実性は方法論のページに。
  • 言えること:地域単位(県・二次医療圏)で、住民が歩いて薬局に行けるか。
  • 言えないこと:個々の薬局の見通し・個店の順位・出店や撤退の判断は扱いません。
  • 徒歩分:250mメッシュ(2025年推計人口)ごとに道路網(OSRM)で計算。県外の薬局も歩いて届けば数えます。
  • 歩いて行ける薬局が1軒しかない人:徒歩10分以内にある薬局がちょうど1軒の人。その1軒が閉まると、歩いて10分では届かなくなる。
  • 薬局の数:厚生局 保険薬局名簿(2026年7月1日現在・近畿厚生局の管内=福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の7府県は6月1日現在)。調剤を行う薬局のみ。
  • 人口は2020年国勢調査をもとにした推計(社人研2023年推計)で、2021年以降の人口の動きは反映していません。薬局は2026年7月の名簿です。
  • なぜ10分か:国の都市評価は徒歩圏を半径800mとしています。これを不動産広告の換算(道路距離80mで1分)に当てると10分。CrossHealthはこの10分を目安に用いています(国土交通省「都市構造の評価に関するハンドブック(改定版)」令和8年1月 p.16・p.21/不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 第15条第9号)。道路網の徒歩10分は、直線でおよそ600m相当で、800mより狭い範囲です(大阪・茨城・鳥取の72,834メッシュで一致率95.4%)。
  • なぜ数えるのか(出典):Qato DM, et al. JAMA Netw Open. 2019;2(4):e192606(米国の閉局と服薬の継続)/医薬品医療機器等法 第6条の2第1項第4号・同施行規則 第1条の2第2項第5号(薬局の役割)。
  • 地区の物差し:医師には、国が地区ごとに数える「無医地区」があります。薬局について国が公表しているのは、私たちが確かめた範囲で、町村に1軒も無いかどうか(無薬局町村)までです。
  • 誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局:徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人がいて、その人にとってのその1軒。所在地で県内にあるものを数えます(県外の5軒は除外)。
  • ※県の「誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局」の数と割合は、数字が特定の店を指すことになる市区町村を除いて数えています(全国の値は除いていません)。
  • 処方せん:NDBの医療圏別実績に、年齢ごとの受療率を固定して将来人口を当てた推計。分業率の仮定:院外処方率(処方箋料の算定回数を、処方料と処方箋料の合計で割った値・NDBオープンデータ)が全国の医療圏の中央値(81.2%)より低い圏は、2040年までにその値まで上がるとしました。
  • 閉局の数え方:閉局の数を出すのは、厚生局の廃止名簿の号から6か月以上の期間が決まり、その期間の廃止届を集計に使う版で数え直せる(再現率0.85以上)38都道府県です。全国では、2025年4月から2026年6月に出された薬局の廃止届4,175件のうち62.3%が承継か移転でした(47都道府県)。届が集まっている範囲で計算しています。
  • 医療圏は国土数値情報A38由来のマスタ(第8次医療計画準拠)。
  • 人の割合(歩いて行ける薬局が1軒しかない人・徒歩10分では届かない人)は住民(2025年推計人口)に対する割合、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合は県内の薬局に対する割合です。
  • 全国の値(歩いて行ける薬局が1軒しかない人=住民の13.8%・誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局=薬局の35.2%・院外処方率80.7%)は、47都道府県を同じ名簿・同じ物差しで数えた値です(1枚レポートと同じ計算)。全国での位置は、47都道府県を同じ物差し(徒歩10分では届かない人の割合)で比べたものです。
  • 地図:県 → 医療圏 → 市区町村の3段階で下りられます。医療圏ページの地図は、まだ以前の物差し(1軒あたり処方せんの圏内での動き)です。