CrossHealth / 薬局持久度レポート

まだ増える県の中に、ひとつだけ減りはじめた場所がある

埼玉県10の二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市区町村まで下りたレポートへ進めます。

対象 埼玉県 10二次医療圏・72市区町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

埼玉県の調剤薬局は3,205軒。高齢化で処方せんの需要は今後20年、県全体では+15.6%増える見通しです。10医療圏のうち9圏で65歳以上人口が増え、うち4圏は2050年になってもまだ増え続けます。減るのは秩父医療圏だけ(-12.9%)。最大の南部(+30.4%)との差は43.3ポイントあります。

10
埼玉県の二次医療圏
3,205
県内の薬局数
56
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-12.9〜+30.4%
処方せん需要の変化レンジ(圏域差)

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが秩父医療圏(-12.9%)、いちばん伸びるのが南部医療圏(+30.4%)。医療圏をクリックすると、その中の市区町村差まで下りられます。

さいたま:薬局624軒/1軒あたり処方せん(→2045) +29.9%さいたま利根:薬局256軒/1軒あたり処方せん(→2045) +0.5%利根北部:薬局254軒/1軒あたり処方せん(→2045) +5.7%北部南西部:薬局287軒/1軒あたり処方せん(→2045) +27.7%南西部南部:薬局331軒/1軒あたり処方せん(→2045) +30.4%南部川越比企:薬局375軒/1軒あたり処方せん(→2045) +6.9%(クリックで詳細)川越比企東部:薬局502軒/1軒あたり処方せん(→2045) +17.3%東部県央:薬局229軒/1軒あたり処方せん(→2045) +11.0%県央秩父:薬局50軒/1軒あたり処方せん(→2045) -12.9%秩父西部:薬局297軒/1軒あたり処方せん(→2045) +8.7%西部
色=薬局1軒あたり処方せんの変化(→2045)
減る(-12.9%)増える(+30.4%)
医療圏そのものの形で塗り分けています。データがまだ整っていない他の医療圏は準備中です。
Requestまだ公開されていない地域も、リクエストできます公開されたら、メールでお知らせします(無料)。 今すぐ必要な方は会員の優先生成へ。

Lv1のこの色は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか)です。医療圏ページ(Lv2)の色は圏内でのシェア移動を示す相対値で、意味が違います。各ページの凡例に従ってお読みください。

人口動態 ── 需要の源県全体は+15.6%。でも秩父だけは、もう減りはじめている

埼玉県全体では、総人口は732万→679万人(-7.1%)と減る一方、65歳以上は204万→235万人(+15.6%)と増えます。高齢化率は27.8%→34.7%へ。東京都に近い側の4医療圏(東部・南西部・さいたま・南部)では、65歳以上人口が2050年になってもまだ増え続けます。いっぽう秩父医療圏だけは65歳以上人口が2025年でピークを迎え、2045年には-12.9%。ここにある薬局は50軒で、県内の1.6%にすぎません。兵庫県では8医療圏のうち4圏がすでにピークを過ぎていました。埼玉県で「人が減って需要も減る」段階に入っているのは、まだ1圏だけです。

総人口65歳以上
0万185万370万555万740万202520302035204020452050663万235万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は右肩下がり、65歳以上は2045年まで増加。

県の文脈 ── 医師がいちばん少ない県医師密度は全国最下位。では薬局も、全国でいちばん薄いのか

埼玉県は人口10万人あたりの医療施設従事医師数が180.2人で、47都道府県のうちもっとも少ない県です(最多の徳島県は335.7人・2022年)。では薬局も同じように薄いのか——を確かめるため、薬局1軒あたりの年間処方せん枚数を全国で並べてみました。埼玉県は13,991枚で47都道府県中10位。多いほうではありますが、最多の沖縄県(18,490枚)には届きません。全国47都道府県で医師密度と1軒あたり処方せんの関係を見ると相関は弱く(相関係数-0.158)、「医師が少ない県では薬局も一様に重い」とは言えませんでした。医師の少なさと、薬局の負荷は、別の問題として見る必要があります。

承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届170件のうち、そのまま消えたのは56件でした

直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に埼玉県で出された薬局の廃止届は170件。ただしこのうち114件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは56軒(薬局3,205軒の1.75%)でした。注目したいのは圏域差です。引き継がれなかった割合は南西部医療圏の15.4%から県央医療圏の63.6%まで開きます。そのまま消えた割合がいちばん高い北部医療圏は、薬局254軒に対して真の閉局11軒(4.33%)で県内最高、引き継がれなかった割合も61.1%と高い水準です。廃止届の件数が少ない圏域が、必ずしも安心とは限りません。ただし1医療圏あたりの件数は10件前後しかなく、この順位は年によって入れ替わります。4年ぶん(2022〜2025年)で計算し直すと、引き継がれなかった割合は南西部40.5%・県央51.0%・北部43.2%となり、直近12ヶ月だけの数字とはかなり違います。単年の圏域差は、幅をもって読んでください。

医療圏別の内訳(廃止届の多い順)。赤=真の閉局、緑=移転・承継。数字は「真の閉局 / 廃止届計」。

さいたま
15 / 46
東部
5 / 20
川越比企
4 / 19
北部
11 / 18
南部
3 / 14
南西部
2 / 13
利根
3 / 12
西部
5 / 12
県央
7 / 11
秩父
1 / 5

4年の推移 ── 埼玉だけで見えること閉じる数は変わっていない。引き継がれる割合が動いている

埼玉県は廃止名簿が2022年から連続してそろうため、暦年で4年ぶんを並べられます(大阪・千葉・兵庫では1年ぶんしか出せません)。真の閉局は58件→57件→60件→51件と、4年ともおおむね同じ水準で、はっきりした増減はありません。動いているのは承継のほうです。移転・承継は75件→60件→86件→88件で、引き継がれなかった割合は43.6%→48.7%→41.1%→36.7%と推移しました。4年という短さと年による振れを考えると、これを傾向と呼ぶには早すぎます。ただ「閉局の総数」だけを見ていると、その裏で担い手の入れ替わりがどれだけ起きているかは見えない、ということは言えます。

機能の届出 ── 兵庫で見えた並びは、埼玉では出ない都市だから厚い、郊外だから薄い、とは限らない

在宅患者訪問薬剤管理指導の届出率を医療圏ごとに並べると、秩父の20.0%から西部の57.9%まで開きます。兵庫県ではこの順番が処方せん需要の伸びの順番と8医療圏すべてで一致し、「需要が減る地域ほど届出が薄い」という並びが見えていました。埼玉県の10医療圏では一致は1圏だけで、同じ並びは再現しません。実際、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が県内最高なのは県都のさいたま医療圏(62.7%)ではなく川越比企医療圏(74.1%)です。3指標がそろって県内最低なのは秩父医療圏だけで、かかりつけ54.0%・地域連携薬局24.0%・在宅20.0%。ただしこの圏の薬局は50軒で、1店の届出で2ポイント動く分母です。届出は自己申告で、届出=実際の提供ではありません。

在宅患者訪問薬剤管理指導の届出率(医療圏別・低い順)。

秩父
20.0%
北部
39.8%
南部
48.6%
県央
48.9%
利根
50.0%
東部
51.0%
さいたま
51.4%
川越比企
52.8%
南西部
53.3%
西部
57.9%

ランキング ── 圏域差処方せんが増える医療圏・減る医療圏

秩父(-12.9%)から南部(+30.4%)まで。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。現在の1軒あたり処方せんは秩父の11,181枚から西部の15,331枚まで1.37倍の開きで、「いま薄い地域が、これからさらに薄くなる」とは限らない点に注意してください。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は現在再学習中です(下の注記)。

秩父
-12.9%
利根
+0.5%
北部
+5.7%
川越比企
+6.9%
西部
+8.7%
県央
+11.0%
東部
+17.3%
南西部
+27.7%
さいたま
+29.9%
南部
+30.4%
地域(医療圏)いまの
薬局数
1軒あたり処方せん
2025→2050(枚/年)
変化
さいたま62414,476 18,805+29.9%
東部50214,285 16,761+17.3%
川越比企 →37513,304 14,216+6.9%
南部33113,679 17,837+30.4%
西部29715,331 16,662+8.7%
南西部28714,771 18,868+27.7%
利根25613,641 13,709+0.5%
北部25412,289 12,986+5.7%
県央22913,778 15,300+11.0%
秩父5011,181 9,743-12.9%

※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)の集計で、移転・承継を除いています。個店のランキングは作りません。

いま出していない数字供給の将来推計は、再学習中です

このページでは、2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類を外しています。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、そのモデルは近畿地方のデータで学習したもので埼玉県を含んでおらず、さらに閉局の数え方を「移転・承継を除いた本当の閉局」に改めたことで、関東を含めて学習しなおす必要が生じました。できあがり次第このページに戻します。それまでは、確定している需要側の数字(将来推計人口とNDB処方せん実績)と、現在の供給の事実(薬局数・閉局)だけでお伝えします。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選びました。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 埼玉県(このページ・Lv1)=10の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 二次医療圏(Lv2)=圏内の市区町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市区町村(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類はこのページから外しています。供給の統計モデルが近畿地方のデータで学習されており埼玉県を含まないこと、閉局の定義を変更したことの2点により、再学習が必要なためです。再学習が済み次第、戻します。
  • 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・県全体で年間44,840,857枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。
  • 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は、もっとも新しい完全な12ヶ月(2025年5月〜2026年4月(12ヶ月))です。この期間の廃止届は170件で、うち114件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだと読めます。そのまま消えたのは56件です。埼玉県は暦年2025も完全にそろっており、その値は51件(廃止届139件)で、大阪府(暦年2025・78件)千葉県(同・42件)と直接比べられます。兵庫県の暦年値は名簿の収録開始が遅く実質8ヶ月ぶんなので、比較には使えません。
  • 【4年ぶんの推移】埼玉県は名簿が2022年から連続してそろうため、暦年2022〜2025の4年を並べられます。真の閉局は58・57・60・51件、移転・承継は75・60・86・88件でした。4年は傾向を語るには短く、年による振れも大きいため、増減の断定はしていません。
  • 【単年の圏域差は振れます】直近12ヶ月で見た「引き継がれなかった割合」は南西部医療圏の15.4%から県央医療圏の63.6%まで開きますが、1医療圏あたりの廃止届は10件前後しかありません。暦年4年ぶんで計算し直すと順位も水準も入れ替わります(各圏の4年値は true_share_pct_cal4y、年別内訳は clo_multiyear に入れてあります)。単年の圏域ランキングを固定的な性質として読まないでください。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(県内594店を除外)。位置は届出上の市区町村コード(埼玉県は全3,205店に登録があります)で割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。埼玉県は全3,205店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【医師密度との比較】人口10万人あたり医療施設従事医師数は厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計(令和4年)」の都道府県値です。二次医療圏別の値ではないため、圏域ごとの比較には使っていません。埼玉県の180.2人は47都道府県中で最少ですが、薬局1軒あたり処方せんの全国順位は10位で、両者は一致しません。
  • 【薬局が1軒も無い自治体】埼玉県では東秩父村(川越比企医療圏)に薬局がありません。1軒あたりの指標は計算できないため、表では空欄になります。
  • 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。埼玉県は10圏です。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。

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