CrossHealth / 薬局アクセスレポート

歩いて行ける薬局が1軒しかない人は、県内に96万人。
その“1軒”にあたる薬局は、939軒※。

埼玉県 10二次医療圏・72市区町村/いま=2025年・将来=2040年/薬局は厚生局 保険薬局名簿(2026年7月1日現在・近畿厚生局の管内=福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の7府県は6月1日現在)/概要版・無料 数字の出どころと数え方 →

15.6%
徒歩10分では薬局に届かない人(全国で4番目に小さい)
96万人
徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人
939軒
誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局(県内の29.8%・13市区町村を除く)
5.7〜53.6%
徒歩10分では届かない人の割合の、医療圏ごとの開き

なぜ数えるのか

「ここがなくなると遠くなっちゃって困るのよ」——閉局が心配されている薬局で、患者さんから聞いた声です。米国では、薬局が閉まったあと、残された人の服薬が続かなくなることが報告されています(処方薬を切らさず手元に持っていた日数の割合が、閉局のなかった人と比べて閉局後3か月で約6ポイント低くなり、その差が12か月続いた)。私たちが確かめた範囲では、日本で薬局が閉まったときに、服薬がどれくらい続かなくなるかは、まだ調べられていません。車を使えない人にとって、歩いて行ける1軒は、便利さではなく薬を受け取り続けるための足場です。制度の上でも、健康の相談や自宅への訪問を担う薬局が位置づけられています(健康サポート薬局・地域連携薬局/医薬品医療機器等法 第6条の2第1項第4号・同施行規則 第1条の2第2項第5号)。どこにその1軒があるかを知っておけば、閉まる前に、別の届け方を用意できます。

文・木内翔太

いま(2025年)── 歩いて届くか徒歩10分で届かない人は15.6%。医療圏では5.7%から53.6%まで開く

県全体は全国で4番目に小さい。開きの両端は南部と秩父である。

10%以下10〜20%20〜40%40〜60%60%超
色=徒歩10分では届かない人の割合。医療圏をクリックすると、その圏のページへ進む。

番号=地図の医療圏・%=徒歩10分では届かない人

  1. 1南部5.7%
  2. 2南西部7.9%
  3. 3東部9.9%
  4. 4さいたま7.2%
  5. 5県央14.0%
  6. 6川越比企23.2%
  7. 7西部20.0%
  8. 8利根32.6%
  9. 9北部35.7%
  10. 10秩父53.6%

いま(2025年)── 歩いて行ける唯一の薬局誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局は、939軒(13市区町村を除く)。利根では56.5%にあたる

徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人は96万人(住民の13.1%・全国13.8%)。その唯一の薬局は県内の薬局の29.8%にあたる(13市区町村を除く。全国は35.2%)。

この数は、徒歩10分という1つの物差しで見た場合です。どの薬局も、在宅の訪問・健康の相談・夜間や休日の対応などで、地域を支えています。

その圏の薬局のうち、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合(色は地図と同じ)。軒数は補足の表に。※印の圏は、町ごとの値を出していない市区町村(薬局が少ないなど、数字が1つの店を指してしまう町)を除いた合計で、割合の分母(その圏の薬局の数)からも除いています:さいたま(さいたま市中央区)・東部(松伏町)・川越比企(越生町・滑川町・嵐山町・吉見町・鳩山町・ときがわ町)・北部(神川町)・秩父(横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町)。

2040年 ── 処方せん2040年の処方せんは、分業率が上がると置いても減る

県内の院外処方せんは2025年の4,524万枚から2040年に4,488万枚へ、0.8%減る(10圏のうち7圏で減る)。院外処方率(埼玉84.2%・全国80.7%)が中央値81.2%まで上がる圏があると置いても、0.2%減る(10圏のうち4圏が対象)。

では、どうすればよいか薬局が10軒以上ある57市区町村のうち32で、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局が3割を超える

3割を超えるのは一部の市区町村ではなく、大半です。3割で市区町村を選び分けても、対象は絞れません。どちらの薬局名簿にも薬局が載っていない1村(住民 計2,379人)と、徒歩10分では薬局に届かない114万人(15.6%)が、計画の中で数える対象になりえます。その地域で、備える手立て(承継の相談先・自宅への訪問・オンライン服薬指導と配送)が使える状態にあるかを、確かめておくことができます。

3割を超える市区町村:上里町 100.0%・日高市 84.2%・杉戸町 76.9%・寄居町 69.2%・宮代町 66.7%・加須市 65.9%・小川町 60.0%・鴻巣市 60.0%・白岡市 58.8%・羽生市 54.5%・久喜市 53.6%・東松山市 51.9%・蓮田市 51.7%・さいたま市西区 51.4%・幸手市 50.0%・深谷市 49.4%・行田市 48.5%・八潮市 48.0%・秩父市 47.1%・飯能市 46.4%・熊谷市 46.3%・吉川市 45.5%・狭山市 44.1%・三芳町 42.9%・入間市 42.6%・伊奈町 42.3%・本庄市 40.4%・三郷市 36.2%・さいたま市岩槻区 36.0%・桶川市 34.8%・北本市 33.3%・川越市 32.7%

薬局が9軒以下の15町村は、1軒の増減で割合が大きく動くため、3割の数え方には入れていません。

どちらの薬局名簿(保険薬局名簿・施設基準届出受理医療機関名簿)にも薬局が載っていない村:東秩父村(1村・住民 計2,379人)

無料レポート

市区町村ごとの1枚(A4)

薬局の数と、歩いて届く範囲を、A4の1枚にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま会議やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください(72地域)。

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補足数字の中身と数え方

10の医療圏の数字(表)
医療圏薬局数徒歩10分では
届かない人
歩いて行ける
唯一の薬局
処方せん 2025→2040
(分業率そのまま)
同
(分業率の仮定)
院外
処方率
南部 →3395.7%47軒(13.9%)+5.0%+5.0%※84.2%
さいたま →6347.2%95軒(16.6%)
(1区を除く)
+5.1%+5.1%※85.4%
南西部 →3017.9%64軒(21.3%)+3.3%+3.3%※91.1%
東部 →5139.9%128軒(25.3%)
(1町を除く)
−0.8%−0.8%※86.5%
県央 →22814.0%80軒(35.1%)−4.1%−4.1%81.1%
西部 →30520.0%106軒(34.8%)−4.7%−4.7%※85.3%
川越比企 →37523.2%128軒(36.7%)
(6町を除く)
−4.6%−4.6%※84.0%
利根 →26032.6%147軒(56.5%)−8.2%−4.0%77.7%
北部 →25435.7%128軒(51.2%)
(1町を除く)
−6.1%−4.6%79.9%
秩父 →4853.6%16軒(47.1%)
(4町を除く)
−17.4%−3.8%69.8%

徒歩10分では届かない人の割合が小さい順。「誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局」の割合は、その圏の薬局数に対する割合。処方せんの2列は2040年の推計で、いま(2025年)の数字とは時点が違います。※は院外処方率がすでに全国の中央値(81.2%)以上で、分業率の仮定を当てていない圏です(左の列と同じ値)。

閉局 ── 廃止届と、本当に閉まった薬局

2025年6月から2026年5月までの12か月に、県内で出された薬局の廃止届は168件でした。そのうち108件は承継か移転で、営業は続いています。本当に閉まったのは60軒(県内の薬局の1.84%)です。

期間は、厚生局の名簿がそろっている直近の月から自動で選んでいます。

埼玉県保健医療計画のなかの薬剤師

埼玉県保健医療計画(第8次・令和6〜11年度)の本文から、薬剤師・薬局に関する記述を抜き出しました。国が定める偏在指標や少数区域といった区分は、この計画には出てきません。

本文中の表や段組みが崩れて読めない箇所は、引用として掲載していません。計画の改定により記述は変わります。

機能の届出(厚生局の名簿)

地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」(令和8年7月1日版)に載っている県内の保険薬局は3,247軒です。届出の割合は、地域支援・医薬品供給対応体制加算 88.9%(全国90.8%)、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1・推定)57.8%(全国59.4%)、在宅薬学総合体制加算 39.3%(全国40.9%)、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定)85.2%(全国84.2%)です。県の順位は付けていません(名簿の版や旧い届出名の扱いで入れ替わるため)。「推定」の2項目は、令和8年度改定で届出の名称が変わったため、後継と判断した区分で数えています。届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、提供した量ではありません。分母が名簿の薬局数なので、このページの他の薬局数(3,257軒)とは一致しません。

2045年の薬局の店数を出していない理由

将来の薬局の店数は、閉じる側(廃止届)と開く側(新規指定)の数え方がそろわないため、推計を出していません。そのまま計算すると全国で薬局が2割以上増える結果になり、実態と合わないからです。

限界と数え方・地図の使い方
  • 出所:厚生局・GMIS・NDBオープンデータ・社人研の将来推計人口など。検算と不確実性は方法論のページに。
  • 言えること:地域単位(県・二次医療圏)で、住民が歩いて薬局に行けるか。
  • 言えないこと:個々の薬局の見通し・個店の順位・出店や撤退の判断は扱いません。
  • 徒歩分:250mメッシュ(2025年推計人口)ごとに道路網(OSRM)で計算。県外の薬局も歩いて届けば数えます。
  • 歩いて行ける薬局が1軒しかない人:徒歩10分以内にある薬局がちょうど1軒の人。その1軒が閉まると、歩いて10分では届かなくなる。
  • 薬局の数:厚生局 保険薬局名簿(2026年7月1日現在・近畿厚生局の管内=福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の7府県は6月1日現在)。調剤を行う薬局のみ。
  • 人口は2020年国勢調査をもとにした推計(社人研2023年推計)で、2021年以降の人口の動きは反映していません。薬局は2026年7月の名簿です。
  • なぜ10分か:国の都市評価は徒歩圏を半径800mとしています。これを不動産広告の換算(道路距離80mで1分)に当てると10分。CrossHealthはこの10分を目安に用いています(国土交通省「都市構造の評価に関するハンドブック(改定版)」令和8年1月 p.16・p.21/不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 第15条第9号)。道路網の徒歩10分は、直線でおよそ600m相当で、800mより狭い範囲です(大阪・茨城・鳥取の72,834メッシュで一致率95.4%)。
  • なぜ数えるのか(出典):Qato DM, et al. JAMA Netw Open. 2019;2(4):e192606(米国の閉局と服薬の継続)/医薬品医療機器等法 第6条の2第1項第4号・同施行規則 第1条の2第2項第5号(薬局の役割)。
  • 地区の物差し:医師には、国が地区ごとに数える「無医地区」があります。薬局について国が公表しているのは、私たちが確かめた範囲で、町村に1軒も無いかどうか(無薬局町村)までです。
  • 誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局:徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人がいて、その人にとってのその1軒。所在地で県内にあるものを数えます(県外の23軒は除外)。
  • ※県の「誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局」の数と割合は、数字が特定の店を指すことになる市区町村を除いて数えています(全国の値は除いていません)。
  • 処方せん:NDBの医療圏別実績に、年齢ごとの受療率を固定して将来人口を当てた推計。分業率の仮定:院外処方率(処方箋料の算定回数を、処方料と処方箋料の合計で割った値・NDBオープンデータ)が全国の医療圏の中央値(81.2%)より低い圏は、2040年までにその値まで上がるとしました。
  • 閉局の数え方:閉局の数を出すのは、厚生局の廃止名簿の号から6か月以上の期間が決まり、その期間の廃止届を集計に使う版で数え直せる(再現率0.85以上)38都道府県です。全国では、2025年4月から2026年6月に出された薬局の廃止届4,175件のうち62.3%が承継か移転でした(47都道府県)。届が集まっている範囲で計算しています。
  • 医療圏は国土数値情報A38由来のマスタ(第8次医療計画準拠)。
  • 人の割合(歩いて行ける薬局が1軒しかない人・徒歩10分では届かない人)は住民(2025年推計人口)に対する割合、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合は県内の薬局に対する割合です。
  • 全国の値(歩いて行ける薬局が1軒しかない人=住民の13.8%・誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局=薬局の35.2%・院外処方率80.7%)は、47都道府県を同じ名簿・同じ物差しで数えた値です(1枚レポートと同じ計算)。全国での位置は、47都道府県を同じ物差し(徒歩10分では届かない人の割合)で比べたものです。
  • 地図:県 → 医療圏 → 市区町村の3段階で下りられます。医療圏ページの地図は、まだ以前の物差し(1軒あたり処方せんの圏内での動き)です。