CrossHealth / 薬局持久度レポート

まだ需要が増える県。ただし、県内には25年の時間差がある

滋賀県7つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町まで下りたレポートへ進めます。

対象 滋賀県 7二次医療圏・19市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

滋賀県の調剤薬局は719軒。高齢化で処方せんの需要は今後20年、県全体で+16.5%増える見通しです。これは同じ手法で先に出した大阪府(+11.1%)や兵庫県(+8.5%)より大きい伸びです。ただし医療圏に割ると-10.2%(湖西)から+34.5%(湖南)まで44.7ポイント開きます。県の平均が高いことと、県内が一様であることは、別の話です。

7
滋賀県の二次医療圏
719
県内の薬局数
12
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-10.2〜+34.5%
処方せん需要の変化レンジ(圏域差)

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが湖西医療圏(-10.2%)、いちばん伸びるのが湖南医療圏(+34.5%)。伸びる側(湖南・大津)は琵琶湖の南、縮む側の湖西は西岸です。医療圏をクリックすると、その中の市町差まで下りられます。

大津:薬局167軒/1軒あたり処方せん(→2045) +22.7%(クリックで詳細)大津東近江:薬局119軒/1軒あたり処方せん(→2045) +7.6%(クリックで詳細)東近江湖北:薬局83軒/1軒あたり処方せん(→2045) +1.8%(クリックで詳細)湖北湖南:薬局184軒/1軒あたり処方せん(→2045) +34.5%(クリックで詳細)湖南湖東:薬局73軒/1軒あたり処方せん(→2045) +17.1%(クリックで詳細)湖東湖西:薬局26軒/1軒あたり処方せん(→2045) -10.2%(クリックで詳細)湖西甲賀:薬局67軒/1軒あたり処方せん(→2045) +6.4%(クリックで詳細)甲賀
色=薬局1軒あたり処方せんの変化(→2045)
減る(-10.2%)増える(+34.5%)
医療圏そのものの形で塗り分けています。地図の医療圏をクリックすると、その圏のページへ移動します。

この県の二次医療圏一覧(7圏)

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Lv1のこの色は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか)です。医療圏ページ(Lv2)の色は圏内でのシェア移動を示す相対値で、意味が違います。各ページの凡例に従ってお読みください。

人口動態 ── 需要の源7つの医療圏のうち、もう増えないのは1つだけ

滋賀県全体では、総人口は140万→127万人(-9.4%)と減る一方、65歳以上は39万→45万人(+16.5%)と増えます。高齢化率は27.6%→35.5%へ。65歳以上人口がすでに2025年でピークを打っている医療圏は湖西の1圏(薬局26軒・県内の3.6%)だけです。兵庫県は8圏中4圏、千葉県は9圏中3圏がすでにピーク済みでしたから、滋賀県は「まだ波が来ていない」側にいます。逆に湖南医療圏は2050年になっても65歳以上が増え続ける推計で、県内で最も遅い局面にいます。同じ県の中に、25年ぶんの時間差があります。

総人口65歳以上
0万35万70万105万140万202520302035204020452050122万45万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は右肩下がり、65歳以上は2045年まで増加。

承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届26件のうち、そのまま消えたのは13件でした

直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に滋賀県で出された薬局の廃止届は26件。ただしこのうち13件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは13軒(薬局719軒の1.81%)、引き継がれなかった割合は県計50.0%でした。ここでひとつ、正直に書いておきます。この13件を7つの医療圏に割ると、1圏あたり0〜3件にしかなりません。廃止届が5件に満たない医療圏が5圏あり、そこでは1件の増減で「引き継がれなかった割合」が数十ポイント動きます。ですから滋賀県では、閉局・承継は県全体の数字としてだけお読みください。圏ごとの閉局率の順位づけは、この件数では意味を持ちません。

機能の届出 ── 増える県なのに、薄い需要は近畿でいちばん伸びる。届出はいちばん薄い

かかりつけ薬剤師指導料の届出率は県全体で65.7%。同じ集計をした大阪府(77.2%)・兵庫県(75.3%)より約10ポイント低く、地域連携薬局は41.3%(兵庫54.5%)、在宅患者訪問薬剤管理指導は50.4%(兵庫62.8%)と、3指標そろって近畿の先行2府県を下回ります。需要がいちばん伸びる県で、機能の届出はいちばん薄い、という並びです。さらに、兵庫県では「需要が減る医療圏ほど在宅の届出率が低い」という順位が8圏すべてで一致していましたが、滋賀県ではこの関係は成り立ちません(需要の伸び順と在宅届出率の順が一致したのは0/7圏)。実際、県内で需要がいちばん減る湖西医療圏のかかりつけ届出率は70.8%で、これが県内最高です。最低は湖北医療圏の60.3%でした。「人口が減る地域ほど機能が薄い」は、県をまたぐ法則ではありません。届出は自己申告で、届出=実際の提供でもありません。

ランキング ── 圏域差処方せんが増える医療圏・減る医療圏

湖西(-10.2%)から湖南(+34.5%)まで。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。いっぽう現在の1軒あたり処方せんは湖西の10,368枚から大津の12,575枚まで1.21倍しか開いておらず、兵庫県の1.38倍より均質です。いま薄いから将来も薄い、という単純な話ではない点に注意してください。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計(2045年の店数)はいまも掲載していません(下の注記)。

湖西
-10.2%
湖北
+1.8%
甲賀
+6.4%
東近江
+7.6%
湖東
+17.1%
大津
+22.7%
湖南
+34.5%

くわしい数字7医療圏データ一覧

地域(医療圏)薬局1軒あたり処方せん
2025 → 2045(枚/年)
変化
湖南18412,091 16,268+34.5%
大津16712,575 15,434+22.7%
東近江11911,497 12,365+7.6%
湖北8310,450 10,638+1.8%
湖東7311,725 13,732+17.1%
甲賀6711,530 12,269+6.4%
湖西2610,368 9,314-10.2%

※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)の集計で、移転・承継を除いています。圏ごとの閉局は件数が少ないため、率の比較には使えません。個店のランキングは作りません。

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのか都市型2圏・郊外型5圏に分かれます

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。滋賀県の7の二次医療圏を分けると、都市型が2圏・郊外型が5圏です。競争側の比率は圏によって0.08〜0.71まで開きます(0.5以上なら都市型)。同じ県のなかでも、減り方の筋道は一様ではありません。このうち3圏は、社人研の推計で20年に15%を超えて人口が減る側に入ります。県全体の総人口は2025→2045で-9.4%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。名簿の欠号が20%あります。閉局の件数は下限値(実際はこれ以上)として扱ってください。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は94.2%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。滋賀県でこの名簿に載っている保険薬局は675軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 636軒=94.2%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 443軒=65.6%、在宅薬学総合体制加算 272軒=40.3%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 595軒=88.1%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回65.6%/これまで65.7%(差-0.1ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回94.2%/これまで41.3%(差+52.9ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回40.3%/これまで50.4%(差-10.1ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。同月版でそろえた全国比較では、地域支援・医薬品供給対応体制加算は94.2%で全国47都道府県中9位、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は65.6%で全国47都道府県中7位、在宅薬学総合体制加算は40.3%で全国47都道府県中16位、電子的調剤情報連携体制整備加算は88.1%で全国47都道府県中7位です。順位は名簿の数え方がそろっている範囲での並びで、地域の医療の良し悪しを表すものではありません。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

いま出していない数字いま出していないのは、2045年の薬局店数の推計だけです

このページでは、次の数字をまだ出していません。(1)2045年の薬局店数 2045年に薬局が何軒になるかという推計です。供給動学モデルは47都道府県のフル学習に更新され、「どの筋道で閉じるか」の係数は検算に通りました。しかし店数の水準を出すには、閉じる側と開く側の数え方がそろっている必要があります。実際に20年ぶん回すと全国で+25.4%(薬局が2割以上増える)、薬局の少ない医療圏では最大+913%という結果になりました。原因は2つで、ひとつは新規指定の名簿がほぼ完全に取れるのに対して廃止届のほうに取りこぼしが残ること(モデルの純増+1074軒/年に対し名簿の実測は+387軒/年)、もうひとつは薬局の少ない医療圏で開局数が全国平均側に引っ張られること(20軒未満の圏では推定2.5軒/年に対し実測0.33軒/年)です。 解禁の条件は、廃止届の取りこぼしをなくすこと(東海北陸のOCR再収穫・名簿の多年化)と、小さい医療圏で開局数が平均へ引っ張られないようにモデルを直すことです。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選んでいます。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 滋賀県(このページ・Lv1)=7つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 二次医療圏(Lv2)=圏内の市町で「同じ圏域の中の差」を見る。ただし湖西・大津医療圏は1市だけで構成されるため、下りる階層がありません。
  • 市町(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
  • 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・県全体で年間8,458,210枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。
  • 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。滋賀県の名簿は2025年7月号からの収録のため、暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)を集計期間としました(兵庫県と同じ窓です)。この期間の廃止届は26件で、うち13件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだと読めます。そのまま消えたのは13件です。大阪府(暦年2025・78件)や千葉県(暦年2025・42件)と件数を直接並べるときは、集計期間が違う点にご注意ください。
  • 【閉局は県計でのみ読んでください】12ヶ月窓の真の閉局13件を7医療圏に割ると1圏あたり0〜3件で、廃止届が5件に満たない医療圏が5圏(湖西・湖北・甲賀・湖東・大津)あります。圏別の真の閉局率・承継されなかった割合はJSONには入れていますが、1件の増減で大きく振れるため、圏どうしの順位づけには使えません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(県内128店を除外)。位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(滋賀県は719店すべてに市区町村コードがあり、座標による補完は不要でした)。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある683店を分母にしています(県内全719店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。医療圏によっては分母が小さく(最小は24店)、数ポイントの差は誤差の範囲です。
  • 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。滋賀県は大津・湖南・甲賀・東近江・湖東・湖北・湖西の7圏です。なお「湖南医療圏」は草津市・守山市・栗東市・野洲市を指し、「湖南市」は甲賀医療圏に属します。名前が似ていますが別の単位です。
  • 【1市だけの医療圏】湖西・大津医療圏は構成市町が1つ(湖西・大津=それぞれ大津市・高島市)のため、圏内の市町比較(Lv2)ができません。県内7圏のうち2圏がこれに当たります。
  • 【徒歩アクセスは今回のレポートには入れていません】250mメッシュの人口基盤(mesh_backbone_250m)には滋賀県分12,724セルが投入済みで、千葉県版で出した「徒歩10分以内カバー率」は技術的には算出できます。ただし本レポートは県(Lv1)と二次医療圏(Lv2)の粒度で、徒歩アクセスは市区町村(Lv3)の指標のため、今回は含めていません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【ジオコードのフォールバック点】薬局5店の座標が滋賀県庁に落ちています(ジオコードのフォールバック)。届出の市町村コードは正しいので集計には影響しませんが、市町村・医療圏の重心からは外しています。

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