CrossHealth / 薬局持久度レポート
まだ需要が増える県。ただし、県内には25年の時間差がある
滋賀県7つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町まで下りたレポートへ進めます。
滋賀県の調剤薬局は719軒。高齢化で処方せんの需要は今後20年、県全体で+16.5%増える見通しです。これは同じ手法で先に出した大阪府(+11.1%)や兵庫県(+8.5%)より大きい伸びです。ただし医療圏に割ると-10.2%(湖西)から+34.5%(湖南)まで44.7ポイント開きます。県の平均が高いことと、県内が一様であることは、別の話です。
地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが湖西医療圏(-10.2%)、いちばん伸びるのが湖南医療圏(+34.5%)。伸びる側(湖南・大津)は琵琶湖の南、縮む側の湖西は西岸です。医療圏をクリックすると、その中の市町差まで下りられます。
人口動態 ── 需要の源7つの医療圏のうち、もう増えないのは1つだけ
滋賀県全体では、総人口は140万→127万人(-9.4%)と減る一方、65歳以上は39万→45万人(+16.5%)と増えます。高齢化率は27.6%→35.5%へ。65歳以上人口がすでに2025年でピークを打っている医療圏は湖西の1圏(薬局26軒・県内の3.6%)だけです。兵庫県は8圏中4圏、千葉県は9圏中3圏がすでにピーク済みでしたから、滋賀県は「まだ波が来ていない」側にいます。逆に湖南医療圏は2050年になっても65歳以上が増え続ける推計で、県内で最も遅い局面にいます。同じ県の中に、25年ぶんの時間差があります。
承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届25件のうち、そのまま消えたのは12件でした
直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に滋賀県で出された薬局の廃止届は25件。ただしこのうち13件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは12軒(薬局719軒の1.67%)、引き継がれなかった割合は県計48.0%でした。ここでひとつ、正直に書いておきます。この12件を7つの医療圏に割ると、1圏あたり0〜3件にしかなりません。廃止届が5件に満たない医療圏が5圏あり、そこでは1件の増減で「引き継がれなかった割合」が数十ポイント動きます。ですから滋賀県では、閉局・承継は県全体の数字としてだけお読みください。圏ごとの閉局率の順位づけは、この件数では意味を持ちません。
機能の届出 ── 増える県なのに、薄い需要は近畿でいちばん伸びる。届出はいちばん薄い
かかりつけ薬剤師指導料の届出率は県全体で65.7%。同じ集計をした大阪府(77.2%)・兵庫県(75.3%)より約10ポイント低く、地域連携薬局は41.3%(兵庫54.5%)、在宅患者訪問薬剤管理指導は50.4%(兵庫62.8%)と、3指標そろって近畿の先行2府県を下回ります。需要がいちばん伸びる県で、機能の届出はいちばん薄い、という並びです。さらに、兵庫県では「需要が減る医療圏ほど在宅の届出率が低い」という順位が8圏すべてで一致していましたが、滋賀県ではこの関係は成り立ちません(需要の伸び順と在宅届出率の順が一致したのは0/7圏)。実際、県内で需要がいちばん減る湖西医療圏のかかりつけ届出率は70.8%で、これが県内最高です。最低は湖北医療圏の60.3%でした。「人口が減る地域ほど機能が薄い」は、県をまたぐ法則ではありません。届出は自己申告で、届出=実際の提供でもありません。
ランキング ── 圏域差処方せんが増える医療圏・減る医療圏
湖西(-10.2%)から湖南(+34.5%)まで。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。いっぽう現在の1軒あたり処方せんは湖西の10,368枚から大津の12,575枚まで1.21倍しか開いておらず、兵庫県の1.38倍より均質です。いま薄いから将来も薄い、という単純な話ではない点に注意してください。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は現在再学習中です(下の注記)。
くわしい数字7医療圏データ一覧
| 地域(医療圏) | 薬局 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045(枚/年) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 湖南 | 184 | 12,091 → 16,268 | +34.5% |
| 大津 | 167 | 12,575 → 15,434 | +22.7% |
| 東近江 | 119 | 11,497 → 12,365 | +7.6% |
| 湖北 | 83 | 10,450 → 10,638 | +1.8% |
| 湖東 | 73 | 11,725 → 13,732 | +17.1% |
| 甲賀 | 67 | 11,530 → 12,269 | +6.4% |
| 湖西 | 26 | 10,368 → 9,314 | -10.2% |
※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)の集計で、移転・承継を除いています。圏ごとの閉局は件数が少ないため、率の比較には使えません。個店のランキングは作りません。
いま出していない数字供給の将来推計は、再学習中です
このページでは、2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類を外しています。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、閉局の数え方を「移転・承継を除いた本当の閉局」に改めたこと、医療圏の対応表を国土数値情報由来のマスタに統一したことの2点により、モデルを学習しなおす必要が生じました。できあがり次第このページに戻します。それまでは、確定している需要側の数字(将来推計人口とNDB処方せん実績)と、現在の供給の事実(薬局数・直近12ヶ月の閉局)だけでお伝えします。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選びました。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 滋賀県(このページ・Lv1)=7つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 二次医療圏(Lv2)=圏内の市町で「同じ圏域の中の差」を見る。ただし湖西・大津医療圏は1市だけで構成されるため、下りる階層がありません。
- 市町(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類はこのページから外しています。閉局の定義変更(移転・承継を除外)により、供給の統計モデルを再学習する必要が生じたためです。再学習が済み次第、戻します。
- 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・県全体で年間8,458,210枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。
- 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。滋賀県の名簿は2025年7月号からの収録のため、暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)を集計期間としました(兵庫県と同じ窓です)。この期間の廃止届は25件で、うち13件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだと読めます。そのまま消えたのは12件です。大阪府(暦年2025・78件)や千葉県(暦年2025・42件)と件数を直接並べるときは、集計期間が違う点にご注意ください。
- 【閉局は県計でのみ読んでください】12ヶ月窓の真の閉局12件を7医療圏に割ると1圏あたり0〜3件で、廃止届が5件に満たない医療圏が5圏(湖西・湖北・甲賀・湖東・大津)あります。圏別の真の閉局率・承継されなかった割合はJSONには入れていますが、1件の増減で大きく振れるため、圏どうしの順位づけには使えません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(県内128店を除外)。位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(滋賀県は719店すべてに市区町村コードがあり、座標による補完は不要でした)。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある683店を分母にしています(県内全719店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。医療圏によっては分母が小さく(最小は24店)、数ポイントの差は誤差の範囲です。
- 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。滋賀県は大津・湖南・甲賀・東近江・湖東・湖北・湖西の7圏です。なお「湖南医療圏」は草津市・守山市・栗東市・野洲市を指し、「湖南市」は甲賀医療圏に属します。名前が似ていますが別の単位です。
- 【1市だけの医療圏】湖西・大津医療圏は構成市町が1つ(湖西・大津=それぞれ大津市・高島市)のため、圏内の市町比較(Lv2)ができません。県内7圏のうち2圏がこれに当たります。
- 【徒歩アクセスは今回のレポートには入れていません】250mメッシュの人口基盤(mesh_backbone_250m)には滋賀県分12,724セルが投入済みで、千葉県版で出した「徒歩10分以内カバー率」は技術的には算出できます。ただし本レポートは県(Lv1)と二次医療圏(Lv2)の粒度で、徒歩アクセスは市区町村(Lv3)の指標のため、今回は含めていません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
この地図は今後も更新されます。あなたの地域の変化を見逃さないよう、無料会員登録でお知らせを受け取れます。
登録は無料・パスワード不要(メールに確認リンクが届きます)。登録済みの方はログイン
お仕事のご依頼
自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。
お問い合わせ →