健診を「受けて終わり」にしないために、日本医療政策機構が循環器病の早期受療に向けた4つの提言を発表
日本医療政策機構は、循環器病の早期発見と早期介入に向けた提言書を公表しました。
この提言は、30歳から59歳までの働く世代を対象に実施した、健診後の受療行動に関する調査結果を踏まえてまとめられたものです。
循環器病は自覚症状に乏しいまま進行しやすいため、健診後の確実な受療につなげる仕組みづくりが急務とされています。
大規模なデータ分析でも、健診で心房細動などのリスクが発見された場合、将来の入院リスクが大幅に高まることが示されています。
しかし、現状ではハイリスクと判定された人の多くが早期に医療機関を受診していないという実態があります。
循環器病は自覚症状に乏しいまま進行しやすいことから、重症化予防のためには、こうした体制整備とあわせて、リスクの早期把握と早期介入の実効性を高めていくことが重要である。
(<政策提言> 循循環器病の早期発見・早期介入に向けた健診の実効性向上をめざしてー働く世代の健診後の受療行動に関する調査を踏まえー.pdf, Page 5)
1つ目の重要なポイントは、エビデンスに基づく受診勧奨の推進です。
調査によると、健診結果の意味を正しく理解していない層や、すぐに対応すべき健康課題と捉えていない層が一定数存在することが明らかになりました。
特に、循環器病の原因となる高血圧や血糖値の異常などは無症状で進行するため、痛みがないこと自体が危機感の欠如を生み出しています。
そのため、心理的や物理的、経済的な障壁を踏まえた、行動変容を促す情報提示の手法についてエビデンスを構築することが求められています。
具体的には、被用者保険の本人層と国民健康保険の加入者層とでは受療行動のきっかけや支援ニーズに違いがあるため、対象者の特性に応じた柔軟なアプローチが推奨されています。
健診後の受療を妨げる要因は、対象者の属性や生活環境によって大きく異なる。そのため、今後、健診後の受療をより実効的に進めるためには、一律的な対応にとどまらず、どのような情報提示や支援手法が、どのような対象者に有効であるかを明らかにし、そのエビデンスを自治体や保険者が活用しやすい形で整理し、実装につなげていくことが重要である。
(<政策提言> 循循環器病の早期発見・早期介入に向けた健診の実効性向上をめざしてー働く世代の健診後の受療行動に関する調査を踏まえー.pdf, Page 7)
2つ目のポイントは、優先的に介入すべき対象者の精緻化とデータ連携基盤の整備です。
自治体や健康保険組合などの保険者が限られた人的・財政的資源の中で効果的な予防活動を行うためには、介入の優先順位を明確にする必要があります。
現行の受診勧奨基準を検証し、併存疾患や生活背景などの個人のリスク因子を踏まえた多段階の勧奨基準を整備することが提唱されています。
また、診療データや健診データの電子化を進め、医療機関と自治体間での迅速な情報共有を可能にすることが急務とされています。
さらに、転職や退職に伴って保険者が変わることで健康情報が途切れてしまうデータ分断を解消するため、マイナ保険証の活用を含めた連携強化が求められています。
優先的に介入すべき対象者を明確化し、受療勧奨を支えるデータ連携基盤を整備すべきである
(<政策提言> 循循環器病の早期発見・早期介入に向けた健診の実効性向上をめざしてー働く世代の健診後の受療行動に関する調査を踏まえー.pdf, Page 8)
3つ目のポイントは、職域における受療支援体制の強化です。
働く世代の多くは職域で健診を受けており、その後の受療行動は職場環境に大きく影響されます。
調査では、被用者保険の本人層において、再検査のための時間を確保できるかどうかが実際の受療を左右する鍵であることが示されました。
企業と保険者が連携し、就労時間内に受診できる運用や、受診しやすい導線を整えることが重要です。
特に、産業保健体制が手薄になりがちな中小企業や小規模事業者に対しては、地域産業保健センターなどの公的資源を活用した支援モデルの整備と普及が必要とされています。
職域における健診後受療を進めるため、企業規模や働き方に応じた支援体制を整備すべきである
(<政策提言> 循循環器病の早期発見・早期介入に向けた健診の実効性向上をめざしてー働く世代の健診後の受療行動に関する調査を踏まえー.pdf, Page 9)
今回の提言では、健診を単なる受診の機会に留めず、早期発見から早期介入、重症化予防へとつなげる実効的な仕組みへと高めていくことの重要性が示されました。
今後は、自治体や保険者、企業、医療機関をはじめとする様々な関係者が密接に連携し、この提言に基づく具体的な制度設計や運用の改善を進めることが期待されます。
働く世代の健康を守り、循環器病の重症化を防ぐための新たな取り組みの進展に、引き続き注目が集まります。
本提言が、自治体、保険者、企業、医療機関をはじめとする関係者の連携や地域とのつながりを促し、健診後受療の実効性を高める具体的な制度設計と運用改善につながることを期待する。
(<政策提言> 循循環器病の早期発見・早期介入に向けた健診の実効性向上をめざしてー働く世代の健診後の受療行動に関する調査を踏まえー.pdf, Page 5)
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