令和6年度の公的年金財政状況を検証、積立金は時価ベースで306兆円に増加も少子化と賃金の伸び悩みが課題
社会保障審議会の第110回年金数理部会が、2026年6月16日に開催されました。
今回の部会では、令和6年度の公的年金財政状況報告の案や、老齢基礎年金の併給状況の公表について審議が行われました。
年金財政の現状と将来の見通しについて、最新の実績値をもとにした専門的な分析結果が報告されています。
社会保障審議会年金数理部会(第110回)
2026 年6月 16 日(火)
13 時 30 分~15 時 30 分
議題
(1)公的年金財政状況報告 -令和6年度- について
(2)その他
(第110回議事次第.pdf, Page 1)
令和6年度の公的年金制度全体の収支状況について報告します。
運用損益分を除いた収入総額は55.7兆円、支出総額は55.8兆円となりました。
これにより、運用損益分を除いた単年度の収支残は0.1兆円のマイナスを記録しています。
一方で、時価ベースの運用損益は2.0兆円のプラスとなりました。
その結果、時価ベースの年度末積立金は前年度から2.0兆円増加し、306.0兆円に達しています。
公的年金制度全体でみると、令和6(2024)年度は、運用損益分を除いた収入総額 55.7 兆円、支出総額 55.8 兆円であったことから、運用損益分を除いた単年度収支残は 0.1 兆円のマイナス。
また、時価ベースの運用損益は 2.0 兆円のプラス。
その結果、時価ベースの年度末積立金は前年度に比べ 2.0 兆円増加し、306.0 兆円。
(資料1-1 表紙、委員名簿、ポイント、概要、目次.pdf, Page 5)
公的年金の財政状況評価における、将来見通しとの乖離要因が示されました。
プラスの要因としては、国民年金第1号被保険者数と厚生年金被保険者数がともに将来見通しを上回ったことが挙げられます。
これは外国人入国超過数の実績が見通しの仮定値を上回ったことなどが影響しています。
一方でマイナスの要因としては、合計特殊出生率の低下傾向が続いており、令和6年の実績が出生低位の仮定値と同水準にとどまったことが報告されました。
また、実質賃金上昇率(対物価)が財政検証における前提を下回ったことも、財政にマイナスの効果を与える要因として指摘されています。
① 国民年金第1号被保険者数、厚生年金被保険者数ともに実績が将来見通しを上回った。これは、外国人入国超過数の実績が令和5(2023)年推計におけるいずれの仮定値も上回っていることも影響していると考えられる。(中略)これらは公的年金財政にはプラスの効果となる。
② 一方で、合計特殊出生率は平成 28(2016)年より低下傾向が続いており、令和6(2024)年の実績は令和5(2023)年推計における出生低位の仮定値と概ね同水準となっている。また、実質賃金上昇率(対物価)は令和6(2024)年財政検証におけるいずれのケースの前提も下回っている。これらは公的年金財政にはマイナスの効果となる。
(資料1-1 表紙、委員名簿、ポイント、概要、目次.pdf, Page 6)
個人単位の年金額をより正確に把握するため、新たな統計が公表されました。
老齢基礎年金受給者の併給状況別の受給者数や、老齢厚生年金、遺族厚生年金を合算した年金月額の分布統計が作成されています。
令和5年度末時点で、老齢基礎年金の受給者数は3,366万人、平均年金月額は11.5万円となっています。
このうち、老齢基礎年金と遺族厚生年金を併給している受給者は492万人で、その平均年金月額は13.7万円でした。
この併給者のうち、大半にあたる483万人が女性となっています。
今回、個人単位 of 年金額を把握する新たな統計として、老齢基礎年金受給者の併給状況別の受給者数及び(新法)老齢厚生年金、遺族厚生年金を合算した年金月額の分布統計を作成・公表した。
(資料2 「老齢基礎年金の併給状況」の公表について.pdf, Page 2)
老齢基礎年金の受給者数は3,366万人、平均年金月額は11.5万円である。このうち、老齢基礎年金と遺族厚生年金を併給している受給者数は492万人、平均年金月額は13.7万円であり、大半を女子が占めている。
(資料2 「老齢基礎年金の併給状況」の公表について.pdf, Page 7)
今回の報告では、被保険者数の増加といった好材料がある一方、少子化の進行や実質賃金の伸び悩みといった中長期的な課題も浮き彫りとなりました。
年金数理部会は、これらの将来見通しからの乖離が一時的なものか、あるいは中長期的に続くものかについて、今後も注視していくとしています。
年金財政の観点からは、短期的な動向にとらわれることなく、長期的な観点から財政状況を評価していくことが重要であると結ばれました。
これらの将来見通しからの乖離が、一時的なものではなく中長期的に続いた場合には、年金財政に与える影響は大きなものとなる。(中略)年金数理部会としては、このような観点からも毎年の制度運営の動向を注視していくこととする。
○ 年金財政の観点からは、人口要素、経済要素等いずれも短期的な動向にとらわれることなく、長期的な観点から財政状況の動向を注視すべきである。
(資料1-1 表紙、委員名簿、ポイント、概要、目次.pdf, Page 7)
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