福祉現場の未来を守る!退職手当共済制度の持続可能性を巡り、第3回検討会で激しい議論が交わされる
厚生労働省は、令和8年6月26日に「第3回社会福祉施設職員等退職手当共済制度の在り方に関する検討会」を開催いたしました。
この検討会は、社会福祉施設で働く職員の退職手当共済制度について、その持続可能性を高めるための具体的な在り方を議論する場です。
少子高齢化や労働環境の変化が進む現代において、中長期的な視点から安定的な制度運営を維持することが急務となっています。
今回は、福祉現場の実情を代表する事業者団体や、制度設計に詳しい学識経験者などの構成員を対象としたヒアリングが実施されました。
会場となったTKP新橋カンファレンスセンターには多くの関係者が集まり、熱心な意見交換が行われています。
議事次第
日時:令和8年6月 26 日(金)15:00~17:00
場所:TKP 新橋カンファレンスセンターホール 11C
議 題
1 社会福祉施設職員等退職手当共済制度に関するヒアリング
2 その他
(議事次第.pdf, Page 1)
本退職手当共済制度の在り方を検討するにあたり、本制度の実施状況や課題、さらに退職手当制度を取り巻く動向を幅広く把握するため、第2回・第3回の検討会では構成員及び有識者からヒアリングを行う。
(資料1 関係者ヒアリングについて.pdf, Page 2)
最初の重要な論点として、掛金の引き上げが社会福祉法人の経営に与える深刻な影響が挙げられます。
事前に行われた緊急アンケートの結果によると、退職共済制度は職員の採用や定着において極めて重要な役割を果たしていることが分かりました。
しかしその一方で、これ以上の掛金引き上げは多くの法人の経営基盤を揺るがしかねないという切実な声が寄せられています。
実際に、知的障害者福祉協会の会員を対象とした調査では、約9割の法人が掛金増額による経営への打撃を懸念していると回答しました。
特に、措置費によって運営されている児童養護施設や乳児院などでは、独自の増収が困難であるため、掛金の引き上げに対応するための措置費の増額や公費助成の拡充を強く求めています。
〇退職手当共済制度は職員の確保・定着や職員の将来への安心感の保持等の重要な要素として社会福祉法人に寄与している。
(資料2 榎本構成員提出資料.pdf, Page 6)
〇約9割の法人は、掛金の引上げにより経営に影響があると回答している。
(資料2 榎本構成員提出資料.pdf, Page 7)
掛金が今後も引き上げられるのであれば、掛金を賄えるだけの措置費の増額が必要。
(資料3 則武構成員提出資料.pdf, Page 8)
二つ目の論点は、財政健全化に向けた支給要件の見直しと、それに伴う給付水準の維持に関する提案です。
現在の制度では「勤続1年以上」で退職手当が支給されますが、これを「5年程度」に延長することで、短期離職者への給付を抑制すべきだという意見が示されました。
加入期間別の支給状況を見ると、5年未満の退職者に対する支給総額は83億円に達しており、要件を延長することで貴重な財源を長期勤続者へ重点配分することが可能になります。
ただし、職員の働く意欲を損なわないよう、給付水準自体は可能な限り引き下げずに維持することが望ましいと強調されました。
アンケートでも、8割以上の法人が給付水準を下げない形での制度維持を強く望んでいることが示されています。
●支給要件を「1年」から「5年程度」へ延長
「勤続1年以上」という支給要件が、長期勤続者への報奨という退職金の本来の趣旨を薄れさせている。
短期離職者への給付を抑制し財源を有効活用するため、現行の「1年以上」を「5年程度」に見直してはどうか。
(資料2 榎本構成員提出資料.pdf, Page 9)
○ 令和6年度の加入年数別の退職手当支給額は、3年未満が29億円(全体の2.1%)、5年未満が83億円(同5.9%)
(参考資料3 加入期間別支給状況について.pdf, Page 1)
○8割以上の法人が、給付水準を下げない形での制度の維持を望んでいる。
(資料2 榎本構成員提出資料.pdf, Page 8)
三つ目の論点として、公的年金制度の持続可能性を確保するための仕組みを応用した、新たな制度設計のアプローチが提案されました。
学識経験者の構成員からは、日本の公的年金における「平成16年改正」の知見が紹介されています。
具体的には、5年ごとに定期的な財政検証を行うPDCAサイクルを法律レベルで制度化し、環境変化に早期に対応できる体制を整えることが推奨されました。
また、将来の掛金引き上げスケジュールをあらかじめ明確にすることで、法人の財務運営における不確定要素を排除し、経営の安定化を図るべきだとの意見も出されています。
さらに、中長期的な課題として、掛金と賃金が自動的に連動して収支のバランスを保つような調整メカニズムの構築が提案されました。
1)PDCAサイクルの制度化・定期化は、施設経営の安定に資する。
―― 環境の変化とその制度への影響を早期に発見し、早めの対応を可能にすべき。
(資料4 玉木構成員提出資料.pdf, Page 12)
2)施設経営における財務上の不確定要素を早めに除去すべき。
―― 長期的に掛け金の引き上げが必要ならば、そのスケジュールは早めに決めた方が、施設経営上、良いのではないか。
(資料4 玉木構成員提出資料.pdf, Page 13)
3)中長期的な課題としては、制度の収支均衡を自動的に確保するような調整メカニズムを構築すべき。
(資料4 玉木構成員提出資料.pdf, Page 14)
今回の検討会で示された現場の切実な声や専門的な提案は、今後の制度設計において極めて重要な判断材料となります。
今後のスケジュールとしては、令和8年7月以降にこれらのヒアリング結果を踏まえた本格的な議論が重ねられる予定です。
そして、秋頃を目途に具体的な意見のとりまとめを行い、社会保障審議会の福祉部会へと報告される流れとなっています。
福祉人材の確保と法人の安定経営を両立させるため、どのような合意形成がなされるのか、今後の動向から目が離せません。
7月以降 ヒアリングを踏まえた議論
秋頃 とりまとめ
⇒とりまとめについては、福祉部会に報告。
(参考資料4 今後の検討会スケジュール.pdf, Page 1)
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