← 医療政策ウォッチャー 記事一覧

社会福祉施設職員の退職手当制度はどうなる?2040年の支給ピークと将来の掛金増に向けた改革の論点

引用元:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74644.html

引用元: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74644.html


社会福祉施設で働く職員の退職手当について、将来に向けた大切な話し合いが行われました。

厚生労働省は、令和8年7月16日に、第4回となる在り方検討会を開催いたしました。

この制度は、社会福祉法人の職員の待遇を改善し、身分の安定を図るために昭和36年に創設されたものです。

現在では約88万人の職員が加入しており、福祉現場の人材確保において、離職率を低く抑えるなど非常に重要な役割を果たしています。

この検討会では、福祉人材を支える退職手当制度を、今後も安定して続けていくための方法が話し合われています。

社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、昭和36年に制定された「社会福祉施設職員等退職手当共済法」に基づき創設された制度であり、社会福祉法人の経営する社会福祉施設等の職員の待遇改善により、職員の身分の安定を図り、もって社会福祉事業の振興に寄与することを目的としている。

(参考資料6 社会福祉施設職員等退職手当共済制度の現状及び課題について.pdf, Page 2)

主要な論点の1つ目は、現行制度をこのまま続けた場合、将来の支給額がどのように推移するのかという財政推計です。

介護保険制度ができた平成12年の前後に、多くの職員がこの退職手当制度に新しく加入しました。

この時に加入した多くの世代が、これから順次、退職の時期を迎えることになります。

そのため、令和22年度から令和23年度頃に、支給額の支出がピークを迎える見込みであることが示されました。

このピーク時の支給額は、令和7年度の実績と比べて約1.4倍に達すると試算されています。

前ページの考え方に基づき、令和27年度(2045年)までの支給額(支出)を推計すると、介護保険制度創設(平成12年)の前後に多数加入した世代が退職のピークを迎える見込みである令和22年度(2040年)~令和23年度(2041年)頃が支出のピークとなっている。

(資料2 現行制度を維持した場合の将来推計及び次期制度改正に向けた論点について.pdf, Page 3)

2つ目の論点は、今後の掛金負担の増加と、引き上げのバラツキに関する懸念です。

現在は、職員1人当たりの掛金年額が148,500円、公費助成がある場合は49,500円となっています。

これまでは、事業者の急激な負担を避けるために、支払準備金を取り崩すことで、掛金の引き上げを一定に抑えてきました。

しかし、この支払準備金は、令和9年度末に使い切る見込みであることが報告されています。

令和10年度以降も現在の給付水準を維持しようとすると、掛金が大幅に増えるだけでなく、年度ごとの引き上げ幅にも大きなバラツキが出る恐れが指摘されました。

社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、これまで、事業者の急激な負担増を避けるため、支払準備金を取り崩して掛金の引上げを抑えていたが、推計においては支払準備金は令和9年度に使い切り、令和10年度以降も現行の給付水準等を維持した場合、大幅な掛金の増及び掛金の引上げ幅の年度によるバラツキが見込まれる。

(資料2 現行制度を維持した場合の将来推計及び次期制度改正に向けた論点について.pdf, Page 5)

3つ目の論点は、次回の制度改正に向けた具体的な見直しの項目です。

これまでの検討会では、財政のバランスをとる期間を、現在の5年間からさらに長くすることなどが検討されています。

また、民間の退職金制度との比較も行われ、退職一時金の受給に必要な最低勤続年数の見直しなどが議論されています。

民間企業では最低勤続年数を「3年以上」とする企業が7割を超えている状況を踏まえ、現行の「1年未満不支給」から見直すかどうかが焦点です。

さらに、退職直前の本俸のみを算定基礎とする現在の給付設計を、高齢者の雇用延長や多様な働き方に合わせて見直すべきかどうかも話し合われています。

退職一時金の受給に必要な最低勤続期間についてみると、「3年以上4年未満」とする企業が6割弱を占めている。

また、「3年以上」とする企業を合計すると、調査産業計では71.8%、社会福祉法人と同程度の規模である従業員100人未満の規模の企業では74.4%となっており、いずれも7割を超えている。

(参考資料1 民間企業等における退職手当の実施状況.pdf, Page 3)

この検討会では、今後さらに議論を重ねて、制度のあり方を決定していく予定です。

これまでのヒアリングや議論を踏まえ、9月以降に意見のとりまとめに向けた議論が行われることになっています。

そして秋頃には検討結果をとりまとめ、社会保障審議会の福祉部会へ報告することがスケジュールとして示されました。

福祉現場で働く人々が安心して働き続けられるよう、今後の議論の進展が注目されます。

9月以降 とりまとめに向けた議論

秋頃 とりまとめ

⇒とりまとめについては、福祉部会に報告。

(参考資料5 今後の検討会スケジュール.pdf, Page 1)


← 記事一覧へ