血液製剤の安全と未来を見据えて、令和8年度第1回運営委員会の重要報告をキャスターが分かりやすく解説します
厚生労働省は、薬事審議会血液事業部会の令和8年度第1回運営委員会を開催しました。
この委員会では、血液製剤の安全対策や安定供給に向けた取り組み、個別製剤の供給・製造計画などが多角的に議論されました。
今回の会議では、感染症定期報告制度の見直しや、国内製剤の海外輸出、製造・供給体制の変更など、今後の血液事業に大きく影響する重要な議題が報告されています。
薬事審議会血液事業部会
令和8年度第1回運営委員会 参考人
(参考人名簿[50KB].pdf, Page 1)
生物由来製品や再生医療等製品を対象とした感染症定期報告制度について、制度の見直しが進められています。
これまでの定期的な報告に加え、リスクが高い場合に速やかに報告を求める「30日報告」が新設されます。
具体的には、人に感染するおそれのある未知の感染症や、生命に重大な影響を与えるおそれがある病原体に関する情報を得た場合、30日以内の報告を義務付ける方針です。
また、対象期間中に報告すべき事項がない場合は、定期的な報告を不要とするなど合理化も図られます。
そこで、感染症定期報告制度について、定期的な報告ではなく、身体・生命に重大な影響を及ぼすおそれがある病原体が原材料に含まれる可能性があることが判明した場合など、リスクが高い場合に速やかに評価・検討結果の報告を求めることとし、他方で、対象期間中に報告対象がない場合は報告を不要とする見直しをすべきである。
(【参考資料1】 感染症定期報告制度の見直しについて(薬事審議会血液事業部会令和7年度第4回運営委員会資料1-3)[3.0MB].pdf, Page 3)
30日報告(新設)
◆ 報告期限:知ってから30日以内
◆ 報告が必要なケース:
①人に感染するおそれのある疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるものに関する研究報告・措置を知ったとき
(【参考資料1】 感染症定期報告制度の見直しについて(薬事審議会血液事業部会令和7年度第4回運営委員会資料1-3)[3.0MB].pdf, Page 5)
KMバイオロジクス株式会社は、国内の献血血漿を原料とする「バイクロット配合静注用」の海外輸出に向けた計画を提示しました。
同社は、貴重な献血血漿の有効活用を目的として、国内需要を100%充足した上で生じる余剰原料を用いた海外展開を目指しています。
計画では、令和8年度中に運営委員会の承認を得た後、最速で2027年度に輸出対象国の薬事承認を取得し、2028年度以降の輸出開始を予定しています。
輸出対象候補国としては、トルコやサウジアラビアなどの企業と検討を進めていることが示されました。
現時点においては、2026年度に血液事業部会運営委員会の承認を得た上で、最速で2027年度に輸出国の薬事承認を取得し、2028年度以降からの輸出を考えております。
(【資料6-1】 バイクロット配合静注用の輸出について(KM バイオロジクス株式会社提出資料)[1.3MB].pdf, Page 3)
輸出計画(輸出対象国、1年あたりの輸出見込量等)を明らかにすること
✓ 輸出対象候補国として、トルコ、サウジアラビアの企業と検討中。並行してノバクト輸出先のバングラデシュ、ネパール、その他輸出準備国との相談も実施中である。
(【資料6-1】 バイクロット配合静注用の輸出について(KM バイオロジクス株式会社提出資料)[1.3MB].pdf, Page 8)
武田薬品工業株式会社は、成田工場における一部の血漿分画製剤の製造プロセスの不具合に関する原因調査結果を報告しました。
調査の結果、特定の装置に使用する消耗品の特定のロットに樹脂成型不良が認められ、これが複合的な原因となって無菌製剤プロセスシミュレーションで事象が発生したと結論づけています。
同社は現在、原因となった消耗品ロットを交換し、成田工場の稼働を再開しています。
今後の製品供給については、国内の医療需要が圧倒的に高い10%製剤の「献血グロベニン-I 10%」へ製造を集約し、現在供給停止が続いている「献血グロベニン-I 5%」については薬価削除に向けた手続きを進める計画を明らかにしました。
【結論】包括的な調査の結果、無菌製剤プロセスシミュレーションに用いられた消耗品の特定のロット及び特定の装置との接続状態を含む複合的な要因が関与した可能性があると考えています。
(【資料6-2】 成田工場の APS の結果報告と今後の製品供給について(武田薬品工業株式会社提出資料)[1.2MB].pdf, Page 3)
国内の免疫グロブリン製剤の医療需要は10%製剤が圧倒的に高く、工場での製造効率の向上も見込めることから、今後は弊社の免疫グロブリン製剤の製造は献血グロベニン® -I 10%へ集約することを考えております。
このような状況を踏まえ、献血グロベニン® -I 5%については今後、薬価削除に向けた手続きを進める予定です。
(【資料6-2】 成田工場の APS の結果報告と今後の製品供給について(武田薬品工業株式会社提出資料)[1.2MB].pdf, Page 5)
今回の運営委員会では、血液製剤の安全性向上と安定供給に関わる複数の重要課題が整理されました。
特に、感染症定期報告制度の見直しによる安全対策の迅速化や、国内余剰原料の有効活用を見据えたバイクロットの輸出計画、そして武田薬品工業の供給集約化計画などは、今後の血液製剤市場のあり方に大きな影響を与える見通しです。
今後は、KMバイオロジクスの輸出に向けた具体的な承認プロセスや、各製剤の国内安定供給の推移が注視されます。
運営委員会 委員名簿
(委員名簿[45KB].pdf, Page 1)
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