2040年を見据えた介護保険制度の改革へ、第135回介護保険部会が開催
厚生労働省は、令和8年6月29日に、第135回社会保障審議会介護保険部会を開催しました。
今回の部会では、社会福祉法等の一部を改正する法律に関する報告が行われました。
あわせて、第10期計画に向けた基本指針案や、特定地域の考え方についても議論が交わされています。
2040年という中長期的なサービス見込量を見据えた、計画的な介護サービス基盤の整備などが主なテーマとなっています。
1.社会福祉法等の一部を改正する法律(報告)
2.基本指針(案)
3.特定地域の考え方
(議事次第.pdf, Page 1)
1つ目の重要な論点は、中山間地域や人口減少地域における介護サービス提供体制の確保です。
今回の法改正では、地域の実情に応じた配置基準や包括的な評価を導入できる「特定地域サービス」が新設されます。
さらに、地域のサービス提供主体が少ない場合に市町村が事業として実施できる「特定地域居宅サービス等事業」の創設も盛り込まれました。
これらの特定地域の指定基準の素案として、今回は2つの指標が提示されています。
具体的には、「75歳以上人口密度が5人/平方キロメートル未満」または「75歳以上人口が1,000人未満かつ減少」という基準が検討されています。
中山間・人口減少地域での地域の実情に応じた配置基準や包括的な評価の仕組みが導入可能となる特例介護サービスの類型(「特定地域サービス」)の新設や、地域のサービス提供主体が少ない場合に市町村が事業として居宅介護サービス等を実施できる「特定地域居宅サービス等事業」の創設、事業者間の連携強化とそのための事業継続の仕組みの構築、介護予防と地域の支え合いを一体的に実施する拠点を運営する事業の新設等を行う。
(資料1 社会福祉法等の一部を改正する法律(報告).pdf, Page 1)
「75歳以上人口密度=5人/㎢未満」または「75歳以上人口=1,000人未満 かつ 減少」
(資料3 特定地域(中山間・人口減少地域)の考え方について.pdf, Page 12)
2つ目の論点は、第10期計画における「中長期的なサービス見通し」の必須化です。
第10期計画からは、都道府県や市町村が2040年度を見据えた中長期的な推計を必ず実施することになりました。
これに伴い、将来に向けたサービス提供体制の確保に関する施策を計画に記載することが必須となります。
計画の策定にあたっては、医療と介護の連携状況を勘案することが明確化されました。
また、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの入居定員もあわせて考慮することとされています。
都道府県が策定する支援計画においては、介護現場における人材確保、生産性向上、経営改善に向けた取組と目標を明記することが求められます。
① 中⾧期的なサービス見通しを必須化
市町村・都道府県が策定する介護保険事業(支援)計画において、
介護サービス量の中⾧期的な推計
将来に向けたサービス提供体制の確保に関する施策
を必ず記載することとします。
② 医療介護連携の状況等を勘案することを明確化
市町村が策定する介護保険事業計画において、
● 医療と介護の連携状況
● 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの入居定員
を勘案することとします。
(参考資料1 社会福祉法等の一部を改正する法律の広報資料について.pdf, Page 10)
③ 人材確保・生産性向上・経営改善の取組を明確化(※)
都道府県が策定する介護保険事業支援計画において、介護現場における
● 人材確保 ● 生産性向上 ● 経営改善
に向けた取組と目標を明記します。
(参考資料1 社会福祉法等の一部を改正する法律の広報資料について.pdf, Page 10)
3つ目の論点は、福祉人材の安定的な確保と定着支援に関する措置です。
介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーの資格について、研修受講を要件とした更新の仕組みを廃止することが報告されました。
更新制に紐付く研修は時間的・経済的な負担が大きいとの声があり、今回の見直しに至っています。
資格更新の要件としての研修は廃止されますが、専門職としての質を確保するための定期的な研修受講は継続されます。
見直し後は、5年間などの一定期間の間に、任意のタイミングで分割して受講できる仕組みが検討されています。
また、国による教材の一元作成や、オンライン受講の推進などもあわせて進められる予定です。
③ 介護支援専門員(ケアマネジャー)に係る研修受講を要件とした更新の仕組みを廃止するなど、法定研修に係る見直しを行う。
(資料1 社会福祉法等の一部を改正する法律(報告).pdf, Page 1)
① 更新制の廃止
研修受講を要件とした更新の仕組みを廃止します。
② 研修の大りの見直し
専門職としての質の確保・向上は引き続き重要であり、定期的な研修の受講は継続しますが、柔軟に受講できるようにします。
(略)
研修受講を要件とした資格更新の仕組みを廃止
一度交付を受けた資格は、期限により失効することはなくなります。
(略)
一定期間(例:5年間)の間に、任意のタイミングで分割して受講できる仕組みとします。
初回の更新研修相当の研修などを中心に、全体の時間数の縮減を検討します
国による教材の一元作成や(※)、オンライン受講を推進します。
(参考資料1 社会福祉法等の一部を改正する法律の広報資料について.pdf, Page 13)
最後に、今後のスケジュールについて確認しておきます。
今回の社会福祉法等の一部を改正する法律は、令和9年4月1日の施行を原則としています。
ただし、ケアマネジャーの更新制廃止など一部の規定については、公布後1年6月以内に政令で定める日など、改正事項によって施行期日が異なります。
第10期計画の作成に向けたスケジュールとしては、令和8年9月頃に各市区町村で見込量と保険料の仮設定を行い、12月に基本指針が告示される予定です。
その後、令和9年1月頃に介護保険事業計画を議会へ報告、条例の改正を行います。
そして、令和9年4月から新しい第10期介護保険事業計画がスタートする流れとなっています。
施行期日
令和9年4月1日(ただし、2.②の一部は公布日、2.③は公布後1年6月以内に政令で定める日、1.③及び⑤の一部は公布後2年以内に政令で定める日、1.⑤、⑥及び2.①の一部は公布後3年以内に政令で定める日)
(資料1 社会福祉法等の一部を改正する法律(報告).pdf, Page 1)
令和8年12月 基本指針の告示
令和9年1月 ・介護保険事業計画を議会に報告 ・介護保険条例の改正
令和9年4月 第10期介護保険事業計画スタート
(参考資料2 基本指針について(参考資料).pdf, Page 2)
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