← 医療政策ウォッチャー 記事一覧

労働者の健康を守る新たな一歩!厚生労働省が「2次予防」の推進やがん等の健康教育を盛り込んだTHP指針改定案を議論

引用元:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74258.html

引用元: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74258.html


厚生労働省は、令和8年7月3日に「第3回 事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会」を開催しました。

この検討会は、高年齢労働者の増加や急速な技術革新の進展といった社会経済情勢の変化に対応するために開かれたものです。

政府が進める「攻めの予防医療」を通じて健康寿命の延伸を図るため、労働安全衛生法に基づく健康保持増進措置の枠組みが議論されました。

今回は、これまでの議論を踏まえた報告書案や、労働者の健康保持増進の実態把握の進め方について審議が行われました。

高年齢労働者の増加、急速な技術革新の進展等の社会経済情勢の変化を踏まえ、政府において、がん検診の推進等を通じた「攻めの予防医療」を進めることによって、健康寿命の延伸を図り、社会保障の担い手の拡大に取り組むこととされている。

(資料1 事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会 報告書(案).pdf, Page 2)

1つ目の重要な合意事項は、疾病の早期発見や早期治療を目指す「2次予防」の推進と、その対象となる疾病の拡大についてです。

これまでの労働者の健康保持増進は、生活習慣の改善などを通じた「1次予防」が中心とされてきました。

しかし、今回の検討会では、疾病の発症や重症化、さらには死亡を予防するために「2次予防」の取組も推進すべきであると合意されました。

その対象として、がんのほか、月経困難症や更年期障害などの女性特有の健康課題、歯科疾患、骨粗しょう症、眼科疾患などが明確に位置付けられています。

これらの疾病は必ずしも業務に起因するものではありませんが、事業者による自主的な取組を後押しする支援を行うことが適当とされました。

労働者の健康保持増進は、生活習慣改善等による疾病の発症予防(以下「1次予防」という。)を主として取り組むこととされているが、疾病の早期発見や早期治療(以下「2次予防」という。)を行うことで、さらに、疾病の発症や重症化、疾病による死亡を予防できることが期待されることから、2次予防の取組も推進するべきである。

(資料1 事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会 報告書(案).pdf, Page 2)

2つ目の合意事項は、労働安全衛生法に基づく「THP指針」の見直しと、具体的な健康教育や受診勧奨の導入です。

見直し案では、労働者が科学的根拠に基づいた正しい理解を得られるよう、がん等の予防や検診に関する健康教育を事業場の実態に応じて実施することが求められています。

2次予防の具体的な取組方法としては、事業者が実施する健康診断の機会を活用した検診の提供や、労働者が居住する市町村での検診受診の勧奨などが挙げられました。

さらに、検診受診のための休暇の付与や、精密検査の受診勧奨を効果的に進めるための方法を示すべきであるとされています。

また、これらの検診実施にあたっては、健康診査の精度管理等に留意する必要があることも指摘されました。

2次予防の取組内容としては、(2)に掲げる疾病に対する検診及びその結果に基づく精密検査の受診勧奨が考えられる。さらに、その取組方法としては、以下のものがあり、事業場の実態に合わせて実施する必要がある。

① 事業者自ら又は保険者と連携して実施する健康診断の機会を活用した検診等の受診機会の提供

② 労働者の居住する市町村において実施されている健康増進法(平成 14 年法律第 103 号)に基づく検診の受診勧奨及び受診のための休暇の付与等

(資料1 事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会 報告書(案).pdf, Page 3)

3つ目の合意事項は、改正THP指針を踏まえた労働者の健康保持増進措置の実態把握調査の進め方についてです。

検討会では、事業場における取組状況や、企業規模、地域ごとのがん検診等の実施状況を把握するための調査を行うべきであるとされました。

具体的な調査方法の案として、専門の調査機関に依頼し、日本国全域の常用労働者10人以上を雇用する民営事業所約14,000箇所を対象とする事業所調査が計画されています。

また、これらの事業所で雇用される常用労働者および派遣労働者約18,000人を対象とした個人調査も同時に実施される予定です。

調査項目には、1次予防および2次予防に関する取組状況や、個人におけるがん検診等の受診有無、受診の機会、費用負担などが含まれています。

事業場における改正 THP 指針を踏まえた取組状況を把握するため、本検討会の議論を踏まえつつ、企業規模や地域ごとのがん検診等の取組状況等に係る調査を行うべきである。

(資料1 事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会 報告書(案).pdf, Page 4)

検討会は、これまでの開催状況として第1回を令和8年4月24日、第2回を6月1日に開催しており、今回の第3回で報告書案が審議されました。

今後は、調整中とされている第4回検討会において、引き続き報告書案についての議論が行われる予定です。

国は今後、改正THP指針に基づく取組の推進に加え、中小企業等への支援や、経済産業省が推進する健康経営との連携を進めるとしています。

また、治療と就業の両立支援をさらに推進し、すべての労働者が安心して働き続けられる環境づくりを目指す方針です。

本検討会は、こうした一連の流れを円滑に進めていくため、安衛法第 70 条の2第1項の規定に基づく「事業場における労働者の健康保持増進のための指針(昭和 63 年健康保持増進のための指針公示第1号。以下「THP 指針」という。)」をはじめとした事業場における労働者の健康保持増進の在り方等について、検討を行った。

(資料1 事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会 報告書(案).pdf, Page 2)


← 記事一覧へ