大阪府北河内(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

閉局は多くない。でも、閉じたら戻ってこない

北河内医療圏7市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 北河内医療圏 7市区町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

2025年に北河内医療圏で出された薬局の廃止届は17件。薬局543軒に対しては多くありません。ただし内訳を開くと、別の担い手に引き継がれたのは6件だけで、残る11件(64.7%)はそのまま消えました。この「引き継がれなかった割合」は、大阪府8医療圏でいちばん高い数字です。

7
北河内医療圏の市区町村
543
圏内の薬局数
11
2025年に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-6〜+4%
経営体力の変化レンジ(市区町村差)

薬局の廃止届には、移転や承継で別の機関コードに引き継がれたものと、そのまま無くなったものが混ざっています。北河内医療圏の2025年は、廃止届17件のうち引き継がれたのが6件、消えたのが11件。引き継がれなかった割合64.7%は府内8医療圏で最も高く、最も低い三島医療圏(13.3%)の2倍以上です。届出の件数だけを見ると静かな圏域に見えますが、1件あたりの重みが違う、と言い換えられます。背景には人口があります。総人口は20年で-18%減り、高齢化率は30.5%から40.3%へ。そして65歳以上人口さえ2040年でピークを打ち、その後は減少に転じます。買い手から見て「これから伸びる商圏」とは言いにくい条件がそろっており、承継の相手が見つかりにくい状況と整合します。圏内でもっとも人口が減るのは門真市で-25%。65歳以上の伸びも+2%とほとんど止まっており、経営体力は-6.3%と圏内最低です。逆に四條畷市・枚方市は65歳以上が1割以上増え、体力もプラス圏に残ります。同じ圏域でも「もう曲がった自治体」と「これから曲がる自治体」が同居しています。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市区町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが門真市(-6.3%)、いちばん緑なのが四條畷市(+3.9%)で、同じ北河内医療圏の中に10ポイントの開きがあります。

門真市:薬局72/1軒あたり処方せん -6.3%門真市守口市:薬局78/1軒あたり処方せん -2.9%守口市寝屋川市:薬局111/1軒あたり処方せん -1.3%屋川市交野市:薬局32/1軒あたり処方せん +0.1%交野市大東市:薬局45/1軒あたり処方せん +1.3%大東市枚方市:薬局184/1軒あたり処方せん +2.6%枚方市四條畷市:薬局21/1軒あたり処方せん +3.9%
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-6%)増える(+4%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

人口動態 ── 需要の源北河内医療圏は「人が減り、お年寄りが増える」

なぜ市区町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。北河内医療圏全体では、総人口は110.4万→90.9万人(-18%)と減り、65歳以上は33.7万→36.6万人(+9%)と増えます。高齢化率は30.5%→40.3%へ。65歳以上のピークは2040年で、その波がいつ来るかが市区町村で違うのです。

総人口65歳以上
0万30万60万90万120万20252030203520402045205086万35万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上は2040年にピークを迎えます。

ランキング ── 市区町村差経営がしんどくなる市・楽になる市

開きは10ポイントと府内では小さいほうです。目立つのは順位よりも、圏域全体が「まだ動けるうちに」という位置にあることです。

門真市
-6.3%
守口市
-2.9%
寝屋川市
-1.3%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
大東市
+1.3%
枚方市
+2.6%
四條畷市
+3.9%

くわしい数字7市区町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
枚方市18432.0%13,799 → 14,154+2.6%
寝屋川市11130.8%12,611 → 12,452-1.3%
守口市7829.2%10,651 → 10,343-2.9%
門真市7230.5%9,863 → 9,245-6.3%
大東市4527.9%14,595 → 14,788+1.3%
交野市3229.9%13,850 → 13,861+0.1%
四條畷市2127.9%14,440 → 15,003+3.9%

※処方せん需要は北河内医療圏全体の実績(NDB)を市区町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 大阪府(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 北河内医療圏(このページ・Lv2)=7市区町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・徒歩アクセス・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は潰れる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】北河内医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間6,883,049枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(大阪府=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に108.8)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は、Lv1の供給動学モデルでのみ扱っています。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(北河内医療圏の2025年で11件)。廃止届は全部で17件出ていますが、そのうち6件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。「薬局が無くなったか」を問うレポートなので、承継・移転は閉局に数えません(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。2026年分は本稿執筆時点でまだ年の途中のため、参考値(真の閉局4件)として別に持っています。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出住所または座標に基づき、市区町村境界の点内判定で割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある479店を分母にしています(圏内全543店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。

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