大阪府泉州(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

府の南端の2市町だけが、別の時間を生きている

泉州医療圏12市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 泉州医療圏 12市区町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

泉州医療圏は12の市町からなる、大阪府でもっとも自治体数の多い圏域です。そして10市町がおおむね横ばい圏に収まるなか、最南の岬町(-25.5%)と阪南市(-11.7%)だけが大きく沈みます。2025年に承継も移転もされず消えた薬局は10軒(2.34%)で、中河内医療圏に次ぐ府内2番目の高さです。

12
泉州医療圏の市区町村
427
圏内の薬局数
10
2025年に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-26〜+12%
経営体力の変化レンジ(市区町村差)

泉州医療圏は大阪府の南西部、12市町からなります。自治体の数が多いぶん、圏内の姿は一様ではありません。ただしその内訳は「北から南へなだらかに」ではなく、府の最南端2市町だけが極端に離れている形をしています。最南の岬町は高齢化率が現時点で43.6%、2045年には57.3%——住民の6割近くが65歳以上になります。65歳以上人口自体も-18%と減り、経営体力は-25.5%。薬局は5軒しかなく、1軒の開廃がそのまま地域のアクセスを左右する規模です。隣接する阪南市も高齢化率36.5%→50.7%、経営体力-11.7%、薬局25軒。岬町のいまの高齢化率43.6%は、阪南市を除く圏内すべての市町の2045年の高齢化率を上回ります。この2市町だけが、先に到着してしまっているのです。それ以外の市町は、田尻町・和泉市・泉佐野市・泉大津市が65歳以上人口の伸びを受けてプラス、岸和田市・貝塚市・忠岡町がほぼ横ばい、高石市・熊取町・泉南市がゆるやかなマイナスと、地理よりも高齢化がどこまで進んだかで並びます。いっぽう閉局の面では、2025年に承継も移転もされず消えた薬局が10軒(2.34%)と、中河内医療圏に次ぐ府内2番目の高さです。薬局の入れ替わりが多い北側と、需要そのものが細る南端。1つの医療圏の中に性質の違う2つの動きが同居しているのが、泉州医療圏です。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市区町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが岬町(-25.5%)、いちばん緑なのが田尻町(+12.4%)で、同じ泉州医療圏の中に38ポイントの開きがあります。

岬町:薬局5/1軒あたり処方せん -25.5%阪南市:薬局25/1軒あたり処方せん -11.7%高石市:薬局30/1軒あたり処方せん -7.0%高石市熊取町:薬局19/1軒あたり処方せん -6.9%泉南市:薬局16/1軒あたり処方せん -5.8%岸和田市:薬局102/1軒あたり処方せん -2.8%和田市忠岡町:薬局7/1軒あたり処方せん -0.8%貝塚市:薬局33/1軒あたり処方せん -0.6%貝塚市泉大津市:薬局50/1軒あたり処方せん +6.2%大津市泉佐野市:薬局61/1軒あたり処方せん +7.7%佐野市和泉市:薬局76/1軒あたり処方せん +9.6%和泉市田尻町:薬局3/1軒あたり処方せん +12.4%
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-26%)増える(+12%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

人口動態 ── 需要の源泉州医療圏は「人が減り、お年寄りが増える」

なぜ市区町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。泉州医療圏全体では、総人口は85.3万→69.6万人(-18%)と減り、65歳以上は25.2万→27.7万人(+10%)と増えます。高齢化率は29.6%→39.9%へ。65歳以上のピークは2040年で、その波がいつ来るかが市区町村で違うのです。

総人口65歳以上
0万22万45万68万90万20252030203520402045205065万27万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上は2040年にピークを迎えます。

ランキング ── 市区町村差経営がしんどくなる市町・楽になる市町

岬町(-25.5%)から田尻町(+12.4%)まで38ポイントの開き。ただし下位2市町を除くと-7%〜+12%に収まり、「圏内の差」というより「南端2市町の突出」として読むのが正確です。なお岬町・忠岡町・田尻町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。

岬町
-25.5%
阪南市
-11.7%
高石市
-7.0%
熊取町
-6.9%
泉南市
-5.8%
岸和田市
-2.8%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
泉佐野市
+7.7%
和泉市
+9.6%
田尻町
+12.4%

くわしい数字12市区町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
岸和田市10230.6%10,678 → 10,379-2.8%
和泉市7627.3%12,755 → 13,974+9.6%
泉佐野市6127.5%8,660 → 9,324+7.7%
泉大津市5027.3%7,658 → 8,135+6.2%
貝塚市3328.9%13,796 → 13,717-0.6%
高石市3029.8%10,380 → 9,657-7.0%
阪南市2536.5%13,441 → 11,862-11.7%
熊取町1930.2%13,246 → 12,330-6.9%
泉南市1631.9%21,934 → 20,664-5.8%
忠岡町729.5%13,070 → 12,962-0.8%
岬町543.6%22,849 → 17,032-25.5%
田尻町324.2%13,244 → 14,882+12.4%

※処方せん需要は泉州医療圏全体の実績(NDB)を市区町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 大阪府(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 泉州医療圏(このページ・Lv2)=12市区町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・徒歩アクセス・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は潰れる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】泉州医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間4,920,506枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(大阪府=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に110.0)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は、Lv1の供給動学モデルでのみ扱っています。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(泉州医療圏の2025年で10件)。廃止届は全部で24件出ていますが、そのうち14件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。「薬局が無くなったか」を問うレポートなので、承継・移転は閉局に数えません(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。2026年分は本稿執筆時点でまだ年の途中のため、参考値(真の閉局5件)として別に持っています。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出住所または座標に基づき、市区町村境界の点内判定で割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある367店を分母にしています(圏内全427店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】岬町・忠岡町・田尻町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。

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