病院薬剤師の配置と施設基準

病棟に、薬剤師は来ていますか

入院した患者のベッドサイドに薬剤師が関わる体制を「病棟薬剤業務実施加算」といいます。 200床以上の病院で、この加算1を届け出ているのは全国で 25.2%。 ただし薬剤師が足りないから取れていない県と、薬剤師はいるのに取れていない県があります。 同じ低さでも、打ち手は正反対です。

2,338
200床以上の病院
25.2%
病棟薬剤業務実施加算1の届出
5.93人
100床あたり常勤薬剤師
50
加算がゼロの二次医療圏(310圏中)

47都道府県は、4つの型に分かれる

横は薬剤師の数(200床以上の病院の100床あたり常勤薬剤師)、 縦は体制の届出(病棟薬剤業務実施加算1の届出率)。 十字の線は47県の中央値(5.54人/17.6%)です。点の色に良し悪しの意味はありません。

少ない人数で回している人も体制もある人も体制も足りない人はいるが、届出が進んでいない3.54.04.55.05.56.06.57.07.50%10%20%30%40%50%100床あたり常勤薬剤師(人)→↑ 加算1の届出率和歌山県/100床あたり4.66人/加算1の届出 46.7%(15病院中7)石川県/100床あたり5.41人/加算1の届出 41.4%(29病院中12)京都府/100床あたり5.12人/加算1の届出 40%(50病院中20)岩手県/100床あたり5.39人/加算1の届出 40%(25病院中10)滋賀県/100床あたり6人/加算1の届出 39.1%(23病院中9)岐阜県/100床あたり6.06人/加算1の届出 37.5%(32病院中12)長野県/100床あたり5.96人/加算1の届出 36.1%(36病院中13)大阪府/100床あたり6.15人/加算1の届出 35.7%(171病院中61)東京都/100床あたり7.45人/加算1の届出 35.3%(190病院中67)埼玉県/100床あたり6.45人/加算1の届出 33.3%(99病院中33)神奈川県/100床あたり6.42人/加算1の届出 32.8%(137病院中45)群馬県/100床あたり5.46人/加算1の届出 32.4%(37病院中12)愛知県/100床あたり6.53人/加算1の届出 31.4%(102病院中32)岡山県/100床あたり7.19人/加算1の届出 31.4%(35病院中11)兵庫県/100床あたり6.4人/加算1の届出 30.1%(93病院中28)広島県/100床あたり6.02人/加算1の届出 29.8%(57病院中17)千葉県/100床あたり6.71人/加算1の届出 28.8%(104病院中30)島根県/100床あたり5.51人/加算1の届出 27.8%(18病院中5)奈良県/100床あたり6.21人/加算1の届出 22.2%(27病院中6)熊本県/100床あたり4.99人/加算1の届出 21.7%(46病院中10)愛媛県/100床あたり5.05人/加算1の届出 20.7%(29病院中6)静岡県/100床あたり5.65人/加算1の届出 20.3%(59病院中12)茨城県/100床あたり6.49人/加算1の届出 20%(50病院中10)富山県/100床あたり5.54人/加算1の届出 17.6%(17病院中3)宮城県/100床あたり6.44人/加算1の届出 17.5%(40病院中7)大分県/100床あたり5.63人/加算1の届出 17.4%(23病院中4)福島県/100床あたり5.6人/加算1の届出 16.7%(36病院中6)北海道/100床あたり4.81人/加算1の届出 16.4%(128病院中21)鹿児島県/100床あたり5.4人/加算1の届出 16.2%(37病院中6)福岡県/100床あたり5.37人/加算1の届出 16.2%(136病院中22)山形県/100床あたり4.56人/加算1の届出 16%(25病院中4)新潟県/100床あたり4.62人/加算1の届出 15.6%(45病院中7)福井県/100床あたり5.28人/加算1の届出 15.4%(13病院中2)香川県/100床あたり5.14人/加算1の届出 15%(20病院中3)沖縄県/100床あたり6.11人/加算1の届出 14.3%(42病院中6)徳島県/100床あたり6.47人/加算1の届出 14.3%(21病院中3)栃木県/100床あたり7.39人/加算1の届出 14.3%(28病院中4)青森県/100床あたり4.56人/加算1の届出 12%(25病院中3)高知県/100床あたり4.63人/加算1の届出 11.1%(18病院中2)長崎県/100床あたり3.74人/加算1の届出 10.5%(38病院中4)三重県/100床あたり5.55人/加算1の届出 10%(40病院中4)秋田県/100床あたり4.2人/加算1の届出 9.5%(21病院中2)山口県/100床あたり4.47人/加算1の届出 8.7%(46病院中4)鳥取県/100床あたり5.32人/加算1の届出 7.7%(13病院中1)宮崎県/100床あたり5.42人/加算1の届出 7.1%(28病院中2)佐賀県/100床あたり4.77人/加算1の届出 5.9%(17病院中1)山梨県/100床あたり5.9人/加算1の届出 0%(17病院中0)

同じ「届出が少ない県」でも、打ち手が正反対になる

200床以上の病院を、加算1を届け出ている病院とそうでない病院に分けると、 100床あたりの常勤薬剤師は 7.06人5.25人。 体制のある病院ほど薬剤師が多いのは確かです。ただしこれは相関で、 「薬剤師を増やせば届出が進む」と読めるものではありません。

現に、薬剤師の数が全国の半分より多いのに届出が進んでいない県が8県あります。 ここで人員確保の施策を打っても的を外します。効くのは体制整備と届出の後押しです。 逆に人の数から足りない15県では、体制整備だけを求めても現場が動けません。

人も体制もある16県

薬剤師が全国の半分より多く、届出も進んでいる

少ない人数で回している8県

薬剤師は多くないが、届出は進んでいる

人はいるが、届出が進んでいない8県

薬剤師の数は足りている。効くのは体制整備と届出の後押し

人も体制も足りない15県

薬剤師の数から足りない。確保の施策が要る

薬剤師だけが薄いのか、医療職ぜんぶが薄いのか

病床機能報告には医師と看護師の常勤数も入っています。薬剤師と同じ分母(病床)で測ると、 200床以上の病院の100床あたりは薬剤師5.93人・医師27.27人・看護師94.99人。 これを全国=100として県ごとに指数にすると、同じ「薬剤師が少ない県」でも中身が違うことが見えます。

都道府県薬剤師医師看護師薬剤師の下振れ
和歌山県7912197-30
佐賀県80105112-28
青森県7786101-17
鳥取県9090122-16
秋田県717499-15

全国=100。「薬剤師の下振れ」は、薬剤師の指数が医師・看護師の平均からどれだけ低いかです。

たとえば和歌山県は医師121・看護師97に対して薬剤師79。医師はむしろ全国より多く、薬剤師だけが追いついていません。 こういう県では、地域医療全体の底上げではなく薬剤師に固有の確保策が要ります。 逆に3職種そろって低い県では、薬剤師だけに手を打っても構造は変わりません。

指数の分母は200床以上の病院の病床数で、加算の届出率と同じ母集団です。 常勤の実人数であり、常勤換算ではありません。

外来でがん治療を受ける人は、地域の薬局とつながっているか

入院せずに通院で抗がん剤治療を受ける人が増えています。その体制が外来腫瘍化学療法診療料で、全国1,986病院が届け出ています。

このとき、病院が治療計画(レジメン)を地域の薬局と共有し、薬局側でも副作用を確認できるようにする体制が連携充実加算です。届け出ているのは1,003病院=50.5%外来でがん化学療法を行う病院の、およそ半分にとどまります。

そして50の二次医療圏では、外来化学療法を行う病院はあるのに、 薬局と連携する体制を届け出た病院が1つもありません。その地域で治療を受ける人は、処方元と薬局のあいだで情報が渡らないまま薬を受け取ることになります。

都道府県外来化学療法薬局と連携連携率
愛知県735372.6%
富山県221568.2%
京都府463167.4%
──
佐賀県16318.8%
山梨県15320%
徳島県19631.6%
宮崎県25832%
大分県331133.3%

外来化学療法の届出が15病院以上の県のみ。病床規模では絞っていません(外来化学療法は200床未満の病院も担うため)。

47都道府県

列名を押すと並べ替わります。初期は加算1の届出率の高い順。

都道府県200床以上加算1の届出率加算1・2・3100床あたり薬剤師薬剤師の下振れがん薬局連携薬剤業務向上加算
和歌山県1546.7% 7/1573.3%4.66-3059.1%13/221
石川県2941.4% 12/2948.3%5.41-146.4%13/282
京都府5040% 20/5058%5.12-1267.4%31/462
岩手県2540% 10/2548%5.39554.5%12/220
滋賀県2339.1% 9/2360.9%6-1156%14/250
岐阜県3237.5% 12/3259.4%6.06254.8%17/312
長野県3636.1% 13/3663.9%5.96158.3%21/361
大阪府17135.7% 61/17157.3%6.15658.2%78/1346
東京都19035.3% 67/19059.5%7.45-455.1%87/1585
埼玉県9933.3% 33/9950.5%6.451451.1%46/900
神奈川県13732.8% 45/13751.8%6.42-361.9%60/974
群馬県3732.4% 12/3743.2%5.46045.2%14/310
愛知県10231.4% 32/10252.9%6.53972.6%53/734
岡山県3531.4% 11/3554.3%7.19535.1%13/374
兵庫県9330.1% 28/9352.7%6.4-252.3%45/863
広島県5729.8% 17/5747.4%6.02540.8%20/491
千葉県10428.8% 30/10451%6.712048.8%40/823
島根県1827.8% 5/1850%5.51-535%7/201
奈良県2722.2% 6/2751.9%6.21-548.1%13/273
熊本県4621.7% 10/4645.7%4.99053.3%16/302
愛媛県2920.7% 6/2931%5.05-834.6%9/261
静岡県5920.3% 12/5942.4%5.65-342.9%21/494
茨城県5020% 10/5046%6.49045.5%20/441
富山県1717.6% 3/1758.8%5.54-1168.2%15/220
宮城県4017.5% 7/4047.5%6.44462.5%20/322
大分県2317.4% 4/2343.5%5.63-533.3%11/332
福島県3616.7% 6/3630.6%5.6-447.1%16/341
北海道12816.4% 21/12835.2%4.81446.5%53/1141
鹿児島県3716.2% 6/3737.8%5.4135.6%16/450
福岡県13616.2% 22/13637.5%5.37-645.7%43/945
山形県2516% 4/2532%4.56-783.3%10/120
新潟県4515.6% 7/4546.7%4.62-345.9%17/370
福井県1315.4% 2/1330.8%5.28-1237.5%6/160
香川県2015% 3/2040%5.14-1152.4%11/210
沖縄県4214.3% 6/4231%6.11039.1%9/231
徳島県2114.3% 3/2133.3%6.47431.6%6/190
栃木県2814.3% 4/2846.4%7.39756.5%13/230
青森県2512% 3/2536%4.56-1747.6%10/210
高知県1811.1% 2/1827.8%4.63-1452.9%9/171
長崎県3810.5% 4/3831.6%3.74-1241.9%13/311
三重県4010% 4/4047.5%5.55250%14/281
秋田県219.5% 2/2147.6%4.2-1556%14/250
山口県468.7% 4/4626.1%4.47544.8%13/291
鳥取県137.7% 1/1338.5%5.32-1663.6%7/110
宮崎県287.1% 2/2825%5.42-932%8/251
佐賀県175.9% 1/1735.3%4.77-2818.8%3/160
山梨県170% 0/1729.4%5.9-720%3/151

薬剤業務向上加算は、免許取得直後の薬剤師への研修体制に加えて、都道府県と協力して自院の薬剤師を、薬剤師が不足している地域の医療機関へ出向させる体制を評価する加算です。出向先は都道府県の薬剤師確保を担当する部署と協議して選ぶことが施設基準に定められ、 不足地域の判断は薬剤師偏在指標に基づきます。全国で68病院。県によっては0件です。

二次医療圏まで下ろすと、県内の濃淡が出ます

200床以上の病院がありながら病棟薬剤業務実施加算がどれも無い二次医療圏が、全国に50あります (310圏中)。どの圏域かは県ごとに違い、県内でも偏っています。 病院側の医療圏ごとの内訳——どの圏域に届出が無いか、圏域ごとの薬剤師密度まで——は、 都道府県別レポートに載せています。

レポートの本体は薬局の供給持久度で、そこに病院の章が加わる形です。 同じ県を薬局の側から見ると、病院とは別の濃淡が出ます。

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出典と、この数字で言えないこと

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