大阪府 › 豊能(二次医療圏)
CrossHealth / 薬局持久度レポート
ひとつの医療圏に、都市と山あいが同居している
豊能医療圏6市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
豊能医療圏は豊中市・吹田市・箕面市・池田市という大阪北部の市街地に、豊能町・能勢町という山あいの2町が加わった圏域です。この6市町の経営体力の差は48ポイント——大阪市に次いで府内で2番目に大きい開きです。
豊能医療圏の薬局は506軒。うち498軒が豊中市・吹田市・箕面市・池田市の4市に集まっています。この4市はいずれも65歳以上人口が今後20年で+13%から+25%増え、経営体力は横ばいから微増(吹田市 +6.9%)で推移します。いっぽう北の豊能町・能勢町は、すでに高齢化率が52.2%・47.9%に達しており、2045年には66.1%・66.2%——住民の3人に2人が65歳以上になります。そして65歳以上人口そのものが-32%・-22%と減っていく。高齢化が進むのに需要は減るという、圏内でもっとも難しい局面です。この2町にある薬局は合わせて8軒。1軒の開廃が地域のアクセスをそのまま左右する規模で、実際この2町では2025年に真の閉局は起きていません(出された廃止届1件は承継・移転でした)。圏域全体では、65歳以上人口のピークが2050年と府内で最も遅く、処方せん需要の指数も2025年を100として2045年に117.0——需要の条件そのものは府内で恵まれているほうです。それでも同じ圏域の中に48ポイントの差が生まれる。「医療圏の平均」がいかに実態を隠すかが、いちばんはっきり出る圏域です。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市区町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが豊能町(-41.5%)、いちばん緑なのが吹田市(+6.9%)で、同じ豊能医療圏の中に48ポイントの開きがあります。
人口動態 ── 需要の源豊能医療圏は「人が減り、お年寄りが増える」
なぜ市区町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。豊能医療圏全体では、総人口は105.5万→99.0万人(-6%)と減り、65歳以上は27.7万→32.4万人(+17%)と増えます。高齢化率は26.3%→32.8%へ。65歳以上のピークは2050年で、その波がいつ来るかが市区町村で違うのです。
ランキング ── 市区町村差経営がしんどくなる市町・楽になる市町
市部と山あいで符号が反転します。吹田市・箕面市は微増、豊中市・池田市はほぼ横ばい、豊能町・能勢町は3割から4割減。同じ医療圏の中で起きていることです。
くわしい数字6市区町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 豊中市 | 199 | 26.5% | 12,935 → 12,736 | -1.5% |
| 吹田市 | 180 | 24.1% | 12,617 → 13,493 | +6.9% |
| 箕面市 | 70 | 26.3% | 12,528 → 12,860 | +2.7% |
| 池田市 | 49 | 27.7% | 14,308 → 13,856 | -3.2% |
| 豊能町 | 7 | 52.2% | 30,280 → 17,726 | -41.5% |
| 能勢町 | 1 | 47.9% | 95,000 → 63,494 | -33.2% |
※処方せん需要は豊能医療圏全体の実績(NDB)を市区町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 大阪府(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 豊能医療圏(このページ・Lv2)=6市区町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・徒歩アクセス・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は潰れる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】豊能医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間6,730,013枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(大阪府=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に117.0)。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は、Lv1の供給動学モデルでのみ扱っています。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(豊能医療圏の2025年で6件)。廃止届は全部で14件出ていますが、そのうち8件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。「薬局が無くなったか」を問うレポートなので、承継・移転は閉局に数えません(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。2026年分は本稿執筆時点でまだ年の途中のため、参考値(真の閉局3件)として別に持っています。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出住所または座標に基づき、市区町村境界の点内判定で割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある438店を分母にしています(圏内全506店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【小さすぎる分母】豊能町・能勢町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。
この地図は今後も更新されます。あなたの地域の変化を見逃さないよう、無料会員登録でお知らせを受け取れます。
登録は無料・パスワード不要(メールに確認リンクが届きます)。登録済みの方はログイン
お仕事のご依頼
自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。
お問い合わせ →