大阪府中河内(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

3つの市で1つの医療圏、そして東大阪が6割

中河内医療圏3市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 中河内医療圏 3市区町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

中河内医療圏は3つの市だけで構成される、大阪府でもっともコンパクトな圏域のひとつです。薬局383軒のうち235軒——61%が東大阪市に集中しています。かかりつけ薬剤師の届出率73.3%は府内8医療圏で最も低い水準です。

3
中河内医療圏の市区町村
383
圏内の薬局数
11
直近12か月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-9〜+2%
経営体力の変化レンジ(市区町村差)

中河内医療圏は東大阪市・八尾市・柏原市の3市。薬局383軒の61%が東大阪市にあり、圏域の姿はほぼ東大阪市の姿です。目を引くのは機能の届出です。かかりつけ薬剤師指導料の届出率は圏全体で73.3%で、大阪府8医療圏の中でもっとも低い水準です(最も高い南河内医療圏は82.5%)。圏内の内訳は東大阪市70.0%・柏原市75.9%・八尾市79.0%で、圏内で最も低いのは薬局の6割を抱える東大阪市です。届出は実際の提供実績とイコールではありませんが、「かかりつけ機能を掲げる薬局の比率」という点では、この圏域は薄い。閉局の面でも動きが出ています。直近12か月(2025年7月〜2026年6月)に承継も移転もされず消えた薬局は11軒——薬局383軒に対して2.87%で、これは泉州医療圏(3.75%)に次ぐ府内2番目の比率です(府内で最も低い三島医療圏は0.80%)。引き継がれなかった割合も44.0%と府内3番目に高く、廃止のうち4割超は担い手が見つかっていません。人口は総人口-17%、65歳以上は2040年ピーク。圏内では柏原市だけが65歳以上人口の減少局面(-1%)に入り、経営体力は-8.7%と圏内で唯一大きく沈みます。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市区町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが柏原市(-8.7%)、いちばん緑なのが東大阪市(+2.2%)で、同じ中河内医療圏の中に11ポイントの開きがあります。東大阪市をクリックすると、区界・薬局分布・徒歩アクセスまで踏み込んだ詳細レポートへ進みます。

柏原市:薬局33/1軒あたり処方せん -8.7%柏原市八尾市:薬局115/1軒あたり処方せん -1.6%八尾市東大阪市:薬局235/1軒あたり処方せん +2.2%東大阪市
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-9%)増える(+2%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。
東大阪市の詳細レポートを見る →

人口動態 ── 需要の源中河内医療圏は「人が減り、お年寄りが増える」

なぜ市区町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。中河内医療圏全体では、総人口は80.1万→66.4万人(-17%)と減り、65歳以上は23.5万→25.4万人(+8%)と増えます。高齢化率は29.3%→38.3%へ。65歳以上のピークは2040年で、その波がいつ来るかが市区町村で違うのです。

総人口65歳以上
0万22万45万68万90万20252030203520402045205063万25万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上は2040年にピークを迎えます。

ランキング ── 市区町村差経営がしんどくなる市・楽になる市

3市しかないため順位というより対比です。柏原市(-8.7%)と東大阪市(+2.2%)が両端になります。

柏原市
-8.7%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
八尾市
-1.6%
東大阪市
+2.2%

くわしい数字3市区町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
東大阪市23529.2%12,086 → 12,346+2.2%
八尾市11529.0%13,212 → 12,996-1.6%
柏原市3331.3%12,670 → 11,571-8.7%

※処方せん需要は中河内医療圏全体の実績(NDB)を市区町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 大阪府(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 中河内医療圏(このページ・Lv2)=3市区町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 東大阪市(詳細・有料)=区界・薬局分布・徒歩アクセス・経営2シナリオまで。薬局持久度カルテ会員向け。

中河内医療圏 3市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度カルテ会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。中河内医療圏にいまある383軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.87です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-17.1%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は90.1%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。中河内医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は373軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 336軒=90.1%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 257軒=68.9%、在宅薬学総合体制加算 197軒=52.8%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 307軒=82.3%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回68.9%/これまで73.3%(差-4.4ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回90.1%/これまで58.7%(差+31.4ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回52.8%/これまで63.6%(差-10.8ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は潰れる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】中河内医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間4,777,716枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(大阪府=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に108.4)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は、Lv1の供給動学モデルでのみ扱っています。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(中河内医療圏の直近12か月・2025年7月〜2026年6月で11件)。廃止届は全部で25件出ていますが、そのうち14件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。「薬局が無くなったか」を問うレポートなので、承継・移転は閉局に数えません(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。2026年分は本稿執筆時点でまだ年の途中のため、参考値(真の閉局2件)として別に持っています。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出住所または座標に基づき、市区町村境界の点内判定で割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある341店を分母にしています(圏内全383店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。

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