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CrossHealth / 薬局持久度レポート
閉局がいちばん起きている圏域。そして、引き継がれにくい
北部医療圏7市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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北部医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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この12ヶ月、北部医療圏では薬局254軒のうち11軒が承継も移転もされずに消えました。真の閉局率4.33%は県内10医療圏で最高で、県平均(1.78%)の2倍を超えます。
北部医療圏(熊谷・本庄・深谷と周辺4町)は、埼玉県で閉局がいちばん現実になっている圏域です。この12ヶ月の廃止届18件のうち移転・承継は7件で、11軒はそのまま消えました。引き継がれなかった割合61.1%は県内2位です。内訳をみると、真の閉局11軒のうち7軒が熊谷市に集中しています(熊谷市の薬局は96軒)。ただし、単年の数字には幅があります。暦年4年の真の閉局は3件→3件→4件→9件で、直近1年(この窓では11件)が突出して多い。4年平均の閉局率は1.87%で、引き継がれなかった割合も4年では43.2%まで下がります。「急に増えたのか、たまたま重なったのか」は、来年の名簿まで断定できません。背景の需要は伸び悩む側です。65歳以上人口の伸びは+5.7%にとどまり、ピークは2040年。寄居町ではすでに減少に入ります。1軒あたり処方せん12,289枚も県内で2番目に少なく、かかりつけ58.7%・地域連携34.6%・在宅39.8%の届出率はいずれも県内下位。徒歩10分カバー率64.0%は県内で2番目に低く、神川町では24.4%——4人に3人が徒歩10分圏の外です。閉局が現実に起き、引き継がれにくく、徒歩圏も薄い。1軒が閉じたときの重みが、県内でいちばん大きい圏域です。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが寄居町(-12.8%)、いちばん緑なのが上里町(+9.6%)で、同じ北部医療圏の中に22.4ポイントの開きがあります。
人口動態 ── 需要の源北部医療圏は「人は減るが、お年寄りはまだ増える」
なぜ市町ごとに明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。北部医療圏全体では、総人口は48.7万→40.8万人(-16.3%)と減り、65歳以上は15.5万→16.4万人(+5.7%)と増えます。高齢化率は31.8%→40.1%へ。65歳以上のピークは2040年で、需要の山はまだ先にあります。65歳以上人口が2045年までに減る市町は1あります。埼玉県全体の65歳以上人口が+15.6%増えるなかで、この圏域の中には-7.9%(寄居町)から+15.8%(上里町)までが同居しています。
医療計画 ── 県の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。
・北部地域医療構想調整会議において、通年化される診療実績報告、病床機能報告及び定量基準分析の数値により平均在院日数の短縮及び病床稼働率の向上について検討を行う。
埼玉県地域保健医療計画 埼玉県地域保健医療計画(令和6-11年度)本文 PDF 520ページ・北部地域保健医療・地域医療構想協議会において、医療機関からの病床機能報告及び県が実施した定量基準分析手法により、平均在院日数の短縮、病床稼働率の向上及び非稼働病床の状況について検討した。
埼玉県地域保健医療計画 埼玉県地域保健医療計画(令和6-11年度)本文 PDF 519ページ北部地域では、多くの入院患者が群馬県を中心に流出しています。
埼玉県地域保健医療計画 埼玉県地域保健医療計画(令和6-11年度)本文 PDF 517ページ並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。
4年の推移この圏域で、4年間に閉じた薬局と、引き継がれた薬局
埼玉県は廃止名簿が2022年から連続してそろうため、暦年で4年ぶんを並べられます。北部医療圏の真の閉局は3件→3件→4件→9件、移転・承継は10件→8件→1件→6件でした。4年合計では真の閉局19件・移転承継25件で、薬局254軒に対する年平均の真の閉局率は1.87%になります。1年ぶんだけを見ると数件の差で印象が変わってしまう規模なので、単年の数字は幅をもって読んでください。
徒歩アクセス ── 歩いて行ける薬局徒歩10分圏に住む人は64.0%
250mメッシュの人口ごとに最寄りの薬局までの距離を測ると、北部医療圏では人口の64.0%が徒歩10分圏(直線距離×1.3を分速80mで換算した近似)に住んでいます。10分圏の外は175,309人。市町ごとの差は大きく、本庄市の71.6%から神川町の24.4%まで47.2ポイント開きます。半分以上の住民が10分圏の外にいる市町が3つあります(寄居町・美里町・神川町)。実際の道路・坂・信号は考慮していない近似で、自動車での移動しやすさはこの指標では測れません。
ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町
寄居町(-12.8%)から上里町(+9.6%)まで22.4ポイント。寄居町は65歳以上人口も減る唯一の町で、薬局13軒に対してこの12ヶ月で真の閉局が1件出ています。
くわしい数字7市町データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 熊谷市 | 96 | 31.4% | 12,479 → 12,298 | -1.5% |
| 深谷市 | 76 | 31.1% | 11,352 → 11,360 | +0.1% |
| 本庄市 | 46 | 30.7% | 10,331 → 10,905 | +5.6% |
| 上里町 | 14 | 31.4% | 13,348 → 14,627 | +9.6% |
| 寄居町 | 13 | 36.7% | 17,432 → 15,200 | -12.8% |
| 美里町 | 5 | 36.4% | 15,686 → 15,832 | +0.9% |
| 神川町 | 4 | 36.3% | 23,354 → 23,569 | +0.9% |
※処方せん需要は北部医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 埼玉県(ひとつ上・Lv1)=10の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 北部医療圏(このページ・Lv2)=7市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。北部医療圏にいまある254軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.44です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-16.3%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は84.6%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。北部医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は253軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 214軒=84.6%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 109軒=43.1%、在宅薬学総合体制加算 73軒=28.9%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 200軒=79.1%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回43.1%/これまで58.7%(差-15.6ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回84.6%/これまで34.6%(差+50.0ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回28.9%/これまで39.8%(差-10.9ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き、そして徒歩でのアクセスの近似です。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】北部医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間3,121,304枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(埼玉県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に105.7)。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(北部医療圏で11件)。廃止届は全部で18件出ていますが、そのうち7件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。既定の集計期間は、もっとも新しい完全な12ヶ月(2025年5月〜2026年4月(12ヶ月))です。埼玉県は名簿が2022年から連続してそろうため、暦年2022〜2025の4年ぶんも clo_multiyear に持っています。
- 【閉局件数は下限値】閉局の件数は2026年7月29日時点の名簿(2026.7号まで)の値です。名簿には廃止日から掲載までのタイムラグがあり(92%が2ヶ月以内・97%が6ヶ月以内)、同じ集計期間の件数が今後の号で増える可能性があります。
- 【閉局の場所の決め方】閉局は届出住所から市区町村に割り当てています。名簿由来の座標には代表点(役所など)に落ちるゆらぎが混ざっており、座標だけで割り当てると特定の区・町に閉局が集中しているように見える誤りが生じるためです(薬局の集計と同じ「届出上の所在地」原則)。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。この圏域は全254店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【徒歩アクセスの計算方法】250mメッシュの人口ごとに、最寄りの調剤薬局までの直線距離×迂回係数1.3を分速80m(時速4.8km)で割った近似です。実際の道路・坂・信号・川の迂回は考慮していません(道路網ベースの計算への置き換えを準備中です)。市区町村の境をまたいだ最寄り薬局も「近い」と数えています。ただし県境の外(隣県)の薬局は候補に入れていないため、県境の自治体では実際より低く出ることがあります。自動車での移動しやすさは、この指標では測れません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【小さすぎる分母】美里町・神川町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様です。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
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北部医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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