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CrossHealth / 薬局持久度レポート
廃止届は出る。でも、ほとんどが引き継がれる圏域
南西部医療圏7市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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南西部医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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この12ヶ月、南西部医療圏で出た薬局の廃止届は13件。そのうち11件は別の担い手に引き継がれ、そのまま消えたのは2軒でした。真の閉局率0.7%は県内10医療圏でいちばん低い数字です。
薬局の廃止届には、移転や承継で別の機関コードに引き継がれたものと、そのまま無くなったものが混ざっています。南西部医療圏のこの12ヶ月は、廃止届13件のうち引き継がれたのが11件、消えたのは2軒。引き継がれなかった割合15.4%も真の閉局率0.7%も県内で最も低く、承継がいちばん機能している圏域だと読めます。ただし、この12ヶ月がたまたま静かだった可能性は残ります。暦年4年(2022〜2025)でみると引き継がれなかった割合は40.5%で、県平均(42.2%)と大差ありません。単年の順位は幅をもって読んでください。背景の需要は堅い側です。65歳以上人口は+27.7%増え、2050年になってもまだ増え続けます。圏内では朝霞市(+11.4%)と三芳町(-8.5%)が両端で、差は19.9ポイントと県内では小さいほう——つまり圏内が比較的そろって「伸びる側」にいます。かかりつけ届出率65.5%・在宅53.3%も県平均を上回ります。買い手から見て引き継ぐ価値のある商圏が保たれている——数字はそう並んでいます。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが三芳町(-8.5%)、いちばん緑なのが朝霞市(+11.4%)で、同じ南西部医療圏の中に19.9ポイントの開きがあります。
人口動態 ── 需要の源南西部医療圏は「人は減るが、お年寄りはまだ増える」
なぜ市町ごとに明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。南西部医療圏全体では、総人口は73.6万→72.8万人(-1.0%)と減り、65歳以上は17.7万→22.6万人(+27.7%)と増えます。高齢化率は24.0%→31.0%へ。65歳以上のピークは2050年で、需要の山はまだ先にあります。65歳以上人口は全市町で増えます。埼玉県全体の65歳以上人口が+15.6%増えるなかで、この圏域の中には+16.9%(三芳町)から+42.2%(朝霞市)までが同居しています。
医療計画 ── 県の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
この圏域を名指しした記述は、収録済みの計画本文からは見つかりませんでした。
4年の推移この圏域で、4年間に閉じた薬局と、引き継がれた薬局
埼玉県は廃止名簿が2022年から連続してそろうため、暦年で4年ぶんを並べられます。南西部医療圏の真の閉局は3件→5件→7件→2件、移転・承継は4件→7件→9件→5件でした。4年合計では真の閉局17件・移転承継25件で、薬局287軒に対する年平均の真の閉局率は1.48%になります。1年ぶんだけを見ると数件の差で印象が変わってしまう規模なので、単年の数字は幅をもって読んでください。
徒歩アクセス ── 歩いて行ける薬局徒歩10分圏に住む人は89.6%
250mメッシュの人口ごとに最寄りの薬局までの距離を測ると、南西部医療圏では人口の89.6%が徒歩10分圏(直線距離×1.3を分速80mで換算した近似)に住んでいます。10分圏の外は76,670人。市町ごとの差は大きく、富士見市の96.4%から和光市の79.0%まで17.4ポイント開きます。実際の道路・坂・信号は考慮していない近似で、自動車での移動しやすさはこの指標では測れません。
ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町
三芳町(-8.5%)から朝霞市(+11.4%)まで19.9ポイント。マイナス側は三芳町・新座市・富士見市・志木市・ふじみ野市の5市町ですが、いずれも65歳以上人口そのものは増えます。
くわしい数字7市町データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 新座市 | 59 | 26.3% | 17,921 → 17,088 | -4.6% |
| 朝霞市 | 54 | 20.0% | 12,766 → 14,215 | +11.4% |
| ふじみ野市 | 50 | 27.1% | 14,580 → 14,510 | -0.5% |
| 富士見市 | 48 | 24.4% | 13,723 → 13,388 | -2.4% |
| 志木市 | 31 | 25.0% | 14,860 → 14,528 | -2.2% |
| 和光市 | 31 | 18.1% | 11,995 → 12,761 | +6.4% |
| 三芳町 | 14 | 30.5% | 19,453 → 17,808 | -8.5% |
※処方せん需要は南西部医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 埼玉県(ひとつ上・Lv1)=10の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 南西部医療圏(このページ・Lv2)=7市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。南西部医療圏にいまある287軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.75です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-1.0%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は84.3%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。南西部医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は300軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 253軒=84.3%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 179軒=59.7%、在宅薬学総合体制加算 128軒=42.7%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 252軒=84.0%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回59.7%/これまで65.5%(差-5.8ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回84.3%/これまで48.8%(差+35.5ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回42.7%/これまで53.3%(差-10.6ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き、そして徒歩でのアクセスの近似です。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】南西部医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間4,239,269枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(埼玉県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に127.7)。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(南西部医療圏で2件)。廃止届は全部で13件出ていますが、そのうち11件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。既定の集計期間は、もっとも新しい完全な12ヶ月(2025年5月〜2026年4月(12ヶ月))です。埼玉県は名簿が2022年から連続してそろうため、暦年2022〜2025の4年ぶんも clo_multiyear に持っています。
- 【閉局件数は下限値】閉局の件数は2026年7月29日時点の名簿(2026.7号まで)の値です。名簿には廃止日から掲載までのタイムラグがあり(92%が2ヶ月以内・97%が6ヶ月以内)、同じ集計期間の件数が今後の号で増える可能性があります。
- 【閉局の場所の決め方】閉局は届出住所から市区町村に割り当てています。名簿由来の座標には代表点(役所など)に落ちるゆらぎが混ざっており、座標だけで割り当てると特定の区・町に閉局が集中しているように見える誤りが生じるためです(薬局の集計と同じ「届出上の所在地」原則)。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。この圏域は全287店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【徒歩アクセスの計算方法】250mメッシュの人口ごとに、最寄りの調剤薬局までの直線距離×迂回係数1.3を分速80m(時速4.8km)で割った近似です。実際の道路・坂・信号・川の迂回は考慮していません(道路網ベースの計算への置き換えを準備中です)。市区町村の境をまたいだ最寄り薬局も「近い」と数えています。ただし県境の外(隣県)の薬局は候補に入れていないため、県境の自治体では実際より低く出ることがあります。自動車での移動しやすさは、この指標では測れません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
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