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CrossHealth / 薬局持久度レポート
県で唯一、需要が増える圏。その中に、県でいちばん人が減る町がある
新潟医療圏11市区町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
新潟医療圏は新潟市の8行政区に五泉市・阿賀野市・阿賀町を加えた11市区町村からなり、新潟県7医療圏でもっとも自治体数が多く、薬局も512軒=県内の44.2%と最多です。新潟県は県全体では処方せん需要が-4.8%と減りますが、プラスなのは7医療圏でこの圏だけ(+2.7%)。ただし圏の平均は、圏内のどの自治体の実感でもありません。65歳以上人口の変化で見ると阿賀町(-37.2%)から中央区(+16.5%)まで53.7ポイント——新潟県7医療圏どうしの落差29.0ポイントの1.9倍開いています。
新潟医療圏の中身は、大きく3層に分かれます。ひとつめは新潟市の中心部。中央区に薬局148軒=圏内の28.9%が集まり、65歳以上人口も+16.5%と圏内でいちばん増えます。総人口の減りも-8.5%と圏内でいちばん小さい。ところが薬局1軒あたりの処方せんは7,792枚で圏内・県内ともに最少です。需要が伸びる場所に薬局が最も密集している、という形です。ふたつめが、新潟市の周縁と近隣市です。五泉市・阿賀野市・西蒲区・北区・南区の5市区は65歳以上人口がすでに減る側で、うち4市区はピークが2025年=もう過ぎています。みっつめが阿賀町です。薬局2軒で面積952km²——薬局1軒あたり476km²は新潟県の市区町村で最大で、中央区の0.3km²とは1,587.3倍違います。高齢化率も52.2%→62.1%と県内最高、総人口は-47.3%と県内最大の減少です。閉局の面では、2025年(暦年)に出た廃止届が28件で県内最多(県全体50件の56%)。うち18件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは10軒(圏内の1.95%)でした。4年ぶん(2022年5月〜2026年4月(48ヶ月))に広げると廃止届120件・真の閉局40件で、引き継がれなかった割合は33.3%——県全体の42.9%より低い水準です。担い手の入れ替わりがいちばん激しいのに、薬局そのものは相対的に消えていない圏、と読めます。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が69.5%で県平均(70.0%)を下回り、7医療圏で3位。圏内では西蒲区が地域連携薬局13.3%・在宅20.0%と最も薄く、「県都の医療圏だから機能が厚い」とは限らないことが分かります。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市区町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが阿賀町(-38.9%)、いちばん緑なのが中央区(+13.4%)です。ただし阿賀町は薬局2軒の町で、1店の開廃で数字がまるごと動きます。面積の広い自治体ほど地図では目立ちますが、薬局の数とは比例しません(阿賀町は圏の面積の42.9%を占めますが、薬局は0.4%です)。
人口動態 ── 需要の源新潟医療圏は「人は減るが、お年寄りは少し増える」
なぜ市区町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。新潟医療圏全体では、総人口が85.4万→71.0万人(-16.8%)と減る一方、65歳以上は27.4万→28.2万人(+2.7%)とわずかに増えます。これが新潟県で唯一のプラスです。高齢化率は32.1%→39.6%。圏の65歳以上のピークは2040年です。ただし圏内11市区町村のうち5市区町村はすでに2025年でピークを過ぎており(阿賀町・五泉市・阿賀野市・西蒲区・北区)、65歳以上が2045年までに増えるのは5市区(中央区・西区・江南区・東区・秋葉区)だけです。高齢化率が圏内で最も高いのは阿賀町の52.2%で、2045年には62.1%になります。総人口の減りが最大なのも阿賀町(-47.3%)で、これは新潟県37市区町村のなかでも最大です。
広さ ── 「近くの薬局」の意味が違う薬局1軒あたりの面積は、圏内で1,587.3倍違う
新潟医療圏の面積は2,222km²で、薬局512軒で割ると1軒あたり4.3km²。新潟県の7医療圏でいちばん密な圏です。ところが圏内では中央区の0.3km²から阿賀町の476km²まで1,587.3倍——阿賀町の1軒あたりは円に直すと半径約12kmにあたります。「同じ医療圏」という言葉の中に、この差があります。※この面積の指標は行政区域ポリゴンの幾何だけから出したもので、道路・公共交通・冬期の積雪は含みません。250mメッシュ人口による徒歩アクセス率(千葉県版の指標)は、新潟県分のメッシュが未投入のため出せていません。
ランキング ── 市区町村差経営がしんどくなる市区町村・楽になる市区町村
阿賀町(-38.9%)から中央区(+13.4%)まで52.3ポイントの開き。マイナスは7市区町村です。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)です。この圏は新潟県で唯一プラス側にいるため、絶対量でも中央区は+16.5%、阿賀町は-37.2%となります。絶対量で増えるのは中央区・西区・江南区・東区・秋葉区の5市区です。なお圏内11市区町村のうち薬局8軒未満は阿賀町の1町だけで、既刊の広域圏(北海道・後志の20市町村中9など)に比べると市区町村どうしを比べやすい圏です。薬局8軒以上の10市区に限ると、1軒あたり処方せんは7,792〜19,897枚(2.55倍)に収まります。
くわしい数字11市区町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 中央区 | 148 | 27.3% | 7,792 → 8,838 | +13.4% |
| 西区 | 92 | 30.1% | 12,256 → 13,070 | +6.6% |
| 東区 | 64 | 30.7% | 14,574 → 14,962 | +2.7% |
| 秋葉区 | 42 | 33.9% | 13,681 → 13,429 | -1.8% |
| 北区 | 37 | 33.9% | 15,088 → 13,978 | -7.4% |
| 西蒲区 | 30 | 39.1% | 15,576 → 13,641 | -12.4% |
| 江南区 | 30 | 31.7% | 16,731 → 17,328 | +3.6% |
| 五泉市 | 25 | 38.7% | 15,937 → 13,307 | -16.5% |
| 南区 | 25 | 34.9% | 13,663 → 13,207 | -3.3% |
| 阿賀野市 | 17 | 37.4% | 19,897 → 17,303 | -13.0% |
| 阿賀町 | 2 | 52.2% | 53,331 → 32,592 | -38.9% |
※処方せん需要は新潟医療圏全体の実績(NDB)を市区町村の高齢人口で按分した推計です。閉局は暦年2025の集計で、移転・承継を除いています(4年窓の列も併記しています)。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 新潟県(ひとつ上・Lv1)=7の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 新潟医療圏(このページ・Lv2)=11市区町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】新潟医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間6,500,558枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この按分は居住地ベースなので、市区町村をまたいで薬局を使う流出入は映していません。この圏には薬局0軒の市区町村が無いため、市区町村別の1軒あたり処方せんを足し戻すと圏のNDB実績に100.0%で閉じる(薬局0軒の自治体がある下越医療圏では閉じない)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(新潟県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に102.7)。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(新潟医療圏で10件)。廃止届は全部で28件出ていますが、そのうち18件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。集計期間は暦年2025(2025年1月〜12月)です(関東信越厚生局の新潟県分は廃止日2022年3月以降が完全なので、暦年2025は完全にそろいます)。
- 【単年の市区町村ランキングを性質として読まないこと】圏内の真の閉局は暦年2025で10件、廃止届も28件で、2市区町村では廃止届が0件でした。1件で率が大きく動くため、市区町村どうしの閉局率の比較はできません。4年窓(2022年5月〜2026年4月(48ヶ月))では廃止届120件・真の閉局40件・引き継がれなかった割合33.3%で、廃止届が0件の市区町村は1まで減ります。比較にはこの4年値をお使いください。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある512店を分母にしています(圏内全512店=欠測なし)。届出=実際の提供実績ではありません。薬局2軒の阿賀町では1店の届出の有無で50ポイント動くため、この町の届出率を他と並べて読むことはできません。
- 【小さすぎる分母】新潟医療圏で薬局8軒未満なのは阿賀町の1町だけです(薬局0軒の市区町村はありません)。圏内の1軒あたり処方せんのレンジは、8軒以上の10市区に限ると7,792〜19,897枚(2.55倍)、全市区町村では7,792〜53,331枚(6.84倍)です。阿賀町の1軒あたり53,331枚は薬局2軒に圏域の処方せんを按分した結果であって、実測ではありません。
- 【面積の指標について】area_km2 は国土数値情報の行政区域ポリゴンから球面積を積算したものです。道路網・公共交通・冬期の積雪は含みません。「薬局1軒あたり4.3km²」は幾何的な広さであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。250mメッシュ人口による徒歩アクセス率(千葉県版の指標)は、新潟県分のメッシュが未投入のため出せていません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルが新潟県を学習していないため)。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
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