長崎県長崎(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

県庁所在地の圏でも、高齢者はもう増えない

長崎医療圏4市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 長崎医療圏 4市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

長崎医療圏は長崎市・西海市・長与町・時津町の4市町からなり、薬局は303軒——長崎県8医療圏で最多、県内の43.0%がここにあります。その圏でも65歳以上人口は2025→2045年で-6.9%と減り、ピークは2025年——つまり起点の年です。圏内で65歳以上がこれから増えるのは長与町・時津町の2町だけで、そこにある薬局は38軒(圏内の12.5%)です。

4
長崎医療圏の市町
303
圏内の薬局数(県内最多)
7
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-22〜+15%
経営体力の変化レンジ(市町差)

長崎医療圏の中身は、はっきり2つに割れています。西海市・長崎市の2市は65歳以上人口がすでに減少局面に入り、長与町・時津町の2町はそれぞれ2040年・2045年まで増え続ける推計です。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内での相対値)で見ると、いちばん沈むのが西海市(-21.6%)、いちばん伸びるのが時津町(+15.1%)で、その差は36.7ポイント。マイナス側は2市で、「増える側」と「減る側」の顔ぶれは65歳以上人口のピーク年と完全に一致します。規模の偏りは極端です。長崎市だけで薬局257軒=圏内の84.8%を占め、その長崎市の65歳以上人口が-7.4%。つまりこの圏の大勢は長崎市の動きでほぼ決まります。いっぽう西海市は薬局8軒で65歳以上が-27.0%、総人口も-36.9%と圏内で最も減り、薬局1軒あたりの面積は30.2km²と圏内で最も広い(いちばん狭い時津町の1.0km²の30倍)。閉局の面では、直近12ヶ月に出た廃止届16件のうち9件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは7軒(2.31%)でした。消えた7軒はすべて長崎市(市内257軒に対して)で、西海市の廃止届2件はいずれも承継されています。引き継がれなかった割合は43.8%で、長崎県全体(46.7%)とほぼ同じ水準です。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが西海市(-21.6%)、いちばん緑なのが時津町(+15.1%)で、同じ長崎医療圏の中に36.7ポイントの開きがあります。

西海市:薬局8/1軒あたり処方せん -21.6%西海市長崎市:薬局257/1軒あたり処方せん -0.5%長崎市長与町:薬局16/1軒あたり処方せん +13.1%長与町時津町:薬局22/1軒あたり処方せん +15.1%時津町
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-22%)増える(+15%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

人口動態 ── 需要の源長崎医療圏は「人も減り、お年寄りも減る」

なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。長崎医療圏全体では、総人口は47.3万→36.8万人(-22.2%)と減り、65歳以上も16.5万→15.4万人(-6.9%)と減ります。高齢化率は35.0%→41.9%へ上がりますが、それは分母(総人口)が減るからで、高齢者の実数が増えるからではありません。65歳以上のピークは圏全体で2025年——つまり起点の年です。圏内4市町のうち2市で同じく2025年がピークで、65歳以上人口が2045年までに減る市町は2市町です。長崎県全体でも65歳以上は-9.2%と減る推計ですから、この圏域は県の傾向をそのまま映しています。県内で唯一65歳以上が増えるのは県央医療圏(+4.7%)だけです。

総人口65歳以上
0万12万25万38万50万20252030203520402045205034万15万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上のピークは2025年(=起点年)。

ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町

西海市(-21.6%)から時津町(+15.1%)まで36.7ポイントの開き。マイナスは2市です。いまの1軒あたり処方せんは時津町の9,802枚から西海市の31,903枚まで3.25倍開いていますが、これから伸びるのは時津町で、いま最も厚い西海市が最も沈みます。「いま薄いところがこれから薄くなる」とは限りません。なお長崎医療圏には薬局8軒未満の市町はありません(県内で薬局8軒未満の5市町——佐々町・小値賀町・川棚町・東彼杵町・松浦市——はすべて他の圏にあります)。ただし西海市は8軒ちょうどで、1軒の開廃で1軒あたりの数値が大きく振れます。

西海市
-21.6%
長崎市
-0.5%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
長与町
+13.1%
時津町
+15.1%

くわしい数字4市町データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
長崎市25735.5%13,698 → 13,629-0.5%
時津町2229.0%9,802 → 11,282+15.1%
長与町1630.3%19,251 → 21,765+13.1%
西海市842.2%31,903 → 25,014-21.6%

※処方せん需要は長崎医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、長崎県では元データが未取込のため掲載していません。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 長崎県(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 長崎医療圏(このページ・Lv2)=4市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】長崎医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間4,299,179枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(長崎県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に93.1=実数としては減ります)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】九州厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(長崎医療圏で7件)。廃止届は全部で16件出ていますが、そのうち9件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。集計期間は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)で、九州ブロックで統一した窓です(福岡県版など6県の公開値とそのまま並べられます)。データベースには2026年6月21日までの記録がありますが、名簿は廃止日から遅れて掲載されるため終端の月は途中集計になります。集計期間には入れていません。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と比べるときは、参考値として持っている暦年2025の数字(この圏域は真の閉局11件)をお使いください。なお本レポートの初版は 2025年6月〜2026年5月 を集計期間にしていました(この圏域では真の閉局7件で、いまの窓と同じ値です)。九州8県の窓統一にあわせて移行しています。
  • 【機能の届出率は掲載していません】かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅対応の届出率は、長崎県では薬局機能情報提供制度(GMIS)のデータが当データベースに未取込のため掲載していません。集計すると全店0%になりますが、それは「届け出ている薬局が無い」のではなく「データが無い」という意味です。他県版にはこの軸があります。
  • 【徒歩圏カバー率も掲載していません】250mメッシュ人口が長崎県分未投入のためです。代わりに薬局1軒あたりの面積を載せていますが、これは「歩いて行けるか」の代用にはなりません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町コードで割り当てています(未割当0件)。この圏域に薬局0軒の市町はありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】長崎医療圏には薬局8軒未満の市町はありません(県内の該当5市町はすべて他の圏)。ただし西海市は8軒ちょうどで、1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れます。傾向としてのみお読みください。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルを再学習中のため)。

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