CrossHealth / 薬局持久度レポート

「高齢化で需要は増える」が、もう通じない県

和歌山県7つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町村まで下りたレポートへ進めます。

対象 和歌山県 7二次医療圏・30市町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

和歌山県の調剤薬局は499軒。全国の多くの県では「人口が減っても高齢者が増えるから処方せんは増える」と言えますが、和歌山県は違いました。65歳以上の人口は2025年がピークで、2045年には-5.3%。7つの二次医療圏のうち6圏で需要が減り、増えるのは那賀医療圏(+9.9%)だけです。

7
和歌山県の二次医療圏
499
県内の薬局数
12
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-24.2〜+9.9%
処方せん需要の変化レンジ(圏域差)

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが新宮医療圏(-24.2%)、唯一伸びるのが那賀医療圏(+9.9%)。医療圏をクリックすると、その中の市町村差まで下りられます。

和歌山:薬局222軒/1軒あたり処方せん(→2045) -2.2%和歌山御坊:薬局33軒/1軒あたり処方せん(→2045) -6.8%御坊新宮:薬局34軒/1軒あたり処方せん(→2045) -24.2%新宮有田:薬局30軒/1軒あたり処方せん(→2045) -11.3%有田橋本:薬局55軒/1軒あたり処方せん(→2045) -14.0%橋本田辺:薬局69軒/1軒あたり処方せん(→2045) -5.6%(クリックで詳細)田辺那賀:薬局56軒/1軒あたり処方せん(→2045) +9.9%那賀
色=薬局1軒あたり処方せんの変化(→2045)
減る(-24.2%)増える(+9.9%)
医療圏そのものの形で塗り分けています。
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Lv1のこの色は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか)です。医療圏ページ(Lv2)の色は圏内でのシェア移動を示す相対値で、意味が違います。各ページの凡例に従ってお読みください。

人口動態 ── 需要の源65歳以上の人口が、すでにピークを過ぎている

和歌山県の総人口は87.5万→67.9万人(-22.4%)。65歳以上も30.6万→29.0万人(-5.3%)と、こちらも減ります。高齢化率は34.9%→42.7%へ上がりますが、これは「高齢者が増える」からではなく「それ以外の世代がもっと速く減る」からです。7医療圏のうち5圏で65歳以上人口が2025年にピークを打っており、そこには薬局が221軒(県内の44.3%)あります。30市町村で見ると、65歳以上が増えるのは5市町村だけでした。

総人口65歳以上
0万22万45万68万90万20252030203520402045205063万28万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口・65歳以上人口とも2025年以降は減少。高齢化率だけが上がる。

どこで人が残るか ── 中心市ではなく、その隣65歳以上が増える5市町村は、県内にちらばっている

「和歌山市のある紀北が残り、紀南が細る」という南北の図式で語られがちですが、データはもう少し複雑でした。65歳以上人口が2045年までに増える5市町村は、岩出市(+33.0%・那賀医療圏)、上富田町(+18.4%・田辺医療圏)、日高町(+8.9%・御坊医療圏)、和歌山市(+1.1%・和歌山医療圏)、御坊市(+0.6%・御坊医療圏)。紀北・紀中・紀南のどこにもあり、いずれも県内の中心市(和歌山市・田辺市・御坊市)に隣接するか、その中心市そのものです。総人口の減り方がいちばん小さい3市町村も日高町(-6.8%)、岩出市(-10.9%)、上富田町(-13.0%)で、中心市そのものより「中心市の隣の町」が上位に来ます。逆に紀北でも橋本医療圏(-14.0%)のように大きく縮む圏があり、南北の一直線ではありません。

薬局のいない自治体30市町村のうち3つには、調剤薬局が1軒もない

和歌山県30市町村のうち、調剤を行う薬局が1軒も無いのはすさみ町・古座川町・北山村の3町村(2025年の人口あわせて5,780人)です。さらに薬局が8軒未満の自治体が12あり、合わせると15市町村=県内の半分が「薬局8軒未満」の自治体でした。薬局が少ない自治体では、1軒の増減がそのまま地域の医療アクセスに効きます。本レポートで市町村別の比率(届出率・閉局率)を出すとき、分母が8軒未満のものには注記を付けているのはこのためです。なお、隣接自治体の薬局を使っている住民は多く、「薬局0軒=薬が手に入らない」という意味ではありません。徒歩・自動車での到達時間はこのページでは扱っていません。

承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届37件のうち、そのまま消えたのは12件でした

直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に和歌山県で出された薬局の廃止届は37件。ただしこのうち25件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは12軒(薬局499軒の2.4%)、引き継がれなかった割合は県計32.4%でした。この2.4%という水準は、同じ12ヶ月の窓で数えた兵庫県(1.54%)より高く出ています。ただし和歌山県の件数は12件と少なく、1件の増減で0.2ポイント動きます。件数のばらつきを考えると「和歌山のほうが閉局が多い」と言い切れるほどの差ではありません。医療圏別の内訳は圏によって廃止届が1〜14件と少なく、比率で並べると1件の差が大きく効くため、このページでは県全体の数字を主に扱います。

機能の届出 ── 需要の順位とは一致しなかった「需要が減る地域ほど届出が薄い」は、和歌山では成り立たない

在宅患者訪問薬剤管理指導の届出率を医療圏ごとに並べると、新宮の12.5%から御坊の62.5%まで開きます。兵庫県では、この並びが処方せん需要の伸びの並びと8圏すべてで一致しましたが、和歌山県で一致したのは7圏中3圏だけでした。象徴的なのが御坊医療圏です。需要は-6.8%と減る側にいながら、かかりつけ薬剤師指導料84.4%・地域連携薬局59.4%・在宅62.5%と、3指標すべてが県内最高です(届出データのある32店が分母)。いっぽう新宮医療圏は在宅12.5%・かかりつけ56.2%と県内最低で、需要の縮小も県内最大(-24.2%)でした。届出は自己申告で、届出=実際の提供ではありません。「過疎だから薄い」と一括りにはできない、というのがこの県の読みどころです。

ランキング ── 圏域差処方せんが減る医療圏・増える医療圏

新宮(-24.2%)から那賀(+9.9%)まで、34.1ポイントの開きがあります。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。現在の1軒あたり処方せんは有田の8,998枚から和歌山の12,865枚まで1.43倍の開きで、「いま薄い地域が、これからさらに薄くなる」とは限らない点に注意してください。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は現在再学習中です(下の注記)。

新宮
-24.2%
橋本
-14.0%
有田
-11.3%
御坊
-6.8%
田辺
-5.6%
和歌山
-2.2%
那賀
+9.9%

くわしい数字7医療圏データ一覧

地域(医療圏)薬局1軒あたり処方せん
2025 → 2045(枚/年)
変化
和歌山22212,865 12,584-2.2%
田辺6910,755 10,150-5.6%
那賀5610,107 11,112+9.9%
橋本559,177 7,896-14.0%
新宮3411,492 8,709-24.2%
御坊339,121 8,498-6.8%
有田308,998 7,978-11.3%

※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)の集計で、移転・承継を除いています。個店のランキングは作りません。

いま出していない数字供給の将来推計は、再学習中です

このページでは、2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類を外しています。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、閉局の数え方を「移転・承継を除いた本当の閉局」に改めたこと、医療圏の対応表を国土数値情報由来のマスタに統一したこと(和歌山県ではみなべ町の所属が旧データと食い違っていました)の2点により、モデルを学習しなおす必要が生じました。できあがり次第このページに戻します。それまでは、確定している需要側の数字(将来推計人口とNDB処方せん実績)と、現在の供給の事実(薬局数・直近12ヶ月の閉局)だけでお伝えします。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選びました。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 和歌山県(このページ・Lv1)=7つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 二次医療圏(Lv2)=圏内の市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町村(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類はこのページから外しています。閉局の定義変更(移転・承継を除外)と医療圏マスタの統一により、供給の統計モデルを再学習する必要が生じたためです。再学習が済み次第、戻します。
  • 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・県全体で年間5,630,482枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。
  • 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。和歌山県分の名簿は2025年7月号からの収録で、収録されている廃止日は2025-05-31〜2026-04-30です。暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)を集計期間としました。この期間の廃止届は37件で、うち25件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだと読めます。そのまま消えたのは12件です。大阪府(暦年2025・78件)や千葉県(暦年2025・42件)と件数を直接並べるときは、集計期間が違う点にご注意ください。
  • 【閉局の件数が少ないことの意味】和歌山県の真の閉局は12ヶ月で12件です。医療圏別に割ると1圏あたり0〜6件になり、比率(閉局率・承継されなかった割合)は1件の増減で大きく振れます。圏別の比率は参考値として扱い、順位づけには使わないでください。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(県内68店を除外)。位置は届出上の市町村コード、欠けている場合は国土数値情報の市町村境界への点内判定で割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある481店を分母にしています(県内全499店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【薬局が1軒もない自治体】すさみ町・古座川町・北山村の3町村には調剤薬局がありません。隣接自治体の薬局を利用している住民が多く、「薬が手に入らない」という意味ではありません。到達時間の分析は250mメッシュのデータが和歌山県分未投入のため、このレポートには含めていません。
  • 【圏をまたぐ受療は見ていません】処方せんは「その医療圏の医療機関から出た枚数」で、住民がどこにかかったかは区別していません。中心市に病院が集まる圏域では、周辺から流入した患者のぶんも中心市側に計上されます。圏どうしの流出入を扱うには別のデータが要ります。
  • 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。和歌山県は和歌山・那賀・橋本・有田・御坊・田辺・新宮の7圏です。みなべ町は日高郡ですが、医療圏は田辺です。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。

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