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CrossHealth / 薬局持久度レポート
薬局が1軒もない自治体を2つ抱える、県内でただひとつの圏
新宮医療圏6市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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新宮医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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新宮医療圏の6市町村のうち、古座川町と北山村には調剤を行う薬局が1軒もありません。和歌山県で薬局0軒の自治体は3つ(残る1つは田辺医療圏のすさみ町)で、2つを抱えるのはこの圏だけです。圏全体の65歳以上人口は2025→2045で-24.2%と県内で最も深く縮み、2045年の高齢化率52.1%も県内で最も高くなります。薬局は34軒です。
新宮医療圏は新宮市18軒・串本町8軒・那智勝浦町7軒・太地町1軒、そして古座川町・北山村が0軒という構成です。三重県・奈良県と接する県の南東端で、6市町村すべてで65歳以上人口のピークが2025年=すでに減少局面に入っています。機能の届出は、かかりつけ薬剤師指導料56.2%・地域連携薬局18.8%・在宅患者訪問薬剤管理指導12.5%と、3つとも県内7医療圏でいちばん低い水準です(分母32店・県平均は66.9%/42.6%/46.8%)。届出は自己申告であり、実際の提供実績とは別物である点にはご注意ください。徒歩圏の数字は、圏の平均だけを見ると実態を取り逃します。圏全体では最寄り薬局まで徒歩10分(直線近似)に住む人が55.5%で県内では中位ですが、これは新宮市の74.9%が引き上げた数字です。古座川町は3.0%、北山村にいたっては徒歩10分圏に入る住民が推計上いません(最寄り薬局までの中央値は330.6分・北山村は周囲を他県に囲まれた飛び地の村で、本分析は県境を越えた薬局を候補にしていません)。閉局は12ヶ月で廃止届2件、いずれも移転・承継で、そのまま消えた薬局はありませんでした。「薬局が消えていない」ことと「歩いて行ける薬局がある」ことは別の問題です——この圏はその2つがはっきり分かれています。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが串本町(-9.4%)、いちばん緑なのが太地町(+11.3%)で、同じ新宮医療圏の中に20.7ポイントの開きがあります。古座川町・北山村は薬局が0軒のため1軒あたりの数値が計算できず、色がつきません。
徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は55.5%(直線近似)
250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、新宮医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は55.5%(県全体61.3%)、20分圏で74.7%です。徒歩10分圏の外には25,085人が住んでおり、最寄り薬局までの中央値は8.5分。県内7医療圏で並べるとこの圏は低いほうから5番目です。市町村別では新宮市の74.9%から北山村まで開きます——北山村は薬局が1軒も無く、最寄り薬局が徒歩10分圏に入る住民が推計上いません。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。公共交通・自動車での移動は含みません。
人口動態 ── 需要の源新宮医療圏の65歳以上人口はもう減っていく
なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。新宮医療圏全体では、総人口は5.6万→3.7万人(-35.1%)と減り、65歳以上は2.5万→1.9万人(-24.2%)と減ります。高齢化率は44.7%→52.1%へ。65歳以上のピークは2025年——つまり起点年で、圏全体がすでに減少局面に入っています。圏内6市町村のうち6つでピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る自治体は6あります。
医療計画からの引用県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
「県内25病院を指定していますが、新宮圏域には指定病院がない状況です。」
県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。 並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。
ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村
串本町(-9.4%)から太地町(+11.3%)まで20.7ポイントの開き。ここでの色は圏内での相対値で、圏全体の65歳以上人口が-24.2%減るため、相対でプラスに見える太地町も、絶対量では-15.7%と大きく減ります。この圏では相対値の地図がとくに誤読を招きやすいので、表の絶対量(chg_abs)と合わせてお読みください。古座川町・北山村は薬局0軒のため色がつかず、那智勝浦町・太地町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値や届出率は1店の開廃で大きく振れます。
くわしい数字6市町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 新宮市 | 18 | 40.5% | 8,773 → 9,537 | +8.7% |
| 串本町 | 8 | 48.6% | 12,582 → 11,403 | -9.4% |
| 那智勝浦町 | 7 | 46.2% | 13,022 → 12,591 | -3.3% |
| 太地町 | 1 | 47.9% | 19,386 → 21,567 | +11.3% |
| 古座川町 | 0 | 56.6% | 薬局なし | ― |
| 北山村 | 0 | 45.1% | 薬局なし | ― |
※処方せん需要は新宮医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。薬局0軒の古座川町・北山村は1軒あたりの値がありません。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 和歌山県(ひとつ上・Lv1)=7つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 新宮医療圏(このページ・Lv2)=6市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。新宮医療圏にいまある34軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.23です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-35.1%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。名簿の欠号が38%あります。閉局の件数は下限値(実際はこれ以上)として扱ってください。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は93.3%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。新宮医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は30軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 28軒=93.3%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 13軒=43.3%、在宅薬学総合体制加算 2軒=6.7%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 17軒=56.7%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回43.3%/これまで56.2%(差-12.9ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回93.3%/これまで18.8%(差+74.5ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回6.7%/これまで12.5%(差-5.8ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】新宮医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間390,733枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【按分は居住地ベースであること】按分に使っているのは「住んでいる人」の年齢構成です。病院・診療所が中心市に集まっている圏域では、周辺の市町村の住民が中心市の医療機関にかかり、その門前の薬局で受け取ります。したがって中心市の「1軒あたり処方せん」は実際より低めに、周辺は高めに出る傾向があります。市町村の順位づけには使わず、変化の向きを読むための指標としてお使いください。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(和歌山県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に75.8)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(新宮医療圏で0件)。廃止届は全部で2件出ていますが、そのうち2件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。和歌山県分の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません(兵庫県・京都府は同じ12ヶ月窓です)。
- 【件数は下限値です】閉局・廃止届の件数は2026年7月29日時点の名簿で数えた値です。名簿には廃止日から掲載までの遅れがあるため、窓の終わり近くの件数は今後の号で増える可能性があります。
- 【市町村ごとの閉局は件数が小さい】圏内の真の閉局は12ヶ月で0件、廃止届は2件です。1件で率が大きく動くため、本文では市町村単位の閉局は件数のみを示し、閉局「率」は圏・県のレベルに限っています。圏どうしの率の比較も傾向としてのみお読みください。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある32店を分母にしています(圏内全34店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率55.5%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・地形で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市町村・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えないため、大阪府・奈良県・三重県に接する地域は下限側に振れます)。公共交通・自動車での移動は含みません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
- 【小さすぎる分母】那智勝浦町・太地町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様で、薬局が数軒の自治体では届け出るかどうかで大きく振れます。
- 【薬局が0軒の自治体】古座川町・北山村には調剤を行う薬局がありません。1軒あたり処方せん・経営体力・届出率はいずれも計算できないため、表・地図では空欄になります。住民が薬局を使えないという意味ではなく、隣接する市町村の薬局を利用していると考えられますが、本レポートはその越境利用を推計していません。
- 【按分が閉じません】薬局が0軒の自治体があるため、市町村別の1軒あたり処方せんに薬局数を掛けて足し戻しても、圏の実績には届きません(94.5%までしか閉じず、残り5.5%は薬局が1軒もない自治体に住む方のぶんです)。その処方せんは実際には隣接する市町村の薬局が受けていると考えられますが、居住地ベースの按分ではどこに出ているか特定できません。
- 【「引き継がれなかった割合」は分母が2件です】この圏域の廃止届は12ヶ月で2件しかなく、1件の増減で割合が大きく動きます。圏どうしの比較には使えません。
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新宮医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。
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似ている地域
全国335の二次医療圏から、人口規模・高齢化率・薬局の薄さ・医薬分業率で似ている圏を、同じ県を除いて探しました(この圏は基準に合う候補が少なく、5圏に満たない場合があります)。
- 愛媛県八幡浜・大洲 →304km1軒あたり人口高齢化率1軒あたり面積
- 広島県備北 →297km人口規模1軒あたり面積1軒あたり人口
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自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。
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