和歌山県那賀(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

県内でただひとつ、処方せんの需要が増える圏

那賀医療圏2市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 那賀医療圏 2市期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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那賀医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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那賀医療圏の65歳以上人口は2025→2045で+9.9%——和歌山県の7医療圏でここだけが増えます(県全体は-5.3%)。けん引するのは岩出市で、65歳以上が+33.0%——県内30市町村のなかで最大の伸びです。薬局は56軒、この12ヶ月にそのまま消えた薬局はありません(廃止届2件はいずれも移転・承継)。

2
那賀医療圏の市
56
圏内の薬局数(県全体の11.2%)
0
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-15〜+21%
経営体力の変化レンジ(市差)

那賀医療圏は紀の川市と岩出市の2市(薬局32軒・24軒)。和歌山市に隣接する県北西部で、和歌山県では例外的に人口の減りが浅い地域です。岩出市の高齢化率は26.3%(2025年)と県内30市町村でいちばん低く、2045年でも39.2%。総人口の減りも-10.9%と県内30市町村で2番目に浅く、65歳以上のピークは2045年——県内の多くの自治体が2025年ピーク(すでに減少局面)であるなかで、遅い側の3市町のひとつです。いっぽう同じ圏の紀の川市は65歳以上が-6.5%と減り、ピークは2030年。「圏として増える」の中身は、実質この2市の対照です。薬局1軒あたり処方せんは圏全体で10,107枚。徒歩圏では、最寄り薬局まで徒歩10分(直線近似)に住む人が59.3%で、岩出市は76.4%・20分圏では99.9%に達します(紀の川市は10分42.8%)。市街地がまとまっている市と、合併で市域が広くなった市の違いが、そのまま徒歩の数字に出ています。閉局は12ヶ月で廃止届2件、いずれも新しい機関コードが記載された移転・承継で、その場所から薬局が消えたわけではありません。件数が少ないため、この圏で閉局の多い少ないを論じることはできません。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが紀の川市(-14.9%)、いちばん緑なのが岩出市(+21.0%)で、同じ那賀医療圏の中に35.9ポイントの開きがあります。

紀の川市:薬局32/1軒あたり処方せん -14.9%の川市岩出市:薬局24/1軒あたり処方せん +21.0%岩出市
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-15%)増える(+21%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は59.3%(直線近似)

250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、那賀医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は59.3%(県全体61.3%)、20分圏で87.4%です。徒歩10分圏の外には44,322人が住んでおり、最寄り薬局までの中央値は8.6分。県内7医療圏で並べるとこの圏は低いほうから6番目です。市別では岩出市の76.4%から紀の川市の42.8%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。公共交通・自動車での移動は含みません。

人口動態 ── 需要の源那賀医療圏の65歳以上人口はまだ増える

なぜ市で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。那賀医療圏全体では、総人口は10.9万→8.8万人(-19.2%)と減り、65歳以上は3.4万→3.7万人(+9.9%)と増えます。高齢化率は31.1%→42.3%へ。65歳以上のピークは2040年で、その波がいつ来るかが自治体で違うのです。圏内2市のうち0つでピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る自治体は1あります。

総人口65歳以上
0万5万10万15万20万2025203020352040204520508万4万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは2040年です。

医療計画からの引用県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

この圏域を名指しした記述は、収録済みの計画本文からは見つかりませんでした。

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。 並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

2市の対比 ── 圏内ランキングは作りません圏の平均は、どちらの市の実感でもない

この圏は2市だけで構成されるため、圏内ランキングは作りません(順位が事実以上の意味を持つため)。2市を対比すると、圏内の相対値では岩出市が+21.0%、紀の川市が-14.9%。絶対量では岩出市の65歳以上が+33.0%、紀の川市が-6.5%で、圏の平均(+9.9%)はどちらの市の実感でもありません。2市とも薬局は8軒以上あり、1軒あたりの比較は成立します。

紀の川市
-14.9%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
岩出市
+21.0%

くわしい数字2市データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
紀の川市3235.7%10,347 → 8,804-14.9%
岩出市2426.3%9,788 → 11,845+21.0%

※処方せん需要は那賀医療圏全体の実績(NDB)を市の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 和歌山県(ひとつ上・Lv1)=7つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 那賀医療圏(このページ・Lv2)=2市で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

那賀医療圏 2市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。那賀医療圏にいまある56軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.19です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-19.2%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。名簿の欠号が38%あります。閉局の件数は下限値(実際はこれ以上)として扱ってください。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は94.2%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。那賀医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は52軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 49軒=94.2%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 34軒=65.4%、在宅薬学総合体制加算 25軒=48.1%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 38軒=73.1%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回65.4%/これまで65.5%(差-0.1ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回94.2%/これまで40.0%(差+54.2ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回48.1%/これまで45.5%(差+2.6ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】那賀医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間566,003枚)を、市ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【按分は居住地ベースであること】按分に使っているのは「住んでいる人」の年齢構成です。病院・診療所が中心市に集まっている圏域では、周辺の市の住民が中心市の医療機関にかかり、その門前の薬局で受け取ります。したがって中心市の「1軒あたり処方せん」は実際より低めに、周辺は高めに出る傾向があります。市の順位づけには使わず、変化の向きを読むための指標としてお使いください。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(和歌山県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に109.9)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(那賀医療圏で0件)。廃止届は全部で2件出ていますが、そのうち2件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。和歌山県分の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません(兵庫県・京都府は同じ12ヶ月窓です)。
  • 【件数は下限値です】閉局・廃止届の件数は2026年7月29日時点の名簿で数えた値です。名簿には廃止日から掲載までの遅れがあるため、窓の終わり近くの件数は今後の号で増える可能性があります。
  • 【市ごとの閉局は件数が小さい】圏内の真の閉局は12ヶ月で0件、廃止届は2件です。1件で率が大きく動くため、本文では市単位の閉局は件数のみを示し、閉局「率」は圏・県のレベルに限っています。圏どうしの率の比較も傾向としてのみお読みください。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある55店を分母にしています(圏内全56店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率59.3%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・地形で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えないため、大阪府・奈良県・三重県に接する地域は下限側に振れます)。公共交通・自動車での移動は含みません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
  • 【この圏は2市だけで構成されます】圏内ランキング(順位づけ)は作りません。2市の順位は事実以上の意味を持ってしまうためです(市どうしの対比としてのみお読みください)。Lv3候補の次点も挙げていません。
  • 【「引き継がれなかった割合」は分母が2件です】この圏域の廃止届は12ヶ月で2件しかなく、1件の増減で割合が大きく動きます。圏どうしの比較には使えません。

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那賀医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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