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CrossHealth / 薬局持久度レポート
廃止届52件は県内最多。でも40件は引き継がれた
阪神医療圏8市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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阪神医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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阪神医療圏は薬局869軒=県内最多、需要の伸び+17.4%も県内最大の圏域です。この12ヶ月の廃止届52件も県内最多でしたが、うち40件は別の担い手が事業を引き継ぎ、そのまま消えたのは12軒。引き継がれなかった割合は23.1%と、廃止届が5件しかない淡路(0.0%)を別にすれば県内で最も低い=承継の担い手が見つかっている圏域です。ただし承継40件のうち8件はチェーン単位の一斉付け替えで、その分は割り引いて読む必要があります。
阪神医療圏は8市町・薬局869軒。尼崎市258軒と西宮市235軒の2つの核があり、徒歩10分圏カバー率(直線近似)は尼崎市が98.6%と圏内最高です。真の閉局12件の内訳は、西宮市の5件が最多で、伊丹市4件・尼崎市2件・宝塚市1件。薬局93軒の伊丹市にとっての4件は、235軒の西宮市での5件より重い動きです。圏全体では需要が+17.4%増えますが、圏内は一様ではありません。川西市は圏内シェアで-11.0%と最も沈みます——絶対量では65歳以上が+4.5%とわずかに増えるものの、圏の伸び(+17.4%)から大きく取り残される形です。三田市も総人口が-19.7%と圏内で最も減ります。機能の届出は三田市のかかりつけ94.3%、猪名川町の在宅90.9%が圏内最高で、人口規模の小さい側が厚いという並びです。地域連携薬局62.1%・在宅70.3%はいずれも県内8医療圏で最高です。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが川西市(-11.0%)、いちばん緑なのが西宮市(+7.9%)で、同じ阪神医療圏の中に18.9ポイントの開きがあります。
徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は89.6%(直線近似)
250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、阪神医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は89.6%(県全体80.8%・8医療圏中2位)、20分圏で97.1%です。徒歩10分圏の外には178,511人が住んでいます。市町別では尼崎市の98.6%から猪名川町の48.6%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。
人口動態 ── 需要の源阪神医療圏の65歳以上人口はまだ増える
なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。阪神医療圏全体では、総人口は172.5万→155.7万人(-9.7%)と減り、65歳以上は49.7万→58.3万人(+17.4%)と増えます。高齢化率は28.8%→37.4%へ。65歳以上のピークは2045年で、その波がいつ来るかが市町で違うのです。圏内8市町のうち0つでピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市町は0あります。
医療計画からの引用県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
「(2)入院医療・在宅医療相互連携に必要な課題の抽出(県、市町、関係機関)・住み慣れた地域で安心して療養生活を送ることができるよう、地域の医師会や民間病院、薬剤師会や在宅医療関係団体等で構成する在宅医療推進協議会等で検討する。」
「(2)阪神圏域においては、兵庫医科大学病院・県立西宮病院・県立尼崎総合医療センター・宝塚市立病院の4病院が災害拠点病院に指定されている。」
「○大学等と連携し、県内の都市部(神戸・阪神地域等)から医師確保対策重点推進圏域に所在する医療機関への医師派遣、及び地域医療構想に基づく役割分担・連携強化を図るために必要な、圏域内における基幹病院等からの医師派遣等の取組を推進する。」
県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。 並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。
ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町
川西市(-11.0%)から西宮市(+7.9%)まで18.9ポイント。ニュータウンを抱える北側(川西・三田・猪名川)が相対的に沈み、南側の市街地(西宮・宝塚・伊丹)が伸びる構図です。圏全体の需要が+17.4%増えるため、マイナス側も絶対量では横ばい〜微増です(例: 川西市の65歳以上は+4.5%)。
くわしい数字8市町データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 尼崎市 | 258 | 30.0% | 12,576 → 11,945 | -5.0% |
| 西宮市 | 235 | 25.4% | 12,492 → 13,484 | +7.9% |
| 宝塚市 | 119 | 29.4% | 13,049 → 13,711 | +5.1% |
| 伊丹市 | 93 | 26.6% | 13,363 → 13,851 | +3.7% |
| 川西市 | 63 | 32.9% | 18,406 → 16,378 | -11.0% |
| 芦屋市 | 54 | 32.0% | 13,143 → 13,369 | +1.7% |
| 三田市 | 36 | 31.9% | 21,733 → 19,963 | -8.1% |
| 猪名川町 | 11 | 35.1% | 21,870 → 20,480 | -6.4% |
※処方せん需要は阪神医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 兵庫県(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 阪神医療圏(このページ・Lv2)=8市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。阪神医療圏にいまある869軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.82です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-9.7%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は91.7%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。阪神医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は855軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 784軒=91.7%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 609軒=71.2%、在宅薬学総合体制加算 492軒=57.5%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 735軒=86.0%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回71.2%/これまで79.2%(差-8.0ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回91.7%/これまで62.1%(差+29.6ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回57.5%/これまで70.3%(差-12.8ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】阪神医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間11,868,156枚)を、市区町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(兵庫県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に117.4)。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(阪神医療圏で12件)。廃止届は全部で52件出ていますが、そのうち40件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。兵庫県の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません。
- 【件数は生成時点の値】名簿の掲載遅れ(廃止日から名簿に載るまで最大6ヶ月)により、この期間の件数は今後の号で増える可能性があります(2026年6月号までの名簿による値)。
- 【閉局の場所は届出住所で数えています】閉局の市区町への割当ては、座標ではなく廃止情報の届出住所(「届出上の所在地」)に基づきます。座標のジオコードには境界付近のずれがあり、県内で1件、住所と座標で医療圏が食い違う例がありました(県Lv1・この圏レポートとも届出住所ベースで統一して数えているため、階層間で件数はずれません)。
- 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率89.6%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・線路・地形で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市区町・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コード、または座標の市区町村境界への点内判定で割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある778店を分母にしています(圏内全869店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
- 【同一屋号の一斉付け替え】この圏域の移転・承継40件のうち8件は、同一の屋号を持つ複数の店舗が同じ廃止日にまとまって新しい機関コードへ移行したもの(チェーン単位の一斉付け替え・同一廃止日×同一屋号で5件以上。clo_relo_bulk として別に保持)です。承継の件数を「地域で個々の代替わりが活発」と読まないでください。なおこの定義は兵庫県の名簿(廃止日が月末日に丸められている)に合わせたもので、他県の「塊」の件数と直接比較できません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
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