京都府京都・乙訓(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

府の薬局の7割がここにある。その中も、同じではない

京都・乙訓医療圏14市区町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 京都・乙訓医療圏 14市区町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

京都・乙訓医療圏は、京都市の11行政区に向日市・長岡京市・大山崎町を加えた14市区町村からなります。薬局は860軒——京都府全体(1,256軒)の68.5%がこの1圏に集まっています。圏全体では65歳以上人口が+12.6%増え、経営体力(薬局1軒あたり処方せん)も増える側に見えます。けれど圏内を割ると、東山区(-17.1%)から中京区(+13.1%)まで30.2ポイント開きます。

14
京都・乙訓医療圏の市区町村
860
圏内の薬局数(府全体の68.5%)
16
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-17〜+13%
経営体力の変化レンジ(市区町村差)

京都・乙訓医療圏の中身は、大きく3層に分かれます。ひとつめは都心。中京区・下京区・上京区の3区は、薬局1軒あたりの処方せんが5,938〜7,139枚と圏内でいちばん薄く、それでいて65歳以上人口の伸びは圏内で最大です(中京区は+27.3%)。ふたつめは周辺の区。西京区の14,817枚を筆頭に1軒あたりは厚いのですが、経営体力は-2.5%と減る側にいます。みっつめが乙訓の3市町で、長岡京市はかかりつけ薬剤師指導料の届出率77.1%=圏内最高、大山崎町は薬局5軒で1軒あたり18,233枚と、圏内でもっとも厚い数字が出ます(ただし分母が小さく振れやすい)。1軒あたりがもっとも薄い3区(中京区・下京区・上京区)はそろって需要が伸びる側にいて、圏内の差は縮む向きです。ただし薬局8軒以上の市区町村で見ると、2025年の2.5倍が2045年でも2.15倍残る計算で、埋まりはしません。そして「薄いほど伸びる」は法則ではありません。1軒あたりと経営体力の順位相関は-0.358と弱く、はっきりした例外が東山区です。東山区は1軒あたり8,417枚と薄いほうなのに、圏内で唯一65歳以上人口そのものが-6.7%と減り(ピークは2025年=すでに過ぎている)、経営体力-17.1%は圏内最下位です。高齢化率は山科区の32.1%が圏内最高で、東山区の32.0%がこれに続きます。閉局の面では、この12ヶ月に出た廃止届43件のうち27件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは16軒(1.86%)でした。これは京都府の真の閉局21件の76%にあたります。消えた16軒は7つの区にまたがり、乙訓の3市町ではこの12ヶ月に廃止届が1件も出ていません。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が62.1%と府平均(62.8%)を下回り、6医療圏で4位。圏内では南区の45.0%から長岡京市の77.1%まで開きます。薬局がいちばん多い圏域が、機能の届出でいちばん厚いわけではありません。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市区町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが東山区(-17.1%)、いちばん緑なのが中京区(+13.1%)で、同じ京都・乙訓医療圏の中に30.2ポイントの開きがあります。面積の小さい都心の区にも薬局が密集しているため、地図の面積と薬局の数は比例しません。

東山区:薬局28/1軒あたり処方せん -17.1%大山崎町:薬局5/1軒あたり処方せん -7.1%左京区:薬局89/1軒あたり処方せん -3.7%左京区長岡京市:薬局38/1軒あたり処方せん -2.8%北区:薬局63/1軒あたり処方せん -2.6%山科区:薬局63/1軒あたり処方せん -2.6%西京区:薬局62/1軒あたり処方せん -2.5%伏見区:薬局133/1軒あたり処方せん -0.7%伏見区右京区:薬局85/1軒あたり処方せん +0.3%右京区向日市:薬局25/1軒あたり処方せん +2.8%南区:薬局43/1軒あたり処方せん +3.9%上京区:薬局66/1軒あたり処方せん +4.8%上京区下京区:薬局64/1軒あたり処方せん +11.1%下京区中京区:薬局96/1軒あたり処方せん +13.1%中京区
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-17%)増える(+13%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

人口動態 ── 需要の源京都・乙訓医療圏は「人は減るが、お年寄りは増える」

なぜ市区町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。京都・乙訓医療圏全体では、総人口は159.3万→142.4万人(-10.6%)と減る一方、65歳以上は45.8万→51.5万人(+12.6%)と増えます。高齢化率は28.7%→36.2%へ。65歳以上のピークは2045年で、圏内14市区町村のうちそのピークをすでに過ぎているのは1——東山区だけです。65歳以上人口が2045年までに減る市区町村も1(東山区)にとどまります。京都府の他の5医療圏とくらべると、この圏はまだ「増える」側にいます。

総人口65歳以上
0万40万80万120万160万202520302035204020452050137万51万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上は2045年にピークを迎えます。

ランキング ── 市区町村差経営がしんどくなる市区町村・楽になる市区町村

東山区(-17.1%)から中京区(+13.1%)まで30.2ポイントの開き。マイナスは8市区町村で、圏内の多数派です。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)です。圏そのものが府内で伸びる側にいるため、絶対量では東山区も65歳以上人口が-6.7%、中京区は+27.3%となります。なお大山崎町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。

東山区
-17.1%
大山崎町
-7.1%
左京区
-3.7%
長岡京市
-2.8%
北区
-2.6%
山科区
-2.6%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
上京区
+4.8%
下京区
+11.1%
中京区
+13.1%

くわしい数字14市区町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
伏見区13330.2%12,881 → 12,789-0.7%
中京区9624.5%5,938 → 6,713+13.1%
左京区8928.6%10,998 → 10,592-3.7%
右京区8529.4%14,393 → 14,429+0.3%
上京区6627.1%7,139 → 7,479+4.8%
下京区6422.2%6,065 → 6,740+11.1%
北区6330.7%11,652 → 11,346-2.6%
山科区6332.1%14,089 → 13,721-2.6%
西京区6230.6%14,817 → 14,443-2.5%
南区4326.0%12,868 → 13,373+3.9%
長岡京市3828.0%12,207 → 11,866-2.8%
東山区2832.0%8,417 → 6,977-17.1%
向日市2527.9%12,949 → 13,309+2.8%
大山崎町527.0%18,233 → 16,936-7.1%

※処方せん需要は京都・乙訓医療圏全体の実績(NDB)を市区町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 京都府(ひとつ上・Lv1)=6つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 京都・乙訓医療圏(このページ・Lv2)=14市区町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】京都・乙訓医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間9,552,907枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。京都市の都心区のように昼間人口・通院流入が大きい地域では、居住人口ベースの按分が実態とずれる可能性があります。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(京都府=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に112.6)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(京都・乙訓医療圏で16件)。廃止届は全部で43件出ていますが、そのうち27件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。京都府の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません(兵庫県は同じ12ヶ月窓です)。
  • 【市区町村ごとの閉局は件数が小さい】圏内の真の閉局は12ヶ月で16件、最多の市区町村でも4件です。1件で率が大きく動くため、市区町村どうしの閉局率の比較は傾向としてのみお読みください。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある792店を分母にしています(圏内全860店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】大山崎町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください(圏内の1軒あたり処方せんのレンジは、8軒以上の市区町村に限ると5,938〜14,817枚、全市区町村では5,938〜18,233枚です)。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルを再学習中のため)。
  • 【行政区の粒度】京都市の11行政区は、市ではなく区の単位で集計しています。薬局の届出上の市区町村コードが区単位で振られているためで、医療計画上の区分(京都・乙訓医療圏)とは粒度が異なります。

この地図は今後も更新されます。あなたの地域の変化を見逃さないよう、無料会員登録でお知らせを受け取れます。

登録は無料・パスワード不要(メールに確認リンクが届きます)。登録済みの方はログイン

Requestまだ公開されていない地域も、リクエストできます公開されたら、メールでお知らせします(無料)。 今すぐ必要な方は会員の優先生成へ。

お仕事のご依頼

自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

お問い合わせ →