新潟県県央(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

隣り合う燕と加茂が、正反対を向いている

県央医療圏5市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 県央医療圏 5市町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

無料レポート

県央医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

ここから先の数字を、出典と作成時点をつけてA4・6ページにまとめたものをお送りします。そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

無料・パスワード不要です。ご登録のメールに確認リンクをお送りし、そこからレポートをお読みいただけます。あわせて、隔週の便り(街の数字をひとつ、薬剤師の目で翻訳したもの)もお届けします。登録済みの方はログイン(対象地域は順次拡大しています)

県央医療圏は三条市・燕市など5市町村・薬局125軒。面積733km²は県内7医療圏でいちばん小さく、薬局1軒あたり5.9km²は新潟医療圏に次ぐ密さです。その小さな圏の中で、隣り合う市が正反対を向いています。燕市は65歳以上人口がほぼ横ばい(-0.5%)でピークは2040年=まだ先。加茂市は-16.8%と減り、2045年には高齢化率52.1%=人口の半分以上が65歳以上になります。

5
県央医療圏の市町村
125
圏内の薬局数(県全体の10.8%)
3
2025年に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-12〜+8%
経営体力の変化レンジ(市町村差)

県央医療圏の薬局は三条市58軒・燕市45軒の2市に82.4%が集まり、残る3町村は薬局17軒・4軒・1軒です。人口の先行きは、ピークが2040年の燕市・弥彦村と、すでに2025年でピークを過ぎた3市町に割れます(新潟医療圏の外でピークがまだ先の自治体は、県内でこの2市村と聖籠町の3つだけです)。加茂市は65歳以上-16.8%・総人口-35.4%と両方が減り、経営体力-12.3%は圏内でいちばん沈みます。閉局の動きは県内では活発な部類です。4年窓(2022年5月〜2026年4月(48ヶ月))の廃止届32件は圏の薬局125軒に対して県内2番目の比率で、うち真の閉局は18件(引き継がれなかった割合56.2%)。燕市の真の閉局10件は圏内最多です。なお4年窓の移転・承継14件のうち3件は、同一の屋号が同じ日にまとめて出した一斉の付け替えで、個々の薬局の代替わりが活発だったという意味ではありません。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが加茂市(-12.3%)、いちばん緑なのが弥彦村(+8.1%)で、同じ県央医療圏の中に20.4ポイントの開きがあります。

人口動態 ── 需要の源県央医療圏の65歳以上人口はもう減っていく

なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。県央医療圏全体では、総人口は20.4万→15.4万人(-24.7%)と減り、65歳以上は7.2万→6.8万人(-5.2%)と減ります。高齢化率は35.1%→44.2%へ。65歳以上のピークは2025年——つまり起点年で、圏全体がすでに減少局面に入っています。圏内5市町村のうち3市町村でピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市町村は4あります。高齢化率が圏内で最も高いのは田上町の41.1%(2045年に55.2%)、総人口の減りが最大なのは加茂市(-35.4%)です。

総人口65歳以上
0万8万15万22万30万20252030203520402045205014万6万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは2025年です。

医療計画 ── 県の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

地域に不足する救命救急医療や高度・専門的医療を確保し、断らない救急を目指す「済生会新潟県央基幹病院」が令和6年3月1日に開院し県央圏域の完結率は改善されることが見込まれています。

新潟県地域保健医療計画 第8次新潟県地域保健医療計画 PDF 27ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

広さ ── 「近くの薬局」の意味が違う薬局1軒あたりの面積は、圏内で10.1倍違う

県央医療圏の面積は733km²で、薬局125軒で割ると1軒あたり5.9km²(県内6位の広さ・県平均10.8km²)。圏内では燕市の2.5km²から弥彦村の25.2km²まで10.1倍開きます。※この面積の指標は行政区域ポリゴンの幾何だけから出したもので、道路網・公共交通・冬期の積雪は含みません。

徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は54.1%(直線近似)

250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、県央医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は54.1%(県全体60.1%)、20分圏で77.7%です。徒歩10分圏の外には93,700人が住んでいます。市町村別では加茂市の59.3%から弥彦村の14.6%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。冬期の通行止め・公共交通は含みません。

ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村

加茂市(-12.3%)から弥彦村(+8.1%)まで20.4ポイント。圏の需要そのものは-5.2%と緩やかな減少なので、プラス側(三条市・燕市・弥彦村)は「圏内シェアが上がる」という意味です。なお田上町・弥彦村は薬局8軒未満のため1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。

加茂市
-12.3%
田上町
-7.3%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
三条市
+0.1%
燕市
+5.0%
弥彦村
+8.1%

くわしい数字5市町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
三条市5835.1%11,486 → 11,499+0.1%
燕市4532.7%11,367 → 11,936+5.0%
加茂市1740.5%11,541 → 10,126-12.3%
田上町441.1%22,556 → 20,909-7.3%
弥彦村134.5%53,245 → 57,550+8.1%

※処方せん需要は県央医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。閉局は暦年2025の集計で、移転・承継を除いています(4年窓の列も併記しています)。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 新潟県(ひとつ上・Lv1)=7の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 県央医療圏(このページ・Lv2)=5市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

県央医療圏 5市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。県央医療圏にいまある125軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.45です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-24.7%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は95.1%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。県央医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は123軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 117軒=95.1%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 81軒=65.9%、在宅薬学総合体制加算 42軒=34.1%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 105軒=85.4%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回65.9%/これまで70.4%(差-4.5ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回95.1%/これまで39.2%(差+55.9ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回34.1%/これまで48.8%(差-14.7ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】県央医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間1,517,388枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この按分は居住地ベースなので、市区町村をまたいで薬局を使う流出入は映していません。市町村別の値を足し戻すと圏のNDB実績に100.0%で閉じます。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(新潟県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に94.8)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(県央医療圏で3件)。廃止届は全部で5件出ていますが、そのうち2件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。既定の集計期間は暦年2025(2025年1月〜12月)です(関東信越厚生局の新潟県分は廃止日2022年3月以降が完全なので、暦年2025は完全にそろいます)。件数は2026年6月号までの名簿による生成時点の値で、名簿の掲載遅れにより今後も増える可能性があります。
  • 【単年の市町村ランキングを性質として読まないこと】圏内の真の閉局は暦年2025で3件、廃止届も5件です。1件で率が大きく動くため、単年の閉局率の比較はできません。4年窓(2022年5月〜2026年4月(48ヶ月))では廃止届32件・真の閉局18件・引き継がれなかった割合56.2%です。比較にはこの4年値をお使いください。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
  • 【閉局の位置の割り当て】閉局は廃止届の住所を市区町村に解決して数えています(届出住所ベース・全件解決)。座標による点内判定との突き合わせでは、県内312件のうち2件だけ割り当てが食い違い(座標の誤り1件・判定側の処理の癖1件)、本レポートはいずれも届出住所側を正としています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある125店を分母にしています(圏内全125店=欠測なし)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【面積の指標について】area_km2 は国土数値情報の行政区域ポリゴンから球面積を積算したものです。道路網・公共交通・冬期の積雪は含みません。「薬局1軒あたり5.9km²」は幾何的な広さであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。
  • 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率54.1%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・線路・冬期条件で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市区町村・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
  • 【小さすぎる分母】田上町・弥彦村は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様で、薬局1〜3軒の自治体では1店の届出の有無で数十ポイント動きます。薬局8軒以上の3市町村に限ると、1軒あたり処方せんは11,367〜11,541枚に収まります。
  • 【一斉の付け替え(塊)】4年窓の廃止届のうち3件は、同一の屋号が同じ廃止日にまとめて出した届出(3件以上のクラスタ)に当たります(clo_relo_bulk_4y / clo_true_bulk_4y として機械可読で保持)。承継の件数を「地域で代替わりが活発」と読まないでください。

無料レポート

県央医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

無料・パスワード不要です。ご登録のメールに確認リンクをお送りし、そこからレポートをお読みいただけます。あわせて、隔週の便り(街の数字をひとつ、薬剤師の目で翻訳したもの)もお届けします。登録済みの方はログイン(対象地域は順次拡大しています)

Requestまだ公開されていない地域も、リクエストできます公開されたら、メールでお知らせします(無料)。 今すぐ必要な方は会員の優先生成へ。

似ている地域

全国335の二次医療圏から、人口規模・高齢化率・薬局の薄さ・医薬分業率で似ている圏を、同じ県を除いて探しました。

お仕事のご依頼

自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

お問い合わせ →