CrossHealth / 薬局持久度レポート

県ぜんぶで見ても、高齢者はもう増えない

熊本県10つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町村まで下りたレポートへ進めます。

対象 熊本県 10二次医療圏・49市町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

熊本県の調剤薬局は873軒。「高齢化が進むから処方せんは増える」とよく言われますが、熊本県では県全体の65歳以上人口がすでに2025年でピークで、2045年には-3.0%と減る推計です。医療圏に割ると-29.1%(芦北)から+14.4%(菊池)まで43.5ポイント開き、10医療圏のうち8圏は65歳以上の人口がすでにピークを過ぎています。そこにある薬局は366軒——県内の41.9%です。

10
熊本県の二次医療圏
873
県内の薬局数
16
直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-29.1〜+14.4%
処方せん需要の変化レンジ(圏域差)

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが芦北医療圏(-29.1%)、いちばん伸びるのが菊池医療圏(+14.4%)。医療圏をクリックすると、その中の市町村差まで下りられます。

八代:薬局71軒/1軒あたり処方せん(→2045) -11.8%八代天草:薬局61軒/1軒あたり処方せん(→2045) -24.9%天草宇城:薬局41軒/1軒あたり処方せん(→2045) -8.7%宇城有明:薬局65軒/1軒あたり処方せん(→2045) -16.5%有明熊本・上益城:薬局428軒/1軒あたり処方せん(→2045) +10.0%(クリックで詳細)熊本・上益城球磨:薬局56軒/1軒あたり処方せん(→2045) -18.9%球磨芦北:薬局27軒/1軒あたり処方せん(→2045) -29.1%芦北菊池:薬局79軒/1軒あたり処方せん(→2045) +14.4%菊池阿蘇:薬局27軒/1軒あたり処方せん(→2045) -17.7%阿蘇鹿本:薬局18軒/1軒あたり処方せん(→2045) -19.2%鹿本
色=薬局1軒あたり処方せんの変化(→2045)
減る(-29.1%)増える(+14.4%)
医療圏そのものの形で塗り分けています。
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Lv1のこの色は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか)です。医療圏ページ(Lv2)の色は圏内でのシェア移動を示す相対値で、意味が違います。各ページの凡例に従ってお読みください。

人口動態 ── 需要の源高齢者の数そのものが、県全体で-3.0%

熊本県では、総人口が168万→142万人(-15.3%)と減るだけでなく、65歳以上人口も56万→54万人(-3.0%)と減ります。65歳以上のピークは県全体で2025年——つまり起点の年で、これから増える余地はもう推計に入っていません。高齢化率は33.1%→37.9%へ上がりますが、それは分母(総人口)が減るからで、高齢者の実数が増えるからではありません。内訳を見ると、熊本都市圏(熊本・上益城/菊池)の2医療圏は65歳以上が+10.7%と伸び、薬局507軒(県内の58.1%)がそこに集まっています。いっぽう周辺8医療圏は-17.4%。薬局366軒(県内の41.9%)が「もう増えない側」に乗っています。

総人口65歳以上
0万42万85万128万170万202520302035204020452050136万53万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口も65歳以上人口も2025年を起点に減少。

政令指定都市 ── 熊本市県全体はピークを過ぎたのに、熊本市の5区は1つもピークを過ぎていない

熊本県の高齢者が減るというのは、県内のどこでも同じように起きる話ではありません。政令指定都市である熊本市の5区は、1区もまだピークを迎えていません(ピーク年は2040・2045・2050年)。5区あわせた65歳以上人口は+12.8%で、県全体(-3.0%)とは向きが逆です。薬局も387軒(県内の44.3%)が熊本市に集まっています。つまり、県全体で高齢者が減るという結果は、周辺8医療圏(-17.4%)が引き下げているぶんが大きいということです。薬局から見た熊本県は、「増える中心」と「減る周辺」がひとつの県に同居していて、県平均の1行だけを見ると、どちらの実態も見えなくなります。

推計の限界 ── 半導体と菊陽町菊池医療圏だけは、この推計より強く動いている可能性があります

このページの人口はすべて社人研の将来推計(2023年推計)で、2020年の国勢調査を出発点にしています。その推計でも菊池医療圏は県内で唯一65歳以上人口が2050年まで増え続ける圏域で、県内49市町村のうち総人口が2045年まで増えるのは3つだけ——菊陽町(+3.8%)/大津町(+2.5%)/嘉島町(+0.1%)——そのうち2つが菊池医療圏の町です。ただし、菊陽町では2024年に半導体工場が稼働しており、その後の社会増は2020年国勢調査を基準にした推計には入っていません。つまり菊池医療圏の数字は、実態より低めに出ている可能性があります。どれだけ低いのかは、当データベースに実績人口の系列が無いため確かめられませんでした。数字を盛らず、「この圏だけは推計が実態に追いついていないかもしれない」という但し書きとしてお読みください。

承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届57件のうち、そのまま消えたのは16件でした

直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に熊本県で出された薬局の廃止届は57件。ただしこのうち41件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは16軒(薬局873軒の1.83%)でした。つまり引き継がれなかったのは廃止届の28.1%。同じ定義・同じ期間で数え直した九州8県のなかで、この値は最も低い——鹿児島県の49.0%に対して、熊本では廃止届の7割以上に次の担い手が見つかっています。閉局率のほうは1.83%で8県中6位、沖縄県(4.09%)と佐賀県(1.79%)の間の下寄りです。県内では、消えた16軒のうち8軒が熊本・上益城医療圏(薬局428軒)に集中しています。閉局率でいちばん高いのは八代医療圏の5.63%(薬局71軒・4件)。ただし2位以下は鹿本(薬局18軒・1件)・阿蘇(薬局27軒・1件)と分母が小さく、1軒の閉局で3〜6ポイント動きます。5圏は真の閉局が0件でした。率の順位は分母を見てからお読みください。

ランキング ── 圏域差処方せんが増える医療圏・減る医療圏

芦北(-29.1%)から菊池(+14.4%)まで。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。現在の1軒あたり処方せんは阿蘇の10,656枚から有明の15,257枚まで1.43倍の開きで、「いま薄い地域が、これからさらに薄くなる」とは限らない点に注意してください。なお県内には薬局が1軒も無い自治体が5つあります(産山村・津奈木町・五木村・山江村・球磨村)。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は現在再学習中です(下の注記)。

芦北
-29.1%
天草
-24.9%
鹿本
-19.2%
球磨
-18.9%
阿蘇
-17.7%
有明
-16.5%
八代
-11.8%
宇城
-8.7%
熊本・上益城
+10.0%
菊池
+14.4%

くわしい数字10医療圏データ一覧

地域(医療圏)薬局1軒あたり処方せん
2025 → 2045(枚/年)
変化
熊本・上益城42813,623 14,979+10.0%
菊池7913,687 15,659+14.4%
八代7114,939 13,178-11.8%
有明6515,257 12,735-16.5%
天草6113,567 10,185-24.9%
球磨5612,248 9,929-18.9%
宇城4113,587 12,401-8.7%
芦北2713,742 9,737-29.1%
阿蘇2710,656 8,767-17.7%
鹿本1810,804 8,734-19.2%

※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は2025年の1年間の集計で、移転・承継を除いています。個店のランキングは作りません。

いま出していない数字供給の将来推計と、機能の届出率は出していません

このページでは3つの数字を外しています。ひとつめは2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、そのモデルは近畿地方で学習したもので九州を含んでおらず、閉局の数え方も古いままなので、学習しなおす必要があります。ふたつめは、かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅対応の届出率。熊本県は薬局機能情報提供制度のデータが手元のデータベースにまだ取り込まれておらず、いま集計すると全店0%になってしまいます。これは「届け出ている薬局が無い」のではなく「データが無い」だけなので、数字としては出しません。みっつめは徒歩圏カバー率で、こちらも250mメッシュの人口データが熊本県分未投入のためです。できあがり次第このページに戻します。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選びました。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 熊本県(このページ・Lv1)=10つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 二次医療圏(Lv2)=圏内の市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市区町村(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【いま出していない数字(1)供給の将来】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類はこのページから外しています。供給の統計モデルが近畿地方で学習したもので九州を含まず、閉局の定義変更(移転・承継を除外)にも追随していないためです。
  • 【いま出していない数字(2)機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅対応の届出率は、熊本県では掲載していません。薬局機能情報提供制度(GMIS)の届出データが当データベースに未取込で、集計すると全店0%になってしまうためです。0%は「届け出ている薬局が無い」という意味ではなく、単にデータが無いという意味です。他県版(大阪・千葉・兵庫)にはこの軸があり、熊本版・福岡版には無い、という違いがあります。なお同じ欠測は全国14県・薬局11,630店ぶんにあります(完全に空: 佐賀県・大分県・宮崎県・徳島県・沖縄県・熊本県・福岡県・福島県・長崎県・鹿児島県/ほぼ空: 宮城県・山形県・岩手県・秋田県)。
  • 【いま出していない数字(3)徒歩圏カバー率】250mメッシュ人口が熊本県分未投入のため、「歩いて薬局に行ける人の割合」は出していません(千葉県版にはあります)。
  • 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・県全体で年間11,887,854枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。
  • 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】九州厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。集計期間は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)です。この期間の廃止届は57件で、うち41件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだと読めます。そのまま消えたのは16件です。この窓は九州厚生局管轄8県で統一したもので、福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県の公開値と同じ期間です(九州8県すべてがこの窓にそろっています)。全国比較のために暦年2025でも数えており、真の閉局17件・廃止届40件です(大阪府78件・千葉県42件と同じ期間)。
  • 【集計期間に名簿の欠けが無いことを確かめています】廃止の名簿は月ごとに公表されるため、「その月に閉局が0件だった」のか「名簿そのものが無い」のかを区別する必要があります。熊本県だけを見ても区別できないので、九州厚生局が管轄する8県すべての月次を並べ、8県まとめて0件の月=名簿が無い月、と判定しました。収録期間(2020-04-30〜2026-06-15)で九州8県まとめて0件の月は2020-05で、集計期間の12ヶ月には1つも含まれていません。熊本県だけ0件だった月のうち2020-12・2023-11・2024-07・2025-11は、他県に記録があり名簿の号もそろっているので「本当に0件だった月」です。ただし2020-06・2023-12は、他県に記録はあるものの、その月を載せるはずの号が欠けており(後述の欠号)、0件だったと言い切れません。
  • ★【多年の件数は「下限」です】廃止の名簿は月ごとの「号」で公表され、ある月の廃止届はその1〜3ヶ月あとの号に載ります。生データから号を復元したところ、66号のうち5号(2024-02・2024-03・2024-05・2024-06・2024-08)が手元に取り込まれていないことが分かりました(過去分アーカイブと現行名簿の切り替わり目にあたります)。このため2020-06・2023-12・2024-01・2024-03・2024-04・2024-06の6ヶ月は届が過少に出ており(このほか収録開始前の2020-04・2020-05も薄い月です)、**暦年2023・2024の件数は下限**(実際にはもっと多い)としてお読みください。**集計期間の直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)と、全国比較用の暦年2025は、この穴の外にあるので影響を受けていません。**
  • 【閉局の年次推移は参考値】2021〜2025の5暦年ぶんを clo_by_year に持っていますが、名簿の収集経路(過去分アーカイブと現行名簿)の重なり方が年で違うため、年ごとの増減はトレンドの目安にとどめ、本文の断定には使っていません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(県内65店を除外)。位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(熊本県は全873店に市区町村コードがあり、未割当は0件)。
  • 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。熊本県は10の二次医療圏に分かれます。熊本市は政令指定都市で、5つの行政区として集計しています(すべて熊本・上益城医療圏)。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【菊池医療圏についての但し書き】菊陽町では2024年に半導体工場が稼働しましたが、本レポートの人口推計は2020年国勢調査を出発点にしているため、その後の社会増は織り込まれていません。菊池医療圏の需要は実態より低めに出ている可能性があります。当データベースに実績人口の系列が無いため、どれだけ低いかは検証できていません。
  • 【小さすぎる分母】県内には薬局が1軒も無い自治体が5つ(産山村・津奈木町・五木村・山江村・球磨村)、8軒に満たない自治体が19あります。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。

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