CrossHealth / 薬局持久度レポート
県の平均はまだ増える。でも10圏のうち6圏は、もう減りはじめている
群馬県10の二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町村まで下りたレポートへ進めます。
群馬県の調剤薬局は994軒。高齢化で処方せんの需要は今後20年、県全体では+5.5%増える見通しです。ただし増えるのは10医療圏のうち4圏だけ。残る6圏では65歳以上人口が2025年でピークを迎え、すでに減りはじめています。いちばん縮む吾妻医療圏(-20.0%)と、いちばん伸びる伊勢崎医療圏(+21.3%)の差は41.3ポイントあります。
地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが吾妻医療圏(-20.0%)、いちばん伸びるのが伊勢崎医療圏(+21.3%)。医療圏をクリックすると、その中の市町村差まで下りられます。
人口動態 ── 需要の源県全体は+5.5%。でも10圏のうち6圏では、高齢者はもう増えない
群馬県全体では、総人口は188万→160万人(-15.0%)と減る一方、65歳以上は59万→62万人(+5.5%)とわずかに増えます。高齢化率は31.5%→39.1%へ。ただし県全体の+5.5%はほとんどが平野部の数字です。65歳以上人口が2025年でピークを迎える医療圏は吾妻・沼田・富岡・桐生・藤岡・渋川の6圏で、ここにある薬局は262軒=県内の26.4%です。つまり県内の薬局のおよそ4軒に1軒は、もう「高齢者が増えない地域」に立っています。逆に、2050年になってもまだ65歳以上人口が増え続ける医療圏はひとつもありません。県内でもっとも遅いピークでも2045年(太田・館林/高崎・安中/伊勢崎)です。薬局が1軒もない自治体も県内に4つあり、高山村(吾妻医療圏)・昭和村(沼田医療圏)・南牧村(富岡医療圏)・上野村(藤岡医療圏)と、4つの医療圏にひとつずつ散らばっています。
県の文脈 ── 1軒あたりの処方せん1軒あたりは全国で下から2番目。でも「薬局が多いから」ではない
群馬県の薬局1軒あたりの年間処方せんは10,858枚で、47都道府県のうち46位——下から2番目です(いちばん少ないのは富山県の10,820枚、いちばん多いのは沖縄県の18,490枚)。では群馬には薬局が多すぎるのか——を確かめるため、分母と分子に分けてみました。人口10万人あたりの薬局数は52.9軒で全国22位、ほぼ真ん中です。いっぽう住民1人あたりの院外処方せんは5.75枚で全国44位と少ない側にあります。1軒あたりが薄いのは店の数ではなく、地域全体に出ている院外処方せんの量のほうから来ている、という読み方になります。NDBが数えているのは院外処方せんだけで、病院・診療所の中で渡されている分は入っていません。なお人口10万人あたりの医療施設従事医師数は233.4人で全国11位(少ない順)ですが、全国47都道府県で医師密度と1軒あたり処方せんの関係を見ると相関は弱く(相関係数-0.158)、この2つを結びつけて読むことはできません。
承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届53件のうち、そのまま消えたのは25件でした
2025年の1年間に群馬県で出された薬局の廃止届は53件。ただしこのうち28件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは25軒(薬局994軒の2.52%)でした。引き継がれなかった割合は県計47.2%です。同じ関東信越厚生局の名簿から、同じ暦年2025・同じ数え方で並べられるのは千葉県・埼玉県・東京都・神奈川県の4都県。そのまま消えた割合は群馬県2.52%・東京都2.21%・神奈川県1.72%・埼玉県1.59%・千葉県1.48%で、引き継がれなかった割合は群馬県47.2%・東京都38.3%・埼玉県36.7%・千葉県36.5%・神奈川県33.5%でした。どちらも群馬県がいちばん高くなります。ただし群馬の廃止届は53件で、東京都の384件などに比べて分母が小さく、数件動けば順位は変わります。圏域まで割ると1圏あたり数件しかありません。1年ぶんの差を地域の性質として読まないでください。
承継の中身 ── 法人の一斉付け替えを差し引く承継28件のうち12件は、ある調剤チェーンが同じ日にまとめて手続きしたものでした
移転・承継として届け出られた28件を1件ずつ見ていくと、12件が同じ日(2025年4月30日)に集中していました。いずれも同じ調剤チェーンの店舗で、関東信越の10都県では同じ日・同じ屋号で99件がまとめて新しい機関コードに切り替わっています。これは地域から薬局が消えた話でも、新しい担い手が見つかった話でもなく、法人の中の事務手続きです。そこで、この一斉付け替えを承継から差し引いた値も出しました。引き継がれなかった割合は47.2% → 61.0%に上がります。同じ調整を他の4都県にも当てはめると東京都41.5%・埼玉県38.3%・千葉県36.5%・神奈川県35.9%で、群馬県がいちばん高いという順位は変わりません(むしろ2位との差は8.9ポイントから19.5ポイントに広がります)。なお一斉付け替えは移転・承継の側にしか現れないため、真の閉局25軒と真の閉局率2.52%はこの調整でまったく動きません。どちらの数字を主に見るかは読み手に委ねますが、本レポートは差し引く前の47.2%を既定の表示とし、差し引いた値を併記する形にしています。
4年の推移 ── 名簿がそろう範囲で閉じた薬局は4年で85軒。承継の側は、あまり動いていない
関東信越厚生局の月刊の名簿は2022.1号から2026.7号まで55号が1号も欠けずにそろうため、廃止日ベースで暦年2022〜2025の4年を並べられます。真の閉局は15件→17件→28件→25件、移転・承継は29件→25件→27件→28件でした。4年合計で真の閉局85件・移転承継109件、引き継がれなかった割合は43.8%になります。後半2年のほうが前半2年より閉局が多く見えますが、4年という短さと年による振れを考えると、これを傾向と呼ぶには早すぎます。圏域ごとの「引き継がれなかった割合」も、単年と4年ではっきり入れ替わります(各圏の4年値は true_share_pct_cal4y に入れてあります)。なお群馬県の届が0件の号が6号ありますが、同じ号に他の都県の行があることを確認しており、名簿の抜けではなく本当に0件だった月です。
機能の届出 ── 兵庫で見えた並びは、群馬では出ないいちばん厚い圏も、いちばん薄い圏も、需要が減る側にある
在宅患者訪問薬剤管理指導の届出率を医療圏ごとに並べると、沼田の13.3%から藤岡の48.7%まで開きます。兵庫県ではこの順番が処方せん需要の伸びの順番と8医療圏すべてで一致し、「需要が減る地域ほど届出が薄い」という並びが見えていました。群馬県の10医療圏では一致は1圏だけで、同じ並びは再現しません。それどころか、かかりつけ・地域連携・在宅の3指標がそろって県内最高なのは需要が-4.9%と減る側の藤岡医療圏で(かかりつけ64.1%・地域連携43.6%・在宅48.7%)、3指標そろって県内最低なのも需要が-14.6%と減る側の沼田医療圏です(かかりつけ26.7%・地域連携16.7%・在宅13.3%)。同じように人口が減っていく2つの圏域で、届出の厚さが正反対に出ています。ただし藤岡は薬局39軒、沼田は30軒で、1店の届出で3ポイント前後動く分母です。届出は自己申告で、届出=実際の提供ではありません。
ランキング ── 圏域差処方せんが増える医療圏・減る医療圏
吾妻(-20.0%)から伊勢崎(+21.3%)まで。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。現在の1軒あたり処方せんは吾妻の7,706枚から渋川の13,039枚まで1.69倍の開きがあり、「いま薄い地域が、これからさらに薄くなる」とは限らない点に注意してください。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は現在再学習中です(下の注記)。
くわしい数字10医療圏データ一覧
| 地域(医療圏) | 薬局 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045(枚/年) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 高崎・安中 | 218 | 10,460 → 11,710 | +12.0% |
| 太田・館林 | 199 | 10,870 → 12,105 | +11.4% |
| 前橋 | 193 | 10,930 → 11,732 | +7.3% |
| 伊勢崎 | 122 | 11,655 → 14,136 | +21.3% |
| 桐生 | 103 | 9,875 → 9,111 | -7.7% |
| 渋川 | 41 | 13,039 → 12,724 | -2.4% |
| 藤岡 | 39 | 11,356 → 10,802 | -4.9% |
| 富岡 | 32 | 11,140 → 9,854 | -11.5% |
| 沼田 | 30 | 11,201 → 9,566 | -14.6% |
| 吾妻 | 17 | 7,706 → 6,166 | -20.0% |
※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は暦年2025の集計で、移転・承継を除いています。個店のランキングは作りません。
いま出していない数字供給の将来推計は、再学習中です
このページでは、2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類を外しています。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、そのモデルは近畿地方のデータで学習したもので群馬県を含んでおらず、さらに閉局の数え方を「移転・承継を除いた本当の閉局」に改めたことで、関東信越を含めて学習しなおす必要が生じました。できあがり次第このページに戻します。それまでは、確定している需要側の数字(将来推計人口とNDB処方せん実績)と、現在の供給の事実(薬局数・閉局)だけでお伝えします。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選びました。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 群馬県(このページ・Lv1)=10の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 二次医療圏(Lv2)=圏内の市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町村(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類はこのページから外しています。供給の統計モデルが近畿地方のデータで学習されており群馬県を含まないこと、閉局の定義を変更したことの2点により、再学習が必要なためです。再学習が済み次第、戻します。
- 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・県全体で年間10,793,005枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。院内で処方されている分は含みません。
- 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は暦年2025年(1〜12月)です。この期間の廃止届は53件で、うち28件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだと読めます。そのまま消えたのは25件です。参考として直近12ヶ月(2025年6月〜2026年5月(12ヶ月))でも数えており、そちらは真の閉局26件・廃止届52件でした。
- 【名簿の欠号を確かめてあります】群馬県の廃止届が0件の号が6号(2022.10・2022.12・2023.3・2023.7・2023.12・2025.1号)ありますが、同じ号に関東信越の他の7〜9都県の行が入っていることを確認しました。号そのものは手元にあり、群馬県の届が無かった=本当に0件だった月です。月刊の名簿は2022.1号〜2026.7号の55号が1号も欠けていません。いっぽう2021年12月以前は名簿が四半期刊で、群馬県の行がある号は6号しかありません。2020〜2021年の閉局は構造的に過少なので、集計には使っていません。
- 【法人の一斉付け替えを差し引いた値】移転・承継28件のうち12件は、ある調剤チェーンが2025年4月30日にまとめて機関コードを付け替えたものです(関東信越10都県で同じ日・同じ屋号が99件)。地域から薬局が消えたわけでも担い手が見つかったわけでもないので、これを承継から差し引くと引き継がれなかった割合は47.2%→61.0%になります。同じ調整を他の4都県にも当てはめても群馬県が最高という順位は変わりません。この一斉付け替えは移転・承継にしか現れないため、真の閉局25軒と真の閉局率2.52%は影響を受けません。検出は関東信越10都県の合計で「同じ廃止日・同じ屋号の承継が20件以上」という条件で機械的に行っており、日付や法人名を決め打ちしていません(名簿全体で該当したのは6件)。なお「同じ廃止日に承継20件以上」とだけ置くと、廃止届の日付はほとんどが月末なのでブロックの承継の87.2%が該当してしまい、一斉付け替えの検出になりません。この条件は採用していません。
- 【他県との比較はいつ時点の数字か】閉局率・承継率の県間比較は、**このページを作った時点のデータベース**から4都県ぶんをまとめて取り直した値です。各県の公開ページは作られた時期が違い、名簿の遡及取込(後から古い月の届出が足される)で数字が動くため、公開ページ側の値と一致しないことがあります(この時点でズレているのはありません)。比較の土台をそろえるためにDB側を正としています。
- 【4年ぶんの推移】暦年2022〜2025の4年で、真の閉局は15・17・28・25件、移転・承継は29・25・27・28件でした。4年は傾向を語るには短く、年による振れも大きいため、増減の断定はしていません。
- 【他県との比較は同じ厚生局の中だけ】閉局率・承継率の県間比較は、同じ関東信越厚生局が出す名簿を使っている千葉県・埼玉県・東京都・神奈川県とだけ行っています。厚生局ごとに名簿の作り方や捕捉率が違うため、近畿(大阪府・兵庫県)や東海北陸(岐阜県・三重県・石川県・富山県)の数字とは並べていません。
- 【単年の圏域差は振れます】暦年2025で見た「引き継がれなかった割合」は吾妻医療圏の0.0%から沼田医療圏の100.0%まで開きますが、1医療圏あたりの廃止届は10件前後かそれ以下しかありません。暦年4年ぶんで計算し直すと順位も水準も入れ替わります。単年の圏域ランキングを固定的な性質として読まないでください。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(県内226店を除外)。位置は届出上の市町村コード(群馬県は全994店に登録があります)で割り当てています。座標だけで割り当てると、県庁付近の1点に集まったジオコードのために5つの医療圏から6店が前橋医療圏へ移ってしまうため、住所を優先しています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。群馬県は全994店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【1軒あたり処方せんの全国比較】薬局1軒あたり10,858枚は47都道府県中46位ですが、人口10万人あたりの薬局数は52.9軒で22位(ほぼ中位)、住民1人あたりの院外処方せんが5.75枚で44位です。「1軒あたりが薄い=薬局が多い」ではありません。医師密度(233.4人・都道府県値)との相関も弱く(-0.158)、二次医療圏別の医師密度は持っていないため圏域比較には一切使っていません。
- 【薬局が1軒も無い自治体】群馬県では高山村(吾妻医療圏)・昭和村(沼田医療圏)・南牧村(富岡医療圏)・上野村(藤岡医療圏)の4村に薬局がありません。1軒あたりの指標は計算できないため、表では空欄になります。住民が薬局を使っていないという意味ではなく、隣接する自治体の薬局を利用していると考えられますが、本レポートはその越境利用を推計していません。
- 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。群馬県は10圏です。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
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