群馬県太田・館林(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

需要は増える側。なのに、県内でいちばん多く薬局が消えている

太田・館林医療圏7市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 太田・館林医療圏 7市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

太田・館林医療圏は7の市町からなる、群馬県でもっとも自治体数の多い圏域です。65歳以上人口は2045年までに+11.4%と、県内で3番目によく増える側にいます。ところが暦年2022〜2025の4年間にこの圏域で消えた薬局は20軒——群馬県10医療圏でいちばん多い数です。廃止届35件のうち引き継がれなかった割合は57.1%で、廃止届が10件以上ある6圏の中では1位です。

7
太田・館林医療圏の市町
199
圏内の薬局数
20
2022〜2025年に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-16〜+7%
経営体力の変化レンジ(市町差)

太田・館林医療圏には、薬局117軒(圏内の58.8%)の太田市から、薬局1軒の千代田町までが同じ枠に入っています。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化)で見ると、いちばん沈むのが板倉町(-16.3%)、いちばん伸びるのが大泉町(+7.1%)で、その差は23.4ポイント。7市町のうち5市町がマイナス側にいます。人口で見ると、圏内の差はもっとはっきりします。大泉町は65歳以上人口が+19.2%と増え、高齢化率24.2%は圏内でもっとも低い水準です。いっぽう板倉町は65歳以上人口が-6.8%、総人口も-26.8%で、65歳以上人口のピークはすでに2025年です。圏内7市町のうち2市町がピークを通過済み、65歳以上人口が2045年までに減る市町は3あります。圏全体としては需要が+11.4%増える計算ですが、それは太田市が圏の高齢人口の53.1%を抱えているからで、圏の平均は圏内のどの市町の実感でもありません。閉局の面では、暦年2022〜2025の4年間の廃止届35件のうち15件が移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは20軒でした。薬局199軒に対する年平均の真の閉局率は2.51%です。消えた20軒のうち14軒は太田市に集中しており、板倉町・明和町・千代田町の3町ではこの4年間に廃止届そのものが出ていません。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が50.8%と県平均(52.8%)をわずかに下回り、10医療圏で7位です。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが板倉町(-16.3%)、いちばん緑なのが大泉町(+7.1%)で、同じ太田・館林医療圏の中に23.4ポイントの開きがあります。板倉町・明和町・千代田町は薬局が8軒に満たないため、色も数値も1店の開廃で大きく振れます。

板倉町:薬局4/1軒あたり処方せん -16.3%板倉町邑楽町:薬局11/1軒あたり処方せん -13.9%邑楽町明和町:薬局4/1軒あたり処方せん -12.6%明和町千代田町:薬局1/1軒あたり処方せん -8.8%館林市:薬局44/1軒あたり処方せん -2.4%館林市太田市:薬局117/1軒あたり処方せん +4.2%太田市大泉町:薬局18/1軒あたり処方せん +7.1%大泉町
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-16%)増える(+7%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

人口動態 ── 需要の源圏全体では+11.4%。でも7市町のうち3町は、65歳以上人口が減る

なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。太田・館林医療圏全体では、総人口は39.5万→34.9万人(-11.5%)と減り、65歳以上は11.2万→12.5万人(+11.4%)と増えます。高齢化率は28.4%→35.7%へ。65歳以上のピークは圏全体では2045年ですが、圏内7市町のうち2市町(板倉町・邑楽町)ではそのピークがすでに2025年——これから減っていく局面に入っています。65歳以上人口が2045年までに減る市町は3あります。高齢化率で見ると、大泉町の24.2%から板倉町の37.6%まで13.4ポイントの開きがあり、2045年には32.2%と47.8%になります。

総人口65歳以上
0万10万20万30万40万20252030203520402045205034万12万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上は2045年にピークを迎えます。

4年の推移この圏域で、4年間に閉じた薬局と、引き継がれた薬局

関東信越厚生局の月刊の名簿は2022年から連続してそろうため、暦年で4年ぶんを並べられます。太田・館林医療圏の真の閉局は4件→5件→7件→4件、移転・承継は3件→6件→1件→5件でした。4年合計では真の閉局20件・移転承継15件で、薬局199軒に対する年平均の真の閉局率は2.51%になります。暦年2025だけを見ると真の閉局4件・移転承継5件で、引き継がれなかった割合は44.4%。4年ぶんの57.1%とは印象が変わります。1年ぶんだけを見ると数件の差で順位が動く規模なので、単年の数字は幅をもって読んでください。なお群馬県全体では、承継28件のうち12件が「ある調剤チェーンが同じ日にまとめて機関コードを付け替えたもの」でした(県の引き継がれなかった割合はそれを差し引くと47.2%→61.0%に上がります)。太田・館林医療圏にはこの一斉付け替えが1件も含まれていません(暦年2025も4年ぶんも0件)。この圏域の承継の数字は、そのまま読んで差し支えありません。

ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町

板倉町(-16.3%)から大泉町(+7.1%)まで23.4ポイントの開き。7市町のうちマイナスは5で、圏内の多数派です。なお板倉町・明和町・千代田町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。とくに千代田町は薬局1軒で、1軒あたり処方せん66,136枚という値は「町ぶんの処方せんを1軒に按分した結果」であって実測ではありません。

板倉町
-16.3%
邑楽町
-13.9%
明和町
-12.6%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
館林市
-2.4%
太田市
+4.2%
大泉町
+7.1%

くわしい数字7市町データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
太田市11726.8%9,814 → 10,231+4.2%
館林市4430.7%9,810 → 9,573-2.4%
大泉町1824.2%10,806 → 11,568+7.1%
邑楽町1134.4%14,794 → 12,737-13.9%
板倉町437.6%23,632 → 19,776-16.3%
明和町433.0%16,331 → 14,275-12.6%
千代田町132.8%66,136 → 60,309-8.8%

※処方せん需要は太田・館林医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 群馬県(ひとつ上・Lv1)=10の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 太田・館林医療圏(このページ・Lv2)=7市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】太田・館林医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,163,111枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。院内で処方されている分は含みません。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(群馬県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に111.4)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は暦年2025年で、太田・館林医療圏の真の閉局は4件(廃止届9件・うち移転承継5件)でした。1圏・1年では件数が少なすぎるため、本文では主に暦年2022〜2025の4年合計(真の閉局20件・移転承継15件)で述べています(年別内訳は clo_multiyear)。
  • 【法人の一斉付け替え】保険薬局の廃止情報には、1つの法人が同じ日にまとめて機関コードを付け替える動きが混ざります(関東信越10都県の合計で「同じ廃止日・同じ屋号の承継が20件以上」という条件で機械的に検出しています)。群馬県全体では暦年2025の承継28件のうち12件が該当しますが、太田・館林医療圏には1件も含まれていません。したがってこのページの承継・引き継がれなかった割合は、差し引きの前後で変わりません。
  • 【単年と4年で印象が変わります】この圏域の「引き継がれなかった割合」は暦年2025で44.4%、4年ぶんで57.1%です。1医療圏・1年あたりの廃止届は10件前後しかありません。単年の数字を地域の固定的な性質として読まないでください。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています(座標だけで割り当てると、県庁付近に集まったジオコードのために医療圏をまたいで店が移動します)。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。この圏域は全199店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。なお明和町のかかりつけ届出率0.0%は、薬局4軒すべてが届け出ていないという実測値で、データの欠測ではありません(1店が届け出れば25.0%に動く分母です)。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】板倉町・明和町・千代田町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。とくに千代田町は薬局1軒で、1軒あたり処方せんの66,136枚は町ぶんの処方せんを1軒に按分した計算値です。
  • 【薬局が0軒の自治体】この圏域にはありません(群馬県には4村あり、いずれも吾妻・沼田・富岡・藤岡医療圏です)。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルを再学習中のため)。

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