群馬県 › 伊勢崎(二次医療圏)
CrossHealth / 薬局持久度レポート
需要の伸びは県内最大。それでも4年間に11軒が消えた
伊勢崎医療圏2市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
伊勢崎医療圏は、伊勢崎市・玉村町の2市町からなる圏域です。薬局は122軒(県内4位)。65歳以上人口+21.3%は10医療圏で最大の伸びです。暦年2025年(1〜12月)の真の閉局は0件でしたが、暦年2022〜2025の4年間では11軒——11軒すべてが伊勢崎市でした。65歳以上人口がすでにピークを過ぎた市町は、この圏にはまだありません。
圏を構成するのは伊勢崎市と玉村町の2市町だけです。伊勢崎市は薬局109軒・65歳以上人口のピークは2050年、玉村町は薬局13軒・ピークは2040年。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内での相対値)は伊勢崎市+1.2%、玉村町-6.4%です。65歳以上人口の絶対量では伊勢崎市+22.8%・玉村町+13.5%と動きます。閉局の面では、暦年2022〜2025の4年間に出た廃止届25件のうち14件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは11軒でした。薬局122軒に対する年平均の真の閉局率は2.25%です。消えた11軒は、すべて伊勢崎市にあります。薬局数に対する4年の比率がいちばん高いのは伊勢崎市の10.09%(109軒中11軒)です(比較は薬局8軒以上の市町に限ります)。暦年2025年(1〜12月)に限ると、廃止届4件はいずれも移転・承継で、真の閉局は0件でした。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが玉村町(-6.4%)、いちばん緑なのが伊勢崎市(+1.2%)で、同じ伊勢崎医療圏の中に7.6ポイントの開きがあります。
人口動態 ── 需要の源伊勢崎医療圏は「人は減るが、お年寄りは増える」
もとをたどると人口の動きです。伊勢崎医療圏全体では、総人口は24.6万→22.4万人(-8.6%)、65歳以上は6.6万→8.0万人(+21.3%)と推移します。高齢化率は26.9%→35.7%。65歳以上のピークは圏全体で2045年です。65歳以上人口がすでにピークを過ぎた市町は、この圏にはまだありません。群馬県全体(+5.5%)と同じ向きで、県平均より速い変化です。
医療計画 ── 県の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。
①伊勢崎保健医療圏圏域の人口は、高齢化率や今後見込まれる人口減少率が県内で最も低くなっています。
群馬県保健医療計画 第9次群馬県保健医療計画 PDF 411ページ並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。
4年の推移この圏域で、4年間に閉じた薬局と、引き継がれた薬局
関東信越厚生局の月刊の名簿は2022年から連続してそろうため、暦年で4年ぶんを並べられます。伊勢崎医療圏の真の閉局は4件→3件→4件→0件、移転・承継は4件→3件→3件→4件でした。4年合計では真の閉局11件・移転承継14件です。注意がひとつあります。この圏域の4年間の承継14件のうち1件は、「ある調剤チェーンが同じ日にまとめて機関コードを付け替えたもの」(法人の一斉付け替え)です。地域から薬局が消えたわけでも、新しい担い手が見つかったわけでもない、法人内の事務手続きです。暦年2025年(1〜12月)の「引き継がれなかった割合」は0.0%ですが、一斉付け替え1件を差し引くと0.0%になります。真の閉局の数え方は、この一斉付け替えの影響を受けません。
2市町の対比 ── ランキングは作りません伊勢崎市と玉村町
この圏は2市町のみで構成されるため、圏内ランキングは作っていません(順位が事実以上の意味を持ってしまうため)。経営体力は玉村町-6.4%・伊勢崎市+1.2%です。
くわしい数字2市町データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 伊勢崎市 | 109 | 26.3% | 10,950 → 11,085 | +1.2% |
| 玉村町 | 13 | 30.4% | 17,564 → 16,434 | -6.4% |
※処方せん需要は伊勢崎医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 群馬県(ひとつ上・Lv1)=10の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 伊勢崎医療圏(このページ・Lv2)=2市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。伊勢崎医療圏にいまある122軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.26です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-8.6%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は91.7%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。伊勢崎医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は121軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 111軒=91.7%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 64軒=52.9%、在宅薬学総合体制加算 49軒=40.5%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 104軒=86.0%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回52.9%/これまで62.3%(差-9.4ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回91.7%/これまで38.5%(差+53.2ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回40.5%/これまで44.3%(差-3.8ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。なお名簿のうち1軒は住所から医療圏を特定できず、医療圏別の集計から外しています(県の合計には含みます)。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】伊勢崎医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間1,421,871枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。院内で処方されている分は含みません。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(群馬県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に121.3=実数としては増えます)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は暦年2025年で、伊勢崎医療圏の真の閉局は0件(廃止届4件・うち移転承継4件)でした。1圏・1年では件数が少なすぎるため、本文では主に暦年2022〜2025の4年合計(真の閉局11件・移転承継14件)で述べています(年別内訳は clo_multiyear)。件数は生成時点の名簿によるもので、名簿の掲載遅れにより今後も増えることがあります。
- 【法人の一斉付け替え】保険薬局の廃止情報には、1つの法人が同じ日にまとめて機関コードを付け替える動きが混ざります(関東信越10都県の合計で「同じ廃止日・同じ屋号の承継が20件以上」という条件で機械的に検出しています)。この圏域の4年間の承継14件のうち1件が該当します。承継・引き継がれなかった割合を読むときは、本文に添えた差し引き後の値もあわせてご覧ください。真の閉局の数え方はこの影響を受けません。
- 【単年と4年で印象が変わります】1医療圏・1年あたりの廃止届は多くて10件前後です。単年の数字(とくに0件)を地域の固定的な性質として読まないでください。本文は暦年2022〜2025の4年合計を主にしています。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています(座標だけで割り当てると、県庁付近に集まったジオコードのために医療圏をまたいで店が移動します)。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。この圏域は全122店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
- 【薬局が0軒の自治体】この圏域にはありません(群馬県には4村あり、いずれも吾妻・沼田・富岡・藤岡医療圏です)。
- 【この圏は薄型レポートです】構成が2市町のみで、圏内の順位付け・ランキングは行っていません(順位が事実以上の意味を持ってしまうため)。数値表・地図・人口動態は他圏と同じ基準で掲載しています。
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