CrossHealth / 薬局持久度レポート
県の需要はもう減りはじめている。しかも6つのうち2つは、将来を数字にできない
福島県6つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町村まで下りたレポートへ進めます。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
福島県の調剤薬局は902軒。65歳以上の人口は2025年がピークで、2045年には59.2万→57.3万人(-3.1%)と、処方せんの需要はもう増えない側に入っています。ただし、この県には数字にできない部分があります。社人研の将来推計人口は、浜通りの13市町村を「浜通り地域」として1つにまとめて推計しており、市町村ごとの数字がありません。その13はいわき医療圏と相双医療圏にちょうど一致するため、この2圏(薬局242軒=県内の26.8%)については将来の需要を出していません。0ではなく、推計が存在しないということです。
ドラッグストア専業206店は含みません
ピークは2025年。県全体(浜通り地域を含む)
いわき・相双は社人研の推計単位の都合で算出不可
全国42位/47。薬局の指標はすべて全国22〜28位
地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。算出できた4圏のうち、増えるのは県中医療圏(+3.9%)だけ。いちばん厳しいのが会津・南会津医療圏(-17.5%)で、その差は21.4ポイントあります。いわき・相双は色がつきません(将来推計が無いため)。
人口動態 ── 需要の源県の65歳以上は、2025年がピークでした
福島県全体では、総人口は173.2万→134.9万人(-22.1%)と減り、65歳以上も59.2万→57.3万人(-3.1%)と減ります。高齢化率は34.2%→42.5%へ。65歳以上人口のピークは2025年で、県全体としてはすでに減少局面です。算出できた4医療圏では、県中と県北が2040年、県南が2030年、会津・南会津が2025年にピークを迎えます。いわき・相双は個別には出せませんが、2圏をまとめた「浜通り地域」としては2025年がピークで-3.2%です。
承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届23件のうち、そのまま消えたのは9件でした(8ヶ月)
まず期間の話から。福島県の廃止名簿は、厚生局が公開している一覧表のうち2025年4月〜2025年11月の8ヶ月ぶんしか完全にそろいません。原本PDFを1本ずつ読み直したところ、処理月2026年2月と2026年4月の一覧表が7月時点の取込から漏れていたことが分かり、2026年8月の再取込で復元しました(処理月2025年8月の号は薬局の節そのものが無く、これは実際に0件です)。この8ヶ月で廃止届は23件、うち移転・承継が14件、そのまま消えた「真の閉局」が9件。引き継がれなかった割合は39.1%です。ただし、この8ヶ月には年度末の3月が入っていません。福島県のデータベースにある65件のうち、2025年3月の廃止が13件(真の閉局9件)=20.0%を占めており、3月を含む12ヶ月の参考窓で数えると年率2.44%、3月を含まない8ヶ月の年率換算では1.50%と、大きく違います。どちらか一方だけで他県と比べてはいけません。
機能の届出 ── 出せませんかかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、福島県では算出していません
薬局機能情報提供制度(GMIS)の機能情報が、福島県はデータベースに未取込です。(→ この波で、厚生局の施設基準届出受理医療機関名簿で数え直した届出率をこのページに載せました。GMISの自己申告からは算出できないという直前の説明は、GMISについてはいまも有効です。)この状態では届出フラグが空欄ではなく0で埋まっているため、そのまま割り算をすると「届出率0.0%」という実在しない数字が出てしまいます。0%ではなく、未算出です。同じ理由で、兵庫県で見えた「需要の順位=在宅届出率の順位」という関係が福島県で再現するかどうかも、このレポートでは判定できません。
ランキング ── 全国の中の福島薬局の指標はどれも全国の真ん中。違うのは医師の数です
薬局1軒あたりの年間処方せんは県全体で13,147枚で全国22位/47。人口10万人あたりの薬局数は52.1軒で25位、住民1人あたりの院外処方せんは6.8枚で24位、院外処方率は78.9%で28位。薬局に関する指標は4つとも全国の真ん中に並びます。はっきり違うのは医師で、人口10万人あたりの医療施設従事医師は218.7人=全国42位/47です。もうひとつ、県内の差が大きいのが院外処方率で、いわき医療圏の87.0%に対し県南医療圏は59.3%——これは全国335の二次医療圏で低いほうから16番目です。県南では処方せんの4割が病院・診療所の中で渡されていて、このレポートの需要には入っていません。
くわしい数字6医療圏データ一覧
| 地域(医療圏) | 薬局 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2050(枚/年) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 県北 | 265 | 11,952 → 11,805 | -1.2% |
| 県中 | 228 | 14,012 → 14,553 | +3.9% |
| いわき | 188 | 13,375 → 推計なし | ― |
| 会津・南会津 | 115 | 14,021 → 11,563 | -17.5% |
| 相双 | 54 | 14,308 → 推計なし | ― |
| 県南 | 52 | 11,479 → 11,034 | -3.9% |
※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は2025年4月〜2025年11月(8ヶ月)の集計で、1年ぶんではありません。いわき・相双の将来の列が空欄なのは、社人研の推計にこの2圏の市町村が個別に無いためです(0ではありません)。かかりつけ等の届出率はGMIS未取込のため全県で未算出です。(→ この波で、厚生局の施設基準届出受理医療機関名簿で数え直した届出率をこのページに載せました。GMISの自己申告からは算出できないという直前の説明は、GMISについてはいまも有効です。)
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのか福島県の医療圏は、すべて郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。福島県の6の二次医療圏を分けると、都市型が0圏・郊外型が6圏です。競争側の比率は圏によって0.12〜0.49まで開きます(0.5以上なら都市型)。同じ県のなかでも、減り方の筋道は一様ではありません。このうち4圏は、社人研の推計で20年に15%を超えて人口が減る側に入ります。県全体の総人口は2025→2045で-22.1%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。廃止届の名簿がそろっている期間が19ヶ月しかありません。この分類は2025〜26年の実績水準がこの先も続くと置いた場合の姿です。東北6県は画像PDFの廃止届が未回収で、閉局の捕捉が下限にとどまる可能性があります(統計的な下限の証拠は出ていませんが、回収の来歴から保守的に扱っています)。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は93.1%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。福島県でこの名簿に載っている保険薬局は889軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 828軒=93.1%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 496軒=55.8%、在宅薬学総合体制加算 296軒=33.3%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 730軒=82.1%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。同月版でそろえた全国比較では、地域支援・医薬品供給対応体制加算は93.1%で全国47都道府県中18位、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は55.8%で全国47都道府県中33位、在宅薬学総合体制加算は33.3%で全国47都道府県中37位、電子的調剤情報連携体制整備加算は82.1%で全国47都道府県中34位です。順位は名簿の数え方がそろっている範囲での並びで、地域の医療の良し悪しを表すものではありません。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
いま出していない数字いま出していないのは、2045年の薬局店数の推計だけです
このページでは、次の数字をまだ出していません。(1)2045年の薬局店数 2045年に薬局が何軒になるかという推計です。供給動学モデルは47都道府県のフル学習に更新され、「どの筋道で閉じるか」の係数は検算に通りました。しかし店数の水準を出すには、閉じる側と開く側の数え方がそろっている必要があります。実際に20年ぶん回すと全国で+25.4%(薬局が2割以上増える)、薬局の少ない医療圏では最大+913%という結果になりました。原因は2つで、ひとつは新規指定の名簿がほぼ完全に取れるのに対して廃止届のほうに取りこぼしが残ること(モデルの純増+1074軒/年に対し名簿の実測は+387軒/年)、もうひとつは薬局の少ない医療圏で開局数が全国平均側に引っ張られること(20軒未満の圏では推定2.5軒/年に対し実測0.33軒/年)です。 解禁の条件は、廃止届の取りこぼしをなくすこと(東海北陸のOCR再収穫・名簿の多年化)と、小さい医療圏で開局数が平均へ引っ張られないようにモデルを直すことです。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選んでいます。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 医療圏をクリックすると、市町村まで下りたレポートへ進めます
- いわき・相双は将来の列が空欄になります
- 個別の薬局名は出していません(集計のみ)
このレポートの範囲と、正直な限界
- 閉局の既定窓は2025年4月〜2025年11月の8ヶ月です。1年ぶんではありません。他県の12ヶ月窓・暦年の率とそのまま並べないでください。
- ★既定窓は年度末(3月)を1度も含みません。2025年3月の廃止は13件(真の閉局9件)で、データベースにある65件の20.0%(原本PDFで見える57件では22.8%)を占めます。8ヶ月の年率換算1.50%は、3月を含む12ヶ月の参考窓の年率2.44%より低く出ます。両方を見てください。
- ★原本PDFを読み直した結果、処理月2026年2月と2026年4月の一覧表が7月時点の取込から漏れていたことが分かり、2026年8月の再取込で復元しました(薬局10件・真の閉局3件)。うち2026年2月号の1件(2026年1月末廃止・真の閉局)は参考窓の集計に入っています。2026年4月号の9件は集計窓の外です。処理月2025年8月の号は薬局の節そのものが無く、こちらは実際に0件です。
- ★掲載遅れの尾が長く、3ヶ月以上あとの号に載る廃止が8.8%あります。号がすべてそろっていても、直近の月ほど『まだ載っていない廃止』が残ります。件数は上限ではなく下限に近いと考えてください。
- ★東北6県の閉局率を並べたランキングは作っていません。号のそろい方が県ごとに違い、6県そろって完全な廃止月が1つも無いためです。同じ窓・同じ号のそろい方で比べられるのは秋田県との2県だけ(5ヶ月)で、それも真の閉局が一桁台なので参考値にとどめています。
- ★2026年5月・6月の一覧表は、文字がパスに落とされたPDFと走査画像で、読み取ることができません。したがって2026年3月以降の廃止は、いまのデータでは完成させられません。右端は常に下限です。
- ★いわき医療圏・相双医療圏の将来の需要・高齢化率・65歳以上のピーク年は算出していません。社人研2023年推計が、この2圏にあたる13市町村を「浜通り地域」として一括で推計しているためです。0ではなく、推計が存在しません。
- ★本レポートは原発事故・避難指示と、薬局の数や閉局との因果を一切主張しません。書いているのは、社人研の推計単位がそうなっているという事実と、時期を明記した実測値だけです。
- ★かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は福島県では未算出です。GMISの機能情報が県まるごと未取込で、フラグが0で埋まっているためです。(→ この波で、厚生局の施設基準届出受理医療機関名簿で数え直した届出率をこのページに載せました。GMISの自己申告からは算出できないという直前の説明は、GMISについてはいまも有効です。)0%ではありません。
- 薬局902軒はGMIS(自己申告)が出所です。東北厚生局の保険薬局名簿(R8.7.1・889件)と13件(1.5%)違います。基準日が違うので、この差をそのまま漏れとは読めません。
- 薬局0軒の12市町村は、GMISでも厚生局名簿でも0軒でした。ただし相双医療圏の6町村は人口が取れないため、規模との突き合わせができていません。
- 市町村別の処方せんは実測ではありません。NDBの最小公表単位が二次医療圏のため、65歳以上人口で按分した推計です。分母の小さい町村では極端に跳ねます(大玉村は薬局1軒で54,918枚)。
- NDBは院外処方せんだけを数えています。福島県の院外処方率は78.9%で全国28位、県南医療圏は59.3%=全国335圏で低いほうから16番目です。県南では処方せんの4割がこのレポートの需要に入っていません。
- 薬局数は2025年時点で固定しています。2045年の薬局店数の推計は、いまも掲載していません(参入と退出の数え方がそろわないため)。医療圏の「都市型/郊外型」の分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
- 圏どうしの閉局率を順位づけしていません。既定窓の真の閉局は圏あたり0〜3件で、1件動くと率が大きく動きます。
- 徒歩カバー率の軸は使えません(250mメッシュに福島県分が未投入)。
- 閉局の市町村への割当ては住所文字列で行いました(届出住所ベース)。2026年8月の再取込で65件中64件に座標が付きましたが、割当ては住所のままです。残る1件は住所・座標とも読めない破損行で、集計窓の外です。
- 薬局9店の座標が福島県庁に落ちています(ジオコードのフォールバック)。届出の市町村コードは正しいので集計には影響しませんが、市町村の重心からは外しています。
- chg の意味が階層で違います。Lv1=絶対値、Lv2=圏内でのシェア移動(相対値)です。
- 個別の薬局のランキング・名指しの閉局予測・出店の助言は一切含みません。地域単位の事実のみです。
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