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がん治療の進歩がもたらす新たな課題、日本の血液がん医療を「生活の場」に近づけるための3つの方向性

引用元:https://hgpi.org/lecture/column-77.html

引用元: https://hgpi.org/lecture/column-77.html


血液がん治療の進歩により、多くの疾患が慢性化し、長期にわたる通院が必要となっています。

患者は治療にかかる時間的負担である「時間毒性」や、医療費の負担である「経済毒性」に直面しています。

本記事では、日本における血液がん医療の現状と課題、および他国の先進的な取り組みから得られる示唆について解説します。

がん治療技術の進歩により、かつては集中的な治療を要する急性期疾患であった多くの血液がんが、今では長期にわたり管理が必要な慢性疾患として扱われるようになっています。

治療や通院、服薬が何年にもわたって続くなかで、患者は「時間毒性」と「経済毒性」という2つの負担に直面します。

(がん医療を患者の生活に近づける)

主要な論点1:血液内科医師の著しい偏在と病院への集中

厚生労働省の統計によると、血液内科における病院勤務医と診療所勤務医の比率は約40対1であり、病院への集中が顕著です。

人口10万人当たりの病院勤務の血液内科専門医数は、最も多い京都府で約5.2人、最も少ない青森県で約1.1人と、地域間で約5倍の格差が存在します。

また、大学病院から地域の医療機関への医師派遣に対する診療報酬上の誘因が乏しく、医師の働き方改革による勤務時間の制約も加わり、地域での受け皿が不足しています。

厚生労働省の「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によれば、病院勤務医と診療所勤務医の比率は、循環器内科でおよそ5対1、消化器内科でおよそ3対1です。

これに対し血液内科ではおよそ40対1に達し、医療提供が病院に集中していることがうかがえます。

最も多い京都府ではおよそ5.2人、最も少ない青森県ではおよそ1.1人にとどまり、その差はほぼ5倍に及びます。

(がん医療を患者の生活に近づける)

主要な論点2:血液がんにおける地域連携クリティカルパスの整備遅れ

5大がんでは全国的に整備が進んでいる地域連携クリティカルパスですが、血液がんにおいては整備が大きく遅れています。

血液がんは長期の化学療法や寛解と再発の繰り返しなど経過が複雑であり、直線的な流れを前提とした従来のパスにはなじみにくいという特徴があります。

一部の医療機関で先駆的なモデルが作られているものの、全国で標準化された紹介基準や診療情報の共有システムは確立されていません。

5大がんについては、全国47都道府県で整備が進んでいます。

しかし血液がんでは、この仕組みの整備が大きく遅れています。

血液がんでは、長期にわたる化学療法、寛解と再発の繰り返し、移植後の長期的な経過観察を伴うことが少なくありません。

(がん医療を患者の生活に近づける)

主要な論点3:海外における「集約化」と「日常ケアの地域移行」を両立する3つのモデル

アメリカ、イングランド、アイルランドでは、専門的な高度治療を拠点に集約し、日常的なケアを患者の生活圏で提供するモデルが構築されています。

アメリカでは「コミュニティ・オンコロジー」により、地域の医療機関で日常的な治療を完結させ、高度な治療は大学病院等に集約する役割分担が行われています。

イングランドでは20の「がんアライアンス」が地域単位の連携を調整し、「迅速診断基準」という明確な数値目標によって実績を評価しています。

アイルランドでは「ハブ&スポークス型」モデルを国の政策として導入し、症例数や人口規模に基づき指定されたハブ病院と、化学療法等を行うスポークス病院で役割を完全に分担しています。

アメリカ、イングランド、アイルランドは、専門的な治療の集約化と、身近な地域の医療提供者による継続的なケアとを組み合わせ、がん医療を患者の生活に近づけるモデルを築いてきた。

(がん医療を患者の生活に近づける)

結び

高齢化の進行に伴い、日本の血液がんの新規罹患数は2040年に向けて大きく増加し、2050年にかけての有病率の伸びもがん全体を上回ると予測されています。

このような需要の増加に対し、すべてを専門医療機関に委ねる現行体制の維持は困難であり、持続可能なモデルへの移行が急務です。

日本国内でも、2026年4月から学会や医師会、製薬企業が共同する「HEMA-Bridge」などの地域医療偏在解消に向けた実証事業が始まっています。

今後は、アイルランドのような人口規模に基づく標準化された指定基準や、イングランドのような移行状況を測定する評価指標の導入、および地域医療を支える診療報酬の見直しなど、産官学民による継続的な協働が注視されます。

高齢化の進行に伴い、日本の血液がんの新規罹患数は2040年に向けて大きく増加すると見込まれています。

高齢の患者に通院のたびに長距離の移動を求め、増え続ける医療需要のすべてを専門医療機関に委ねる体制は、こうした状況のもとで維持することが難しくなります。

(がん医療を患者の生活に近づける)


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