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「ワンヘルス」時代を生き抜くために。獣医学分野における疫学教育の強化を求める共同提言が提出されました。

引用元:https://hgpi.org/research/amr-20260619.html

引用元: https://hgpi.org/research/amr-20260619.html


2026年6月19日、家畜感染症学会、獣医疫学会、日本医療政策機構、日本獣医学会疫学分科会の4つの団体が、文部科学大臣と全国大学獣医学関係代表者協議会会長に対し、共同提言を提出しました。

この提言は、人や動物、環境の健康を一体的に守る「ワンヘルス」の実現に向けて、獣医学分野における疫学教育を抜本的に強化することを求めています。

近年、2010年の口蹄疫や2022年から2023年にかけての高病原性鳥インフルエンザなど、深刻な家畜感染症の発生が相次いでいます。

さらに、新型コロナウイルス感染症やエムポックスなど、動物から人へ感染する人獣共通感染症のリスクも世界的に高まっています。

このような複雑な課題に対して、現場で迅速かつ的確に対応できるリーダーシップを持った獣医師の育成が急務となっています。

従来、国内では発生が認められなかったこれらの感染症の流行規模の拡大、発生頻度の増加や流行の長期化は、これまで国内ではみられなかった新たな状況であり、国や都道府県等において家畜伝染病対策に携わる獣医師には、こうした状況に適切に対応できるリーダーシップが求められている。

(<政策提言>ワンヘルス時代を支える獣医学分野の疫学教育の在り方.pdf, Page 1)

提言の第1のポイントは、講義と実習を両輪とした疫学教育の推進です。

現在、日本の獣医学教育における疫学は講義が中心となっています。

しかし、大学間での講義回数には5回から15回までと大きな格差があり、共通の教育水準が保たれていません。

また、現場での問題解決能力を養うための疫学実習は必修化されておらず、全国17の獣医科系大学のうち、実際に実習を実施しているのは10校に留まっています。

提言では、国際獣疫事務局(WOAH)が示す「Day 1 コンピテンシー」を基盤とし、疫学実習をモデル・コア・カリキュラムに追加して必修化することを強く求めています。

提言1:卒後1日目に疫学を応用できる獣医学人材の育成を目指し、講義と実習を両輪とした疫学教育を推進すべき

我が国の獣医学教育は共通のモデル・コア・カリキュラム(コアカリ)に基づいて実施されている。

(<政策提言>ワンヘルス時代を支える獣医学分野の疫学教育の在り方.pdf, Page 2)

提言の第2のポイントは、専門教員の配置とフラッグシップ校を中核とした環境整備です。

疫学実習を導入できていない大学においては、カリキュラムの時間不足や、実習を指導できる専門教員の不在、そして機材の不足などが主な障壁となっています。

提言では、この状況を打開するため、すでに実習を先行して実施している10大学の中から数校を「獣医疫学フラッグシップ大学」として指定することを提案しています。

これらの大学が中核となり、効果的な実習教材や指導ノウハウ、人材を全国の大学で共有する連携体制の構築を目指します。

さらに、国に対しても、すべての獣医科大学において疫学研究の経験が豊富な教員を確実に配置し、必要な教材や施設を整備するための財政的・制度的支援を求めています。

実際に、現時点で疫学実習を実施していない7校は、カリキュラム上時間がないこと(7校)、教員の不在(2校)、コンピュータの台数(1校)等を未実施の理由として挙げており、そのうち3校は良い実習教科書があれば疫学実習に取り入れたいと意欲を示している。

(<政策提言>ワンヘルス時代を支える獣医学分野の疫学教育の在り方.pdf, Page 2-3)

提言の第3のポイントは、地域社会や関係機関との連携強化による実践的実習の実現です。

大学内での教育にとどまらず、地域社会や現場の実務機関との連携を強化することが、効果的で持続可能な疫学実習に不可欠であると提言されています。

具体的には、国や都道府県の家畜衛生担当部局、家畜保健衛生所、さらには産業動物や伴侶動物の診療施設、関連学会や研究機関などとの密接な連携が挙げられています。

こうした外部機関との連携により、学生は実際のデータを用いたリアルなアウトブレイク対応などを学ぶことができます。

また、この連携は大学の授業にとどまらず、卒業後の獣医師に対しても、現場の最新課題に即応するための継続的な疫学教育を提供する基盤になると期待されています。

より実践的な疫学実習を行うためには、地域社会や関係機関との連携強化も欠かせない。

国や県の家畜衛生担当部局、家畜保健衛生所、生産動物診療施設、愛玩動物診療施設、学会や研究機関等と連携することにより、より実践的で効果的かつ持続可能な疫学実習が可能となる。

(<政策提言>ワンヘルス時代を支える獣医学分野の疫学教育の在り方.pdf, Page 3)

今回の提言は、日本の獣医学分野における疫学教育の現状に警鐘を鳴らし、国際基準に合致した人材育成への具体的な解決策を提示したものです。

今後、文部科学省や全国大学獣医学関係代表者協議会、大学基準協会などがこの提言をどのように受け止め、カリキュラム改定や教員確保の支援策を具体化していくかが注目されます。

動物と人間、そして環境の健康を守る「ワンヘルス」の実現に向けて、教育現場の早期の改革と、国による強力なバックアップが期待されます。

このように、家畜衛生、公衆衛生、臨床獣医学分野の全てにおいて、獣医学教育の終了後に現場で即時に対応可能な疫学の知識・技能・態度・適性(これらを合わせてコンピテンシーという)が求められる。

(<政策提言>ワンヘルス時代を支える獣医学分野の疫学教育の在り方.pdf, Page 1)


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