CrossHealth / 薬局持久度レポート

廃止届の7割は、別の担い手が引き継いでいました

栃木県6つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町まで下りたレポートへ進めます。

対象 栃木県 6二次医療圏・25市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

栃木県の調剤薬局は921軒。高齢化で処方せんの需要は今後20年、県全体では+4.7%しか増えません。6医療圏のうち3圏では2045年の65歳以上人口が2025年を下回り、2050年になってもまだ増え続ける圏はひとつもありません。いちばん減る県西医療圏(-7.0%)といちばん増える宇都宮医療圏(+16.1%)の差は23.1ポイントです。

6
栃木県の二次医療圏
921
県内の薬局数
12
2025年に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-7.0〜+16.1%
処方せん需要の変化レンジ(圏域差)

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが県西医療圏(-7.0%)、いちばん伸びるのが宇都宮医療圏(+16.1%)。医療圏をクリックすると、その中の市町差まで下りられます。

両毛:薬局140軒/1軒あたり処方せん(→2045) -1.2%両毛宇都宮:薬局257軒/1軒あたり処方せん(→2045) +16.1%宇都宮県北:薬局138軒/1軒あたり処方せん(→2045) +0.6%(クリックで詳細)県北県南:薬局252軒/1軒あたり処方せん(→2045) +6.9%県南県東:薬局57軒/1軒あたり処方せん(→2045) -2.1%県東県西:薬局77軒/1軒あたり処方せん(→2045) -7.0%県西
色=薬局1軒あたり処方せんの変化(→2045)
減る(-7.0%)増える(+16.1%)
医療圏そのものの形で塗り分けています。
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Lv1のこの色は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか)です。医療圏ページ(Lv2)の色は圏内でのシェア移動を示す相対値で、意味が違います。各ページの凡例に従ってお読みください。

人口動態 ── 需要の源65歳以上の人口は2040年に頭打ちになります

栃木県全体では、総人口は187万→158万人(-15.3%)と減り、65歳以上も58万→61万人(+4.7%)とほとんど増えません。高齢化率は31.2%→38.6%へ。65歳以上人口そのもののピークは県全体で2040年で、そのあとは減っていきます。すでに2025年がピークに入っているのは県西医療圏で、ここにある薬局は77軒=県内の8.4%です。隣の埼玉県では10医療圏のうち4圏が2050年になってもまだ増え続けていました。栃木県にはその段階の圏域がひとつもありません。「これから高齢化が進むから処方せんも増える」という前提は、この県ではもう置けない、ということです。

総人口65歳以上
0万48万95万142万190万202520302035204020452050150万60万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は右肩下がり、65歳以上は2040年でピーク。

承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局2025年の廃止届43件のうち、そのまま消えたのは12件でした

2025年(暦年)に栃木県で出された薬局の廃止届は43件。ただしこのうち31件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは12軒(薬局921軒の1.3%)でした。つまり廃止届の72.1%は引き継がれ、引き継がれなかった割合は27.9%です。4年ぶん(2022〜2025年)に広げると廃止届203件・移転承継150件・真の閉局53件で、引き継がれた割合は73.9%、引き継がれなかった割合は26.1%になります。同じ4年窓で関東信越の既刊4都県を並べると、引き継がれなかった割合が低い順に栃木県26.1%・神奈川県36.1%・東京都40.3%・埼玉県42.2%となり、栃木県はもっとも引き継がれている側にいます(もっとも高い埼玉県は42.2%)。ただしこれは「経営が楽だ」という意味ではありません。廃止届が出たあとに別の担い手が続けた割合であって、廃止届そのものが減っているわけではないからです。

承継の圏域差 ── 引き継がれる場所と、そうでない場所同じ県の中で、引き継がれた割合は3倍違います

4年ぶんで見た「引き継がれなかった割合」は、県東医療圏の16.7%から県西医療圏の50.0%まで開きます。宇都宮・県南・県東の各医療圏では廃止届の8割前後が別の担い手に引き継がれているのに対し、県西医療圏では半分が引き継がれていません。ただし県東医療圏の4年間の廃止届は18件しかなく、1件で5.6ポイント動く分母です。この表は順位ではなく、幅として読んでください。単年(2025年)では県全体の真の閉局が12件しかなく、医療圏に割ると0〜5件にしかならないため、圏域どうしの比較は4年窓でしか行っていません

データの但し書き ── 名簿に穴は無いか「その月は0件」と「その月の名簿が無い」は、まったく違います

閉局の数え方でいちばん怖いのは、名簿の欠号を「閉局が無かった月」と読み替えてしまうことです。栃木県の名簿には薬局の行が0件の号が9号あります。そこで、同じ名簿から取り出せる医科・歯科の廃止行を突き合わせました。9号すべてで医科または歯科の行が存在する——つまり名簿は手元にあり、その月に薬局の廃止届が無かっただけだと確認できました。名簿として連続して保有しているのは2021.11号〜2026.7号の57ヶ月です。あわせて、名簿は持っているのにデータベースへ取り込めていない号が1つ(2026.7号)見つかりました。この号に載っている薬局の廃止日は2026-05-20以降で、このページで使っている期間の外側なので数字には影響しませんが、見つかった穴として記録しています。

機能の届出 ── 都市が厚いとは限らない3指標そろって県内最高なのは、いちばん小さい医療圏でした

かかりつけ薬剤師指導料の届出率を医療圏ごとに並べると、宇都宮の63.0%から県東の77.2%まで開きます。低いほうが県都の宇都宮医療圏で、高いほうが薬局57軒しかない県東医療圏です。地域連携薬局は県西の44.2%が最高、在宅は県東の56.1%が最高で最低は両毛の37.1%です。県内で薬局がもっとも多い宇都宮医療圏(257軒)の順位は、かかりつけ6位・地域連携3位・在宅4位(6圏中)。「都市だから機能が厚い」という並びにはなっていません。兵庫県では在宅届出率の順位が処方せん需要の伸びの順番と8医療圏すべてで一致していましたが、栃木県6医療圏での一致は1圏です。ただし県東医療圏の薬局は57軒で、1店の届出で約1.8ポイント動く分母です。届出は自己申告で、届出=実際の提供ではありません。

ランキング ── 圏域差処方せんが増える医療圏・減る医療圏

県西(-7.0%)から宇都宮(+16.1%)まで。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。現在の1軒あたり処方せんは県西の11,900枚から県南の13,805枚まで1.16倍の開きで、「いま薄い地域が、これからさらに薄くなる」とは限らない点に注意してください。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は現在再学習中です(下の注記)。

県西
-7.0%
県東
-2.1%
両毛
-1.2%
県北
+0.6%
県南
+6.9%
宇都宮
+16.1%

くわしい数字6医療圏データ一覧

地域(医療圏)薬局1軒あたり処方せん
2025 → 2045(枚/年)
変化
宇都宮25713,728 15,936+16.1%
県南25213,805 14,762+6.9%
両毛14012,022 11,872-1.2%
県北13812,804 12,878+0.6%
県西7711,900 11,070-7.0%
県東5713,425 13,147-2.1%

※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は暦年2025の集計で、移転・承継を除いています。圏域どうしの比較は4年(2022〜2025年)の列で見てください。個店のランキングは作りません。

いま出していない数字供給の将来推計は、再学習中です

このページでは、2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類を外しています。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、そのモデルは近畿地方のデータで学習したもので栃木県を含んでおらず、さらに閉局の数え方を「移転・承継を除いた本当の閉局」に改めたことで、関東を含めて学習しなおす必要が生じました。できあがり次第このページに戻します。それまでは、確定している需要側の数字(将来推計人口とNDB処方せん実績)と、現在の供給の事実(薬局数・閉局)だけでお伝えします。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選びました。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 栃木県(このページ・Lv1)=6の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 二次医療圏(Lv2)=圏内の市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類はこのページから外しています。供給の統計モデルが近畿地方のデータで学習されており栃木県を含まないこと、閉局の定義を変更したことの2点により、再学習が必要なためです。再学習が済み次第、戻します。
  • 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・県全体で年間12,138,676枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。
  • 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は暦年2025(2025年1月〜12月)です。この期間の廃止届は43件で、うち31件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだと読めます。そのまま消えたのは12件です。暦年で数えているのは、大阪府(78件)千葉県(42件)東京都(145件)埼玉県(51件)の公開値と同じ期間で並べられるようにするためです。参考として直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)の値も持っています(真の閉局14件・廃止届38件)。
  • 【名簿の欠号を検証しています】栃木県の名簿には薬局の行が0件の号が9号ありますが、そのすべてで名簿そのものは手元にあり、同じ名簿から医科・歯科の廃止行が取り出せることを確認しました(9号/9号)。つまり「名簿が欠けている」のではなく「その月に栃木県の薬局の廃止届が無かった」という意味です。名簿として連続して保有しているのは2021.11号〜2026.7号(57ヶ月)で、掲載遅れは93.2%が2ヶ月以内・97.0%が6ヶ月以内です。また、名簿は保有しているのにデータベースへ未取込の号が1つ(2026.7号)見つかりました。この号の薬局の廃止日は2026-05-20以降で、本ページのどの集計期間にも入らないため数値には影響しませんが、既知の穴として開示します。
  • 【圏域どうしの比較は4年窓だけ】栃木県の暦年の真の閉局は12〜16件で、6医療圏に割ると1圏あたり0〜5件にしかなりません。単年の圏域ランキングは1件の増減で入れ替わるため、地域の固定的な性質として読まないでください。圏域どうしを比べる数字は暦年2022〜2025の4年窓(true_share_4y_pct・hazard_true_4y_pct_per_yr)だけを使っています。
  • 【引き継がれた割合の読み方】関東信越の既刊4都県を同じ4年窓で並べると、栃木県は引き継がれなかった割合が26.1%で1位(低い順)です。ただしこれは薬局の経営が楽であることを意味しません。廃止届が出たあとに別の担い手が続けた割合であり、廃止届そのものの多さとは別の指標です。また、同一法人の店舗移転も新しい機関コードが出るため「引き継がれた」側に入ります。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(県内223店を除外)。位置は届出上の市町コード(栃木県は全921店に登録があります)で割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。栃木県は全921店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。薬局数の少ない医療圏(県東は57軒)では1店の届出で約1.8ポイント動きます。
  • 【小さすぎる分母】塩谷町・市貝町・益子町・芳賀町・茂木町・那珂川町・那須烏山市・那須町は薬局数が8軒に満たない市町です。1軒あたりの数値も届出率も1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。
  • 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。栃木県は6圏です。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【医師密度は使っていません】栃木県の人口10万人あたり医療施設従事医師数は248.4人で47都道府県中16位(少ない順)、薬局1軒あたり処方せんは19位(多い順)と、どちらも中位です。埼玉県版で置いた『医師少数県だから薬局も薄いのか』という問いは栃木県では成立しないため、本文の説明には使っていません(数値は physician_context に保持)。
  • 【徒歩アクセスの軸はありません】250mメッシュ(mesh_backbone_250m)に栃木県分が投入されていないため、千葉県版にある徒歩圏カバー率は出せません。投入され次第、同じ手順で後から足せます。

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