静岡県駿東田方(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

圏の平均は、この10市町のどこの実感でもない

駿東田方医療圏10市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 駿東田方医療圏 10市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

駿東田方医療圏は沼津市・三島市を中心に10市町からなり、これは静岡県8医療圏でもっとも自治体数の多い圏域です。薬局は339軒(県内の17.8%)。圏全体では65歳以上人口が+3.7%と微増で、静岡県8医療圏のなかでは真ん中あたりに見えます。ところが圏内を割ると、経営体力の変化は伊豆市(-26.9%)から長泉町(+22.7%)まで49.6ポイント——静岡県8医療圏どうしの落差36.1ポイントよりも大きく開いています。県内でいちばん高齢化率の低い町と、65歳以上が2割以上減る市が、同じ医療圏の中にあります。

10
駿東田方医療圏の市町(県内最多)
339
圏内の薬局数(県全体の17.8%)
49.6
圏内の経営体力の落差(ポイント)
-27〜+23%
経営体力の変化レンジ(市町差)

駿東田方医療圏は、性格の違う3つの地域が1つの圏になっています。ひとつめは伊豆半島の付け根。伊豆市は高齢化率45.3%→54.7%、総人口-37.2%、65歳以上人口も-24.2%で、ピークは2025年=すでに減少局面です。経営体力-26.9%は圏内最下位。伊豆の国市も-4.8%で、半島側の2市はそろってマイナスです。ふたつめが沼津・三島の都市部。沼津市には薬局112軒=圏内の33.0%があり、圏の65歳以上人口の31.7%も沼津市です。ただし沼津市自身の65歳以上人口は+0.1%=ほぼ横ばいで、総人口は180,836→141,707人(-21.6%)。圏の重心が、伸びる側にいるわけではありません。みっつめが、長泉町・清水町・御殿場市です。長泉町の高齢化率23.3%は静岡県37市区町のなかでも最も低い水準で、総人口の減り方も-2.7%と圏内で最小。65歳以上人口のピークは2050年=推計期間の最後まで増え続けます。圏内10市町のうち、65歳以上人口が2045年までに実際に減るのは3市町(伊豆市・小山町・伊豆の国市)だけで、残り7市町では増えます。「高齢化で需要が細る」と「高齢者がまだ増える」が、同じ圏の中に同居しているのがこの医療圏です。閉局の面では、この12ヶ月に出た廃止届は5件(沼津市4件・三島市1件)。うち4件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは1軒(沼津市)でした。残り8市町では、この12ヶ月に廃止届が1件も出ていません。ただし静岡県の廃止名簿はOCR由来で件数が下限値のため、この圏で閉局を主題にすることはできません(4年ぶんに広げると廃止届18件・真の閉局10件になります)。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が64.3%と県平均(67.6%)を下回り、8医療圏で7位。在宅の届出率43.4%も県平均46.8%を下回ります。圏内では伊豆市の38.5%から長泉町の81.5%まで開いており、半島側(伊豆市38.5%・伊豆の国市44.4%)が低い側にいます。届出は自己申告で、届出=実際の提供ではありません。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが伊豆市(-26.9%)、いちばん緑なのが長泉町(+22.7%)です。この圏には薬局が1軒も無い市町はありませんが、小山町は薬局4軒で、1店の開廃で数字がまるごと動きます。

伊豆市:薬局13/1軒あたり処方せん -26.9%小山町:薬局4/1軒あたり処方せん -8.8%伊豆の国市:薬局18/1軒あたり処方せん -4.8%沼津市:薬局112/1軒あたり処方せん -3.5%沼津市函南町:薬局15/1軒あたり処方せん -2.2%裾野市:薬局25/1軒あたり処方せん -0.1%裾野市三島市:薬局67/1軒あたり処方せん +0.9%三島市御殿場市:薬局37/1軒あたり処方せん +13.4%殿場市清水町:薬局21/1軒あたり処方せん +14.4%清水町長泉町:薬局27/1軒あたり処方せん +22.7%長泉町
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-27%)増える(+23%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

人口動態 ── 需要の源駿東田方医療圏は「人は減るが、お年寄りは少し増える」

なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。駿東田方医療圏全体では、総人口が60.9万→50.3万人(-17.4%)と減る一方、65歳以上は19.4万→20.2万人(+3.7%)と少し増えます。高齢化率は31.9%→40.1%。圏の65歳以上のピークは2040年です。圏内10市町のうち、そのピークをすでに過ぎているのは2市町(伊豆市・小山町)。高齢化率が圏内で最も高いのは伊豆市の45.3%で、2045年には54.7%になります。逆に最も低い長泉町は23.3%で、2045年でも30.5%。同じ医療圏の中に、高齢化率で22.0ポイントの差があります。

総人口65歳以上
0万18万35万52万70万20252030203520402045205048万19万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は一貫して減り、65歳以上人口は2040年にピークを迎えます。

広さ ── 「近くの薬局」の意味が違う薬局1軒あたりの面積は、市町で82.5倍違う

駿東田方医療圏の面積は1,273km²で、薬局339軒で割ると1軒あたり3.8km²。ただし清水町は0.4km²、小山町は33.0km²と82.5倍の開きがあります。広いほうの2つ(小山町・伊豆市)は、どちらも山あいに集落が散る地形です。※この面積の指標は行政区域ポリゴンの幾何だけから出したもので、道路・公共交通・地形(天城越え・箱根越え)は含みません。250mメッシュ人口による徒歩アクセス率(千葉県版の指標)は、静岡県分のメッシュが未投入のため出せていません。

ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町

伊豆市(-26.9%)から長泉町(+22.7%)まで49.6ポイントの開き。マイナスは6市町です。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)です。圏そのものが静岡県のなかでは微増側にいるため、絶対量では長泉町の+22.7%が65歳以上人口では+27.3%、伊豆市は-24.2%となります(絶対量の落差は51.5ポイント)。絶対量で減るのは伊豆市・小山町・伊豆の国市の3市町だけです。現在の1軒あたり処方せんは長泉町の7,898枚から小山町の29,904枚まで3.79倍。薬局8軒以上の9市町に限ると7,898〜19,054枚(2.41倍)です。1軒あたり処方せんと経営体力の変化の順位相関は-0.867で、いま1軒あたりが厚い市町ほど、これから細る側にいます。

伊豆市
-26.9%
小山町
-8.8%
伊豆の国市
-4.8%
沼津市
-3.5%
函南町
-2.2%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
御殿場市
+13.4%
清水町
+14.4%
長泉町
+22.7%

くわしい数字10市町データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
沼津市11234.1%11,775 → 11,362-3.5%
三島市6731.8%10,441 → 10,540+0.9%
御殿場市3727.6%12,929 → 14,661+13.4%
長泉町2723.3%7,898 → 9,694+22.7%
裾野市2529.7%12,111 → 12,095-0.1%
清水町2127.5%8,637 → 9,884+14.4%
伊豆の国市1835.3%18,643 → 17,754-4.8%
函南町1534.1%17,266 → 16,891-2.2%
伊豆市1345.3%19,054 → 13,929-26.9%
小山町432.0%29,904 → 27,279-8.8%

※処方せん需要は駿東田方医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。閉局は直近12ヶ月(移転・承継を除く)で、静岡県の名簿はOCR由来のため件数は下限値です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 静岡県(ひとつ上・Lv1)=8の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 駿東田方医療圏(このページ・Lv2)=10市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【★閉局件数は下限値です】静岡県を含む東海北陸厚生局(富山・石川・岐阜・静岡・愛知・三重)の廃止名簿は、原本が画像PDFでテキスト層がありません。OCRで読み取り、機関番号を厳密に検証して読み違えた行は捨てる設計のため、件数は下限値です。厚生局のブロックごとに名簿の捕捉のしかたが違うため、駿東田方医療圏の閉局1件・廃止届5件は、他ブロックの都道府県と並べないでください(根拠の数字は静岡県ページのデータ clo_source_caveat にあります)。使えるのは静岡県内の圏域どうし・東海北陸6県どうしの比較までです。
  • 【圏内の市町を見るときは4年窓】12ヶ月では駿東田方医療圏の真の閉局が1件しかなく、市町の単位では率になりません。4年窓(2022年5月〜2026年4月(4年))では真の閉局10件・廃止届18件(薬局339軒の2.95%)です。それでも市町どうしの閉局率の比較には足りません。
  • 【処方せんの推計方法】駿東田方医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間4,155,979枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この圏には薬局0軒の市町が無いため、市町別の値を足し戻すと圏の実績に100.0%閉じます。ただし按分は居住地ベースなので、圏をまたぐ受診や、圏内でも半島側から沼津・三島の医療機関へ通う流れは映していません。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(静岡県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に103.7)。絶対量(65歳以上人口の変化)は各市町の chg_abs に入れてあり、相対値と最大で4.6ポイントずれます。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(駿東田方医療圏で1件)。廃止届は全部で5件出ていますが、そのうち4件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。集計期間は2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)で、兵庫県・京都府・北海道・神奈川県と同じ窓です(ただし上記のとおり件数の水準は比較できません)。
  • 【市町ごとの閉局は件数が小さい】圏内の真の閉局は12ヶ月で1件、廃止届も5件しかありません。8市町では廃止届が0件でした。1件で率が大きく動くため、市町どうしの閉局率の比較はできません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。駿東田方医療圏は339店すべてに申告があり、分母は薬局数と一致します(欠測0)。届出=実際の提供実績ではありません。薬局4軒の小山町では、1店の届出の有無が届出率を25ポイント動かします。
  • 【小さすぎる分母】駿東田方医療圏に薬局が1軒も無い市町はありませんが、小山町は薬局8軒未満です(小山町4軒)。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れます。圏内の1軒あたり処方せんのレンジは、8軒以上の9市町に限ると7,898〜19,054枚(2.41倍)、全市町では7,898〜29,904枚(3.79倍)です。
  • 【面積の指標について】area_km2 は国土数値情報の行政区域ポリゴンから球面積を積算したものです。道路網・公共交通・地形は含みません。「薬局1軒あたり3.8km²」は幾何的な広さであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。250mメッシュ人口による徒歩アクセス率(千葉県版の指標)は、静岡県分のメッシュが未投入のため出せていません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルが静岡県を学習しておらず、かつ閉局データが下限値のため)。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。

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