兵庫県播磨姫路(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

ひとつの医療圏の中に、兵庫県ぜんぶの落差が入っている

播磨姫路医療圏11市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 播磨姫路医療圏 11市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

播磨姫路医療圏は11の市町からなる、兵庫県でもっとも自治体数の多い圏域です。姫路市という278軒(圏内の64.2%)を抱える都市がある一方、圏内11市町のうち7市町は65歳以上人口がすでにピークを過ぎています。65歳以上人口の増減で見た圏内の落差は39.3ポイントで、兵庫県の8医療圏どうしの落差(32.2ポイント)よりも大きいのです。

11
播磨姫路医療圏の市町
433
圏内の薬局数
5
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-28〜+10%
経営体力の変化レンジ(市町差)

播磨姫路医療圏は、第8次医療計画で中播磨と西播磨がひとつになった圏域です。面積が広く、278軒の薬局を持つ姫路市から、薬局4軒の町までが同じ枠に入っています。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化)を見ると、いちばん沈むのが佐用町(-28.2%)、いちばん伸びるのが太子町(+9.5%)で、その差は37.7ポイント。8市町がマイナス側にいます。沈む側の顔ぶれははっきりしていて、佐用町・上郡町・市川町・相生市・宍粟市・神河町は65歳以上人口そのものが15%以上減ります。佐用町の高齢化率は現時点で47.4%、2045年には58.5%——住民の6割近くが65歳以上になります。いっぽう姫路市は65歳以上が+12.4%と増え、経営体力も+7.9%。圏全体としては需要が+4.2%とわずかに増える計算になりますが、それは姫路市が圏の60.2%の高齢人口を抱えているからで、圏の平均は圏内のどの町の実感でもありません。閉局の面では、この12ヶ月に出た廃止届13件のうち8件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは5軒(1.15%)でした。消えた5軒はたつの市・姫路市に集中しており、薬局の少ない町では、この12ヶ月に閉じた薬局はありません。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が66.8%と県平均(75.3%)を下回り、8医療圏で7位です。人口が多い側でも、機能の届出は厚くありません。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが佐用町(-28.2%)、いちばん緑なのが太子町(+9.5%)で、同じ播磨姫路医療圏の中に37.7ポイントの開きがあります。

佐用町:薬局10/1軒あたり処方せん -28.2%上郡町:薬局6/1軒あたり処方せん -25.8%市川町:薬局4/1軒あたり処方せん -22.9%相生市:薬局15/1軒あたり処方せん -20.9%宍粟市:薬局20/1軒あたり処方せん -20.5%神河町:薬局4/1軒あたり処方せん -20.1%赤穂市:薬局23/1軒あたり処方せん -10.1%たつの市:薬局44/1軒あたり処方せん -5.3%福崎町:薬局13/1軒あたり処方せん +0.9%姫路市:薬局278/1軒あたり処方せん +7.9%太子町:薬局16/1軒あたり処方せん +9.5%佐用町上郡町市川町相生市宍粟市神河町赤穂市たつの市福崎町姫路市太子町
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-28%)増える(+10%)
市町そのものの形で塗り分けています(国土数値情報の行政区域境界)。市町詳細版(Lv3)はまだ作成していません。
この色は圏内でのシェア移動を示す相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(兵庫県=Lv1)の絶対値で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に104.2)。

人口動態 ── 需要の源播磨姫路医療圏は「人が減り、お年寄りはあまり増えない」

なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。播磨姫路医療圏全体では、総人口は78.9万→65.4万人(-17.0%)と減り、65歳以上は24.3万→25.3万人(+4.2%)とわずかに増えるだけです。高齢化率は30.8%→38.7%へ。65歳以上のピークは2040年ですが、圏内11市町のうち7市町ではそのピークがすでに2025年——つまり、これから減っていく局面に入っています。65歳以上人口が2045年までに減る市町は8あります。

総人口65歳以上
0万20万40万60万80万20252030203520402045205062万25万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上は2040年にピークを迎えます。

ランキング ── 市町差11市町データ一覧

佐用町(-28.2%)から太子町(+9.5%)まで37.7ポイントの開き。マイナスは8市町で、圏内の多数派です。なお上郡町・市川町・神河町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。

佐用町
-28.2%
上郡町
-25.8%
市川町
-22.9%
相生市
-20.9%
宍粟市
-20.5%
神河町
-20.1%
赤穂市
-10.1%
たつの市
-5.3%
福崎町
+0.9%
姫路市
+7.9%
太子町
+9.5%
市町薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
佐用町1047.4%14,433 10,357-28.2%
上郡町643.8%19,985 14,823-25.8%
市川町441.1%22,933 17,674-22.9%
相生市1539.0%14,610 11,551-20.9%
宍粟市2040.0%13,752 10,937-20.5%
神河町441.3%21,509 17,184-20.1%
赤穂市2335.5%14,314 12,871-10.1%
たつの市4433.6%11,674 11,059-5.3%
福崎町1330.2%9,522 9,603+0.9%
姫路市27828.1%11,446 12,353+7.9%
太子町1628.3%12,609 13,809+9.5%

※処方せん需要は播磨姫路医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 兵庫県(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 播磨姫路医療圏(このページ・Lv2)=11市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

播磨姫路医療圏 11市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度カルテ会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。播磨姫路医療圏にいまある433軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.45です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-17.0%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は91.5%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。播磨姫路医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は425軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 389軒=91.5%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 235軒=55.3%、在宅薬学総合体制加算 178軒=41.9%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 360軒=84.7%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回55.3%/これまで66.8%(差-11.5ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回91.5%/これまで45.9%(差+45.6ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回41.9%/これまで53.9%(差-12.0ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】播磨姫路医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間5,286,594枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(兵庫県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に104.2)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(播磨姫路医療圏で5件)。廃止届は全部で13件出ていますが、そのうち8件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。兵庫県の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コード、または座標の市区町村境界への点内判定で割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある388店を分母にしています(圏内全433店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】上郡町・市川町・神河町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。

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