島根県 › 松江医療圏
CrossHealth / 薬局持久度レポート
県庁所在地と、その隣
松江医療圏(2市・薬局105軒)を市ごとに見る。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
松江医療圏の調剤薬局は105軒——島根県の32.1%がここにあります。圏全体の65歳以上人口は2025→2045で-0.2%とほぼ横ばい。ただしこれは、松江市(3.2%)と安来市(-15.9%)が打ち消し合った結果です。圏の平均は、圏の中の差を隠します。
島根県で65歳以上人口が2045年に増えている自治体は松江市・出雲市の2市だけ。そのひとつが松江市です。一方で同じ医療圏の安来市は65歳以上が-15.9%減り、ピークは2025年——すでに減少局面に入っています。薬局1軒あたりの面積も6.2km²と32.4km²で5.2倍の開きがあります。
地図 ── 地域差を見る圏の中でシェアがどう動くか
色は圏内での高齢人口シェアの移動です。圏全体の処方せんを一定として、その分け前がどちらに寄るかを示しています。
人口動態総人口は-14.2%、65歳以上は-0.2%
松江医療圏の総人口は232,967→199,780人(-14.2%)。65歳以上は74,305→74,154人(-0.2%)で、圏のピークは2040年です。市別では松江市が2040年ピーク、安来市が2025年ピーク——同じ圏の中で15年ずれています。
閉局と承継廃止届15件のうち、真の閉局は5件
直近12ヶ月(2025年6月〜2026年5月)に松江医療圏で出された廃止届は15件、うち真の閉局は5件で、これは島根県全体13件の38.5%にあたります。移転・承継10件のうち3件は、1つの法人が同じ日にまとめて機関コードを付け替えたものです(地域から薬局が消えたわけでも担い手が見つかったわけでもない、法人内の事務手続き)。差し引くと廃止届12件中5件=41.7%が真の閉局です。なお薬局105軒の圏なので、1軒の閉局で率は0.95ポイント動きます。
機能の届出かかりつけの届出は圏全体で55.2%
かかりつけ薬剤師指導料の届出は松江市55.4%/安来市53.8%。地域連携薬局は圏全体で34.3%、在宅の総合的対応は45.7%です。島根県全体(かかりつけ62.4%)と比べると、松江医療圏はどの軸も県平均より低くなっています。届出の有無であって、実際の対応件数ではありません。
ランキング圏内でシェアを取る市・落とす市
安来市(-15.8%)から松江市(+3.4%)まで19.2ポイント。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。
くわしい数字2市データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 松江市 | 92 | 30.6% | 14,396 → 14,892 | +3.4% |
| 安来市 | 13 | 39.3% | 22,269 → 18,761 | -15.8% |
※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)を65歳以上人口で按分した推計です。市別の実測値ではありません。薬局数は2025年時点で固定。閉局は2025年6月〜2026年5月の12ヶ月。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 島根県(Lv1)=7つの二次医療圏で「どの地域が細るか」。
- 松江医療圏(このページ・Lv2)=圏内の市で「同じ圏域の中の差」。
- 市町村(Lv3)=1つの自治体を深く。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。松江医療圏にいまある105軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.33です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-14.2%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。名簿の欠号が45%あります。閉局の件数は下限値(実際はこれ以上)として扱ってください。中国地方は収録窓が短く、閉局率が過大側に振れている可能性があります。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は95.4%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。松江医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は108軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 103軒=95.4%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 55軒=50.9%、在宅薬学総合体制加算 37軒=34.3%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 95軒=88.0%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回50.9%/これまで55.2%(差-4.3ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回95.4%/これまで34.3%(差+61.1ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回34.3%/これまで45.7%(差-11.4ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見込みは扱いません。個店単位の撤退・閉局予測は公開しない、個店のランキングも作らない、というのがCrossHealthの倫理線です。出店・撤退の助言もしません。
- 【chg の意味がLv1と違う】このページの chg は圏内でのシェア移動(相対値)です。県ページ(Lv1)の chg は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか)。松江医療圏そのものの絶対値は-0.2%です。
- 【閉局の窓】2025-06-01〜2026-05-31 の12ヶ月。中国5県ブロックの名簿は2025-07号からの収集で、この12ヶ月が収録範囲そのものです。暦年トレンドは出せません(前年同期のデータが無いため)。
- 【左端は下限】既定窓の左端2025年6月は名簿の号カバー率が0.8689(収集開始前の2025-06号が無い)=下限です。カバー率0.996以上の11ヶ月だけで数えると、この圏の真の閉局は4件になります。
- 【承継の中身】移転・承継10件のうち3件は法人の一斉付け替え(同じ日に同じ屋号がまとめて機関コードを付け替えたもの)です。判定は中国5県ぜんぶをまとめて行い、日付も屋号も決め打ちしていません。差し引くと真の閉局の割合は41.7%になります。承継が『同じ日に固まって見える』ことは、廃止届の日付がもともと月末に集中している(中国5県の承継の90.6%が月末日)ためにも起きます。同じ日というだけでは一斉付け替えとは判定しません。
- 【分母】薬局105軒の圏なので、1軒の閉局で率が0.95ポイント動きます。構成2市はどちらも薬局8軒以上で、small_n_muni・薬局0軒の自治体はありません。
- 【市別の処方せんは実測ではない】NDBの最小公表単位が二次医療圏のため、65歳以上人口で按分した推計です。市境をまたいだ受療は反映されません。
- 【薬局数は2025年で固定】将来の開局・閉局は見込んでいません。
- 【徒歩アクセスは出せない】mesh_backbone_250m に島根県分が20,665セル投入済みですが、徒歩10分カバー率の算出は本レポートにはまだ入れておらず、計算できません=次回更新で追加予定です。代わりに面積軸を置いています。
- 【機能の届出率】島根県はGMIS機能情報が取込済みなので出せます。ただし届出の有無であって、実際の対応件数ではありません。
- 【この圏がLv2に選ばれた理由】島根県はLv2の解像度が構造的に低い県です。7圏の構成自治体数は 出雲1・松江2・浜田2・益田3・雲南3・大田4・隠岐4。自治体が4つある2圏(大田・隠岐)はどちらも薬局30軒未満の small_n_area で、『複数自治体 かつ 薬局8軒未満の自治体ゼロ』を満たすのは松江と浜田だけ。そのうち分母と閉局の素材が厚いのが松江医療圏です。
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