茨城県鹿行(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

薬局の数も、1軒あたりの処方せんも、県内でいちばん少ない

鹿行医療圏5市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 鹿行医療圏 5市期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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鹿行医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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鹿行医療圏は、鹿嶋市・潮来市・神栖市・行方市・鉾田市の5市からなる圏域です。薬局は110軒(県全体の8.0%)。薬局110軒は9医療圏で最小、1軒あたり処方せん10,490枚も県内最小です。5市のうち3市は65歳以上人口がすでにピークを過ぎています。

5
鹿行医療圏の市
110
圏内の薬局数(県全体の8.0%)
3
暦年2025に閉じた薬局(承継・移転を除く)
39.8
圏内の経営体力の落差(ポイント・市差)

経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内での相対値)で見ると、いちばん沈むのが行方市(-20.3%)、いちばん伸びるのが神栖市(+19.5%)で、その差は39.8ポイント。マイナス側は3市です。65歳以上人口そのものが15%以上減るのは行方市です。行方市は高齢化率が現時点で39.5%(2045年には47.6%)と圏内で最も高く、総人口も-32.7%と圏内でもっとも減ります。薬局がいちばん多いのは神栖市の44軒で、圏内の40.0%を占めます(経営体力+19.5%)。閉局の面では、暦年2025にこの圏で出た廃止届は8件。ただしそのうち3件は2025年4月30日という同じ1日に集中しており、これは複数県にまたがる法人再編で機関コードが一斉に付け替わったもの=1件1件の事業承継ではありません(うち3件が移転・承継、0件は真の閉局)。この一斉分を分子・分母ともに除くと、廃止届は5件(真の閉局3件・承継2件)となり、『引き継がれなかった割合』は見かけの37.5%から60.0%に変わります。真の閉局(移転・承継を除く)は3件(薬局110軒の2.73%)。件数が小さいので、4年ぶん(2022〜2025年)で見ると廃止届22件・真の閉局9件(8.18%)です。4年の真の閉局9件は5市(行方市・潮来市・鉾田市・鹿嶋市・神栖市)に分かれています。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が60.0%で県平均(63.8%)を下回り、在宅の届出率は40.9%(県平均45.6%)です。薬局8軒以上の市では、在宅は鹿嶋市の36.4%から潮来市の55.6%まで開きます。届出は自己申告で、届出=実際の提供ではありません。圏内の経営体力の落差39.8ポイントは、県の医療圏どうしの落差38.2ポイントを上回ります。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが行方市(-20.3%)、いちばん緑なのが神栖市(+19.5%)で、同じ鹿行医療圏の中に39.8ポイントの開きがあります。

人口動態 ── 需要の源鹿行医療圏は「人は減るが、お年寄りは少し増える」

なぜ市ごとに明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。鹿行医療圏全体では、総人口は25.7万→21.8万人(-15.2%)、65歳以上は8.2万→8.3万人(+1.9%)と推移します。高齢化率は31.8%→38.3%。65歳以上のピークは圏全体で2040年です。圏内5市のうち3市(行方市・潮来市・鉾田市)は、65歳以上人口のピークがすでに2025年=減少局面に入っています。高齢化率が圏内で最も高いのは行方市の39.5%(2045年には47.6%)、最も低いのは神栖市の25.4%(2045年でも33.4%)で、同じ医療圏の中に14.1ポイントの差があります。総人口が2045年までに増える市は、この圏にはありません。茨城県全体(+5.0%)と同じ向きで、県平均よりゆるやかな変化です。

総人口65歳以上
0万8万15万22万30万20252030203520402045205021万8万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは2040年。

医療計画 ── 県の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

また、鹿行地域医療構想調整会議では、圏域において、今後どのような診療科の医師がどの程度必要かという分析を行い、地域枠を有する大学等との連携を図るなど、計画的な医師の人材確保を県に要望していきます。

茨城県保健医療計画 各論第4章 地域医療構想 PDF 10ページ

○広域的な病院間の連携を円滑に図るためのツール(情報共有のための連携パスやICT活用など)の開発・整備が必要であり、鹿行地域医療構想調整会議として、県全体の施策として講じられるよう要望していく必要があります。

茨城県保健医療計画 各論第4章 地域医療構想 PDF 9ページ

また、それ以外の県央地域、鹿行地域、県北地域、県西地域では前回と同様に減少しています。

茨城県保健医療計画 総論第2章 現在の保健医療の状況 PDF 2ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

広さ ── 「近くの薬局」の意味が違う薬局1軒あたりの面積は、市で6.3倍違う

鹿行医療圏の面積は754km²で、薬局110軒で割ると1軒あたり6.9km²。ただし鹿嶋市は3.2km²、行方市は20.2km²と6.3倍の開きがあります。※この面積の指標は行政区域ポリゴンの幾何だけから出したもので、道路・公共交通・地形は含みません。250mメッシュ人口による徒歩アクセス率(千葉県版の指標)は、茨城県分のメッシュが未投入のため出せていません。

ランキング ── 市差経営がしんどくなる市・楽になる市

行方市(-20.3%)から神栖市(+19.5%)まで39.8ポイントの開き。マイナスは3市です。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)です。絶対量(65歳以上人口の変化)では神栖市が+21.8%、行方市が-18.8%となります(絶対量の落差は40.6ポイント)。現在の1軒あたり処方せんは神栖市の7,603枚から鉾田市の17,204枚まで2.26倍。1軒あたり処方せんと経営体力の変化の順位相関は-0.7で、いま1軒あたりが厚い市ほど、これから細る側にいます。

行方市
-20.3%
潮来市
-12.3%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
鉾田市
-11.5%
鹿嶋市
+3.4%
神栖市
+19.5%

くわしい数字5市データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
神栖市4425.4%7,603 → 9,088+19.5%
鹿嶋市3332.9%9,042 → 9,349+3.4%
鉾田市1336.1%17,204 → 15,225-11.5%
行方市1139.5%15,021 → 11,969-20.3%
潮来市936.4%14,678 → 12,878-12.3%

※処方せん需要は鹿行医療圏全体の実績(NDB)を市の高齢人口で按分した推計です。閉局は暦年2025(移転・承継を除く)で、廃止届には2025年4月30日の一斉承継3件が含まれます(承継の指標は一斉分を除いた列もご覧ください)。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 茨城県(ひとつ上・Lv1)=9の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 鹿行医療圏(このページ・Lv2)=5市で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

鹿行医療圏 5市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。鹿行医療圏にいまある110軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.16です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-15.2%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は87.2%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。鹿行医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は109軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 95軒=87.2%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 66軒=60.6%、在宅薬学総合体制加算 36軒=33.0%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 94軒=86.2%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回60.6%/これまで60.0%(差+0.6ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回87.2%/これまで34.5%(差+52.7ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回33.0%/これまで40.9%(差-7.9ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【★2025年4月30日の一斉承継】暦年2025にこの圏で出た廃止届8件のうち3件(37.5%)は、廃止日が2025年4月30日の同じ1日に集中しています。同じ日付の廃止届は関東信越10都県で計164件出ており、1件1件の事業承継ではなく、複数県にまたがる法人の再編で機関コードが一斉に付け替わったものと読むのが自然です。このため『引き継がれなかった割合』は、一斉イベントを分子・分母の両方から同時に除くと(一斉日の真の閉局0件も分子から除く)、含めると37.5%、除くと60.0%(残る5件のうち真の閉局3件・承継2件)と変わります。承継の話をするときは必ず一斉分を除いた列をご覧ください。
  • 【閉局は同じ厚生局ブロックの中でだけ比べる】茨城県は関東信越厚生局の管内で、栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野と同じ名簿・同じ数え方です。東海北陸厚生局の県(静岡・愛知・岐阜・三重・富山・石川)は原本が画像PDFのOCR由来で件数が下限値なので、並べてはいけません。
  • 【圏内の市を見るときは4年窓】暦年2025ではこの圏の真の閉局が3件しかなく、市の単位では率になりません。4年窓(暦年2022〜2025(4年))では真の閉局9件・廃止届22件(薬局110軒の8.18%)です。それでも市どうしの閉局率の比較には足りません。埼玉県版で分かったとおり、単年の順位はその地域の性質ではありません。
  • 【処方せんの推計方法】鹿行医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間1,153,903枚)を、市ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この圏は5市すべてに薬局があるため、市別の値を足し戻すと圏の実績に100%閉じます。按分は居住地ベースなので、圏をまたぐ受診の流れは映していません。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(茨城県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に101.9)。絶対量(65歳以上人口の変化)は各市の chg_abs に入れてあり、相対値と最大で2.3ポイントずれます。
  • 【薬局数は2025年で固定】市別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(鹿行医療圏で暦年2025に3件)。廃止届は全部で8件出ていますが、そのうち5件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(さらにそのうち3件は上記の一斉承継です)。集計期間は暦年2025(2025年1月〜12月)で、大阪府・千葉県・埼玉県・東京都と同じ期間です。一斉承継の日を含まない直近12ヶ月(直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月))では、この圏の廃止届は4件・真の閉局1件です。
  • 【市ごとの閉局は件数が小さい】圏内の真の閉局は暦年2025で3件、廃止届も8件しかありません。2市では廃止届が0件でした。1件で率が大きく動くため、市どうしの閉局率の比較はできません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。鹿行医療圏は110店すべてに申告があり、分母は薬局数と一致します(欠測0)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【面積の指標について】area_km2 は国土数値情報の行政区域ポリゴンから球面積を積算したものです。道路網・公共交通・地形は含みません。「薬局1軒あたり6.9km²」は幾何的な広さであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。250mメッシュ人口による徒歩アクセス率(千葉県版の指標)は、茨城県分のメッシュが未投入のため出せていません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。

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鹿行医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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