岡山県県南東部(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

政令市の中ですら、向きが分かれる

県南東部医療圏10市区町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 県南東部医療圏 10市区町(自治体としては7)期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

県南東部医療圏は、薬局438軒=岡山県の51.8%が集まる、県内最大の圏域です。うち360軒(82.2%)が岡山市の4区にあります。圏全体では65歳以上人口が2045年までに+6.9%増え、県内5医療圏でいちばん増える側です。それでも圏内の市区町を並べると、経営体力の差は39.3ポイント——岡山県の圏域差(35.3ポイント)より大きく開きます。

10
県南東部医療圏の市区町
438
圏内の薬局数
4
8ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-28〜+12%
経営体力の変化レンジ(市区町差)

この圏域は、岡山市という政令指定都市と、その周りの6市町(玉野市・吉備中央町・備前市・和気町・赤磐市・瀬戸内市)でできています。まず外側から見ると、話は単純です。市外6市町はすべて経営体力がマイナスで、しかも6市町すべてで65歳以上人口そのものが2025年にピークを打っています。いちばん沈むのが玉野市(-27.5%)で、総人口-31.0%・65歳以上-22.5%。高齢化率は40.9%→45.9%になります。ところが岡山市の4区は、そう単純ではありません。いちばん伸びる岡山市北区(+11.8%)といちばん低い岡山市東区(-4.4%)の差は16.2ポイントあり、岡山市東区は4区で唯一のマイナスです。同じ市の中で、しかも隣り合う区で、向きが分かれています。現在の水準を見ると、もうひとつ気づくことがあります。薬局1軒あたりの処方せんがいちばん少ないのは岡山市北区(9,093枚)で、これは圏内で最も薬局の多い区でもあります。いちばん多いのは備前市(29,293枚・薬局8軒以上の自治体のなかで最多)。いま最も薄い区がこれから最も厚くなり、いま最も厚い市が薄くなる(備前市の経営体力は-26.2%)——この圏域で起きているのは縮小ではなく、重心の移動です。なお圏内の素の最大は吉備中央町の31,401枚ですが、これは薬局3軒に町ぶんの処方せんを按分した計算値で、実測ではありません。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が67.1%で県平均(63.5%)を上回り、5医療圏で2位。在宅患者訪問薬剤管理指導は53.4%で1位です。閉局については、この8ヶ月に出た廃止届27件(県内5圏で最多)のうち23件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは4軒でした。ただし承継23件のうち6件は、1つの法人が同じ日にまとめて機関コードを付け替えた分です(中国5県をまとめて機械検出したもの)。4件という数は市区町ごとの比較に耐える量ではないので、閉局は圏の合計としてだけお読みください。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市区町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん緑なのが岡山市北区(+11.8%)、いちばん赤いのが玉野市(-27.5%)で、同じ県南東部医療圏の中に39.3ポイントの開きがあります。この色は圏内での相対値である点にご注意ください。圏全体では処方せん需要は+6.9%増える推計です。

玉野市:薬局32/1軒あたり処方せん -27.5%玉野市吉備中央町:薬局3/1軒あたり処方せん -27.4%備前市:薬局9/1軒あたり処方せん -26.2%和気町:薬局5/1軒あたり処方せん -22.5%赤磐市:薬局17/1軒あたり処方せん -11.0%赤磐市瀬戸内市:薬局12/1軒あたり処方せん -9.5%岡山市東区:薬局40/1軒あたり処方せん -4.4%市東区岡山市南区:薬局63/1軒あたり処方せん +4.3%市南区岡山市中区:薬局74/1軒あたり処方せん +10.7%市中区岡山市北区:薬局183/1軒あたり処方せん +11.8%市北区
色=経営体力の変化(→2045・圏内での相対値)
減る(-28%)増える(+12%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

人口動態 ── 需要の源圏全体では増える。ただし6/10市区町は、もう減りはじめている

なぜ市区町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。県南東部医療圏全体では、総人口は89.7万→79.7万人(-11.2%)と減り、65歳以上は26.4万→28.2万人(+6.9%)と増えます。高齢化率は29.4%→35.4%へ。65歳以上のピークは2045年です。圏内10市区町のうち、65歳以上人口が2025年ですでにピークを打っているのは6(玉野市・吉備中央町・備前市・和気町・赤磐市・瀬戸内市)。2045年までに65歳以上が減るのは6市区町で、そこにある薬局は78軒=圏内の17.8%です。逆に2050年になってもまだ増え続けるのは2区(岡山市中区・岡山市北区)で、いずれも岡山市の区です。同じ圏域の中に、25年ぶんの時間差があります。

総人口65歳以上
0万22万45万68万90万20252030203520402045205077万28万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は右肩下がり、65歳以上は2045年まで増加。

ランキング ── 市区町の差経営が楽になる区・相対的にしんどくなる市町

玉野市(-27.5%)から岡山市北区(+11.8%)まで39.3ポイントの開き。マイナスは7市区町で、プラスは3(岡山市南区・岡山市中区・岡山市北区)だけです。分母の小ささにはご注意ください。圏内には薬局8軒未満の自治体が2あり(吉備中央町・和気町)、そこでは1軒あたりの数値も届出率も大きく振れます。

玉野市
-27.5%
吉備中央町
-27.4%
備前市
-26.2%
和気町
-22.5%
赤磐市
-11.0%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
岡山市南区
+4.3%
岡山市中区
+10.7%
岡山市北区
+11.8%

くわしい数字10市区町データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
岡山市北区18324.7%9,093 → 10,165+11.8%
岡山市中区7426.8%11,552 → 12,788+10.7%
岡山市南区6328.7%15,794 → 16,470+4.3%
岡山市東区4032.5%15,633 → 14,946-4.4%
玉野市3240.9%13,991 → 10,143-27.5%
赤磐市1734.8%18,169 → 16,173-11.0%
瀬戸内市1235.9%22,085 → 19,988-9.5%
備前市942.7%29,293 → 21,628-26.2%
和気町542.3%22,852 → 17,712-22.5%
吉備中央町344.2%31,401 → 22,792-27.4%

※処方せん需要は県南東部医療圏全体の実績(NDB)を市区町の高齢人口で按分した推計です。閉局は圏の合計としてのみお読みください(市区町別は件数が少なすぎます)。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 岡山県(ひとつ上・Lv1)=5つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 県南東部医療圏(このページ・Lv2)=10市区町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市区町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】県南東部医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間5,632,843枚)を、市区町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【NDBは院外だけを数えています】県南東部医療圏の院外処方率は73.7%で、処方せんのおよそ26%は病院・診療所の中で渡されています。この分は上の推計に入っていません。岡山県内では県南西部医療圏がさらに低く(61.3%)、全国335の二次医療圏でも低いほうから18番目です。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。マイナスでも、その市区町の処方せんが絶対量で減るという意味ではありません。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(岡山県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に106.9)。
  • 【岡山市は政令指定都市です】医療圏マスタも将来推計人口も区単位のため、このページの市区町村は10(岡山市4区+6市町)で数えています。自治体の数としては7です。区は自治体ではないので、「何市町村のうち何」という言い方をするときは、どちらの数え方かを必ず添えてください。
  • 【薬局数は2025年で固定】市区町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】中国四国厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(県南東部医療圏で4件)。廃止届は全部で27件出ていますが、そのうち23件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。**集計期間は2025年9月〜2026年4月(8ヶ月)で、1年ぶんではありません。**岡山県ぶんの一覧表が処理月2025-08のぶんだけ索引に無く、完全にそろう最長の連続区間がこの8ヶ月です。率を他県と並べるときは年率換算(圏の年率1.37%)を使い、換算値であることを明示してください。**年ごとの推移はこの県では作れません。**参考として12ヶ月ぶんに広げると廃止届28件・移転承継24件・真の閉局4件ですが、号の欠落を含むため**下限値**です。
  • 【承継には法人内の付け替えが混ざります】この圏域の承継23件のうち6件は、1つの法人が同じ日にまとめて機関コードを付け替えた分です(中国5県をまとめて機械検出)。地域から薬局が消えたわけでも、新しい担い手が見つかったわけでもありません。差し引くと「引き継がれなかった割合」は14.8%→19.0%になります。真の閉局とその率は、この調整の影響を受けません。
  • 【閉局は市区町別に読まないでください】この圏域の真の閉局4件は岡山県全体でも12件しかない事象の一部です。市区町ごとに割ると0〜2件となり、1件の増減で率が数ポイント動きます。市区町別の閉局数はJSONには入れていますが、市区町どうしの順位づけや「この市は閉局が多い」という読み方には使えません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(岡山県は全店に市区町村コードがあり、座標による補完は0件でした)。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある438店を分母にしています(圏内全438店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。薬局8軒未満の自治体(吉備中央町・和気町)では1店で十数ポイント以上動きます。
  • 【徒歩アクセスは出していません】250mメッシュの人口基盤に岡山県分が0件のため、「徒歩10分以内カバー率」は算出できません。投入され次第、後から足せます。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルが岡山県を学習対象に含まないため)。

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