CrossHealth / 薬局持久度レポート
県の需要はほぼ横ばい。ただし増えるのは、5つのうち2つだけ
岡山県5つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市区町村まで下りたレポートへ進めます。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
岡山県の調剤薬局は846軒。高齢化で処方せんの需要は今後20年、県全体で+1.2%——ほぼ横ばいの見通しです。ただしこの「横ばい」は、5つの医療圏を平均した結果にすぎません。増えるのは県南西部/県南東部の2圏だけで、残る3圏は-28.4%(高梁・新見)まで縮みます。圏域差は35.3ポイント。県の平均が動かないことと、県内が動かないことは、別の話です。
地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが高梁・新見医療圏(-28.4%)、いちばん伸びるのが県南東部医療圏(+6.9%)。増える側は瀬戸内海沿いの県南2圏、縮む側は中国山地寄りの高梁・新見/真庭/津山・英田です。医療圏をクリックすると、その中の市区町村差まで下りられます。
人口動態 ── 需要の源5つの医療圏のうち3つは、65歳以上がもう減りはじめている
岡山県全体では、総人口は183.2万→157.8万人(-13.9%)と減り、65歳以上は57.5万→58.2万人(+1.2%)とほとんど変わりません。高齢化率は31.4%→36.9%へ。65歳以上人口がすでに2025年でピークを打っている医療圏は高梁・新見/真庭/津山・英田の3圏(薬局140軒・県内の16.5%)。逆に2050年になっても増え続ける医療圏はひとつもありません(県内で最も遅いピークでも2045年)。群馬県も同じ形でしたが、群馬は10圏中6圏がピーク済みでした。岡山は3/5圏です。
承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届44件のうち、そのまま消えたのは12件でした(8ヶ月)
まず期間の話から。岡山県の廃止名簿は、厚生局が公開している一覧表のうち2025年9月〜2026年4月の8ヶ月ぶんしか完全にそろいません。岡山県ぶんの一覧表が1号(2025-08処理分)索引に無く、その前後の月は届出が抜けているためです(下の注記)。この8ヶ月に出された廃止届は44件。うち32件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは12軒(薬局846軒の1.42%・1年に直すと2.13%)。同じ窓・同じ数え方で、しかも一覧表が全部そろっている中国ブロックの4県(島根県/岡山県/広島県/山口県)で並べると、岡山県は年率2.13%で4県中3番目——高いほうではありませんが、いちばん低いわけでもありません(最も高いのは島根県の4.13%、最も低いのは山口県の1.72%)。引き継がれなかった割合は県計27.3%。ただしこの32件の承継には、1つの法人が同じ日にまとめて機関コードを付け替えた分が7件含まれています(中国5県まとめて機械検出した結果)。これを差し引くと32.4%になります。ここでひとつ、正直に書いておきます。この12件を5つの医療圏に割ると、1圏あたり0〜5件にしかなりません。しかも薬局30軒未満の医療圏が2圏(高梁・新見/真庭)あります。岡山県では、閉局・承継は県全体の数字としてだけお読みください。圏ごとの閉局率の順位づけは、この件数では意味を持ちません。
機能の届出 ── 薄い側も厚い側も、需要が減る圏にある3指標そろって県内最低の圏も、2指標で県内最高の圏も、どちらも需要が減る側にあります
かかりつけ薬剤師指導料の届出率は県全体で63.5%、地域連携薬局は45.6%、在宅患者訪問薬剤管理指導は48.2%です(分母は申告データのある846店=県内の全薬局)。群馬県(52.8%・28.8%・34.4%)より3指標とも高い水準です。圏で見ると、3指標そろって県内最低なのは真庭医療圏(43.5%・30.4%・26.1%)で、ここは需要が-21.9%と県内で2番目に縮む圏です。いっぽう、かかりつけと地域連携で県内最高なのは高梁・新見医療圏(77.3%・50.0%)で、こちらは需要が-28.4%と県内で最も縮む圏です(在宅だけは県南東部医療圏の53.4%が県内最高)。兵庫県で見えた「需要が減る医療圏ほど在宅の届出率が低い」という順位一致は、岡山では2/5圏(かかりつけ0/5)で、一般法則ではありません。なお高梁・新見医療圏は薬局22軒、真庭医療圏は23軒で、どちらも1店の届出で4ポイント前後動く分母です。届出は自己申告で、届出=実際の提供でもありません。
ランキング ── 圏域差1軒あたりが厚いのは、薬局が少ないからです
薬局1軒あたりの年間処方せんは県全体で13,182枚。全国18位/47で、真ん中よりやや厚い側です。ただしこれを「岡山は1軒が繁盛している」と読むのは早すぎます。人口10万人あたりの薬局数は46.2軒で全国40位、住民1人あたりの院外処方せんは6.1枚で39位——どちらも下位です。いっぽう人口10万人あたりの医師(医療施設従事者)は324.0人で全国6位=多い側にいます。つまり医師は多いのに、処方せんが薬局の外に出ていない。実際、院外処方率は県全体で70.1%(全国41位)で、県南西部医療圏は61.3%=全国335の二次医療圏のうち低いほうから18番目です。圏内では真庭の11,135枚から高梁・新見の15,014枚まで1.35倍(両端とも薬局30軒未満の小さな圏です)。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は現在再学習中です(下の注記)。
くわしい数字5医療圏データ一覧
| 地域(医療圏) | 薬局 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045(枚/年) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 県南東部 | 438 | 12,860 → 13,742 | +6.9% |
| 県南西部 | 268 | 13,964 → 14,270 | +2.2% |
| 津山・英田 | 95 | 12,533 → 11,249 | -10.2% |
| 真庭 | 23 | 11,135 → 8,701 | -21.9% |
| 高梁・新見 | 22 | 15,014 → 10,744 | -28.4% |
※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は2025年9月〜2026年4月(8ヶ月)の集計で、移転・承継を除いています(1年ぶんではありません)。圏ごとの閉局は件数が少ないため、率の比較には使えません。個店のランキングは作りません。
いま出していない数字供給の将来推計は、再学習中です
このページでは、2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類を外しています。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、そのモデルは近畿の府県で学習したもので、岡山県を対象に含みません。閉局の数え方を「移転・承継を除いた本当の閉局」に改めたこともあり、学習しなおす必要があります。できあがり次第このページに戻します。それまでは、確定している需要側の数字(将来推計人口とNDB処方せん実績)と、現在の供給の事実(薬局数・直近12ヶ月の閉局)だけでお伝えします。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選びました。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 岡山県(このページ・Lv1)=5つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 二次医療圏(Lv2)=圏内の市区町村で「同じ圏域の中の差」を見る。ただし高梁・新見/真庭医療圏は構成市町村が2つしかないため、比較が成立しません。
- 市区町村(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類はこのページから外しています。もとにしていた統計モデルは近畿の府県で学習したもので、岡山県を対象に含みません。再学習が済み次第、戻します。
- 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・県全体で年間11,152,224枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。
- 【NDBは院外だけを数えています】岡山県の院外処方率は70.1%(全国41位/47)で、県南西部医療圏は61.3%=全国335圏で低いほうから18番目です。つまり岡山県では、処方せんのおよそ3割が病院・診療所の中で渡されており、このレポートの需要にはその分が入っていません。「1軒あたりが厚い/薄い」を県間で比べるときは、この差を必ず添えてください。
- 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】中国四国厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。**集計期間は2025年9月〜2026年4月(8ヶ月)です。1年ではありません。**厚生局が公開している一覧表は処理月2025-07〜2026-06の12ヶ月ぶんありますが、**岡山県ぶんは処理月2025-08の一覧表が索引に無く**、その号に載るはずだった届出が丸ごと抜けています。廃止届は0〜2ヶ月遅れて載る(同月12.7%・1ヶ月後までで98.3%)ので、1号欠けると前後3ヶ月ぶんの廃止月が過少になります。必要な号がすべてそろう廃止月は2025-09・2025-10・2025-11・2025-12・2026-01・2026-02・2026-03・2026-04で、連続する最長区間がこの8ヶ月です。この期間の廃止届は44件で、うち32件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだと読めます。そのまま消えたのは12件です。**名簿が12ヶ月ぶんしか無いため、年ごとの推移・多年の傾向はこの県では作れません。**「去年より増えた/減った」という書き方はできない、ということです。
- 【率を他県と並べるときは年率換算で】集計期間が8ヶ月なので、真の閉局率1.42%をそのまま12ヶ月窓の他県と並べてはいけません。1年に直した値(2.13%)を使い、**換算値であることを必ず明示してください**。分子は12件で、1件動くと年率が0.18ポイント動きます。
- 【参考として12ヶ月ぶんも数えましたが、それは下限です】号が1つでも存在する範囲まで広げた2025年6月〜2026年5月(12ヶ月・下限値)では、廃止届50件・移転承継37件・真の閉局13件(年率1.54%)ですが、このうち4ヶ月(2025-06・2025-07・2025-08・2026-05)は号が欠けており、**件数は下限**です。とくに廃止月2025年7月は号カバー率0.135=ほぼ空で、DB上は0件ですが「その月に閉局が無かった」という意味ではありません。既定窓の年率2.13%と参考窓の年率1.54%が食い違うこと自体が、参考窓が下限であることの証拠です。
- 【承継の数字は2通りあります】1つの法人が同じ日にまとめて機関コードを付け替える動きが混ざります。中国5県まとめて機械検出した結果、岡山県では7件が該当し、これを差し引くと「引き継がれなかった割合」は27.3%→32.4%になります。真の閉局・真の閉局率はこの調整の影響を受けません(一斉付け替えは定義上すべて承継側です)。どちらの数字を引用するかは必ず明示してください。
- 【閉局は県計でのみ読んでください】既定窓の真の閉局12件を5医療圏に割ると1圏あたり0〜5件で、廃止届が5件に満たない医療圏が2圏(高梁・新見・真庭)、薬局30軒未満の医療圏が2圏(高梁・新見/真庭)あります。圏別の値はJSONには入れていますが、圏どうしの順位づけには使えません。
- 【県間の比較は同じ厚生局・同じ窓・同じ号のそろい方の中だけ】閉局率は厚生局ごとに名簿の捕捉率が違います。さらに中国ブロックでは**県ごとに欠けている号が違う**ため、同じ窓に切っても号がそろっていない県とは並べられません。既定窓(8ヶ月)で号が完全にそろうのは島根県・岡山県・広島県・山口県の4県で、岡山県は年率2.13%=4県中3番目です(鳥取県は処理月2025-08・2025-12が欠落しているため主表から外し、5県そろう4ヶ月の共通窓で別に併記しています)。四国4県は同じ厚生局の管内ですが、別ソース・別期間の名簿から取り込まれているため並べていません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(県内99店を除外)。位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(岡山県は846店すべてに市区町村コードがあり、座標による補完は0件でした)。
- 【「薬局0軒」は断定していません】岡山県でDB上の薬局が0軒なのは新庄村・西粟倉村・美咲町の3自治体です。ただし薬局の名簿はGMIS(薬局機能情報提供制度)の自己申告が出所で、古い独立店が欠落しうることが分かっています。美咲町は人口11,881人で病院1・診療所4・歯科診療所5があり、この規模で薬局0軒は疑わしいため、本レポートでは「薬局0軒の自治体」として扱っていません。実地の裏取りができるまで、断定しない側に倒しています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある846店を分母にしています(県内全846店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。医療圏によっては分母が小さく(最小は22店)、数ポイントの差は誤差の範囲です。薬局1〜2軒の町村(久米南町・鏡野町・奈義町)では1店で100ポイント動きます。
- 【医療圏の区分と岡山市の区】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。岡山県は県南東部・県南西部・高梁・新見・真庭・津山・英田の5圏です。岡山市は政令指定都市で、マスタも将来推計人口も「区」単位のため、本レポートの市区町村は30(岡山市4区+26市町村)で数えています。自治体の数としては27市町村です。
- 【徒歩アクセスは出していません】250mメッシュの人口基盤(mesh_backbone_250m)に岡山県分が0件のため、千葉県版で出した「徒歩10分以内カバー率」は算出できません。投入され次第、同じ手順で後から足せます。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
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