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CrossHealth / 薬局持久度レポート
県内で唯一伸びる圏に、薬局のない町がある
北勢医療圏10市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
北勢医療圏は10の市町からなる、三重県の北部——伊勢湾ぞいに四日市・桑名・鈴鹿が並ぶ圏域です。薬局395軒は県内の45.6%、65歳以上人口は2045年に+15.6%と、三重県4医療圏で唯一大きく増える圏です。ところが圏内を割ると、65歳以上が+55.9%増える朝日町と、-12.7%減る木曽岬町が同居し、落差は68.6ポイント。三重県の4医療圏どうしの落差(40.8ポイント)の1.7倍で、県内最大です。そしてその木曽岬町には、調剤薬局が1軒もありません。
北勢医療圏の面積は約1,104km²で、三重県の19%。そこに県内の薬局の45.6%が集まっています。四日市市だけで158軒=圏内の40.0%、圏の65歳以上人口の35.8%を抱える中心市です。圏全体では65歳以上が22.4万→25.9万人(+15.6%)と増え、ピークは2045年——三重県で最も遅い。総人口は81.5万→72.5万人(-11.0%)です。ところが圏内10市町のうち、65歳以上が減るのは東員町・木曽岬町の2町。どちらも65歳以上人口のピークは2025年、つまりすでに減少局面に入っています。逆に朝日町(+55.9%)と川越町(+51.8%)は65歳以上が5割増える推計で、いまの高齢化率は18.7%(朝日町)と三重県で最も若い町でもあります。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内の相対値)で見ると、いちばん沈むのが東員町(-22.4%)、いちばん伸びるのが朝日町(+34.8%)で、その差は57.2ポイント。薬局のある9市町のうち5市町がマイナス側にいます。圏の平均(需要+15.6%)は、四日市市・鈴鹿市・桑名市の3市で圏内の薬局の83.0%を占めることで決まっており、圏の平均は圏内のどの町の実感でもありません。閉局については、この12ヶ月に出た廃止届は7件、うち4件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは3軒(0.76%)でした。件数が1桁のため、この圏で閉局の多い少ないを論じることはできません。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が64.8%で県平均(67.2%)を下回り、4医療圏で3位。在宅患者訪問薬剤管理指導は49.4%で県平均(49.4%)並みです。需要がいちばん伸びる圏が、届出ではいちばん厚いわけではありませんでした。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが東員町(-22.4%)、いちばん緑なのが朝日町(+34.8%)で、同じ北勢医療圏の中に57.2ポイントの開きがあります。木曽岬町は薬局が0軒のため色が付きません(1軒あたりの数値が定義できないため)。
人口動態 ── 需要の源北勢医療圏は「人は減るが、お年寄りは増える」
なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。北勢医療圏全体では、総人口は81.5万→72.5万人(-11.0%)と減るいっぽう、65歳以上は22.4万→25.9万人(+15.6%)と増えます。高齢化率は27.5%→35.7%へ。65歳以上のピークは2045年で、三重県の4医療圏で最も遅く、「これから20年、高齢者が増え続ける」数少ない圏域です。ただし圏内10市町のうち2町(東員町・木曽岬町)はそのピークがすでに2025年で、これから減っていく局面に入っています。高齢化率がいちばん低いのは朝日町の18.7%(2045年でも29.8%)、いちばん高いのは木曽岬町の36.8%(2045年46.1%)。同じ圏の中で、住民の5人に1人が高齢者の町と、3人に1人を超える町が並んでいます。
薬局のいない町木曽岬町は、三重県で唯一の「薬局0軒」の自治体
木曽岬町(2025年の人口5,656人・うち65歳以上2,084人・高齢化率36.8%)には、調剤を行う薬局が1軒もありません。三重県29市町のうち、薬局0軒はこの1町だけです。面積は約16km²で、木曽三川の河口に位置し、三重県内で接しているのは桑名市のみ、もう一方の隣は愛知県弥富市になります。住民は市境・県境を越えて薬局を利用しているとみられ、「薬が手に入らない」という意味ではありません。2045年の推計では総人口-30.3%、65歳以上-12.7%、高齢化率46.1%。需要が県内で唯一大きく増える北勢医療圏の中で、この町だけは減る側にいます。ただし、1軒あたり処方せんや届出率といった「薬局を分母にする指標」は、この町については計算できません。圏の平均値だけを見ていると、この空白は数字から消えます。
小さな町の、大きな振れ幅65歳以上が5割増える朝日町の薬局は2軒
北勢医療圏で経営体力がいちばん伸びるのは朝日町(+34.8%・65歳以上+55.9%)ですが、この町の薬局は2軒です。2番目に伸びる川越町も5軒。どちらも薬局が8軒未満で、1軒の開局・閉局で比率が大きく動きます。たとえば川越町のかかりつけ薬剤師指導料の届出率は20.0%ですが、これは5軒のうち1軒という意味で、1軒動けば20ポイント変わります。朝日町にいたっては薬局2軒なので、率は50ポイント刻みでしか動きません。分母が8軒未満の自治体(川越町・朝日町)の比率は、順位づけには使わないでください。分母が十分にある市町でいうと、かかりつけの届出率がいちばん低いのは桑名市の55.4%(83軒)で、圏平均64.8%を下回っています。
ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町
東員町(-22.4%)から朝日町(+34.8%)まで57.2ポイントの開き。マイナスは薬局のある9市町のうち5市町です。ここでの色・数値は圏内での相対値(圏の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)である点に注意してください。北勢医療圏は圏全体で需要が+15.6%増えるので、相対値でマイナスの市町でも、絶対量ではいなべ市(+8.0%)・亀山市(+12.8%)のように増えるところがあります。両方の数字を表に出しています(chg=相対、chg_abs=絶対)。
くわしい数字10市町データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 四日市市 | 158 | 26.6% | 11,927 → 11,821 | -0.9% |
| 鈴鹿市 | 87 | 28.1% | 14,294 → 15,069 | +5.4% |
| 桑名市 | 83 | 28.2% | 10,864 → 10,644 | -2.0% |
| 亀山市 | 22 | 28.1% | 14,848 → 14,492 | -2.4% |
| いなべ市 | 14 | 28.5% | 21,014 → 19,631 | -6.6% |
| 菰野町 | 13 | 27.7% | 19,842 → 20,740 | +4.5% |
| 東員町 | 11 | 32.5% | 17,765 → 13,789 | -22.4% |
| 川越町 | 5 | 19.0% | 13,738 → 18,046 | +31.4% |
| 朝日町 | 2 | 18.7% | 24,666 → 33,261 | +34.8% |
| 木曽岬町 | 0 | 36.8% | 薬局なし | ― |
※処方せん需要は北勢医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。木曽岬町は薬局0軒のため1軒あたりの値がありません。川越町・朝日町は薬局が8軒未満で、比率が1軒で大きく動きます。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 三重県(ひとつ上・Lv1)=4つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 北勢医療圏(このページ・Lv2)=10市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】北勢医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間5,270,973枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【按分は居住地ベースであること】按分に使っているのは「住んでいる人」の年齢構成です。病院・診療所が中心市に集まっている圏域では、周辺の町の住民が中心市の医療機関にかかり、その門前の薬局で受け取ります。したがって四日市市のような中心市の「1軒あたり処方せん」は実際より低めに、周辺の町は高めに出る傾向があります。市町の順位づけには使わず、変化の向きを読むための指標としてお使いください。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(三重県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に115.6)。相対値がマイナスでも、絶対量では増える市町があります(表の chg_abs)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】東海北陸厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(北勢医療圏で3件)。廃止届は全部で7件出ていますが、そのうち4件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。集計期間は既報県と同じ2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)です。
- 【他県・他ブロックの閉局率と並べないでください】同じ12ヶ月窓・同じ数え方でも、東海北陸厚生局管内の6県は真の閉局率0.38〜1.27%、近畿・関東・北海道は1.54〜2.40%と、ブロックでまとまって水準が違います。経営環境の差なのか、廃止名簿の公表様式・取り込み精度の差なのかは、このデータだけでは切り分けられません。
- 【件数が少ないこと】北勢医療圏の真の閉局は12ヶ月で3件、廃止届は7件です。市町別に割ると0〜2件になり、閉局率や「承継されなかった割合」は1件の増減で大きく振れます。このページでは閉局を主題に置かず、事実として記載するにとどめています。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。北勢医療圏では圏内395店すべてに届出データがあり(欠測0店)、分母=薬局数です。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【薬局0軒の自治体】木曽岬町には調剤薬局がありません。薬局を分母にする指標(1軒あたり処方せん・届出率・閉局率)は計算できないため、表・地図では空欄になります。三重県内で接するのは桑名市のみ、もう一方の隣は愛知県弥富市で、市境・県境を越えて薬局を利用している住民が多いとみられます。到達時間の分析は250mメッシュのデータが三重県分未投入のため含めていません。
- 【小さい分母】川越町・朝日町は薬局が8軒未満です。届出率・閉局率は1軒で50ポイント以上動くため、表・地図では注記付きで扱い、順位づけには使わないでください。
- 【県境をまたぐ受療は見ていません】北勢医療圏は愛知県・岐阜県と接しており、住民が県外の医療機関・薬局を使うぶんはこのデータには現れません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルが三重県を学習対象に含まないため)。
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