奈良県 › 東和(二次医療圏)
CrossHealth / 薬局持久度レポート
圏内の落差が、県の5圏どうしの落差より大きい
東和医療圏9市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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東和医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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東和医療圏の需要は2025→2045で-8.5%——緩やかな縮小に見えます。けれど圏内を割ると、65歳以上人口の増減は御杖村の-51.4%から天理市の+5.2%まで56.6ポイント開きます。これは奈良県の5医療圏どうしの開き(33.7ポイント)より大きい。圏の平均が、圏内のどの市町村の実感でもない圏域です。
東和医療圏は9市町村・薬局86軒。桜井市33軒・天理市28軒を中心に、盆地側の宇陀市・田原本町が続き、東の山側の山添村・曽爾村・御杖村は薬局0軒です。圏の中に、まったく違う3つの局面が同居しています。天理市は65歳以上人口が+5.2%と増え、ピークは2040年——圏内で唯一これから需要が積み上がる市です。宇陀市は65歳以上そのものが-29.2%減り、高齢化率46.5%→57.6%。そして御杖村は高齢化率65.4%——奈良県39市町村で最も高く、65歳以上人口も-51.4%と圏内で最も深く減ります。閉局の記録は静かで、12ヶ月の廃止届は1件(天理市の真の閉局1件)のみ。分母が1件のため、承継の率は語れません。機能の届出では、在宅(訪問薬剤管理指導等)の届出率48.7%が県内5医療圏で最も低く、かかりつけ63.2%も県平均(69.6%)を下回ります。需要が減る圏で届出も薄い——県のLv1で見えた重なりが、この圏にも当てはまります。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが宇陀市(-22.6%)、いちばん緑なのが天理市(+15.0%)で、同じ東和医療圏の中に37.6ポイントの開きがあります。山添村・曽爾村・御杖村は薬局が0軒のため色がつきません。
人口動態 ── 需要の源東和医療圏の65歳以上人口はもう減っていく
なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。東和医療圏全体では、総人口は18.5万→13.5万人(-27.1%)と減り、65歳以上は6.5万→5.9万人(-8.5%)と減ります。高齢化率は35.0%→44.0%へ。65歳以上のピークは2025年——つまり起点年で、圏全体がすでに減少局面に入っています。圏内9市町村のうち8つでピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市町村は8あります。
徒歩アクセス ── 実道路網(OSRM)で測る圏内で徒歩10分以内に薬局がある人は53.7%
250mメッシュの人口(184,953人ぶん)から、いちばん近い薬局までの実際の道路をたどる徒歩時間を測りました(OSRM実道路網・市町村の境は越えてよい・県境は越えない)。東和医療圏で徒歩10分以内に薬局がある人は53.7%(奈良県全体は69.4%)、20分以内なら80.0%になります。徒歩10分圏の外には85,576人が住んでいます。5医療圏で並べると、この圏は低いほうから2番目です。市町村別では桜井市の66.6%から山添村まで開きます——山添村は薬局が1軒も無く、徒歩10分圏に入る住民が推計上いません。この測り方は、公開済みの奈良県ページの県計(徒歩10分69.4%)と同じです。なお奈良県ページの医療圏別の内訳(この圏域は64.7%)はまだ更新前の直線近似のままのため、本ページの値とは単純比較できません。標高・公共交通は考慮していません。
承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局12ヶ月の廃止届は1件だけだった
直近12ヶ月(2025-05-01〜2026-04-30)に東和医療圏で出された薬局の廃止届は1件。天理市で1軒がそのまま閉じ、移転・承継の記録はありませんでした。分母が1件しかないため、「引き継がれなかった割合」を率として語ることはできません。名簿の掲載遅れにより、この件数は今後の号で増える可能性があります。
医療計画からの引用県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
この圏域を名指しした記述は、収録済みの計画本文からは見つかりませんでした。
県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。 並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。
ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村
宇陀市(-22.6%)から天理市(+15.0%)まで37.6ポイントの開き。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)です。絶対量では天理市の65歳以上が+5.2%増える一方、宇陀市は-29.2%減ります。なお三宅町・川西町は薬局が8軒に満たず、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。山添村・曽爾村・御杖村は薬局0軒のため、1軒あたりの値そのものが計算できません。
くわしい数字9市町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 桜井市 | 33 | 34.6% | 8,624 → 9,031 | +4.7% |
| 天理市 | 28 | 29.0% | 9,575 → 11,014 | +15.0% |
| 宇陀市 | 11 | 46.5% | 16,660 → 12,902 | -22.6% |
| 田原本町 | 11 | 33.6% | 14,605 → 15,612 | +6.9% |
| 川西町 | 2 | 35.6% | 21,724 → 21,214 | -2.3% |
| 三宅町 | 1 | 38.0% | 35,611 → 30,808 | -13.5% |
| 山添村 | 0 | 52.8% | 薬局なし | ― |
| 曽爾村 | 0 | 56.8% | 薬局なし | ― |
| 御杖村 | 0 | 65.4% | 薬局なし | ― |
※処方せん需要は東和医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 奈良県(ひとつ上・Lv1)=5つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 東和医療圏(このページ・Lv2)=9市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。東和医療圏にいまある86軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.48です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-27.1%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。名簿の欠号が23%あります。閉局の件数は下限値(実際はこれ以上)として扱ってください。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は86.9%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。東和医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は84軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 73軒=86.9%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 47軒=56.0%、在宅薬学総合体制加算 31軒=36.9%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 61軒=72.6%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回56.0%/これまで63.2%(差-7.2ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回86.9%/これまで50.0%(差+36.9ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回36.9%/これまで48.7%(差-11.8ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】東和医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間1,022,000枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。またNDBの院外処方せん枚数は処方せんを発行した医療機関の所在地で数えたもので、どこの薬局で調剤されたかではありません。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(奈良県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に91.5)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(東和医療圏で1件)。廃止届は全部で1件出ていますが、そのうち0件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。奈良県分の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません(兵庫県・京都府は同じ12ヶ月窓です)。
- 【件数は下限値です】閉局・廃止届の件数は2026年6月号までの名簿(2026年7月時点)で数えた値です。名簿には廃止日から掲載までの遅れがあるため、窓の終わり近くの件数は今後の号で増える可能性があります。
- 【閉局の件数が小さいこと】東和医療圏の12ヶ月の廃止届は1件、真の閉局は1件です。1件で率が100.0ポイント動くため、年ごとの振れが大きい指標としてお読みください。本文では市町村単位の閉局は件数のみを示し、閉局「率」は圏・県のレベルに限っています。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コード、または座標の市区町村境界への点内判定で割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある76店を分母にしています(圏内全86店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【徒歩アクセスの測り方(OSRM実測)】250m実メッシュの人口から最寄りの調剤薬局までの徒歩時間を、OSRM(OpenStreetMapの実道路網)による実徒歩経路で測っています(候補は直線距離の近い20店に絞り、経路が取れない一部のセルのみ直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで補完)。公開済みの奈良県Lv1の県計(徒歩10分69.4%)と同じ測り方です。市町村の境をまたいだ最寄り薬局を認めています(県境は越えません)。標高・公共交通・院内処方は考慮していません。なお奈良県Lv1の医療圏別内訳はまだ更新前の直線近似(この圏域は64.7%)のままのため、本ページのOSRM値(53.7%)とは測り方が異なり、単純比較はできません。
- 【徒歩は距離のものさし】山間部で実際に歩くことは想定されていません。「徒歩◯分」は、クルマ・バス・配置薬・オンライン服薬指導などの前提がどれだけ強い土地かを示す距離の指標です。「徒歩圏に薬局が無い」=「薬が手に入らない」ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
- 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタに従っています。御所市(旧・南和)と広陵町(旧・西和)は、以前の内部データでは別の医療圏に割り当てられていました。本レポートはマスタ側を正としています。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
- 【小さすぎる分母】三宅町・川西町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様で、薬局が数軒の自治体では届け出るかどうかで大きく振れます(三宅町は機能情報の申告データが無いため、届出率そのものが計算できません)。
- 【薬局が0軒の自治体】山添村・曽爾村・御杖村には薬局がありません(GMISと近畿厚生局の保険薬局一覧の両方で0軒を確認)。1軒あたり処方せん・経営体力・届出率はいずれも計算できないため、表・地図では空欄になります。住民が薬局を使っていないという意味ではなく、隣接する市町の薬局や院内処方・配置薬を利用していると考えられますが、本レポートはその利用先を推計していません。
- 【按分が閉じません】薬局が0軒の自治体があるため、市町村別の1軒あたり処方せんに薬局数を掛けて足し戻しても、圏の実績には届きません(95.5%までしか閉じず、残り4.5%は薬局が1軒もない自治体に住む方のぶんです)。その処方せんは実際には隣接する市町の薬局が受けていると考えられますが、居住地ベースの按分ではどこに出ているか特定できません。
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