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CrossHealth / 薬局持久度レポート
薬局のない6つの村が、同じ医療圏の中にあります
飯伊医療圏14市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
飯伊医療圏は14の市町村からなる、長野県でもっとも自治体数の多い圏域です。面積1,928.8km²も県内最大。飯田市という49軒(圏内の75.4%)を抱える市がある一方、6つの村には薬局が1軒もありません(長野県の薬局ゼロ13市町村のうち6がこの圏域)。その6村を合わせると633.1km²=圏の面積の32.8%になります。65歳以上人口の増減で見た圏内の落差は54.5ポイントで、長野県の10医療圏どうしの落差(33.0ポイント)よりも大きいのです。
飯伊医療圏には、49軒の薬局を持つ飯田市から、薬局1軒の村、そして薬局のない6村までが同じ枠に入っています。薬局のある8市町村のうち7が薬局8軒未満です。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化)を見ると、いちばん沈むのが阿南町(-16.3%)、いちばん伸びるのが高森町(+9.2%)で、その差は25.5ポイント。薬局のある8市町村のうち4がマイナス側にいます。人口の動きはもっとはっきりしています。圏内14市町村のうち13で65歳以上人口がすでに2025年にピークを迎えており、2045年まで増え続けるのは高森町だけです。天龍村の高齢化率は現時点で60.4%、2045年も60.4%——住民の5人に3人が65歳以上という水準が続きます。天龍村は総人口が-51.2%、65歳以上も-51.1%です。それでいて、圏全体の薬局1軒あたり処方せんは15,070枚で長野県10医療圏の中で最多です。薬局が65軒しかないところに圏の需要が集まるためで、圏の平均は圏内のどの町の実感でもありません。閉局の面では、2025年(暦年)に出た廃止届4件のうち1件が移転・承継で、そのまま消えたのは3軒(4.62%)。この真の閉局率は県内10医療圏で1位ですが、薬局65軒に対する3件の話で、1件で1.5ポイント動く分母です。消えた3軒は松川町・飯田市・高森町に1軒ずつ散っています。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが阿南町(-16.3%)、いちばん緑なのが高森町(+9.2%)で、同じ飯伊医療圏の中に25.5ポイントの開きがあります。平谷村・根羽村・売木村・天龍村・泰阜村・大鹿村は薬局が0軒のため1軒あたりの数値が計算できず、色がつきません。この6村だけで圏の面積の32.8%を占めます。
距離 ── この圏域のかたち薬局1軒がかかえる面積は、高森町と阿智村で9.5倍ちがう
飯伊医療圏の面積は1,928.8km²で長野県最大、薬局1軒あたり29.7km²は県内3位の広さです(県平均13.4km²)。市町村別では高森町の11.3km²から阿智村の107.2km²まで開きます。いっぽう薬局1軒あたりの人口は圏全体で2,265人。長野県平均は1,951人で、人の数に対して薬局が極端に少ないわけではありません。この圏域で薄いのは、軒数ではなく距離です。薬局のない6村には4,681人(うち65歳以上2,252人)が住み、面積では圏の32.8%を占めます。その住民が薬局を使っていないという意味ではなく、隣接する市町の薬局を利用していると考えられますが、本レポートはその越境利用を推計していません(面積は道路網・公共交通・冬期の通行止めを含まない幾何の指標です)。
人口動態 ── 需要の源飯伊医療圏は「65歳以上も、もう増えない」
なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。飯伊医療圏全体では、総人口は14.7万→11.8万人(-19.6%)と減り、65歳以上も5.2万→4.9万人(-5.3%)と減ります。高齢化率は35.2%→41.5%へ。65歳以上のピークは2025年——つまり起点年で、圏全体がすでに減少局面に入っています。圏内14市町村のうち13市町村でピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市町村は13あります。長野県全体の65歳以上人口が+3.8%とわずかに増えるなかで、この圏域の中には-51.1%(天龍村)から+3.4%(高森町)までが同居しています。
4年の推移この圏域で、4年間に閉じた薬局と、引き継がれた薬局
長野県は廃止名簿が2022年から連続してそろうため、暦年で4年ぶんを並べられます。飯伊医療圏の真の閉局は0件→3件→0件→3件、移転・承継は0件→1件→1件→1件でした。4年合計では真の閉局6件・移転承継3件で、薬局65軒に対する年平均の真の閉局率は2.31%になります。長野県全体では2024年以降に移転・承継が急に増えましたが、それは法人単位の一斉付け替えによるもので、この圏域では起きていません。1年ぶんだけを見ると数件の差で印象が変わってしまう規模なので、単年の数字は幅をもって読んでください。
ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村
阿南町(-16.3%)から高森町(+9.2%)まで25.5ポイントの開き。薬局のある8市町村のうちマイナスは4、プラスは4で、ちょうど半々に割れています。なお阿南町・阿智村・喬木村・下條村・松川町・豊丘村・高森町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください(薬局1軒の村では、その1軒が圏の需要按分をすべて受け取る計算になります)。平谷村・根羽村・売木村・天龍村・泰阜村・大鹿村は薬局が0軒のため空欄です。
くわしい数字14市町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 飯田市 | 49 | 33.8% | 12,253 → 12,618 | +3.0% |
| 松川町 | 5 | 36.3% | 16,380 → 16,487 | +0.7% |
| 高森町 | 4 | 33.9% | 19,742 → 21,562 | +9.2% |
| 阿南町 | 2 | 45.9% | 15,851 → 13,261 | -16.3% |
| 阿智村 | 2 | 39.5% | 20,923 → 18,409 | -12.0% |
| 喬木村 | 1 | 36.8% | 39,182 → 37,058 | -5.4% |
| 下條村 | 1 | 37.4% | 23,294 → 22,829 | -2.0% |
| 豊丘村 | 1 | 34.2% | 39,711 → 40,051 | +0.9% |
| 平谷村 | 0 | 39.6% | 薬局なし | ― |
| 根羽村 | 0 | 55.3% | 薬局なし | ― |
| 売木村 | 0 | 45.1% | 薬局なし | ― |
| 天龍村 | 0 | 60.4% | 薬局なし | ― |
| 泰阜村 | 0 | 41.0% | 薬局なし | ― |
| 大鹿村 | 0 | 45.2% | 薬局なし | ― |
※処方せん需要は飯伊医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 長野県(ひとつ上・Lv1)=10の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 飯伊医療圏(このページ・Lv2)=14市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】飯伊医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間979,542枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【按分が閉じません】薬局が0軒の市町村があるため、市町村別の1軒あたり処方せんに薬局数を掛けて足し戻しても、圏の実績には届きません(95.66%までしか閉じず、残り4.34%は薬局が1軒もない6村に住む方のぶんです)。その処方せんは実際には隣接する市町の薬局が受けていると考えられますが、居住地ベースの按分ではどこに出ているか特定できません。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(長野県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に94.7)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(飯伊医療圏で3件)。廃止届は全部で4件出ていますが、そのうち1件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。既定の集計期間は暦年2025(暦年2025年(1〜12月))です。名簿が2022年から連続してそろうため、暦年2022〜2025の4年ぶんも clo_multiyear に持っています。
- 【廃止届の総数を閉局と読まないでください】長野県全体では、廃止届の80.5%が移転・承継で、しかもその大半が特定の日にまとまって出た法人単位の一斉付け替えです(Lv1の注記を参照)。飯伊医療圏ではこの一斉付け替えは起きていませんが、圏どうしで廃止届の件数を並べるときは必ずこの点を確認してください。
- 【面積の指標について】面積は国土数値情報の行政区域ポリゴンから計算した幾何の値です。道路網・公共交通・冬期の通行止め・地形の起伏はまったく含みません。「薬局1軒あたり29.7km²」は距離のものさしであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。千葉県・奈良県で出している250mメッシュの徒歩アクセス率は、長野県分のメッシュが未投入のため出せません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。この圏域は全65店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
- 【小さすぎる分母】阿南町・阿智村・喬木村・下條村・松川町・豊丘村・高森町は薬局数が8軒に満たない自治体です(薬局のある8市町村のうち7)。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様で、薬局1軒の村では届け出るかどうかで0%か100%かに振れます。
- 【薬局が0軒の自治体】平谷村・根羽村・売木村・天龍村・泰阜村・大鹿村には薬局がありません(長野県の13市町村のうち6がこの圏域)。1軒あたり処方せん・経営体力・届出率はいずれも計算できないため、表・地図では空欄になります。住民が薬局を使っていないという意味ではなく、隣接する自治体の薬局を利用していると考えられますが、本レポートはその越境利用を推計していません。なお薬局の有無は薬局機能情報提供制度(GMIS)由来の名簿によるもので、厚生局の保険薬局一覧との突き合わせは行っていません。
- 【いま出していない数字】2045年の店舗数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルを再学習中のため)。
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