三重県南勢志摩(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

圏の中の落差が、県の4圏どうしの落差より大きい

南勢志摩医療圏11市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 南勢志摩医療圏 11市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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南勢志摩医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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南勢志摩医療圏の65歳以上人口は2025→2045で-6.5%——ゆるやかな下りに見えます。けれど圏内を割ると、総人口が-53.5%とほぼ半分になる南伊勢町と、65歳以上が+13.2%増えて2050年までピークが来ない玉城町が同居します。65歳以上人口の増減で見た圏内の開きは56.9ポイント——三重県の4医療圏どうしの開き(40.8ポイント)の1.4倍です。圏の平均は、圏内のどの市町の実感でもありません。

11
南勢志摩医療圏の市町
225
圏内の薬局数(県全体の26.0%)
7
この12ヶ月の廃止届(真の閉局+移転・承継)
-40〜+21%
経営体力の変化レンジ(市町差)

南勢志摩医療圏は11市町=県内で最も多くの自治体からなり、薬局は225軒。松阪市89軒と伊勢市82軒の2市で圏内の76.0%を占める二極構造です。需要の先行きは市町でまったく違います。11市町のうち8市町は65歳以上人口のピークがすでに2025年=減少局面で、南伊勢町は65歳以上そのものが-43.7%、高齢化率は56.8%→68.8%に達します。志摩市も高齢化率44.6%→57.9%と、2045年には住民の半分を超えます。いっぽう松阪市(65歳以上+3.5%・ピーク2040年)と玉城町(+13.2%・ピーク2050年)は、まだ増える側にいます。1軒あたり処方せんは圏全体で12,057枚と県内4圏の最少——最も薄い圏です。それでいて在宅患者訪問薬剤管理指導の届出率51.6%は県内4医療圏で最高(県平均49.4%)。枚数の薄い圏で、在宅の届出だけが県内で最も厚い——少ない処方せんを広い在宅で補う姿がうかがえます(届出=実提供ではありません)。閉局・承継の記録では、この12ヶ月の廃止届7件のうち5件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは2軒(伊勢市)でした。件数が1桁のため、この圏で閉局の多い少ないを論じることはできません。なお11市町のうち7市町は薬局が8軒未満で、届出率や1軒あたりの数値は1店の動きで大きく振れます。圏内比較として厚みがあるのは実質、松阪市・伊勢市・志摩市・玉城町の4市町です。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが南伊勢町(-39.8%)、いちばん緑なのが玉城町(+21.1%)で、同じ南勢志摩医療圏の中に60.9ポイントの開きがあります。

徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は50.8%(直線近似)

250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、南勢志摩医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は50.8%(県全体59.3%)、20分圏で73.7%です。徒歩10分圏の外には199,926人が住んでいます。4医療圏で並べるとこの圏は低いほうから2番目です。市町別では伊勢市の63.7%から多気町の9.4%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。公共交通は含みません。県境は越えないため、県境沿いの市町は実際より低めに出ます。鳥羽市・志摩市の島しょ部では直線が海をまたぐため、近似が実態と特に乖離します。

人口動態 ── 需要の源南勢志摩医療圏の65歳以上人口はもう減っていく

なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。南勢志摩医療圏全体では、総人口は40.6万→31.2万人(-23.3%)と減り、65歳以上は14.5万→13.5万人(-6.5%)と減ります。高齢化率は35.6%→43.5%へ。65歳以上のピークは2025年——つまり起点年で、圏全体がすでに減少局面に入っています。圏内11市町のうち8市町でピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市町は8あります。

総人口65歳以上
0万12万25万38万50万20252030203520402045205029万13万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは2025年です。

ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町

南伊勢町(-39.8%)から玉城町(+21.1%)まで60.9ポイントの開き。マイナスは薬局のある11市町のうち6市町です。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)です。圏全体の65歳以上人口が-6.5%減るため、相対値でプラスの松阪市(+10.7%)も絶対量では+3.5%にとどまります。なお南伊勢町・大紀町・鳥羽市・大台町・度会町・多気町・明和町は薬局が8軒未満で、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。とくに鳥羽市・大紀町・多気町など数軒の市町の値は、順位づけには使わないでください。

南伊勢町
-39.8%
大紀町
-30.4%
鳥羽市
-22.7%
大台町
-21.4%
志摩市
-13.1%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
明和町
+8.3%
松阪市
+10.7%
玉城町
+21.1%

医療計画 ── 圏域の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

○医療圏内の精神科医療施設が少ないため、隣接する南勢志摩医療圏の精神科病院等と連携を図っていく必要があります。

三重県医療計画(第8次) 第8次三重県医療計画(本冊一括) PDF 94ページ

○医療圏内の精神科医療施設が少ないため、隣接する南勢志摩医療圏の精神科病院等と連携4.課題を図っていく必要があります。

三重県医療計画(第8次) 第8次三重県医療計画(本冊一括) PDF 95ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

くわしい数字11市町データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
松阪市8932.1%10,218 → 11,311+10.7%
伊勢市8233.6%9,006 → 9,310+3.4%
志摩市2344.6%15,043 → 13,066-13.1%
玉城町829.3%10,124 → 12,256+21.1%
明和町732.8%19,207 → 20,806+8.3%
大台町645.7%11,114 → 8,740-21.4%
南伊勢町456.8%24,418 → 14,702-39.8%
鳥羽市243.9%63,777 → 49,314-22.7%
度会町239.4%27,045 → 25,819-4.5%
大紀町153.2%68,349 → 47,552-30.4%
多気町136.0%89,202 → 89,415+0.2%

※処方せん需要は南勢志摩医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 三重県(ひとつ上・Lv1)=4つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 南勢志摩医療圏(このページ・Lv2)=11市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

南勢志摩医療圏 11市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は91.9%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。南勢志摩医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は221軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 203軒=91.9%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 141軒=63.8%、在宅薬学総合体制加算 97軒=43.9%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 191軒=86.4%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回63.8%/これまで67.6%(差-3.8ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回91.9%/これまで39.1%(差+52.8ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回43.9%/これまで51.6%(差-7.7ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】南勢志摩医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,712,856枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【按分は居住地ベースであること】按分に使っているのは「住んでいる人」の年齢構成です。病院・診療所が中心市に集まっている圏域では、周辺の町の住民が中心市の医療機関にかかり、その門前の薬局で受け取ります。したがって松阪市のような中心市の「1軒あたり処方せん」は実際より低めに、周辺の町は高めに出る傾向があります。市町の順位づけには使わず、変化の向きを読むための指標としてお使いください。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(三重県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に93.5)。相対値がマイナスでも、絶対量では増える市町があります(表の chg_abs)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】東海北陸厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(南勢志摩医療圏で2件)。廃止届は全部で7件出ていますが、そのうち5件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。集計期間は既報県と同じ2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)です。三重県の名簿は2020-10-31から連続して収録されており、暦年で見ると県全体の真の閉局は2021〜2025年の5年間ずっと5〜8件でした(Lv1参照)。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません(兵庫県は同じ12ヶ月窓です)。
  • 【他県・他ブロックの閉局率と並べないでください】同じ12ヶ月窓・同じ数え方でも、東海北陸厚生局管内の6県は真の閉局率0.38〜1.27%、近畿・関東・北海道は1.62〜2.40%と、ブロックでまとまって水準が違います。経営環境の差なのか、廃止名簿の公表様式・取り込み精度の差なのかは、このデータだけでは切り分けられません。
  • 【圏どうし・市町どうしの閉局率も論じません】名簿の捕捉がブロックとして低い疑いがある(=件数は下限)うえ、県全体でも12ヶ月の真の閉局は7件です。これを圏に割った比率の高低は偶然に左右されるため、このページでは南勢志摩医療圏の閉局を件数の事実として記載するにとどめ、圏別・市町別の閉局「率」の優劣は論じていません。
  • 【件数は下限値です】閉局・廃止届の件数は2026年7月29日時点のデータベース(2026年7月号までの名簿)で数えた値です。名簿には廃止日から掲載までの遅れ(8割超は2ヶ月以内・最大13ヶ月)があるため、窓の終わり近くの件数は今後の号で増える可能性があります。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。南勢志摩医療圏では圏内225店すべてに届出データがあり(欠測0店)、分母=薬局数です。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率50.8%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・鉄道・地形で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市町・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。また鳥羽市・志摩市は離島・半島部を含み、直線は海をまたぐため、島しょ部では近似が実態と特に乖離します。
  • 南勢志摩医療圏は奈良県と接しています。住民が県外の医療機関・薬局を使うぶんはこのデータには現れません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません。供給の統計モデルは47都道府県すべてを学習しましたが、三重県は閉局名簿の側の条件(収録期間・欠号)が足りず、適用可否表で「不可」と判定されているためです。他県で学習した値の流用はしません。
  • 【小さい分母】南伊勢町・大紀町・鳥羽市・大台町・度会町・多気町・明和町は薬局が8軒未満の自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様で、薬局が数軒の自治体では届け出るかどうかで大きく振れます。市町別の比率は順位づけには使わないでください。

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南勢志摩医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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