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CrossHealth / 薬局持久度レポート
1軒しかない島が、6つあります
奄美医療圏12市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
奄美医療圏は、構成する12市町村がすべて離島にある圏域です。市町村の数は鹿児島県9医療圏で最も多く、薬局は39軒(県内7位)。そのうち25軒(圏内の64.1%)が奄美市に集まり、残る11市町村には合わせて14軒しかありません。薬局が1軒だけの市町村が6、1軒も届け出が無い町が2(喜界町・伊仙町)あります。
奄美医療圏の薬局39軒は、奄美市に25軒、それ以外の11市町村に14軒という分かれ方をしています。6市町村は薬局が1軒だけで(宇検村・大和村・知名町・天城町・与論町・龍郷町)、喜界町・伊仙町の2町には届出のある薬局がありません。この2町には11,855人(うち65歳以上5,002人)が住んでいます。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化)で見ると、いちばん沈むのが宇検村(-10.3%)、いちばん伸びるのが龍郷町(+22.1%)で、その差は32.4ポイント。マイナス側は7市町村です。ただしこの色は圏内でのシェアの移動であって、圏そのものは65歳以上人口が-11.4%と減ります。65歳以上人口が2045年までに増えるのは龍郷町の1町だけで、10市町村はすでにピークを過ぎています。いまの1軒あたり処方せんは大和村の5,379枚から知名町の21,714枚まで4.04倍開きます。薬局が集中する奄美市が5,504枚と圏内でも薄い側にあるのは、人口も薬局もそこに集まっているためです。閉局の面では、既定の直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に奄美医療圏で出た廃止届は4件で、そのすべてが移転・承継——この1年でこの圏から消えた薬局は0件です。ただし薬局39軒に対して廃止届4件という規模なので、1年だけを見て「消えない圏域」と読まないでください。4年(2022年1月〜2025年12月)に出た廃止届9件のうち3件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは6軒でした。この6軒は2市町村(和泊町・奄美市)に出ています。引き継がれなかった割合は66.7%で、鹿児島県全体(48.9%)を上回ります。ただし件数そのものが9件しかないため、1件で11.1ポイント動く数字です。しかもこの4年ぶんの件数は下限です——名簿に2024年の5号ぶんの欠落があり、48ヶ月のうち8ヶ月は取りこぼしている可能性があります。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが宇検村(-10.3%)、いちばん緑なのが龍郷町(+22.1%)で、同じ奄美医療圏の中に32.4ポイントの開きがあります。喜界町・伊仙町は薬局が0軒のため1軒あたりが計算できず、色が付きません(データなし)。
人口動態 ── 需要の源奄美医療圏は「人も減り、お年寄りも減る」
奄美医療圏全体では、総人口は9.7万→7.4万人(-24.0%)と減り、65歳以上も3.7万→3.3万人(-11.4%)と減ります。高齢化率は38.1%→44.4%へ上がりますが、それは分母(総人口)が減るからで、高齢者の実数が増えるからではありません。65歳以上のピークは圏全体で2025年——つまり起点の年です。宇検村の高齢化率は現時点で46.2%、2045年には47.1%。大和村は総人口が-33.0%と圏内でもっとも減ります。鹿児島県全体でも65歳以上は-5.9%と減る推計で、この圏域はそれよりさらに深く減ります。
距離 ── 海をまたぐ圏域この圏域の距離は、地図の面積では測れません
奄美医療圏の面積は1,242.1km²、薬局1軒あたり31.8km²です(県内で2位の広さ)。市町村ごとに見ると奄美市の12.4km²から宇検村の103.2km²まで開きます。ただしこの数字は陸地の広さにすぎません。奄美医療圏の市町村は複数の島に分かれており、島と島のあいだの移動は航路・空路になります。面積からは、便数も、所要時間も、天候による欠航も分かりません。「1軒あたり31.8km²」を「歩ける距離」と読み替えないでください。徒歩圏カバー率は250mメッシュ人口が鹿児島県分未投入のため、本レポートでは出していません。
ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村
宇検村(-10.3%)から龍郷町(+22.1%)まで32.4ポイントの開き。マイナスは7市町村です。ただし奄美医療圏は9市町村が薬局8軒未満で、うち6市町村は1軒だけです。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れます。順位そのものより、「薬局が1軒しかない自治体がいくつあるか」を見てください。
くわしい数字12市町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 奄美市 | 25 | 35.7% | 5,504 → 5,795 | +5.3% |
| 瀬戸内町 | 3 | 41.3% | 10,804 → 10,176 | -5.8% |
| 徳之島町 | 3 | 36.7% | 11,313 → 11,246 | -0.6% |
| 和泊町 | 2 | 38.8% | 11,149 → 10,403 | -6.7% |
| 宇検村 | 1 | 46.2% | 6,924 → 6,208 | -10.3% |
| 大和村 | 1 | 44.4% | 5,379 → 4,877 | -9.3% |
| 知名町 | 1 | 41.4% | 21,714 → 19,766 | -9.0% |
| 天城町 | 1 | 39.9% | 20,070 → 19,542 | -2.6% |
| 与論町 | 1 | 38.0% | 18,138 → 18,905 | +4.2% |
| 龍郷町 | 1 | 34.4% | 19,317 → 23,592 | +22.1% |
| 喜界町 | 0 | 44.0% | 薬局なし | ― |
| 伊仙町 | 0 | 40.2% | 薬局なし | ― |
※処方せん需要は奄美医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。薬局が0軒の喜界町・伊仙町には1軒あたりの値がありません。かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、鹿児島県では元データが未取込のため掲載していません。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 鹿児島県(ひとつ上・Lv1)=9つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 奄美医療圏(このページ・Lv2)=12市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】奄美医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間367,336枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【按分が閉じません】喜界町・伊仙町には薬局が0軒のため、市町村別の1軒あたり処方せんに薬局数を掛けて足し戻しても、圏の実績には86.5%までしか届きません(残り13.5%は薬局が1軒もない町に住む人のぶん)。その処方せんは実際には別の市町村の薬局が受けていると考えられますが、居住地ベースの按分ではどこに出ているか特定できません。式を変えるのではなく、漏れの量をそのまま出しています。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(鹿児島県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に88.6=実数としては減ります)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】九州厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)で、九州厚生局管轄8県で統一した窓です(2025-05-01〜2026-04-30)。この期間の奄美医療圏の廃止届は4件・真の閉局は0件です。全国比較(大阪府・千葉県・東京都は暦年2025)には参考窓 clo_alt を使ってください(奄美医療圏は廃止届3件・真の閉局1件)。ただし奄美医療圏は件数がきわめて少ないため、本文の承継の議論は4年(2022年1月〜2025年12月)の窓(廃止届9件・真の閉局6件)で行っています。この4年の値を他県の単年値と並べないでください。
- 【4年窓の件数は下限値です】4年窓の件数は【下限値】。九州の廃止名簿に2024年の5号(2024-02・2024-03・2024-05・2024-06・2024-08)の欠落が確定しており(大分係の発見・本レポートでも build_issue_coverage.py で号を復元して再確認)、廃止月は掲載遅れ1〜3ヶ月でm+1〜m+3号に載るため、4年窓48ヶ月のうち8ヶ月(2023-11〜2024-06)は号カバー率が80%未満=過少計上のおそれがある。**既定窓(2025-05〜2026-04)にカバー率の薄い月は無く、影響を受けない。**欠号は九州8県に等しくかかるため、薄い月を全県から除いた集計でも鹿児島県の順位は変わらない(clo_4y_coverage.rank_* を参照)。
- 【機能の届出率は掲載していません】かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅対応の届出率は、鹿児島県では薬局機能情報提供制度(GMIS)のデータが当データベースに未取込のため掲載していません。集計すると全店0%になりますが、それは「届け出ている薬局が無い」のではなく「データが無い」という意味です。他県版にはこの軸があります。
- 【徒歩圏カバー率も掲載していません】250mメッシュ人口が鹿児島県分未投入のためです。面積の数字は載せていますが、これは徒歩圏カバー率の代わりにはなりません(道路も、島と島を結ぶ航路も、その便数も、欠航も含まない幾何の数字です)。
- 【薬局0軒=届出0軒】喜界町・伊仙町の2町は、薬局機能情報提供制度への届出が0件という意味であって、医薬品アクセスが0という意味ではありません(診療所の院内投薬・配送・巡回は本データの外です)。地図では色が付かない領域として、凡例に「データなし」を用意してください。
- 【小さすぎる分母】宇検村・大和村・知名町・和泊町・瀬戸内町・天城町・徳之島町・与論町・龍郷町は薬局数が8軒に満たない自治体です(9市町村。うち6市町村は1軒だけ)。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。奄美医療圏で薬局8軒以上の自治体は奄美市だけです。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています(未割当0件)。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルを再学習中のため)。
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