CrossHealth / 薬局アクセスレポート

歩いて行ける薬局が1軒しかない人は、県内に23万人。
その“1軒”にあたる薬局は、373軒※。

鹿児島県 9二次医療圏・43市区町村/いま=2025年・将来=2040年/薬局は厚生局 保険薬局名簿(2026年7月1日現在・近畿厚生局の管内=福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の7府県は6月1日現在)/概要版・無料 数字の出どころと数え方 →

44.2%
徒歩10分では薬局に届かない人(全国で13番目に大きい)
23万人
徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人
373軒
誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局(県内の46.2%・17市区町村を除く)
26.9〜81.0%
徒歩10分では届かない人の割合の、医療圏ごとの開き

なぜ数えるのか

「ここがなくなると遠くなっちゃって困るのよ」——閉局が心配されている薬局で、患者さんから聞いた声です。米国では、薬局が閉まったあと、残された人の服薬が続かなくなることが報告されています(処方薬を切らさず手元に持っていた日数の割合が、閉局のなかった人と比べて閉局後3か月で約6ポイント低くなり、その差が12か月続いた)。私たちが確かめた範囲では、日本で薬局が閉まったときに、服薬がどれくらい続かなくなるかは、まだ調べられていません。車を使えない人にとって、歩いて行ける1軒は、便利さではなく薬を受け取り続けるための足場です。制度の上でも、健康の相談や自宅への訪問を担う薬局が位置づけられています(健康サポート薬局・地域連携薬局/医薬品医療機器等法 第6条の2第1項第4号・同施行規則 第1条の2第2項第5号)。どこにその1軒があるかを知っておけば、閉まる前に、別の届け方を用意できます。

文・木内翔太

いま(2025年)── 歩いて届くか徒歩10分で届かない人は44.2%。医療圏では26.9%から81.0%まで開く

県全体は全国で13番目に大きい。開きの両端は鹿児島と曽於である。

10%以下10〜20%20〜40%40〜60%60%超
色=徒歩10分では届かない人の割合。医療圏をクリックすると、その圏のページへ進む。

番号=地図の医療圏・%=徒歩10分では届かない人

  1. 1鹿児島26.9%
  2. 2南薩66.4%
  3. 3川薩54.4%
  4. 4出水64.4%
  5. 5姶良・伊佐38.3%
  6. 6曽於81.0%
  7. 7肝属55.1%
  8. 8熊毛79.2%
  9. 9奄美67.4%

いま(2025年)── 歩いて行ける唯一の薬局誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局は、373軒(17市区町村を除く)。曽於では85.2%にあたる

徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人は23万人(住民の15.5%・全国13.8%)。その唯一の薬局は県内の薬局の46.2%にあたる(17市区町村を除く。全国は35.2%)。

この数は、徒歩10分という1つの物差しで見た場合です。どの薬局も、在宅の訪問・健康の相談・夜間や休日の対応などで、地域を支えています。

その圏の薬局のうち、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合(色は地図と同じ)。軒数は補足の表に。※印の圏は、町ごとの値を出していない市区町村(薬局が少ないなど、数字が1つの店を指してしまう町)を除いた合計で、割合の分母(その圏の薬局の数)からも除いています:肝属(東串良町・南大隅町)・出水(長島町)・奄美(大和村・宇検村・瀬戸内町・龍郷町・徳之島町・天城町・和泊町・知名町・与論町)・熊毛(西之表市・中種子町・南種子町・屋久島町)・曽於(大崎町)。

2040年 ── 処方せん2040年の処方せんは、分業率が上がると置いても減る

県内の院外処方せんは2025年の1,113万枚から2040年に1,015万枚へ、8.8%減る(9圏すべてで減る)。院外処方率(鹿児島81.1%・全国80.7%)が中央値81.2%まで上がる圏があると置いても、6.0%減る(9圏のうち3圏が対象)。

では、どうすればよいか薬局が10軒以上ある16市区町村のうち15で、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局が3割を超える

3割を超えるのは一部の市区町村ではなく、大半です。3割で市区町村を選び分けても、対象は絞れません。どちらの薬局名簿にも薬局が載っていない4町村(住民 計1.3万人)と、徒歩10分では薬局に届かない67万人(44.2%)が、計画の中で数える対象になりえます。その地域で、備える手立て(承継の相談先・自宅への訪問・オンライン服薬指導と配送)が使える状態にあるかを、確かめておくことができます。

3割を超える市区町村:南九州市 100.0%・志布志市 93.3%・さつま町 83.3%・出水市 80.6%・曽於市 75.0%・日置市 72.7%・伊佐市 69.2%・指宿市 61.1%・姶良市 60.5%・霧島市 57.1%・鹿屋市 57.1%・奄美市 50.0%・南さつま市 47.6%・いちき串木野市 47.1%・薩摩川内市 46.6%

薬局が9軒以下の27市区町村は、1軒の増減で割合が大きく動くため、3割の数え方には入れていません。

どちらの薬局名簿(保険薬局名簿・施設基準届出受理医療機関名簿)にも薬局が載っていない町村:三島村・十島村・喜界町・伊仙町(4町村・住民 計12,888人)

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市区町村ごとの1枚(A4)

薬局の数と、歩いて届く範囲を、A4の1枚にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま会議やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください(43地域)。

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補足数字の中身と数え方

9つの医療圏の数字(表)
医療圏薬局数徒歩10分では
届かない人
歩いて行ける
唯一の薬局
処方せん 2025→2040
(分業率そのまま)
同
(分業率の仮定)
院外
処方率
鹿児島 →38626.9%106軒(27.5%)−3.7%−2.3%80.0%
姶良・伊佐 →12538.3%77軒(61.6%)−6.4%−3.4%78.7%
川薩 →7054.4%37軒(52.9%)−12.1%−12.1%※89.4%
肝属 →7355.1%41軒(59.4%)
(2町を除く)
−12.7%−12.7%※93.3%
出水 →4764.4%36軒(80.0%)
(1町を除く)
−15.1%−15.1%※86.5%
南薩 →6166.4%41軒(67.2%)−20.1%−20.1%※83.4%
奄美 →4067.4%12軒(50.0%)
(9市区町村を除く)
−12.2%+43.5%49.7%
熊毛 →1379.2%—
(4市区町村を除く)
−16.8%−16.8%※81.4%
曽於 →2981.0%23軒(85.2%)
(1町を除く)
−20.0%−20.0%※88.8%

徒歩10分では届かない人の割合が小さい順。「誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局」の割合は、その圏の薬局数に対する割合。処方せんの2列は2040年の推計で、いま(2025年)の数字とは時点が違います。※は院外処方率がすでに全国の中央値(81.2%)以上で、分業率の仮定を当てていない圏です(左の列と同じ値)。

閉局 ── 廃止届と、本当に閉まった薬局

2025年9月から2026年5月までの9か月に、県内で出された薬局の廃止届は36件でした(集計期間が9か月(12か月に満たない))。そのうち19件は承継か移転で、営業は続いています。本当に閉まったのは17軒(県内の薬局の2.01%)です。

期間は、厚生局の名簿がそろっている直近の月から自動で選んでいます。9か月ぶんの件数で、1年ぶんではありません。

鹿児島県保健医療計画のなかの薬剤師

鹿児島県保健医療計画(第8次・令和6〜11年度)の本文から、薬剤師・薬局に関する記述を抜き出しました。計画は、薬剤師偏在指標・薬剤師少数区域・薬局の偏在・薬剤師確保策・二次医療圏ごとの薬剤師について書いています。

ー 137 一 安全で質の高い医療の確保 医療従事者の確保及び資質の向上 3 楽剤師 国の楽剤師確保計画ガイドラインが求めている薬剤師確保計画に相当するものです。

引用は計画本文からそのまま抜き出したものです(要約・言い換えはしていません)。計画の改定により記述は変わります。

機能の届出(厚生局の名簿)

地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」(令和8年7月1日版)に載っている県内の保険薬局は841軒です。届出の割合は、地域支援・医薬品供給対応体制加算 92.3%(全国90.8%)、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1・推定)59.1%(全国59.4%)、在宅薬学総合体制加算 40.1%(全国40.9%)、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定)87.9%(全国84.2%)です。県の順位は付けていません(名簿の版や旧い届出名の扱いで入れ替わるため)。「推定」の2項目は、令和8年度改定で届出の名称が変わったため、後継と判断した区分で数えています。届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、提供した量ではありません。分母が名簿の薬局数なので、このページの他の薬局数(844軒)とは一致しません。

2045年の薬局の店数を出していない理由

将来の薬局の店数は、閉じる側(廃止届)と開く側(新規指定)の数え方がそろわないため、推計を出していません。そのまま計算すると全国で薬局が2割以上増える結果になり、実態と合わないからです。

限界と数え方・地図の使い方
  • 出所:厚生局・GMIS・NDBオープンデータ・社人研の将来推計人口など。検算と不確実性は方法論のページに。
  • 言えること:地域単位(県・二次医療圏)で、住民が歩いて薬局に行けるか。
  • 言えないこと:個々の薬局の見通し・個店の順位・出店や撤退の判断は扱いません。
  • 徒歩分:250mメッシュ(2025年推計人口)ごとに道路網(OSRM)で計算。県外の薬局も歩いて届けば数えます。
  • 歩いて行ける薬局が1軒しかない人:徒歩10分以内にある薬局がちょうど1軒の人。その1軒が閉まると、歩いて10分では届かなくなる。
  • 薬局の数:厚生局 保険薬局名簿(2026年7月1日現在・近畿厚生局の管内=福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の7府県は6月1日現在)。調剤を行う薬局のみ。
  • 人口は2020年国勢調査をもとにした推計(社人研2023年推計)で、2021年以降の人口の動きは反映していません。薬局は2026年7月の名簿です。
  • なぜ10分か:国の都市評価は徒歩圏を半径800mとしています。これを不動産広告の換算(道路距離80mで1分)に当てると10分。CrossHealthはこの10分を目安に用いています(国土交通省「都市構造の評価に関するハンドブック(改定版)」令和8年1月 p.16・p.21/不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 第15条第9号)。道路網の徒歩10分は、直線でおよそ600m相当で、800mより狭い範囲です(大阪・茨城・鳥取の72,834メッシュで一致率95.4%)。
  • なぜ数えるのか(出典):Qato DM, et al. JAMA Netw Open. 2019;2(4):e192606(米国の閉局と服薬の継続)/医薬品医療機器等法 第6条の2第1項第4号・同施行規則 第1条の2第2項第5号(薬局の役割)。
  • 地区の物差し:医師には、国が地区ごとに数える「無医地区」があります。薬局について国が公表しているのは、私たちが確かめた範囲で、町村に1軒も無いかどうか(無薬局町村)までです。
  • 誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局:徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人がいて、その人にとってのその1軒。所在地で県内にあるものを数えます。
  • ※県の「誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局」の数と割合は、数字が特定の店を指すことになる市区町村を除いて数えています(全国の値は除いていません)。
  • 処方せん:NDBの医療圏別実績に、年齢ごとの受療率を固定して将来人口を当てた推計。分業率の仮定:院外処方率(処方箋料の算定回数を、処方料と処方箋料の合計で割った値・NDBオープンデータ)が全国の医療圏の中央値(81.2%)より低い圏は、2040年までにその値まで上がるとしました。
  • 閉局の数え方:閉局の数を出すのは、厚生局の廃止名簿の号から6か月以上の期間が決まり、その期間の廃止届を集計に使う版で数え直せる(再現率0.85以上)38都道府県です。全国では、2025年4月から2026年6月に出された薬局の廃止届4,175件のうち62.3%が承継か移転でした(47都道府県)。届が集まっている範囲で計算しています。始まりの月は名簿の最初の号の月で、件数はわずかに少なく出うる(下限)。
  • 医療圏は国土数値情報A38由来のマスタ(第8次医療計画準拠)。
  • 人の割合(歩いて行ける薬局が1軒しかない人・徒歩10分では届かない人)は住民(2025年推計人口)に対する割合、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合は県内の薬局に対する割合です。
  • 全国の値(歩いて行ける薬局が1軒しかない人=住民の13.8%・誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局=薬局の35.2%・院外処方率80.7%)は、47都道府県を同じ名簿・同じ物差しで数えた値です(1枚レポートと同じ計算)。全国での位置は、47都道府県を同じ物差し(徒歩10分では届かない人の割合)で比べたものです。
  • 地図:県 → 医療圏 → 市区町村の3段階で下りられます。医療圏ページの地図は、まだ以前の物差し(1軒あたり処方せんの圏内での動き)です。