兵庫県淡路(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

島から薬局は消えていない——廃止届5件は、すべて引き継がれた

淡路医療圏3市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 淡路医療圏 3市期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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淡路医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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淡路医療圏(淡路島の3市)では、この12ヶ月にそのまま消えた薬局は0軒でした。廃止届は5件出ましたが、すべて別の担い手が事業を引き継いでいます。かかりつけ届出率80.9%は県内8医療圏で最高。いっぽう65歳以上人口はすでにピークを過ぎ、2045年までに-12.5%減る——島全体がそろって縮む圏域です。

3
淡路医療圏の市
70
圏内の薬局数
0
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
40.3%
徒歩10分圏カバー率(直線近似)

淡路医療圏は3市・薬局70軒。淡路市24軒、洲本市と南あわじ市が23軒ずつと、3市にほぼ均等に分かれています。経営体力の圏内差はわずか0.9ポイントと県内8医療圏で最小——圏内の順位に意味がないほど、3市は同じ方向(65歳以上-12.8〜-12.0%)を向いています。承継5件には注意が要ります。5件はすべて淡路市の薬局で、しかも同じ廃止日にまとまって出ています。名簿から分かるのはそこまでで、経緯や担い手は分かりませんが、「島で自然発生的に5つの承継が起きた」とは読まないほうが安全です。機能の届出では淡路市のかかりつけ91.3%・在宅69.6%が圏内で最も厚く、洲本市の在宅26.1%・南あわじ市の31.8%との間に島内で大きな開きがあります。徒歩10分圏カバー率(直線近似)は圏全体で40.3%。島の暮らしは車が前提で、徒歩圏の薄さがただちに危機ではありませんが、運転をやめたあとの高齢者にとっての距離はこの数字が示す通りです。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが南あわじ市(-0.4%)、いちばん緑なのが淡路市(+0.5%)で、同じ淡路医療圏の中に0.9ポイントの開きがあります。

南あわじ市:薬局23/1軒あたり処方せん -0.4%わじ市洲本市:薬局23/1軒あたり処方せん -0.2%洲本市淡路市:薬局24/1軒あたり処方せん +0.5%淡路市
色=経営体力の変化(→2045)
減る(0%)増える(±0%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は40.3%(直線近似)

250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、淡路医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は40.3%(県全体80.8%・8医療圏中6位)、20分圏で63.5%です。徒歩10分圏の外には71,169人が住んでいます。市別では洲本市の47.5%から南あわじ市の34.5%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。

人口動態 ── 需要の源淡路医療圏の65歳以上人口はもう減っていく

なぜ市で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。淡路医療圏全体では、総人口は11.9万→8.6万人(-27.6%)と減り、65歳以上は4.7万→4.1万人(-12.5%)と減ります。高齢化率は39.3%→47.5%へ。65歳以上のピークは2025年——つまり起点年で、圏全体がすでに減少局面に入っています。圏内3市のうち3つでピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市は3あります。

総人口65歳以上
0万5万10万15万20万2025203020352040204520508万4万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは2025年です。

医療計画からの引用県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

「さらに、同ガイドラインでは、業態別に目標偏在指標(1.0)より偏在指標が低い二次医療圏のうち下位二分の一の二次医療圏を「薬剤師少数区域」として定めており、兵庫県内においては淡路圏域の病院(偏在指標:0.68)及び但馬圏域の病院(同:0.65)がそれに該当している。」

兵庫県保健医療計画 兵庫県保健医療計画(令和6年4月)全文 PDF 40ページ

「(2)外来患者推計では、今後、外来患者数は減少に向かうことが予測されているが働き手の人口が減少する淡路圏域では今後も人材確保が難しいと思われる。」

兵庫県保健医療計画 兵庫県保健医療計画(令和6年4月)全文 PDF 393ページ

「これを圏域別に見ると、淡路圏域は30.5日と最も長く、最も短い但馬(12.2日)の2倍以上あり、圏域によって大きな差が見られる。」

兵庫県保健医療計画 兵庫県保健医療計画(令和6年4月)全文 PDF 76ページ

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。 並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

ランキング ── 市差経営がしんどくなる市・楽になる市

南あわじ市(-0.4%)から淡路市(+0.5%)まで、圏内差は0.9ポイントしかありません。この圏域では市ごとの順位に意味はなく、3市がそろって「65歳以上人口も減っていく」局面にあることがすべてです。

南あわじ市
-0.4%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
洲本市
-0.2%
淡路市
+0.5%

くわしい数字3市データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
淡路市2439.8%12,872 → 12,942+0.5%
南あわじ市2338.8%13,507 → 13,459-0.4%
洲本市2339.2%12,694 → 12,670-0.2%

※処方せん需要は淡路医療圏全体の実績(NDB)を市の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 兵庫県(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 淡路医療圏(このページ・Lv2)=3市で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

淡路医療圏 3市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。淡路医療圏にいまある70軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.06です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-27.6%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は90.0%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。淡路医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は70軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 63軒=90.0%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 39軒=55.7%、在宅薬学総合体制加算 18軒=25.7%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 62軒=88.6%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回55.7%/これまで80.9%(差-25.2ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回90.0%/これまで35.3%(差+54.7ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回25.7%/これまで42.6%(差-16.9ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】淡路医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間911,569枚)を、市区町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(兵庫県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に87.5)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市区町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(淡路医療圏で0件)。廃止届は全部で5件出ていますが、そのうち5件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。兵庫県の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません。
  • 【件数は生成時点の値】名簿の掲載遅れ(廃止日から名簿に載るまで最大6ヶ月)により、この期間の件数は今後の号で増える可能性があります(2026年6月号までの名簿による値)。
  • 【閉局の場所は届出住所で数えています】閉局の市区町への割当ては、座標ではなく廃止情報の届出住所(「届出上の所在地」)に基づきます。座標のジオコードには境界付近のずれがあり、県内で1件、住所と座標で医療圏が食い違う例がありました(県Lv1・この圏レポートとも届出住所ベースで統一して数えているため、階層間で件数はずれません)。
  • 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率40.3%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・線路・地形で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市区町・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コード、または座標の市区町村境界への点内判定で割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある68店を分母にしています(圏内全70店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
  • 【同一屋号の一斉付け替え】県全体では、この12ヶ月の移転・承継99件のうち25件が、同一屋号の複数店舗(チェーン)の一斉付け替えでした。この圏域の移転・承継5件にこの一斉付け替えは含まれていません。それでも圏どうしで廃止届の件数を並べるときは、必ずこの点を確認してください。
  • 【承継5件は同一日】この圏域の移転・承継5件は、いずれも淡路市の薬局で、同じ廃止日にまとまって出ています(屋号はそれぞれ異なるため、上の「同一屋号の一斉付け替え」の定義には該当しません)。名簿から経緯や担い手は分かりません。件数だけで「承継が個別に5件起きた」と読まないでください。
  • 【島の圏域の距離指標】徒歩カバー率の直線近似は海の上も直線で測ります。淡路島は島内に薬局があるため県境・海峡の影響は小さいものの、海沿いの入り組んだ地形では実際の道のりより短く出ます。また島の暮らしは自動車が前提であり、徒歩圏の薄さがただちにアクセスの欠如を意味するわけではありません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。

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淡路医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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