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CrossHealth / 薬局持久度レポート
木更津市と富津市のあいだに、33ポイント
君津医療圏4市の薬局を、供給・高齢化・経営体力・徒歩アクセスで見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
君津医療圏は内房の4市(木更津市・君津市・富津市・袖ケ浦市)、薬局168店。圏全体の需要は+2.5%とほぼ横ばいです。けれどそれは平均の話。絶対量では木更津市が+15.2%伸び、富津市が-17.5%縮む——同じ圏の中で33ポイント、向きが逆です。
アクアライン・館山道の北側、袖ケ浦市・木更津市は65歳以上人口が2050年の推計期間内は増え続け、需要も+15.1〜+15.2%伸びます。南へ下ると景色が変わります。富津市・君津市は65歳以上人口のピークがすでに2025年——高齢者すら減りはじめました。富津市は高齢化率41.6%、需要-17.5%で、1軒あたり処方せんは19,355枚と圏内で最も重い。圏平均12,854枚の1.5倍です。徒歩アクセスも同じ線で割れます。圏全体の徒歩10分カバーは66.7%ですが、木更津市の78.4%に対して富津市は38.7%。閉局は2025年に2軒(1.2%)と落ち着いていますが、直近3年では7軒の動きがあります。「横ばいの圏域」の内実は、伸びる北と、先に細る南の平均です。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力・圏内相対)。いちばん赤いのが富津市(-20.6%)、いちばん緑なのが木更津市(+10.9%)。内房の南北で向きが逆になっているのがわかります。
徒歩アクセス ── 歩いて行けるか圏内1市では、住民の半分以上が薬局まで徒歩10分より遠い
250mメッシュごとに、最寄りの薬局まで実際の道路を歩いて何分かかるかを計算しました(OSRM実道路網)。君津医療圏で徒歩10分以内に住む人は66.7%で、県平均の79.0%に対して県平均を下回ります。106,631人が徒歩10分圏の外に住んでいます。市別では富津市の38.7%から木更津市の78.4%まで開きます。
人口動態 ── 需要の源北の2市はまだ増える。南の2市はもう減っている
総人口は320,160→275,374人(-14.0%)、65歳以上は100,045→102,538人(+2.5%)。高齢化率は31.2%→37.2%です。65歳以上のピークは富津市・君津市が2025年(すでに減少局面)、袖ケ浦市・木更津市は2050年の推計期間内はまだ増え続けます。
医療計画 ── 県の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。
○この地域の65歳以上人口10万人当たり訪問診療実施診療所・病院数は千葉県平均を上回っている一方、訪問看護ステーション数は千葉県平均を下回っている地域であり、今後も在宅医療等の需要が増加すると見込まれます。
千葉県保健医療計画 別冊_第6章〜第9章 PDF 68ページ(3)医療機器の共同利用に係る状況君津医療圏には計画上の対象機器のうち5種類全てが配置されており、指標においては、CT*は全国及び県内平均を上回っており、マンモグラフィ*については全国平均と県内平均の中間ですが、それ以外の機器については両平均を下回っています。
千葉県保健医療計画 別冊_第6章〜第9章 PDF 59ページ(2)4機能別の医療提供体制令和4年度病床機能報告*による病床機能ごとの病床数と令和7年の必要病床数を比較すると、回復期*は不足し、高度急性期*、急性期*、慢性期*は過剰となることが見込まれます。
千葉県保健医療計画 別冊_第6章〜第9章 PDF 64ページ並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。
ランキング ── 市差
くわしい数字4市データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2050 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 木更津市 | 84 | 28.0% | 9,923 → 11,000 | +10.9% |
| 君津市 | 37 | 35.3% | 15,939 → 14,314 | -10.2% |
| 袖ケ浦市 | 29 | 27.2% | 13,375 → 14,805 | +10.7% |
| 富津市 | 18 | 41.6% | 19,355 → 15,364 | -20.6% |
※処方せんは君津医療圏のNDB実績(2023年・年間2,159,528枚)を高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 千葉県(ひとつ上・Lv1)=9つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 君津医療圏(このページ・Lv2)=4市で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・徒歩アクセス・経営シナリオまで(受注生産)。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。君津医療圏にいまある168軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.44です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-10.8%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は92.4%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。君津医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は158軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 146軒=92.4%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 97軒=61.4%、在宅薬学総合体制加算 53軒=33.5%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 141軒=89.2%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回61.4%/これまで60.4%(差+1.0ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回92.4%/これまで34.6%(差+57.8ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回33.5%/これまで37.1%(差-3.6ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き、そして徒歩でのアクセスです。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は潰れる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断もしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】君津医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,159,528枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。市区町村別の実処方せんは公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは別で、この圏域は2025年を100として2050年に102.5——つまり圏全体では+2.5%増えます。表の「絶対量ベース」列(chg_abs)が、その地域の実数としての増減です。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。
- 【閉局の数え方】関東信越厚生局の保険薬局「廃止」情報のうち、届出に新機関コード(=別のコードで事業が続く移転・承継)の記載がないものだけを「閉局」として数えています。2025年の千葉県は、廃止届115件のうち移転・承継が73件、閉局が42件でした。※ 公開済みの大阪府版レポートは、この移転・承継を分けずに廃止届の全件を「閉局」として数えています。県をまたいで件数を比べるときはご注意ください。
- 【件数は2026-07-27時点の名簿(関東信越厚生局・2026.7号まで)の値】廃止情報は名簿への掲載が届出から遅れることがあり、ここに載せた年別の件数は下限です。同じ年の件数が、名簿の更新により今後増えることがあります。
- 【閉局の地域割当て】原則は届出座標の市区町村境界への点内判定ですが、全件の住所照合で座標と届出住所が食い違ったもの(1件)は届出上の所在地を優先し、住所欄が欠けて市区町村を特定できず座標も実在の所在地を示さないもの(1件)は圏・市区町村の集計から外しています(県の合計には含まれます)。
- 【徒歩アクセス】250mメッシュの人口(国勢調査ベースの将来人口メッシュ)ごとに、最寄りの調剤薬局までの徒歩時間をOSRM(OpenStreetMapの実道路網・徒歩プロファイル)で計算した実経路ベースの値です。坂・信号・バスは考慮していません。市区町村の境をまたいだ最寄り薬局も「近い」と数えています(郊外では市境をまたぐ通院がふつうのため)。※ 県版(Lv1)ページの医療圏別の徒歩カバー率には、直線距離による旧方式の値が残っている圏域があります。方式の違いにより本ページの値と一致しないことがあります(順次、実道路網の値に更新されます)。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、調剤をしないドラッグストア専業は含みません。位置は届出座標にもとづき、国土数値情報の市区町村境界への点内判定で地域に割り当てています。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅対応などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告にもとづき、申告データのある159店を分母にしています(対象168店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
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